硝安とは肥料窒素追肥注意点保管

硝安とは何かを、成分・肥効・施用の注意点・保管の基本まで農業目線で整理します。速効性の強みを活かしつつ流亡や肥料やけを避けるコツは何でしょうか?

硝安とは

硝安とは(結論の先出し)
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硝安=硝酸アンモニウム

化学式NH4NO3の窒素肥料で、アンモニア態窒素と硝酸態窒素を半分ずつ持つのが特徴です。

速効性が強み、流亡が弱点

硝酸態は土に吸着されにくく水と一緒に動くため、追肥向き・多肥や降雨前施用はリスクになります。

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危険物として管理が必要

酸化性固体として扱われ、可燃物混入や高温などで危険性が増すため、保管・取り扱いを優先して整えます。

硝安とは成分性質窒素


硝安は「硝酸アンモニウム(NH4NO3)」のことで、窒素を多く含む窒素肥料として位置づけられます。
ポイントは、作物が使える窒素の形が2つ(アンモニア態窒素と硝酸態窒素)で、しかも半々に入っている点です。
公的な登録基準の考え方として、アンモニア性窒素16%・硝酸性窒素16%(合計32%以上)が目安として示されています。
性質面では「水に非常によく溶ける」ことが最大の特徴で、溶けた瞬間から根が吸える状態になりやすい=速効性につながります。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9037994/

一方で吸湿性・潮解性が高く、空気中の湿気を吸って固結(固まり)やすいので、現場では粒状品や固結防止の工夫が前提になりやすい肥料です。

また、硝安は酸化性物質としての側面があり、有機物などと混ざった状態で摩擦・衝撃が加わると危険性が高まるとされています。

この「肥料としての顔」と「危険物としての顔」を両方理解しておくと、過不足のない管理ができます。


参考)https://www.mdpi.com/2077-0472/11/11/1141/pdf

硝安とは肥効追肥速効性

硝安は溶けやすく、硝酸態窒素が半分入っているため肥効が早い(速効性)窒素肥料に分類されます。
ただし硝酸態窒素は土壌コロイドに吸着されず水と一緒に動くので、基肥にすると流亡しやすく、追肥で使われることが多いと整理されています。
施用後の土の中では、硝酸態窒素はそのまま作物に吸収され、アンモニア態窒素は土壌微生物の硝化で硝酸態に変わってから吸われる流れが基本です。

硝化の速さは土壌の通気性・水分・温度などに左右され、通気性が良い砂質で速く、重粘土で遅い傾向があるとされています。

さらに重粘土など嫌気になりやすい条件では、硝酸態窒素が脱窒でガス化して損失になる可能性が示されており、土質によって向き不向きが出ます。

意外に見落とされがちなのが「効きの速さ=調整の難しさ」です。硝安は施用後の肥効発現が早く、持続は20〜30日程度とされ、尿素・硫安より短いと記載されています。

つまり、長く効かせる設計よりも「今ほしい時に、必要量を割って入れる」設計の方が相性がよい、という考え方になります。

硝安とは施用注意点水田

硝安は基本的に畑作物での追肥向きとされ、水田では流失が多く利用率が低いので施用を避ける、という注意が明記されています。
例外的に、水稲の生育後半で穂肥として追肥し根の吸収を促す使い方があり得るものの、その場合は浅水にして施用後2〜3日排水しない等の前提条件が書かれています。
また、硝安は溶解後に土壌ECと浸透圧を上げるスピードが速いとされ、一度に多量施肥すると発芽・初期生育の阻害や肥料やけが起き得ます。

「効きが早い」ことと「濃度障害が出やすい」ことはセットなので、追肥で使う場合ほど回数分け・量の上限を意識するのが安全側です。

混用面の注意として、アルカリ性肥料と一緒に施用しない(混ぜるとアンモニア性窒素がガス化し揮散する恐れ)という具体的な注意点があります。

現場の作業では「同日に入れない」ではなく「混ぜない・同時施用しない」をまず守り、時間差で硝安が溶けてから施用するなら問題が起きない場合がある、と整理されています。

さらに、表層施用を避けて全層施肥や側条施肥(深さ10〜15cmの耕作層の側条など)が推奨され、特にアルカリ性土壌では表層だとアンモニア揮散損失が高くなると記載されています。

「硝酸態は流亡、アンモニア態は揮散」という両リスクを同時に下げるなら、施用位置と水管理が実務のカギになります。

硝安とは保管危険物消防法

硝安は酸化性固体としての危険性があり、SDSでは「火災助長のおそれ;酸化性物質」として注意喚起されています。
さらに「摩擦、熱及び不純物の混入により爆発するおそれがある」「熱で容器が爆発するおそれがある」といった、保管・取り扱い上の具体的なリスクも明記されています。
法規面の実務として、SDSには消防法で「危険物第1類 酸化性固体、硝酸塩類(第3種酸化性固体)」で、指定数量が1000kgと記載されています。

指定数量以上を取り扱う場合は、法令に適合した貯蔵所等で行うこと、許可が必要で危険物貯蔵所に保管することなどがSDS内で注意されています。

現場での保管・取り扱いの要点はシンプルです。可燃物(木・紙・油など)や還元性物質から離して保管し、湿気・直射日光を避けて密閉し冷暗所で管理する、という基本が示されています。

漏えい時の注意として、紙や綿のような可燃物で吸収させると、時間経過で乾燥し突然発火することがあるという記述は「意外に知られていない事故の芽」なので、資材置き場の運用ルールに落とす価値があります。

【参考リンク:硝安の成分、施用後の土壌中の挙動(流亡・揮散・脱窒)、施用上の注意(アルカリ性肥料との混用回避、水田での扱い、施用後の灌漑回避など)がまとまっています】
http://bsikagaku.jp/f-fertilization/AN.pdf
【参考リンク:硝酸アンモニウムのSDS(酸化性固体としての危険性、保管条件、法規(消防法の区分・指定数量など)が確認できます)】
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/01372150.pdf




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