単粒構造とは、土壌粒子が結合や集合をせず、一つ一つがバラバラの状態で存在している土の構造を指します。代表的なものとして、砂質土壌や粘土質土壌の下層部などがあります。土壌粒子の粒径は、粘土(0.005mm以下)、シルト(0.074~0.005mm)、砂(2~0.074mm)、礫(2mm以上)という区分で分類されています。
参考)https://www.takii.co.jp/tsk/saizensen_web/yuukisaibainosusume/vol02.html
単粒構造の土壌では、粒子間の隙間が均一で小さいため、水や空気の通りが悪くなります。特に粘土質の土壌では、濡れるとベタベタになり、乾燥するとカチカチに固まる性質があります。このため、植物の根が伸びにくく、酸素不足を起こしやすい環境となります。
参考)団粒構造とは?土作りの方法や土壌環境への効果を解説!
粘土質の土壌は粒子が細かいため空気を通しにくく、少量の雨でも過湿状態になりやすい特徴があります。また、単粒構造では表面に水たまりができやすく、一度水が浸透すると今度は排水性が悪くなり、根腐れの原因となります。このような条件では、根の呼吸に必要な酸素が不足し、作物の生育不良や収量低下につながります。
参考)団粒構造とは
団粒構造とは、土壌粒子が小粒の集合体を形成している構造のことです。個々の粒子(一次粒子)が集まって小さなグループ(二次粒子)を作り、さらにそのグループがより大きなグループ(三次粒子)を形成して並んでいる状態を指します。団粒の内部には小さな隙間(毛管孔隙)ができ、外部にはそれよりも大きな隙間(非毛管孔隙)ができるのが特徴です。
参考)団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方 …
団粒構造が形成される仕組みには、複数の要因が関与しています。土壌微生物が有機物を分解する際に出す分泌物や、ミミズの糞などに含まれる粘性物質が接着剤となって団粒構造が発達します。特に糸状菌(カビの仲間)の菌糸が団粒形成に大きく関わっていることが研究で明らかになっています。また、粘土鉱物や腐植物質も団粒形成に欠かせない要素です。
参考)アグリシステム株式会社
発達した団粒構造は、雨などで濡れても壊れない耐水性を獲得しており、これには生きた植物の根によって団粒が固められることが重要と考えられています。団粒構造の土は柔らかくフカフカで、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、野菜の栽培に適した環境となります。
単粒構造と団粒構造では、水の動きや保持の仕方に大きな違いがあります。団粒構造の土には大小様々な大きさの隙間があることが特徴で、大きな隙間は空気の通り道や余分な水を排出する役割を果たし、小さな隙間は水分を保持する役割を担います。このように、団粒構造は保水性と排水性という相反する二つの性質を同時に持っています。
参考)団粒構造の土がよいと聞きましたが、どのような土ですか? - …
一方、単粒構造の土には小さな孔隙のみで大きな孔隙がほとんどなく、一定の土の体積に占める孔隙の割合も団粒構造に比べて少なめです。このため、空気を貯える孔隙が少なく、通気性が悪くなります。実験結果によると、単粒構造の土壌では表面に水たまりができやすく浸透しにくい一方、一度浸透すると水はけが悪く酸素も通りにくくなります。
団粒化構造による透水性と保水性の実験では、団粒化させることによって透水性が向上すると同時に、土が元々持っている保水性を維持または向上させることが確認されています。また、団粒構造の土壌では蒸発速度が抑制され、長期的に水分を保持する能力に優れていることも報告されています。雨天時には、単粒構造の土壌では目詰まりが発生し水溜まりが生じるのに対し、団粒構造の土壌では雨水を素早く吸収・浸透して保水します。
参考)http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00063/2010/2010-03-0013.pdf
単粒構造の土壌は作物の生育に多くの問題を引き起こします。最も深刻な問題は根の酸素不足です。単粒構造では土が詰まっているため、根の呼吸に必要な酸素が十分に供給されず、根腐れや生理障害を引き起こします。酸素不足の状態では、植物の根は代謝に必要なエネルギーを作ることができず、土壌から養分や水分を吸収する機能が低下します。
参考)「根の酸欠」が根張りのリスクに!酸素が失われやすいシーンと酸…
粘土質の単粒構造土壌では、水分管理の問題も深刻です。少量の雨でも過湿状態になりやすく、逆に乾燥すると土が硬く固まって根が伸びにくくなります。このような環境では、作物の根系が十分に発達できず、生育不良や収量低下につながります。また、土壌の通気性が悪いため、嫌気性微生物が増加し、硫化水素などの有毒ガスが発生することもあります。
参考)https://www.yanmar.com/media/news/2021/06/30083614/soil_making_2106.pdf
さらに、単粒構造の土壌では土壌微生物の活性も低くなります。微生物の活動に必要な酸素が不足するため、有機物の分解や養分の無機化が進みにくく、作物が利用できる養分が不足しがちです。このような悪条件が重なることで、単粒構造の土壌は作物栽培には不向きな環境となります。管理が悪く単粒構造となっている畑では、雨水を十分に受け入れることができず、表面流出による土壌浸食も起こりやすくなります。
団粒構造を発達させるための最も重要なパートナーは土壌微生物です。バクテリア、糸状菌(カビの仲間)、放線菌など、様々な微生物が土の中で活動し、それぞれが団粒形成に貢献しています。微生物は有機物を食べると糊のような粘着物を吐き出し、この粘着物が土の粒同士をくっつける役割を担います。特に糸状菌の菌糸が団粒形成に大きく関わっていることが、リン脂質脂肪酸組成の分析によって明らかになっています。
参考)団粒構造の作り方完全ガイド:ふかふかの良い土を作る方法 - …
有機物の施用は団粒構造の発達に不可欠です。堆肥や腐植質などの有機物を土壌に添加することで、微生物の栄養源を提供し、団粒形成を促進します。実際に、有機物施用は土壌有機炭素、土壌微生物活性、作物収量を増加させ、土壌物理性を向上させることが長期試験で確認されています。堆肥は有機物なので土壌中の微生物に分解され、その過程で土の粒子がくっついて団粒化する働きをします。また、堆肥に含まれる繊維分が土の中に適度な隙間を作り出す効果もあります。
参考)土壌有機物と農業生産との関係についての総説
土壌団粒化の適切な時期は、適度な温度と水分がある時期、つまり微生物の活性が高い時期です。「土壌団粒化=有機物+微生物」という方程式が成り立ち、適切な時期に有機物と微生物の条件がそろえば土壌は団粒化します。有機肥料と微生物肥料を組み合わせて使用することで、土壌の団粒構造をさらに改善できます。微生物の活動を活発にするためには、適切な水分管理も重要で、過度な乾燥や湿潤を避け、適度な水分状態を維持することが推奨されます。
参考)微生物の土壌団粒化に、お父さんが驚いた!
タキイ種苗の土づくり解説:単粒構造と団粒構造の基本的な違いについて
施設園芸の団粒構造改善法:土作りの具体的な方法と効果について
ヤンマー営農情報:有機物投入による団粒構造形成の詳細なメカニズム