畝立て作業に使う耕運機には、主に車軸ロータリー式とフロントロータリー式の2種類があります。車軸ロータリー式は、車軸に回転刃が直接ついており、コンパクトで小回りが利くのが特徴です。タイヤがなくロータリーが車輪代わりになるため、培土作業や畝立て作業を得意としています。一方、フロントロータリー式は駆動輪が独立して動く自走式で、事前に耕運の深さや作業スピードを設定できるため、力の加減が不要で初心者にも扱いやすい利点があります。
参考)一歩先行く耕運機活用術 vol.22|野菜づくり web m…
畝立てを行うことで、地下水位が高く排水性の悪い圃場でも、余分な水分が作物の根の近辺に溜まりにくくなり、根腐れのリスクが大幅に軽減されます。また、太陽光の当たる面積が増えることで地温が上昇しやすくなり、特に春先の作物の初期生育が促進される効果もあります。排水性と通気性の向上により、根こぶ病などの土壌病害の発生を抑制できるメリットもあります。
参考)トラクター畝立て機とは?種類・特徴・価格・選び方まとめ &#…
家庭菜園で使う場合、100坪程度の広さなら3馬力クラスの車軸式ミニ耕運機が、大きさやパワー、価格的にもベストな選択とされています。クボタ、ヤンマー、ホンダ、イセキなどの主要メーカーが、それぞれ家庭菜園に適した機種を提供しています。
参考)耕運機を使った畝立てとは?耕運機畝立ての方法を紹介
耕運機で畝立て作業を行うには、専用のアタッチメントを装着する必要があります。主なアタッチメントとして、培土器と畝立器があり、用途によって使い分けます。培土器は野菜などの作物の株際に土を寄せる作業に使い、なだらかな丸型の畝作りに適しています。一方、畝立器は平畝や台形畝など、さまざまな形状の畝を作ることができます。
参考)畝立て機(耕運機)とは?選び方や畝立て方法、おすすめ機種を紹…
アタッチメントの種類も多様で、例えばホンダの培土器では1条まき/1条植えに向くカマボコ形の丸畝や、2〜4条まき/2条植えに向く表面が平らな平畝など、培土器や畝立器の種類によって様々なサイズや形状の畝を作ることができます。ヤンマーのYK750SPシリーズでは、丸うね用アタッチメント(ファイナル培土器DKやアポロ培土器BプラスDK)や台形うね用アタッチメント(プラ溝しゅん器BプラスDK)など、作物に応じた専用アタッチメントが別売で用意されています。
参考)耕うん、畝立て、中耕・培土作業用のアタッチメント|耕うん機|…
ホンダ公式サイトの畝立て・培土作業用アタッチメント詳細
畝立器や培土器の詳しい種類と用途を確認できます。
カントウ農機のスーパーグリーン畝立器は、アタッチメントを組み替えることで「平うね」「小うね」「外盛り」の3種類のうねを作ることができる自由度の高い培土器として人気があります。プラスチック製で開閉型の羽根部分を持つニューイエロー培土器は、作業幅30〜70cmに対応し、なだらかな丸型のうね作りや中耕培土作業に適しています。
参考)小型管理機用アタッチメント
畝立て作業を成功させるには、まず圃場の土壌を十分に耕運しておくことが重要です。固い土や土の塊があると、きれいな畝を作ることができません。全体を細かく耕すことで、土の塊がなくなり、均一に土を動かすことができます。
参考)ハウス内は管理機がおすすめ!畝立てと土寄せの上手な方法
畝立て作業のスタート地点では、ハンドルを強く押し下げて耕運機をスリップさせ、培土器の羽根に土をためてから始めると、最初からきれいな畝が作れます。管理機は、ロータリーカバーの左右を上げてV字型にできるものを選ぶと、畝立てや土寄せの際に土を左右に飛ばすことができて便利です。
参考)https://www.yanmar.com/jp/agri/agrilife/kitchen_garden/use/work.html
ホンダ公式の耕運機活用術
プロによる畝立て作業の実践的なコツが詳しく紹介されています。
作業時の回転数の管理も重要なポイントです。土が固いときは回転数を下げて扱い、それ以外は回転数をしっかり上げて使用します。初心者によくある失敗として、回転数を抑えすぎて使用することがありますが、これは耕運機が壊れやすくなる使い方なので注意が必要です。また、始動時には必ずエンジンオイル量を確認してから作業を行いましょう。
参考)耕運機の利用シーン別の使い方とコツ|事故にならないための意識…
よくある失敗として、土を細かく耕しすぎることが挙げられます。雨が降ると、かえって土が固まりやすくなってしまうため、適度な粗さを保つことが大切です。植物の根の成長にとって理想的な土の硬さは、フカフカすぎず硬すぎず、「畝立てした後にその上を歩いても足が沈まない程度」が良いとされています。
参考)土壌が柔らかくてトラクターなどの農機具が沈んでしまう。固くす…
耕運機を選ぶ際には、まず作業する畑の広さと形状を考慮する必要があります。家庭菜園の場合、30坪程度の広さであれば、クボタのMidy Smile(TMS300)やヤンマーのYK301QT、イセキのKM30などの3馬力クラスの機種が適しています。これらの機種は全て川崎GB101エンジンを採用しており、最大出力は同じですが、細かい仕様が異なります。
参考)【耕運機】家庭菜園用を比較、おすすめはどれ?
後進ギアが必要な場合はヤンマーのYK301QTが選択肢となりますが、耕運機での事故のトップは「バック時の事故」であるため、十分な注意が必要です。安全性を重視するなら、デッドマンクラッチが上側のレバーを押し下げるタイプ(クボタや新ダイワ)の方が、「いざ」という時に安全とされています。
耕運機を使った畝立ての詳細な方法
畝立器や溝浚器などのアタッチメント別の作業方法が紹介されています。
価格面では、各メーカーともほぼ横並びで、クボタが約10〜14万円、ヤンマーが約10〜16万円、イセキがオープン価格、新ダイワが約12万円となっています。アタッチメントの充実度ではクボタとヤンマーが優れていますが、100坪程度の家庭菜園であれば、基本機能に絞られたシンプルな機種でも十分対応できます。機能が多いクボタやヤンマーの管理機は高度な作業ができる反面、ホンダや三菱マヒンドラ農機は機能がシンプルで扱いやすいという特徴があります。
参考)管理機はどのメーカーがおすすめ?|一挙紹介 - ノウキナビブ…
土壌の条件によって、畝立て作業の難易度や注意点が大きく変わります。粘土質や砂土質のように、隙間が均一な「単粒構造」をした土壌の場合は、雨が降るとドロドロになったり、干上がるとカチカチに固まったりして、植物の成長に悪影響を及ぼします。このような土壌では、有機物を混ぜて土壌構造を改善することが重要です。
地下水位が高く排水性の悪い圃場では、高畝(20〜30cm)にすることで、余分な水分が作物の根の近辺に溜まりにくくなります。逆に土が柔らかくなりすぎた場合、農機器が車重に耐え切れず走れなくなることがあります。この場合は「耕盤」があり地下水がたまっている可能性があるため、破砕するか、暗渠の施工を検討する必要があります。
湿潤土壌への適応性が高い高速畝立て播種機も開発されており、試作機は従来機に比べて2倍以上の高速作業が可能で、湿潤土壌への適応性が高いことが明らかになっています。作業効率を最大化するには、土壌条件に応じた機種選択とアタッチメントの組み合わせが不可欠です。
参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/H28iam_nenpo.pdf
ハウス内で管理機を使う場合は、ハウスの両端は余裕をもって1m程度は空けておくことで、管理機をターンする余裕が確保でき、粗い仕上がりを防ぐことができます。また、管理機を耕運する目印となる線を畑に引くときは、両端に支柱を立てて紐を張り、その紐を踏むことで土に線を引くことができます。
最も重要なのは、取り扱い説明書をしっかり読み込むことです。各機種によって最適な使い方や注意点が異なるため、メーカーの推奨する使用方法を守ることが、安全で効率的な作業につながります。

mocoly3in1耕運機 畝立て機【多機能一機満載 土寄せ/草取り/溝掘り 人間工学設計 省力化技術】耕うん機 手押し式 土寄せ・草取り・溝掘り・土壌ほぐしなど 多目的農業機械 マンガン鋼製 頑丈 耐久 三角ホー 鍬 農具ガーデン 園芸用土工農具