害虫 大量発生 原因 対策 気象 環境 IPM

害虫 大量発生 原因 対策を整理しつつ、気象や栽培環境、IPMによる予防まで俯瞰したとき、自分のほ場ではどこから手を打つべきでしょうか?

害虫 大量発生 原因 対策

害虫大量発生の全体像
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大量発生の3つの視点

害虫が大量発生しやすい条件は、大きく「気象」「圃場環境」「防除管理」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

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気候変動と発生リスク

温暖化で害虫の分布域や年間世代数が増え、越冬しやすくなっているため、「昔と同じ感覚」の防除では追いつかなくなりつつあります。

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IPMでリスクを分散

IPM(総合的病害虫・雑草管理)は、耕種的・物理的・生物的・化学的防除を組み合わせ、環境負荷を抑えながら経済被害を防ぐ考え方です。

害虫 大量発生 原因 気象条件と温暖化の影響

 

害虫の大量発生を語るうえで、まず押さえたいのが「気温と湿度」の変化です。
多くの害虫は一定以上の温度を超えると世代数が増え、暖冬で越冬個体が減らないと、翌シーズンのスタート時点から密度が高い状態になります。
具体的には、気温上昇によって害虫の分布が北上・高地化し、これまで被害の少なかった地域でも新たな害虫が問題化する事例が報告されています。

 

参考)病害虫|農業・林業・水産業|インフォグラフィック - イラス…

また、夏場の高温多湿は、ハモグリバエ類やアザミウマ類など、多くの害虫にとって「最も活発になる時期」であり、異常高温の年ほど大量発生リスクが増す傾向が示されています。

 

参考)http://jppa.or.jp/archive/pdf/69_05_77.pdf

一見すると「高温なら病害虫も減りそうだ」と感じるかもしれませんが、実際には夜温が下がらないことで、害虫の活動時間が伸びるケースもあります。

さらに、降雨パターンの変化によって、集中豪雨と乾燥が繰り返されると、作物がストレスを受けて抵抗力が落ち、その隙を突く形で害虫が増える、という負の連鎖も起こりやすくなります。

害虫 大量発生 原因 圃場環境と作付け・栽培管理

気象と並んで効いてくるのが、圃場そのものの「居心地の良さ」です。害虫は、エサ・隠れ場所・水分が揃った環境で爆発的に増えます。
単一品目の連作や、周囲を同じ作物で囲まれた大規模単作は、特定の害虫にとって“食べ放題のビュッフェ”のような状態をつくりやすく、少しの飛来でも一気に密度が上がりやすくなります。
また、雑草管理が不十分で、圃場周辺にイネ科やマメ科の雑草が常に残っていると、その葉にハモグリバエやアザミウマ、アブラムシ類などが繁殖し、本圃への“発射台”になってしまいます。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_zirei/pdf/wakayama.pdf

さらに、排水不良で湿りがちの畦や水たまりは、ヨトウムシやハモグリバエ成虫の休息場所、ナメクジなどの発生源ともなり、結果として栽培作物への被害が増えます。

 

参考)改めて知っておきたい基礎知識。害虫が発生しやすい環境とは -…

意外と見落とされるのが「建物や設備まわり」です。倉庫の隙間やハウスの周縁にある雑草地帯、排水溝・堆肥舎などは、夜行性害虫や飛来性害虫の“中継基地”となることが多く、庭や建物環境が害虫発生に影響するという指摘もなされています。

 

参考)庭によく出る害虫と対処法について解説。【100種類以上】の害…

こうした環境要因を放置したまま薬剤散布を繰り返すと、外からの補給が止まらないため、「効いているのに減らない」という悪循環に陥りやすくなります。

 

参考)http://gaityuu.com/mametisiki/bouzyo/ipm.html

害虫 大量発生 原因 防除タイミングと農薬依存の落とし穴

防除の側面では、「遅れ」と「偏り」が大量発生の温床になりがちです。
病害虫防除所などが発表する発生予察情報や注意報・警報を見ずに、毎年同じタイミング・同じ薬剤で散布していると、実際の発生ピークからズレた防除になり、効き目が不安定になります。
さらに、同じ系統の薬剤を連用すると、害虫の中からその薬剤に強い個体が生き残り、世代を重ねるごとに「抵抗性」が発達して多発しやすくなります。

IPMの考え方では、作用機構の異なる薬剤をローテーションし、必要なときにだけ要防除水準以上の密度に対して効率よく使うことが推奨されており、これを守らないと“薬剤頼みなのに効かない”状態になりやすいとされています。

 

参考)IPMへの取り組み - 山口県ホームページ

また、必要以上に強い薬剤を“予防的に”繰り返し使うと、天敵や有用昆虫まで一緒に減らしてしまい、短期的には静かでも、やがて天敵がいない環境で害虫だけが急増する「二次的多発」が起こりやすくなります。

 

参考)都道府県におけるIPM実践優良事例:農林水産省

この「天敵を壊しすぎた静かな圃場」は、外から害虫が飛び込んできたときのブレーキが効かないため、短期間で大量発生に転じやすいという、見えにくいリスクを抱えています。

害虫 大量発生 対策 IPMと発生予察の活用

大量発生を防ぐうえで、単発の薬剤散布ではなく「IPMで段階的にリスクを削っていく」発想が重要です。
IPMでは、まず耕種的防除として、冬季耕起で土中越冬害虫を寒さにさらす、夏の太陽熱消毒土壌病害虫を抑える、マリーゴールドなどの植物を利用してセンチュウを減らす、といった“土台づくり”を行います。
次に、物理的防除として、防虫ネットやマルチ資材、忌避灯・シルバーテープ・黄色粘着板などを活用し、そもそも圃場に入れない・定着させない工夫を積み重ねます。

 

参考)IPM導入事例

生物的防除としては、天敵昆虫の放飼や、BT剤・ボーベリアなどの微生物農薬を組み合わせることで、化学農薬への依存度を下げつつ、害虫密度を低く保つことが可能です。

これらを支えるのが「発生予察」と「見張る技術」です。フェロモントラップや黄色粘着板、定期的な被害調査を通じて発生動向を数値でつかみ、要防除水準を超えたときだけ化学農薬を使うことで、効率的かつ環境負荷の少ない防除体系を構築できます。

都道府県のIPM導入事例を見ると、イチゴやブドウ、露地ナスなどで天敵利用と選択性殺虫剤の組み合わせにより、薬剤散布回数を減らしながら被害を抑えた実績が報告されており、「見張る」と「組み合わせる」の重要性が裏付けられています。

IPMの基本と代表的な技術例を体系的に紹介している資料です(IPM全体像と現場への落とし込みの参考)。

 

山口県「IPMへの取り組み」:耕種的・物理的・生物的・化学的防除を組み合わせた害虫対策の事例

害虫 大量発生 対策 圃場・周辺環境を整える実践ポイント

圃場でできる対策は「虫を呼ばない・増やさない・居つかせない」という3ステップで整理すると、日々の作業に落とし込みやすくなります。
まず「呼ばない」ためには、圃場周辺の雑草帯や水たまりを整理し、害虫の隠れ場所・発生源を減らします。特に排水溝やハウス周りは、湿度が高く害虫が好む場所になりやすいので、定期的な清掃と水はけの確保が効果的です。
「増やさない」ためには、作物残渣や収穫残りの放置を避け、被害葉や実は速やかに圃場外へ持ち出して処分することが重要です。

 

参考)害虫が発生する原因は?

家庭レベルの害虫対策でも、生ゴミの放置や排水溝の詰まりがコバエやゴキブリの大量発生要因として挙げられており、「エサと水を断つ」ことは圃場でも同じ原理で効いてきます。

 

参考)家に虫が湧くのはどうして?主な原因は3つ!正しい駆除方法と予…

「居つかせない」ためには、防虫ネット・防風垣・生垣などを使って風の流れと飛来ルートをコントロールしつつ、圃場の中に天敵が生息できる草生帯やバンカープランツを設けるなど、害虫にとって居心地の悪い環境を作る工夫が有効です。

一方で、家屋や倉庫周りの害虫対策としては、網戸やサッシの隙間を塞ぐ、防虫スプレーや設置型忌避剤を使うなど、建物環境の見直しが軽視できないとされています。

 

参考)場所別の予防方法|アース害虫駆除なんでも事典

これらの対策を圃場・住宅・倉庫を含めた“農場全体”でセットに考えることで、害虫の発生源から侵入経路、定着場所までをトータルに抑え込むことができます。

結果として、化学農薬に頼り切らなくても、平年並み以下の害虫密度を保ちやすくなり、薬剤散布を行う場合でも回数や使用量を抑えた、持続性のある害虫管理が実現しやすくなります。

 

 


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