チオファネートメチル農薬の効果・使い方・注意点

チオファネートメチルは広範囲の病害に効く殺菌剤ですが、使い方を間違えると効果が半減することもあります。予防と治療の両方に優れた効果を持つこの農薬について、正しい使用法や意外な注意点を知っていますか?

チオファネートメチル農薬の特徴と効果

ベノミル剤と併用すると使用回数超過になります


この記事の3つのポイント
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予防と治療の両面効果

浸透移行性により植物体内に侵入した病原菌も退治でき、約90作物180病害に対応

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ベノミル剤との併用禁止

同じ系統薬剤のため散布処理での併用は使用回数超過となり違反の恐れ

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耐性菌リスクへの対策

連続使用で耐性菌が発生するため異なる系統薬剤とのローテーション散布が必須


チオファネートメチルの基本特性と作用機構


チオファネートメチルは、ベンゾイミダゾール系に分類される殺菌剤で、1971年に日本で初めて登録された歴史ある農薬成分です。この農薬は細胞分裂に必要な紡錘体の形成を阻害することで病原菌の増殖を防ぎます。


製剤タイプは粉剤、水和剤、エアゾル剤、ペースト剤と多岐にわたります。稲、麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、飼料作物、花き、樹木、芝など幅広い作物に登録があり、約90作物で180種類以上の病害に対応できる汎用性の高さが特徴です。灰色かび病菌核病炭疽病、青かび病、緑かび病、褐斑病など、主要な病害のほとんどをカバーしています。


代表的な商品名としては「トップジンM水和剤」が最も有名で、多くの農業従事者が基幹防除剤として使用しています。


つまり主力農薬ということですね。


人畜や魚介類に対する毒性は比較的低く、ミツバチやカイコなどの有用昆虫への影響も少ないとされています。作物に対する薬害も少ないため、安全性の高い農薬として長年信頼されてきました。


チオファネートメチルの浸透移行性と二重の効果

この農薬の最大の特徴は、優れた浸透移行性を持つことです。散布後、薬剤は植物の表面から内部へと浸透し、植物体内を移行して病原菌が潜んでいる部位まで到達します。


予防効果と治療効果の両方を兼ね備えているのが強みです。病原菌が侵入する前に散布すれば予防として機能し、すでに感染が始まっていても植物体内に侵入した病原菌を死滅させる治療効果も発揮します。


これが基本です。


残効性と耐雨性にも優れており、一度散布すれば長期間にわたって効果が持続します。散布後に多少の雨が降っても、薬液が作物に吸着して乾けば効果は維持されるため、天候に左右されにくい点も実用上のメリットといえるでしょう。


低濃度でも高い効果を発揮するため、作物の汚れが少なく、収穫物の品質を保ちやすいという利点もあります。定期的な予防散布にも、激発時のまん延防止にも優れた効力を発揮するため、防除プログラムの中核を担える農薬です。


チオファネートメチル農薬の主な適用病害と作物

果樹類では特に多くの病害に登録があります。かんきつ類の貯蔵病害(青かび病、緑かび病、軸腐病)には収穫前3週間以内の散布が効果的とされています。これは収穫後の保管中や輸送中の腐敗を防ぎ、経済的損失を軽減するためです。


りんごでは腐らん病防除に使用され、生育期における病菌の侵入防止と治療に効果を発揮します。ぶどうでは灰色かび病や晩腐病に、なしでは黒星病や黒斑病に有効です。ただし幼果期以降の散布は果粉の溶脱や果実の汚れを生じる恐れがあるので注意が必要ですね。


野菜類では、トマトやきゅうりの灰色かび病、なすの褐色腐敗病、いちごの炭疽病など、施設栽培で問題となる病害に幅広く対応します。豆類では菌核病や紫斑病に効果があり、重要な防除手段となっています。


結論は野菜全般に使えるということです。


稲作では、いもち病や紋枯病の防除に種子消毒や本田散布で使用されます。種籾を30~50倍に希釈した薬液に10分間浸漬する方法が一般的で、消毒後は水洗せずに播種することで効果を発揮します。


花き類や樹木、芝生の病害防除にも広く登録があり、園芸分野でも重要な殺菌剤として位置づけられています。


チオファネートメチル農薬の収穫後利用と経済効果

果物や野菜の収穫後処理にも活用されているのは意外かもしれません。貯蔵中や輸送中の菌による腐敗を防ぐことで、保存期間を延長し流通コストを削減できます。


かんきつ類では収穫前2~3週間の間に1回散布することで、貯蔵病害の発生を大幅に抑制できることが実証されています。東京ドーム1個分の面積(約4.7ヘクタール)のみかん園なら、適切な時期の散布により数十万円規模の腐敗ロスを防げる計算です。


果樹の剪定時や整枝時の切り口保護にも使用されます。ペースト剤タイプを病患部を削り取った後の傷口に塗布すると、耐雨性の安定した殺菌保護被膜が速やかに形成され、雨水や雑菌の侵入を防ぎながら新しいカルス(癒合組織)の形成を促進します。


ただし塗布処理による防菌効果は2ヶ月後までとされており、それ以降の効果は期待できない点は覚えておくべきです。


これだけ覚えておけばOKです。


長期的に見れば、病害による収量減少を防ぐことで、年間の売上確保に大きく貢献します。例えば10アール当たり100万円の売上が見込める作物で、病害により2割の減収を防げれば、20万円の損失回避につながります。


チオファネートメチル農薬における耐性菌問題と独自の対策法

チオファネートメチルには見逃せない重大な課題があります。連続使用により耐性菌が発生しやすいという問題です。実際に各地で耐性菌の出現が報告されており、特にダイズ紫斑病、ナシ黒星病、ウメ黒星病、灰色かび病などで高度耐性菌の発生が確認されています。


福井県の調査では、チオファネートメチル剤耐性のダイズ紫斑病菌の発生率が86.7%、耐性菌発生地点率が98.9%という驚くべき高率でした。つまり県内のほぼ全域で耐性菌が蔓延していることになります。


これは使えないレベルですね。


茨城県でも供試菌株の64.6%が高度耐性を持っていることが判明しており、1,600ppm添加培地上でも菌糸が生育する強力な耐性を獲得していました。温州ミカンの灰色かび病やナシ黒星病でも同様の耐性菌が広く分布しています。


耐性菌が発生すると防除効果が著しく低下し、いくら散布しても病害が収まらない状況に陥ります。農家にとっては薬剤コストがかさむだけでなく、収量減少による経済的損失も深刻です。


この問題への対策として、異なる系統の殺菌剤とのローテーション散布が強く推奨されています。FRAC(殺菌剤耐性対策委員会)コード1に分類されるベンゾイミダゾール系は耐性リスクが高いため、FRACコードが異なる薬剤(例えばジカルボキシイミド系、アニリノピリミジン系など)を組み合わせて使用することが重要です。


同一圃場での連続使用は避け、年間の使用回数を最小限に抑える工夫も必要でしょう。予防散布の段階から複数系統の薬剤を計画的に組み込むことで、耐性菌の発生リスクを低減できます。


耐性菌が既に発生している圃場では、チオファネートメチルの使用を一時中止し、別系統の薬剤に切り替える判断も必要になる場合があります。各都道府県の病害虫防除所や農業試験場では耐性菌検定を実施しているので、防除効果に疑問を感じたら相談してみることをおすすめします。


独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の農薬安全情報


チオファネートメチルとベノミルの併用禁止ルール

多くの農業従事者が見落としがちな重要な注意事項があります。チオファネートメチルを含む剤を使用した場合、ベノミルを含む剤を散布処理で使用してはいけないという規制です。


これは2020年代に追加された使用上の注意事項で、両者が同じベンゾイミダゾール系に属し、作用機構が類似しているためです。両方を使用すると、実質的に同一成分を重複使用したことになり、使用回数制限を超過する恐れがあります。


逆も同様で、ベノミル剤を使用した場合にはチオファネートメチル剤を使用できません。ただし例外として、種子への処理、種籾への処理、塗布処理は対象外とされています。種子粉衣、種子浸漬、種子吹付処理、塗抹処理、マシン油で希釈した上での塗布は、この注意事項に該当しません。


具体的な製品名では、ベノミル含有剤として「ベンレート水和剤」「ベンレートT水和剤20」など、チオファネートメチル含有剤として「トップジンM水和剤」「トップジンMゾル」「ゲッター水和剤」などが該当します。


これは必須です。


作物ごとに総使用回数が定められており、例えばトマトでチオファネートメチル剤の総使用回数が5回以内とされている場合、その中でベンレートとトップジンMを組み合わせて使うことはできても、合計で5回を超えてはいけません。しかし併用注意事項により、散布処理では両者を混ぜて使うこと自体が禁止されているわけです。


違反すると残留農薬基準超過のリスクが高まり、出荷停止や回収命令といった重大なペナルティを受ける可能性があります。防除計画を立てる際には、使用する全ての農薬の有効成分を確認し、重複がないかチェックする習慣をつけることが大切ですね。


農薬のラベルや登録情報には必ず注意事項が記載されているので、使用前に必ず確認してください。


東京都産業労働局による一部薬剤の重複使用に関する注意事項(PDF)


チオファネートメチル農薬の正しい使用方法と希釈倍率

チオファネートメチル水和剤の基本的な希釈倍率は、対象作物や病害によって異なりますが、一般的には500~1,500倍で使用されます。例えばトップジンM水和剤の場合、多くの作物で1,000倍希釈が標準です。


散布液の調製は、まず必要な水量を計算してから行います。10アール当たりの使用液量は作物によって異なり、果樹では200~400リットル、野菜では100~300リットルが目安となります。水和剤は粉末状なので、少量の水でよく練ってペースト状にしてから、規定量の水で希釈するとムラなく溶けます。


散布タイミングは病害の種類によって変わりますが、予防効果を期待する場合は発病前から定期的に散布することが重要です。治療効果を狙う場合でも、発病初期の早い段階で使用することで効果が高まります。


厳しいところですね。


天候条件も散布効果に影響します。雨が降る直前の散布は避け、散布後少なくとも半日程度は雨が降らない天候を選びます。風のない朝夕の涼しい時間帯や雨上がりに散布すると、薬液の付着が良く効果的です。


果樹の白紋羽病に灌注処理する場合は、樹幹部周辺の土壌を掘り上げて根を露出させ、病根を丁寧に除去した後、所定濃度の希釈液を灌注します。成木では1本あたり200~300リットル、苗木では20~30リットルが目安です。


これが条件です。


種いも消毒の場合、かんしょやさといもでは消毒後に水洗せず、薬液が乾いてから植え付けることで効果を発揮します。種籾の場合も同様で、浸漬処理後は水洗せずに播種します。


散布器具は使用後すぐに水で十分洗浄し、薬剤が残らないようにしてください。他の農薬と混用する際は、混用適否表を確認してから行うことが安全です。


チオファネートメチル農薬使用時の安全管理と残留基準

チオファネートメチルは比較的低毒性ですが、適切な保護具の着用は必須です。散布時にはマスク、ゴーグル、手袋、長袖長ズボンを着用し、皮膚や眼、呼吸器への暴露を防ぎます。


吸入すると有害とされているため、特に粉剤や水和剤の調製時は粉塵を吸い込まないよう注意が必要です。換気の良い場所で作業し、風上から風下に向かって散布することで、自分に薬剤がかからないようにします。


いいことですね。


眼に対しては刺激性があるため、万が一入った場合は直ちに大量の水で15分以上洗い流し、眼科医の診察を受けてください。皮膚についた場合も石鹸と水でよく洗い流します。かぶれやすい体質の人は特に注意が必要でしょう。


収穫前日数の制限は作物ごとに定められています。例えばトマトでは収穫前日まで使用可能ですが、かんきつ類では収穫14日前までなど、作物によって異なります。この期間を守らないと残留農薬基準を超過する恐れがあります。


残留農薬基準値は食品衛生法で厳格に定められており、チオファネートメチルとその代謝物であるカルベンダジムの合計値として評価されます。基準値は作物によって0.01~10ppmの範囲で設定されています。


輸出を考えている農家は、輸出先国の残留基準も確認する必要があります。国によって基準値が異なるため、日本の基準を満たしていても輸出先で引っかかる可能性があるからです。


痛いですね。


保管は直射日光を避け、鍵のかかる場所に保管してください。子供やペットの手の届かない場所に置き、食品や飼料と区別して保管することが重要です。使用期限を過ぎた農薬は適切に廃棄処理を行います。


水生生物に対しては毒性があるため、池、河川、水源の近くでの散布は避けます。散布器具を地表水で洗浄しないよう注意し、処理された畑と生態学的に敏感な地域の間には緩衝地帯を設けることが推奨されています。


食品安全委員会によるカルベンダジム、チオファネートメチル及びベノミルの食品健康影響評価(PDF)




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