防虫ネットの張り方は簡単！一人でできる失敗しない手順とコツ

防虫ネットの張り方は簡単

家庭菜園や農業の現場で、最も頭を悩ませるのが害虫対策ですよね。「せっかく育てた野菜が虫食いだらけ…」なんて経験、誰にでもあるはずです。農薬を減らして安全な野菜を作りたいなら、物理的に害虫をシャットアウトする防虫ネットが最強の味方になります。

「防虫ネットって、張るのが難しそう…」「一人だとたるんで隙間ができちゃうんじゃない？」と不安に思っている方も多いようですが、実はコツさえ掴めば、防虫ネットの張り方は驚くほど簡単なんです。特別な工具や力仕事はほとんど必要ありません。ポイントは「事前の段取り」と「隙間を埋めるちょっとした工夫」だけ。

この記事では、初心者の方でも一人でサクッと、しかもプロ並みにきれいに張れる手順を詳しく解説していきます。これを読めば、次のシーズンからは害虫知らずの快適な菜園ライフが待っていますよ！

防虫ネットの張り方と支柱の選び方

防虫ネットをきれいに、そして機能的に張るための最初のステップは、土台となる支柱（トンネル支柱）の選び方と設置です。ここがグラグラしていると、風でネットが煽られたり、野菜が成長したときに窮屈になってしまったりします。まずはしっかりとした骨組みを作りましょう。

支柱の種類と特徴

一般的に使われる支柱には、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分の畑やプランターに合ったものを選びましょう。

• ダンポール（FRPポール）
  • 特徴: グラスファイバー製で、非常に軽く、しなやかに曲がります。弾力性が高く、きれいなアーチを作りやすいのが最大のメリット。
  • おすすめ: 初心者の方や、力の弱い方。また、収納時に真っ直ぐに戻るので場所を取りません。
  • 注意点: 表面がツルツルしているため、紐で縛るときに滑りやすいことがあります。
• 鋼管支柱（イボ竹など）
  • 特徴: 鋼管を樹脂でコーティングしたもので、曲がった形状で販売されていることが多いです。頑丈で風に強いのが特徴。
  • おすすめ: 風が強い地域や、大型の野菜（キャベツやブロッコリーなど）を育てる場合。
  • 注意点: 形が決まっているので、畝の幅に合わせて購入する必要があります。

  失敗しない支柱の立て方

  支柱を立てるとき、「なんとなく」で刺していませんか？実は、刺す間隔と深さが重要なんです。

   

  1. 間隔は50cm〜60cmがベスト

     支柱の間隔が広すぎると、ネットが重みで垂れ下がり、野菜に接触してしまいます。野菜にネットが触れると、そこから虫が産卵したり、アブラムシがネット越しに吸汁したりする原因になります。逆に狭すぎると作業が大変です。「足のサイズ2つ分」などを目安に、等間隔に刺していきましょう。

      

  2. 深さは20cm〜30cmしっかり刺す

     浅く刺すと、強風でアーチごと吹き飛ばされる危険があります。特にダンポールは反発力が強いので、しっかり深く刺し込まないと跳ね返って抜けてしまうことがあります。体重をかけてグッと押し込みましょう。

      

  3. 畝（うね）の幅に合わせる

     支柱をアーチ状に曲げたとき、天井の高さが野菜の成長点より十分高くなるようにします。葉物野菜なら低めでも良いですが、ブロッコリーなどは背が高くなるので、余裕を持った長さの支柱（210cm〜240cmなど）を選ぶことが大切です。

      

  【参考リンク】家庭菜園の防虫ネットの張り方の基本と失敗しない設置法を解説｜家庭菜園の時間 - 支柱の間隔や設置の基本手順について、初心者向けに非常にわかりやすく解説されています。

  防虫ネットの張り方で重要な裾の固定

  支柱が立ったら、いよいよネットを被せます。ここで最も重要なのが「裾（すそ）」の処理です。防虫ネットの失敗例の9割は、この裾の隙間から害虫が侵入することによるものです。

   

  「下の方はちょっとくらい空いていても大丈夫だろう」というのは大きな間違い！ヨトウムシやネキリムシなどの歩行性害虫は、地面を這ってそのわずかな隙間から侵入します。また、コナガなどの小さな飛翔害虫も、風に乗って裾の隙間から入り込みます。

   

  裾を埋める「土寄せ」テクニック

  プロの農家さんが推奨する最も確実な方法は、「裾を土で埋める」ことです。

   

  1. 溝を掘る

     支柱を立てた畝のサイドに、クワやスコップで浅い溝（深さ5〜10cm程度）を掘ります。

      

  2. ネットを垂らす

     ネットを被せたら、その余った裾の部分を掘った溝に落とし込みます。

      

  3. 土を被せて踏み固める

     溝に入れたネットの上から、掘り上げた土を戻して被せます。そして、ここがポイントですが、足で軽く踏み固めてください。こうすることでネットが土に完全に密着し、物理的に隙間がゼロになります。また、土の重みでネットがピンと張るため、風にも強くなります。

      

  便利な固定具「Uピン」と「マルチ押さえ」

  土を被せるのが難しい場合や、頻繁に開閉して収穫したい場合は、固定具を使います。

   

  • Uピン（ヘアピン杭）
    • 金属製のU字型のピン。安価で大量に使えるのが魅力です。
    • 使い方のコツ: ネットの網目にそのまま刺すのではなく、ネットを少し折り返して二重にした部分に刺すと、破れにくく強度が増します。
  • マルチ押さえ（プラスチック杭）
    • 返し（バーブ）がついているため、一度刺すと抜けにくいのが特徴。
    • 使い方のコツ: 頭の部分が平らになっているものが多く、ハンマーで打ち込みやすいです。風が強い場所では、Uピンよりもこちらが安心です。

    注意！ネットの幅は余裕を持って

    裾をしっかり固定するためには、ネットの幅（ワイド）選びが重要です。

     

    「畝の幅 ＋ アーチの高さ ＋ 左右の埋め込み分（各20cm以上）」が必要です。

     

    例えば、畝幅60cmで高さ50cmのトンネルを作る場合、
    60 + (50 × 2) + (20 × 2) = 200cm幅 程度のネットが必要になります。ギリギリのサイズを買ってしまうと、裾が届かずに隙間だらけ…という悲劇が起きますので、必ず広めのサイズを選びましょう。

     

    【参考リンク】防虫ネットの張り方とコツ・注意点！初心者向けに丁寧に解説｜産直プライム - 裾に土を乗せて密着させることの重要性や、ネット幅の計算について詳しく書かれています。

    防虫ネットの張り方を楽にするパッカー活用

    一人で作業をしていると、風でネットがひらひらしてしまい、「あっちを止めたらこっちが外れる！」というイライラ状態になりがちです。そんなときに役立つ神アイテムが「パッカー（トンネルパッカー）」です。洗濯バサミの強化版のような道具で、支柱とネットをガッチリ挟み込んで固定します。

     

    パッカーの正しい選び方

    パッカーはどれでも良いわけではありません。
    支柱の太さ（径）に合ったサイズを選ぶ必要があります。

     

    支柱の種類	一般的な太さ(径)	対応パッカーサイズ
    ダンポール	5.5mm / 8mm	5.5mm用 / 8mm用
    鋼管支柱	8mm / 11mm / 16mm	8mm用 / 11mm用 / 16mm用

    サイズが合っていないと、緩すぎて止まらなかったり、キツすぎて支柱やパッカーが破損したりします。購入前に必ず支柱のパッケージで太さを確認しましょう。色は青や緑、オレンジなどがありますが、目立つ色（オレンジや水色）にしておくと、畑の中で落とした時に見つけやすくて便利です。

     

    効率的な固定の手順

    パッカーを使えば、一人でもスムーズに作業が進みます。

     

    1. 仮止めをする

       まず、畝の両端の支柱の頂点（一番高いところ）をパッカーで留めます。これでネットのセンターが決まり、ズレなくなります。

        

    2. 全体をピンと張る

       片方の端を固定したら、反対側に回ってネットをグッと引っ張りながら、頂点をパッカーで固定していきます。
       縦方向（畝の長さ方向）にテンションをかけるのがコツです。シワがなくなり、見た目も美しくなります。

        

    3. 裾の調整

       頂点が決まったら、側面の裾を引っ張り下げて、最後に裾の固定（土やピン）を行います。

        

    風対策としての「マイカ線」

    台風シーズンや春一番の時期は、パッカーだけでは不安な場合があります。そんなときは、トンネルの上から「マイカ線（ハウスバンド）」や紐をかけて、ネットを上から押さえつけます。

     

    これを「たすき掛け」や「クロス掛け」と言います。支柱と支柱の間のネットがバタつくのを防ぎ、ネットの摩擦による破れも防止できます。プロの農家さんは必ずこの「上からの押さえ」を行っています。

     

    【参考リンク】トンネルを作る｜あした農場 nou-fu - パッカーを使った固定位置や、ダンポールとの組み合わせについて実践的な写真付きで解説されています。

    防虫ネットの張り方と目合いの基準

    「防虫ネットを張ったのに、中で虫が発生している…」
    そんな経験はありませんか？それはもしかすると、張り方の問題ではなく、「目合い（網目の大きさ）」の選択ミスかもしれません。

     

    防虫ネットには様々な目合いがあり、防ぎたい害虫の種類によって使い分ける必要があります。

     

    目合いと対象害虫の目安

    目合い	主な対象害虫	特徴	おすすめの野菜
    1.0mm	アオムシ、コナガ、ヨトウムシ	通気性が良く、温度が上がりにくい。一般的な蝶や蛾は防げる。	キャベツ、ブロッコリー、大根
    0.8mm	上記に加え、一部のハモグリバエ	バランスが良い。家庭菜園での標準サイズ。	小松菜、ほうれん草
    0.6mm	キスジノミハムシ、ハモグリバエ	小さな甲虫類も防ぐ。少し通気性が落ちる。	カブ、チンゲンサイ
    0.4mm	アザミウマ、コナジラミ、アブラムシ	微細な害虫もブロック。通気性が悪く、夏場は蒸れやすい。	トマト、ナス、キュウリ（育苗期）

    「大は小を兼ねない」のが防虫ネット

    「じゃあ全部0.4mmにすればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、そう単純ではありません。目合いが細かくなればなるほど、以下のデメリットが発生します。

     

    1. 通気性の悪化

       風通しが悪くなり、トンネル内の温度と湿度が上昇します。真夏に0.4mmを使うと、野菜が蒸れて病気になったり、高温障害で枯れてしまったりするリスクがあります。

        

    2. 光線透過率の低下

       網目が細かいと、太陽の光が遮られやすくなります。光合成が必要な野菜にとってはマイナスになります。最近では、光をよく通す「透光率」の高い極細ネットも開発されていますが、価格は高めです。

        

    3. コスト

       一般的に、目合いが細かいほど製造コストがかかり、価格が高くなります。

        

    赤いラインや銀色のラインの意味

    防虫ネットを見ると、銀色や赤色のラインが入っているものがありますよね。あれはただのデザインではありません。

     

    • 銀色（シルバー）: アブラムシなどの害虫は、キラキラ光るものを嫌う性質（忌避効果）があります。
    • 赤色: アザミウマなどの一部の害虫は、赤色を認識しにくかったり、嫌ったりする効果があると言われています。

    これらの「色による忌避効果」と「目合いによる物理防御」を組み合わせることで、より高い防虫効果が期待できます。

     

    【参考リンク】防虫ネットの選び方とは？色や目合いによる効果の違いを解析！｜施設園芸.com - 目合いごとの具体的な対象害虫リストや、色の効果について専門的な視点で解説されています。

    防虫ネットの張り方で隙間を埋める裏技

    最後に、意外と知られていないけれど効果絶大な、「絶対に隙間を作らないためのプロの裏技」を紹介します。

     

    教科書通りに張ったつもりでも、地面の凹凸などでどうしても小さな隙間ができがちです。そこを完全にカバーするテクニックです。

     

    裏技①：ネットを踏みながら土をかける

    裾に土をかける際、ただ上から土を乗せるだけでは不十分です。

     

    「ネットの端を足で踏んでピンと張りながら、その足の甲に土をかけるイメージ」で作業してみてください。

     

    1. ネットの裾を足で踏んで、地面に押し付けます。
    2. その足の上からスコップで土をかけます。
    3. 足をそっと抜くと、土の中にネットが食い込んだ状態で固定されます。

    この方法だと、ネットに常に下向きのテンションがかかった状態で土が被さるため、風でバタついて土がどけられてしまうことを防げます。動画サイトの農業系チャンネルなどでも紹介される、実戦的なテクニックです。

     

    裏技②：端っこは「団子結び」＋「重し」

    トンネルの両端（出入り口部分）は、一番隙間ができやすい場所です。

     

    ここをきれいに処理するには、以下の手順がおすすめです。

     

    1. 余ったネットをギュッと絞ります。
    2. 絞った部分を一度ねじります。
    3. そのまま「団子結び（固結び）」にします。
    4. 結び目をUピンで地面に固定し、さらにその上にレンガや土嚢（どのう）などの重しを置きます。

    単にピンで留めるだけだと、風でピンが浮いてきてしまうことがありますが、結び目を作って重しを乗せることで、台風クラスの風でもめくれない強固な端処理になります。

     

    裏技③：破れた時の応急処置

    作業中にうっかり支柱の角などでネットを破いてしまった場合、そのままにしておくとそこから虫が入ります。

     

    そんなときは、「防虫ネット補修シール」を使うのがベストですが、手元にない場合は「ホッチキス」が使えます。

     

    破れた箇所を重ね合わせて、ホッチキスでパチンパチンと数箇所留めるだけで、簡易的ながらかなり強力に穴を塞ぐことができます。セロハンテープなどは雨で剥がれてしまうので、物理的に留めるホッチキスがおすすめです。

     

    防虫ネットは、一度張り方をマスターしてしまえば、何年も使える強力な武器になります。「面倒くさいな」と感じるのは最初だけ。慣れれば1つの畝を10分程度で張れるようになりますよ。

     

    今年の野菜作りは、ぜひ防虫ネットを活用して、虫食いのない美しい野菜を収穫してくださいね！

     

     

    
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