アオムシやヨトウムシは、農業害虫 一覧の中でも代表的な食害性害虫で、主にアブラナ科野菜の葉を集中的に食べることが知られている。
アオムシは日中も葉の表で見つけやすい一方、ヨトウムシは夜間に活動し、日中は土中や株元に潜むため発見が遅れがちになる。
どちらも若齢期のうちは食害量が少ないが、終齢に近づくと短期間で葉を丸坊主にするほどの勢いで食害するため、初期発見と早期防除が重要になる。
アオムシやヨトウムシは、被害の出方にも特徴があり、圃場全体に均一ではなく、風下側や定植時にストレスがかかった株から被害が広がりやすい傾向があると報告されている。
参考)病害虫の5大分類|タイプごとの特徴と基本対策
ヨトウムシは「斑点状加害」を示すことが多く、あるエリアだけ葉がレース状になっている場合、株元の土を軽く崩すと集団で見つかることも少なくない。
また、収穫期が近い作物では農薬使用に制限が生じるため、防虫ネットや見回りによる捕殺など、薬剤以外の手段を組み合わせる管理設計が求められる。
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意外な点として、アオムシやヨトウムシの発生量は、前年の残さ処理と自生アブラナ科雑草の管理状況に大きく左右されるという報告がある。
圃場周辺に残ったダイコンやハクサイのトウ立ち株、自生のナズナやセイヨウカラシナなどは、越冬世代の足場となり、次作への発生源となる。
そのため「本圃の防除」だけでなく、周辺雑草の刈り残しや、秋冬の残さ放置を減らすことが、翌年のアオムシ・ヨトウムシ密度抑制に意外と効いてくる。
アブラムシやウンカは、農業害虫 一覧の中で吸汁性害虫として大きな位置を占めており、新芽や茎から汁を吸うほか、ウイルス病を媒介する厄介さで知られている。
アブラムシ類は温暖期に無性生殖と胎生で爆発的に増殖し、短期間で葉が波打つほどの群生状態になる一方、早期のわずかなコロニーを見逃さないことが防除の鍵になる。
ウンカやヨコバイ類はイネをはじめとしたイネ科作物に多く、稲縞葉枯病などの病害を媒介する種もいるため、単なる加害昆虫ではなく病害の引き金としても警戒されている。
アブラムシは、植物体の汁を吸うだけでなく、排泄物である甘露が葉面に付着し、すす病を誘発して光合成を阻害する二次被害も生じる。
また、作物体に直接つく個体だけでなく、周辺の雑草や防風林の樹木で増殖した個体が、あるタイミングで一気に飛び込んでくるケースも多い。
参考)https://lib.ruralnet.or.jp/yougo/byougai/chu.phtml
ウンカ類では、梅雨時期から盛夏にかけての長雨・高湿の年に大発生しやすく、風に乗った移動も加わるため、地域単位の発生情報の共有が重要となる。
参考)病害虫防除に関する情報:農林水産省
やや意外な点として、アブラムシの種類によっては、同じ圃場の中で宿主植物を季節で乗り換える「異宿寄生」を行うものがあり、防除のタイミングを読み違えると急に発生源が変わったように見えることがある。
このような種では、春先にマメ科やバラ科の樹木で増えた後、夏場に野菜へ移動するなどのパターンが見られ、圃場外の植栽や庭木の管理も無視できない。
参考)農作物につく害虫とその天敵(てんてき)について教えてください…
ウンカ・ヨコバイ類でも、休耕田や畦畔のイネ科雑草が発生源となることが多く、畦の草刈り時期や水管理が、発生密度に予想以上の影響を与えると指摘されている。
コガネムシやカメムシは、農業害虫 一覧の中で果樹や果菜類への被害が目立つグループであり、成虫・幼虫それぞれで異なる被害をもたらす。
コガネムシ類の幼虫は土中で根を食害し、成虫は葉や花を食べるため、見えている地上部の被害以上に、根傷みや活着不良としての「じわじわ効いてくる被害」が問題になる。
一方、カメムシ類は果実や穀粒から汁を吸うことで変色や奇形、斑点米の原因となり、収量だけでなく品質低下による等級落ちのリスクが大きい。
コガネムシ類は、圃場周辺の芝地や雑草地で幼虫期を過ごし、成虫になってから作物の葉や花へ飛来する生活史を持つことが多い。
参考)Q&A どんな種類の農業害虫がいますか? |KINCHO園芸
そのため、畑そのものの見回りでは幼虫発生に気づきにくく、堆肥置き場やビニールハウス脇の裸地など、意外な箇所の踏み固めた土が「育ち場」になっているケースも報告されている。
カメムシ類では、斑点米カメムシ類のように、水田周辺の雑草や果樹園、山林との境界部から飛来する種が多く、畦畔のイネ科雑草管理や、出穂期前後の防風林の観察が被害抑制につながる。
興味深い点として、コガネムシの一部は、夜間に人工光へ誘引されやすく、ハウス近くの照明や街灯が成虫飛来の「中継地点」になっている可能性が示唆されている。
ハウス外の照明を遮光カバーで絞る、出入り口付近の常夜灯を減らすといった、照明の工夫が被害軽減に役立った事例も報告されている。
参考)【第12回】農薬を使用しない病害虫の防除方法|教えて!望田先…
カメムシでは、果樹園での防風樹や周辺林縁部で成虫が越冬することが多く、冬季の剪定枝・落葉の処理や下草管理が、翌シーズンの飛来量に意外と影響することが観察されている。
ナメクジは、農業害虫 一覧の中では「雨の日に少し葉をかじる程度」と軽視されがちだが、軟弱野菜や苗の段階では一晩で壊滅的な被害を出すことがある。
葉や茎だけでなく、イチゴやトマトなど果実の表面をえぐるように食べるため、見た目の損傷だけでなく、そこから病原菌が侵入し腐敗が進む二次被害が問題になる。
また、ハウス内の灌水チューブ下や資材置き場のすき間など、日頃目の届きにくい陰湿な場所に潜み、夜間に広く移動して加害する生態的な特徴を持つ。
ダンゴムシやワラジムシは、一般には分解者として認識されているが、多湿条件や有機物過多の育苗培土では、発芽直後の双葉や根を積極的に食害することが確認されている。
特にポット苗やセルトレイでは、側面の排水穴から侵入して根を削り取るように食べるため、原因が分からない立ち枯れや苗の消失の背後に隠れた加害者となることがある。
参考)害虫について|病害虫図鑑|アースガーデン ~園芸用品~|アー…
培養土の表面に残った未分解の有機物や、長期間置かれたマルチ資材の下の湿った環境が、ダンゴムシ・ワラジムシの密度を異常に高める要因として指摘されている。
意外な工夫として、ナメクジやダンゴムシの被害軽減には、物理的な障壁を利用した防除が小規模圃場で効果を上げている。
例えば、銅テープをプランター縁に貼る、ザラザラした珪藻土や粗砂を株元にリング状に敷くといった手法は、農薬に頼らず加害を抑える補助的手段となる。
さらに、育苗ハウス内の床面をコンクリート化して排水性を高め、余分な湿気と有機残渣を減らすことで、ナメクジ・ダンゴムシ双方の生息地を物理的に縮小できる。
農業害虫 一覧に挙がる多くの種に共通するのは、「単一の防除手段に依存すると、長期的には行き詰まりやすい」という点であり、耕種的・物理的・生物的・化学的防除を組み合わせた総合防除が推奨されている。
耕種的防除では、作付けの時期調整や輪作、抵抗性品種の利用、適正な施肥や水管理といった「作物側の体力を高める工夫」が、発生密度を下げる土台となる。
物理的防除では、防虫ネットやマルチ、黄色・青色粘着板などを用いることで、アブラムシやコナジラミ、アザミウマなどの飛来を抑制し、薬剤使用回数を減らせる。
生物的防除の観点では、テントウムシやクモ類、寄生バチなどの天敵が、アブラムシ・コナジラミ・ハダニ類の密度抑制に大きく貢献していることが、多くの研究で示されている。
ただし、天敵を活かすには、広域スペクトルの殺虫剤を連用しない、花粉源となる雑草を一部残すなど、「圃場周辺の生物多様性をある程度許容する」考え方が必要になる。
一見すると雑草を残すことはマイナスに見えるが、天敵の餌場・隠れ家として機能することで、結果的に害虫のピークを抑え、農薬投入を減らせるケースも報告されている。
独自視点として注目されつつあるのが、「圃場の三次元構造」を意識した害虫管理である。
例えば、単一の背丈の作物ばかりを並べるよりも、高さや葉の密度が異なる作物を組み合わせることで、風の流れや日照条件が変わり、特定害虫にとって居心地の良い「ホットスポット」を減らせるという指摘がある。
さらに、防風林・畦畔・水路・ビニールハウス・露地といった異なる環境を「面」としてではなく、「線」や「点」の連なりとして俯瞰し、害虫の移動ルートをイメージして観察することで、従来より早く発生兆候を掴める可能性がある。
この考え方を現場に落とし込むと、例えば「山林側の防風林からカメムシが入る線」「水路沿いのイネ科雑草からウンカが移動する線」「ハウス周辺の灯りへ飛来するコガネムシの線」といった「見えない通路」を、意識的に遮断・迂回させる設計が検討できる。
単に農薬を散布するのではなく、圃場全体を俯瞰し、作物・雑草・天敵・害虫すべての関係性を時間軸も含めて整理しておくことが、農業害虫 一覧を「単なるリスト」から「動く生態系の地図」に変えていく第一歩になる。
病害虫の基本分類と各タイプごとの特徴・対策の整理に役立つ解説。
病害虫の5大分類|タイプごとの特徴と基本対策
病害虫防除の4つの基本的な考え方(耕種的・物理的・生物的・化学的)を整理した実務向け解説。
病害虫の防除|アグリノート
代表的な農業害虫の分類と例示を一覧で確認する際の基礎資料。
どんな種類の農業害虫がいますか?|KINCHO園芸
主要な農作物の病害虫や防除情報を公的機関の視点で整理しているページ。
病害虫防除に関する情報|農林水産省
農作物につく害虫と天敵の関係をコンパクトに紹介した子ども向けだが本質的な解説。