トマト病気 葉っぱの症状と対策!写真で原因を判断する

トマトの葉に異変はありませんか?農業従事者向けに、葉の症状から病気を特定する方法や効果的な対策、予防法を徹底解説します。土壌環境からの独自視点も交え、収量確保に繋がる知識をお届けします。対策は万全ですか?

トマト病気と葉っぱ

葉っぱで診断!トマトの健康チェック
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早期発見の診断

斑点の形状や色(黄・黒・白)から、カビかウイルスかを即座に判別します。

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環境による予防

湿度は80%以下に。循環扇やマルチングで病原菌の住みにくい環境を作ります。

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土壌からの視点

根の健康は葉に直結。有用微生物を活用し、地中から病気に強い体質を作ります。

トマト病気の葉っぱを写真で判断!主な症状と原因


トマト栽培において、葉の異常は植物からの最初のアラートです。早期に正確な診断を下すことが、収益を守るための絶対条件となります。ここでは、現場でよく見られる症状とその原因となる病気を、視覚的な特徴に基づいて分類・解説します。特に「斑点の形状」「色の変化」「カビの有無」の3点に着目して観察してください。


  • 葉かび病(Leaf Mold)
    • 症状の特徴: 葉の表面に淡い黄色の不明瞭な斑点が現れます。これだけでは栄養不足と見間違えやすいですが、決定的な違いは葉の裏側にあります。葉裏にビロード状(灰褐色〜紫褐色)のカビが密生していれば、ほぼ間違いなく葉かび病です。
    • 発生原因: ハウス内の多湿が主因です。湿度が90%を超え、換気が不十分な環境で爆発的に広がります。特に密植栽培で風通しが悪い場合に多発します。
    • 注意点: 下葉から発生し、徐々に上位葉へ感染が拡大するため、初期段階での発見には下位葉の裏側チェックが欠かせません。
  • 疫病(Late Blight)
    • 症状の特徴: 葉に水が染みたような(水浸状の)暗褐色の病斑が現れ、急速に拡大します。湿度が高いと、病斑の周囲に白い霜状のカビが生じることがあります。葉だけでなく、茎や果実にも同様の暗褐色の病斑が出現し、腐敗を引き起こすのが特徴です。
    • 発生原因: 低温(20℃前後)かつ多湿な環境を好みます。梅雨時期や秋雨の時期に露地栽培で特に警戒が必要です。泥はねによって土壌中の菌が葉に付着し感染します。
  • 黄化葉巻病(Yellow Leaf Curl Virus)
    • 症状の特徴: 葉が縁から黄色くなり、カップ状に内側へ巻き上がります。葉自体が縮れて硬くなり、株全体が萎縮(ドワーフ化)します。カビによる病斑とは異なり、物理的な変形と鮮やかな黄化が特徴です。
    • 発生原因: タバココナジラミによるウイルス媒介が原因です。一度感染すると治療法がないため、最も警戒すべき病気の一つです。
  • 輪紋病(Early Blight)
    • 症状の特徴: 褐色から黒褐色の同心円状の輪紋(ターゲットマークのような模様)を持つ斑点ができます。古い葉(下葉)から発生しやすく、周囲が黄色く変色(ハロー)することが多いです。
    • 発生原因: 高温多湿を好みますが、比較的幅広い温度域で発生します。チッソ肥料切れなど、株の勢いが弱った時に被害が大きくなる傾向があります。

    タキイ種苗:トマトの生理障害と病害虫の症状写真・解説
    生理障害と病気の違いを写真で比較できるため、現場での一次診断に非常に役立ちます。


    トマト病気で葉っぱが黄色や黒い斑点になる対策と農薬

    診断がついたら、即座に対策を講じる必要があります。症状が「黄色」か「黒色」かによって、選択すべき薬剤や対処法が大きく異なります。ここではプロの農家が実践すべき具体的な防除戦略を解説します。


    黄色い変色へのアプローチ

    葉が黄色くなる場合、カビ・ウイルス・生理障害の3つの可能性を疑います。


    1. マグネシウム欠乏(苦土欠乏)との区別
      • 病気ではなく生理障害の場合、葉脈の間だけが黄色くなり、葉脈の緑色は残る(トラ模様)のが特徴です。この場合は農薬ではなく、葉面散布肥料(硫酸マグネシウムなど)で対応します。
    2. ウイルス病(黄化葉巻病など)の場合
      • 対策: 残念ながら治療薬はありません。感染株を見つけ次第、直ちに抜き取り、圃場外で処分(焼却または密閉廃棄)します。放置するとコナジラミがウイルスを拡散させ、ハウス全体が全滅する恐れがあります。
      • 農薬: 原因となるコナジラミ類を徹底的に防除します。
        • 有効成分例: スピノサド水和剤、アセタミプリド水和剤など。抵抗性発達を防ぐため、作用機作(RACコード)の異なる薬剤をローテーション散布します。
      • うどんこ病の場合
        • 葉の表面が小麦粉をまぶしたように白〜黄色くなります。
        • 農薬: トリオキサゾール系やストロビルリン系の殺菌剤が有効です。初期であれば重曹製剤などの有機JAS適合資材でも抑制可能です。

    黒い斑点へのアプローチ

    黒い斑点は主に糸状菌(カビ)や細菌が原因です。


    病名 対策のポイント 推奨される農薬系統の例
    疫病 進行が極めて早いため、予防散布が基本。発病後は治療効果のある薬剤を即時散布。 ・マンゼブ水和剤(予防)・アゾキシストロビン水和剤(予防・治療)
    葉かび病 耐性菌が発生しやすいため、同一系統の連用は厳禁。 ・TPN水和剤(ダコニール等)・ポリオキシン剤
    斑点病 黒褐色の小斑点。細菌性の斑点細菌病との区別が必要。 ・銅剤(細菌にも効果あり)・カスガマイシン剤

    重要な注意点:
    農薬を使用する際は、必ず「トマト」での登録があるか、収穫前何日まで使用可能かを確認してください。また、展着剤を加えることで、ワックス層のあるトマトの葉への付着率を高め、効果を持続させることができます。


    ダコニール倶楽部:トマトの病害図鑑と薬剤選び
    各病気に特化した薬剤の選び方や、写真付きの詳細な図鑑があり、薬剤選定のミスを防げます。


    トマト病気で葉っぱが枯れる前にすべき予防と湿度

    「病気が出てから対処する」のではなく、「病気が出ない環境を作る」のがプロの農業です。特にトマトの病気の8割は、湿度管理整枝作業の失敗に起因すると言っても過言ではありません。葉が枯れ始める前に実践すべき、環境制御による予防策を深掘りします。


    • 湿度の「絶対ライン」を守る
      • 多くの糸状菌(カビ)は、相対湿度が90%を超えると胞子の発芽率が劇的に上昇します。ハウス栽培では、循環扇を24時間稼働させ、空気を淀ませないことが最重要です。特に朝方、葉に結露(葉露)がついている時間が長いほど感染リスクが高まります。暖房機や換気扇の設定を見直し、朝方の急激な温度変化による結露を防ぎましょう。
    • マルチングによる泥はね防止
      • 疫病や斑点病の多くは、雨や灌水時の泥はねによって、土壌中の病原菌が下葉に付着することで始まります。
      • 対策: 黒マルチやシルバーマルチを敷くことは基本ですが、通路にも防草シートや藁を敷くことで、泥はねを物理的に完全にシャットアウトします。これだけで土壌伝染性病害のリスクを大幅に低減できます。
    • 摘葉(下葉かき)の徹底
      • 第一果房が肥大し始めたら、その下の葉は光合成への寄与度が下がります。これらを早めに除去することで、株元の風通しを良くし、湿度がこもるのを防ぎます。
      • プロのコツ: 摘葉作業は必ず晴れた日の午前中に行います。傷口が乾きやすく、そこからの菌の侵入(特に灰色かび病)を防げるためです。雨天時や夕方の作業は自殺行為です。
    • あえて「強風」を当てる?
      • 苗の段階で適度な風に当てる、あるいは手で触れるなどの物理的刺激を与える(接触刺激)ことで、植物体はエチレンを生成し、徒長を防いでがっしりとした(クチクラ層の厚い)葉を作ります。厚いクチクラ層は物理的に菌糸の侵入を阻むバリアとなります。

      トマト病気と葉っぱの関係を土壌から見る独自視点

      多くの生産者は葉の病気を見ると「葉」に薬をかけますが、根本原因が地下部(根と土壌)にあるケースは意外と知られていません。地上部の葉に現れる症状は、実は根のストレスサインである場合が多いのです。ここでは、土壌微生物学の観点から、葉の病気を防ぐアプローチを解説します。


      • 根の活力と葉の抵抗力(SAR: 全身獲得抵抗性)
        • 植物には、根圏の微生物と相互作用することで免疫力を高める機能があります。例えば、枯草菌バチルス菌トリコデルマ菌などの有用微生物が根の周りに豊富に存在すると、植物は「全身獲得抵抗性(SAR)」と呼ばれる防御システムを起動させます。これにより、地上部の葉でも病原菌に対する抵抗力が増し、たとえ菌が付着しても発病しにくくなります。
        • 実践: 土壌消毒(クロルピクリンなど)を行った後は、土壌中の微生物がリセットされ「真空地帯」になっています。ここに病原菌が飛び込むと大繁殖します。消毒後は必ず、有用微生物資材を投入し、善玉菌で土壌を先に埋めることが、結果として葉の病気を減らすことにつながります。
      • カルシウム吸収と根の酸欠
        • 葉の縁が枯れる(チップバーン)症状や、葉が黄化する場合、単なる肥料不足ではなく、根腐れ土壌の過湿による根の機能不全が原因であることが多いです。
        • トマトは乾燥気味を好みますが、極端な乾燥と過湿を繰り返すと根が傷みます。特にカルシウムは、水と一緒に蒸散流に乗って運ばれるため、根が傷んで吸水力が落ちると、土壌にカルシウムがあっても葉先まで届かず、欠乏症(およびそれに伴う組織の弱体化・病気への感染)を引き起こします。
        • 対策: 葉を見るだけでなく、定期的にスコップで根の状態を確認してください。根が茶色く変色していれば、地上部への農薬散布よりも、まずは灌水量の調整や酸素供給材の使用が先決です。

        農林水産省:トマトの病害虫防除に関する技術資料
        土壌伝染性病害と地上部の症状の関連性についても触れられており、根本的な防除体系を組むための信頼できる公的資料です。


        トマト病気の葉っぱから伝染を防ぐ早期発見

        病気の蔓延を防ぐ最後の砦は、人間の「目」によるモニタリングです。しかし、漫然と畑を歩いていても初期症状は見落とされます。ここでは、熟練農家が実践している「意識的なチェックリスト」と、伝染を物理的に断つための行動指針を紹介します。


        • 「葉の裏」こそ情報の宝庫
          • 葉かび病、ハダニ、コナジラミなど、初期のトラブルの多くは葉の裏から始まります。見回りをする際は、ランダムに数株、必ず葉を裏返して確認する癖をつけましょう。手鏡を伸縮棒の先につけた点検器具を自作し、腰を曲げずに下葉の裏をチェックしている農家もいます。
        • 成長点(トップ)の観察
          • 株の頂点(成長点)付近の葉の色や形は、ウイルスの兆候が最も早く現れる場所です。
          • チェック項目:
            • 新芽の色が薄くなっていないか(鉄欠乏やウイルス)
            • 新芽が縮れていないか(ダニ害やウイルス)
            • 成長点が止まっていないか(芯止まり)
          • トップの異常は、その後の収量に直結する緊急事態です。
        • 作業道具の「消毒」をルーチン化する
          • 意外と見落とされがちなのが、ハサミや手袋による接触伝染です。特にウイルス病(TMVなど)や細菌病(かいよう病など)は、発病株を触ったハサミで次の健全株を剪定することで、人間が媒介者となって次々と感染を広げてしまいます。
          • 対策:
            • 畝(うね)が変わるごとに、ハサミを消毒液(第三リン酸ナトリウム液やビストロンなど)に浸す。
            • または、脱脂綿に消毒用エタノールを含ませて刃を拭く。
            • 発病株と思われる株を処理するのは、その日の作業の最後にする。健全株から作業を始め、疑わしい株は後回しにすることで、物理的なリスクを最小化できます。

            トマトの葉は、言葉を持たない植物からのメッセージボードです。そのわずかな色の変化、斑点の形、しおれ具合を読み解くことで、農薬の使用量を減らしながら、最高品質のトマトを安定生産することが可能になります。毎日の観察眼を養い、早期発見・早期対処を徹底しましょう。




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