
セルトレイは、穴数だけでなく、外寸、深さ、1セルの容量、苗を移す時期で選びます。手持ちの受け皿に収まることと、目的の苗まで育てられることは別の確認事項です。まず定植まで使うのか、途中でポットへ鉢上げするのかを決め、そのうえで製品の寸法を照合しましょう。

穴数は一枚にある育苗区画の数であり、容量や外寸を表す統一規格ではありません。同じ製品系列では穴数が多いほどセルが小さくなる傾向がありますが、別系列や他社製品まで同じ数値とは限りません。
次の表は東罐興産の製品例です。容量のccはmLと同じ体積を表します。数値はこのメーカーの該当品番に限ったもので、72穴や128穴全般の規格ではありません。
| 品番・系列 | 穴数 | 1セル容量 | 外寸・幅×長さ×高さ |
|---|---|---|---|
| ハード#72 | 72 | 58cc | 278×542×59mm |
| ソフト#72AP | 72 | 43cc | 300×590×44mm |
| ハード#128 | 128 | 24cc | 278×542×50mm |
| ソフト#128AP | 128 | 24cc | 300×590×44mm |
| ハード#200 | 200 | 15cc | 278×542×45mm |
同じ128穴・24ccでも外寸と高さは異なり、72穴では容量も58ccと43ccに分かれます。「今までの128穴と同じはず」と買い足すと、受け皿に収まらない可能性があります。
小さいセルを選ぶときは、限られた土量で水分や肥料を管理し、予定どおりに移植できるかを確認します。穴数の多いものをプロ専用と考える必要はありません。管理できる育苗期間と、必要な苗数に合うかで判断します。
出典:東罐興産の寸法・容量表
野菜名だけでは穴数を決められません。同じ作物でも、本葉何枚で移すか、トレイから畑へ直接定植するか、ポットで育て直すかによって選択が変わります。
タキイ研究農場の葉菜類向け資料では、本葉2~3枚で仕上げる場合は288穴、本葉3~4枚なら128穴・200穴という指導例があります。次の表も、移植段階と組み合わせて読む目安です。
| 作物・育苗目的 | 穴数の例 | 移す段階と注意点 |
|---|---|---|
| 葉菜類を小さな苗で仕上げる | 288穴 | 本葉2~3枚で仕上げる指導例。大苗になるまで置く前提ではない。 |
| 葉菜類を本葉3~4枚で仕上げる | 128穴・200穴 | キャベツ、ブロッコリー、ハクサイなども、作型と定植予定に合わせる。 |
| トマト・ナス・ピーマンの一次育苗 | 128穴・200穴 | タキイの例では本葉2枚が展開した頃にポットへ鉢上げする。 |
| キュウリなどウリ科の一次育苗 | 128穴・72穴 | タキイの例では子葉が展開した頃にポットへ鉢上げする。 |
果菜類の128穴や200穴は、定植苗になるまで同じセルで育てるという意味ではありません。トマトの育苗期間全体を72穴で過ごせばよい、とも言い換えられません。鉢上げ後のポットと置き場所まで用意して選びます。
育苗日数は季節や温度でも変わります。「播種から何日」だけでなく葉数を観察し、畑の準備が遅れて移植できない場合も考えて計画します。大きなセルでも、無期限に苗を置いておけるわけではありません。
出典:葉菜類の育苗管理、果菜類の一次育苗と鉢上げ
水稲用育苗箱に載せて使いやすい寸法の製品はありますが、すべてのセルトレイが箱の内側に入るわけではありません。タキイの白128穴は外寸28×54.5cmで、水稲育苗箱より少し小さめと説明されています。この製品の説明を、外寸300×590mmの製品にも当てはめないことが大切です。
手持ちの箱に合わせる場合は、外側の寸法ではなく、トレイを入れる部分の内寸を測ります。さらに箱の縁や内側の突起、底の形状によって、途中でつかえたり、底まで下ろせなかったりしないか確認します。購入前には次を照合しましょう。
箱で支えれば薄いトレイを扱いやすくなりますが、箱に載せただけで底面給水が成立するとは限りません。排水穴のある箱か、水を保持できる受け皿かを区別してください。
機械を使う場合は、収まる寸法だけでなく指定品番も確認します。クボタの関連資材には、黒128穴のPH700-11280、セル30mm角×深さ45mmなどの指定があります。「128穴対応」という表示だけでは、別製品の使用可否までは判断できません。
出典:水稲育苗箱との寸法関係、クボタの対応資材
培土量は、購入する品番の「一枚当たり用土量」と必要枚数から計算します。一般的な128穴の容量を仮定するより、製品が示す用土量を使うほうが、実際の準備に結び付きます。
タキイの白128穴では、用土量は一枚約3Lです。必要苗数を1000株、一穴一株、全セルから使える苗が得られると仮定すると、次の計算になります。
この約24Lは、予備苗の追加や土詰め時のこぼれを含まない目安です。全セルから使える苗が得られるという仮定も、生産結果の保証ではありません。予備を設ける場合は計画苗数を増やして枚数を再計算し、鉢上げする果菜類ではポット用の土も別に加えます。
費用は、実際の購入価格から1L当たり単価を出して掛け合わせます。ただし、購入袋数も端数を切り上げるため、使用量と支払額は分けて考えます。小さいセルへの変更で培土が減っても、追加の水管理や鉢上げ作業が必要なら、総費用まで同じ割合で下がるとはいえません。
出典:白128穴の用土量

【10枚】トーカン セルトレー 200穴 ハードタイプ 輸入規格 #200 連結ポット 育苗用 東罐興業
色は高温対策、構造は根の伸び方、材質や硬さは扱いやすさというように、働きを分けて確認します。白くて厚い製品なら必ずよい根鉢になる、という関係ではありません。
タキイの白128穴は、高温期の発芽対策に適する白色トレイとして案内されています。白色で光を反射することと、根巻きを抑える構造の働きは別です。白色を選んでも、換気や水管理を省けるわけではありません。
根巻きは、根がセル内壁に沿って回る状態です。根巻防止構造はその回り方を抑えるためのものですが、セルの土量を増やす機能ではありません。この白128穴は材質がポリスチレンで、メーカーも長期育苗には不向きと明記しています。機能付きでも、適期の移植・定植が前提です。
また、東罐興産はセル間の通気孔と、底部の突起で根を空気に触れさせる機能を説明していますが、通気孔の有無は品番で異なります。ハード・ソフトという区分だけで判断せず、製品表の機能と、土を詰めて運ぶ際の支え方まで確認して選びましょう。
出典:白色・根巻防止構造の用途と制限、通気孔と底部構造
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