地下茎雑草とは、地中に茎を伸ばして繁殖する多年生雑草の総称です。地下茎と呼ばれる茎を地中に張り巡らせ、そこから根を張り、芽を出して繁殖する植物で、代表例としてヨモギ、チガヤ、スギナ、ハマスゲ、ドクダミ、シロツメクサなどが挙げられます。これらの雑草は地上部を刈り取っても地下茎が残っていれば再び芽を出すため、農業関係者にとって最も駆除が困難な雑草種類として知られています。
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地下茎雑草の繁殖メカニズムは非常に複雑です。地下茎は土中20~30cmの深さから地上茎を萌芽させる能力を持ち、ロータリ耕などで地下茎が細断されても、断片から萌芽・再生する特性があります。このため一度圃場に侵入・定着すると防除が極めて困難になります。多年生雑草の繁殖には種子繁殖と栄養繁殖の2つの方法があり、種類によってその比率は大きく異なります。地下茎による栄養繁殖を主とする種類は、種子をほとんどつけずに地下茎のみで広範囲に拡大していきます。
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スギナはトクサ科に分類される多年草で、地下茎で繁殖するやっかいな雑草の代表種です。春になると胞子をもつ茎のツクシ(胞子茎)と、光合成で栄養を作る茎のスギナ(栄養茎)が地上に生えてきます。スギナの地下茎は驚異的な深さまで達し、地下30cm~1mほど、条件によっては地下1mもの深さから芽を出した事例も報告されています。地上部の大きさは30~40cm程度ですが、地下では根茎と塊茎という2種類の地下茎を形成します。
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根茎は地中に伸びる茎で、垂直に伸びる茎と水平に伸びる茎があります。塊茎は根茎から離れて地中で独立し、そこから地上へと芽が伸びていきます。非農耕地では地下10cmから30cmの層に、トウモロコシ畑などの耕作地では30cmから60cmの層に多く分布することが調査で明らかになっています。耕起作業を行うほどスギナの地下茎は深く潜り、さらに増殖する特性を持っています。この根茎と塊茎の連携プレーがスギナの強力な繁殖力の鍵となっており、栄養茎が4月頃から11月頃まで次々に発生するのは地下に張り巡らされた地下茎がたくましく繁殖しているためです。
参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20130401_03
ドクダミは心形の葉と独特の強い香りが特徴の多年草で、地下茎で増える雑草の代表種です。ドクダミの最大の特徴は地下に張り巡らされた白い地下茎で、この地下茎が横へ横へと伸びていき、その節々から新しい芽を出して地上に現れます。ドクダミは多年草のため冬になると地上部はいったん枯れますが、地下では白い地下茎が生き残り栄養を蓄えているため春にまた芽を出します。
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地下茎はネット状に広範囲へ伸び、深さ20~30cm程度の土中層に密集していますが、条件次第では50cm以上の深さに達することもあります。横方向へは1メートル以上にも渡って伸びることが報告されており、地下でお互いにつながったドクダミ群落を形成します。完全に根絶するためには土を深く掘り返して根を取り除く必要がありますが、地下茎が横に伸びる性質があるため広範囲に群生し、駆除が非常に困難です。
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チガヤはイネ科の多年生雑草で、河川敷などに生えていることが多い植物です。種子による繁殖だけでなく、地下茎と呼ばれる根のような器官を地中に伸ばし、広がった先でまた芽を出す繁殖方法をとります。芝生のようなイメージで地下茎を持っているため、地上部の葉っぱを刈っても地下茎が残っていればまた芽が出てきます。
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カヤツリグサは湿地や水辺によく生える雑草で、三角形の茎と細長い葉が特徴です。地下茎によって広がる性質を持ち、繁殖力が強い種類です。セイタカアワダチソウはキク科の多年草で、もともと北アメリカ原産で明治時代に日本に導入されました。地中に長い地上茎を横行させ、種子と根茎で繁殖し、越年する多年生の雑草です。ヨモギやセイタカアワダチソウも地下10センチから20センチの辺りに地下茎を拡げ、そこから新しい茎を地上に伸ばすので、地上を刈り取っても再生します。
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多年生雑草における種子繁殖と栄養繁殖(地下茎による繁殖)との比率は種類によって大きな違いがあります。地下茎で繁殖する雑草は、種子も多く生産する種類から、種子をほとんどつけず栄養繁殖に頼るものまで様々です。
参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20231222
種子繁殖と地下茎繁殖の特徴を比較すると以下のようになります:
種子繁殖の特徴
地下茎繁殖の特徴
地下茎雑草の強みは、地上部を除去されても地下部で生き残り、栄養を蓄えて再生できる点にあります。地下茎に作られる芽が増殖することにより、種子を作らずに増殖する栄養繁殖の能力が雑草としての増殖能力をもたらしています。
参考)https://jp.foundation.canon/eng/common/pdf/aid_awardees/10/14_kyzuka_cfk10.pdf
地下茎型雑草は農業生産に深刻な影響を及ぼします。草地更新時の反転耕起では地下茎型イネ科雑草は防除できないため、除草剤の使用が必要になります。除草剤なしの耕起更新は雑草に拡散の機会を与えてしまい、地下茎型イネ科草の地下茎は、ほんのわずかな痕跡でも残れば、そこから草が復活します。
参考)草地更新時の雑草対策について - 釧路総合振興局産業振興部釧…
水田における多年生雑草も大きな問題です。クログワイはカヤツリグサ科の雑草で、地下茎および秋に作った黒褐色球状の塊茎で繁殖し、全国で発生します。いったん侵入すると防除が困難で、秋ごろ地下茎を生長させ、塊茎(繁殖体)を形成し増殖します。稲の刈取後は速やかにロータリー耕を行い地上部と地下茎を細断すき込みし、さらにプラウ耕による土の反転により、塊茎を冬期の乾燥にさらし枯死を促すことが効果的です。
参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/ecology-perennial-weeds
耕起作業により塊茎を地表面に露出させることで塊茎を死滅させることが出来ますが、その効果は土壌表面に限られるため、十分な防除効果には至りません。秋の耕うんは多年生雑草の地下部栄養繁殖器官を地表面に露出させ、冬期間の低温・乾燥にさらすことで地下茎などを死滅させる効果が期待できますが、完全な駆除は難しいのが現状です。
参考)(4)耕種的防除法の着眼点
スギナの地下茎の詳細な生態について、シンジェンタ社の専門記事で根茎と塊茎の連携プレーなど繁殖メカニズムが解説されています。
ドクダミの地下茎ネットワークの構造と深さについて、専門業者による詳細な駆除ガイドで50cm以上の深さに達する実態が報告されています。
雑草の生育時期と繁殖生態について、農山漁村文化協会のデータベースで地下茎雑草の防除対策の着眼点が詳しく解説されています。

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