さといも 栽培 肥料 追肥 土寄せ 堆肥

さといも栽培で失敗しやすい「肥料の量・時期・やり方」を、元肥と追肥、土寄せまで一連で整理し、病気や肥料過多の落とし穴も踏まえて現場で再現できる形にまとめますが、あなたの畑でいちばん優先すべき改善点はどこでしょうか?

さといも 栽培 肥料

さといも栽培の肥料設計:元肥→追肥→土寄せ
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元肥は「完熟堆肥+バランス」

堆肥で土を整え、N-P-Kは偏らせずに。肥料焼けとつるぼけを避けるのが収量の近道です。

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追肥は2回、時期を外さない

発芽後に1回目、そこから約1か月後に2回目。追肥のたびに中耕と土寄せをセットで行います。

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過剰施肥は病気も助長

肥料不足も過剰もリスク。土壌診断と適正施肥が疫病リスク低減に直結します。

さといも 栽培 肥料の元肥:完熟堆肥とpH


さといもの元肥は、まず「土を育てる」発想で組み立てるのが安定します。乾燥に弱く、保水性がある土を好むため、土の団粒化を助ける完熟堆肥が効きます。元肥の基本として、完熟堆肥(牛ふんなど)を1㎡あたり3kg程度、畝全体にまいて混和する方法が紹介されています。元肥は初期生育を助ける一方、入れすぎると地上部ばかり茂って塊茎の肥大に影響するため、「効かせる」より「整える」を優先してください。
参考:元肥の作業手順(全面施肥)、完熟堆肥の目安、pH目安(5.5~6.5)
https://www.noukaweb.com/topics/fertilizer/crops-fertilizer/vegetables-fertilizer/taro-fertilizer/
堆肥の種類は多いですが、同じ「堆肥」でも役割が違います。土壌改良(物理性の改善)を狙うなら牛ふん堆肥などが向き、鶏ふんは肥料分が多い一方で土壌改良効果は小さいため、位置づけは「肥料寄り」と考えるのが安全です。未発酵の堆肥はガス等で作物に影響することがあるので、完熟堆肥を使う、未発酵なら植え付け1か月前に入れて時間を確保する、といった段取りが重要です。


現場での独自の見立てとして、元肥設計で見落とされがちなのが「畝の乾きムラ」です。堆肥量を一律にすると、砂質寄りの区画だけ乾きやすく、結果として“肥料が効かない”ように見えることがあります(実態は水分不足)。同じ圃場でも、畝端・乗り入れ口・畦畔近くは踏圧で根域が狭くなりがちなので、堆肥は量より“混和の深さと均一性”を先に点検すると、追肥の迷いが減ります。


さといも 栽培 肥料の追肥:時期と一握り

追肥は2回が基本で、時期を外すと効率が落ちます。目安として、発芽して3週間ほどで1回目、1回目から1か月ほどで2回目とされ、2回目はできれば梅雨明け前が理想とされています。やり方は、株の周りに化成肥料を「1株あたり一握りほど」まき、除草とあわせて中耕し、最後に土寄せまでセットで行う流れです。
追肥の施し方で重要なのは「株元に直置きしない」ことです。肥料焼けは、土中の肥料濃度が高すぎると根が吸水できなくなって起きるため、近すぎ・多すぎ・乾きすぎが重なると一気に症状が出ます。追肥前に土が乾いているなら、先に軽く灌水してから施す、または雨前に施すなど、吸水ストレスを避ける段取りが効きます。


また、追肥の判断は葉色だけで決めるとブレます。葉が青々として茂りすぎている場合は、追肥を控えめにする判断が推奨されています。ここで追肥を積み増すと、いわゆる「つるぼけ」方向に寄り、イモの肥大が遅れやすくなります。


さといも 栽培 肥料と土寄せ:子いもが出ない深さ

さといもは子いもが親芋より上にできるため、土寄せの出来が収量に直結します。追肥と同時に土寄せを行い、1回目は根元が隠れるように5cm程度、2回目は10cmほど土を上げる目安が示されています。土寄せを後回しにすると、子いもが外に出て肥大しにくくなるので、「追肥=土寄せの合図」と固定して作業化するのがコツです。
土寄せの意外な効きどころは、肥大スペース確保だけではありません。中耕で表土がほぐれると、降雨や灌水がしみ込みやすくなり、追肥成分が根域に入りやすくなります。逆に、雑草を放置して株元が蒸れると病気側に傾きやすくなるため、土寄せ前に除草を組み込むのは合理的です。


絵文字で作業の流れを一行で整理すると、こうなります。


・追肥の日:🧹除草 → 🔧中耕 → 🧂一握り追肥 → ⛰️土寄せ(5cm→10cm)

さといも 栽培 肥料の失敗:肥料焼けと過剰施肥

「肥料は多いほど良い」は、さといもでは危険です。肥料過多は肥料焼けの原因になり、元肥を与えすぎると茎葉が茂りすぎて分球肥大に影響が出る可能性があるとされています。追肥でも、葉が茂り過ぎなら肥料を控えめにする、という調整が推奨されています。
失敗のサインは、収穫期になって「葉は立派なのに芋が太らない」だけではありません。追肥直後に日中しおれる、葉縁が傷む、株の勢いが一時的に止まる、といった症状が出た場合、肥料の近さ・量・乾燥の組み合わせを疑います。対策としては、以後の追肥量を下げる、施肥位置を株から離す、追肥後は軽く土と混ぜてから土寄せして局所濃度を下げる、が現場的に効きます(※根を切りすぎる強い中耕は避けます)。


ここでのポイントは、失敗を“肥料の種類”だけに帰結させないことです。記事内でも、さといもが大きくならない要因は肥料不足とは限らず、まず水分不足を疑うべきとされています。肥料を足す前に、畝の乾き、マルチや敷き藁の有無、土寄せの高さ、雑草量を順に確認すると、過剰施肥の連鎖を止められます。


さといも 栽培 肥料と疫病:リン酸と土壌診断(独自視点)

肥料の話を「収量」だけで終わらせない方が、農業従事者向けとしては実用的です。宮崎県の疫病対策マニュアルでは、植物体内のリン酸など肥料成分が少ない株で疫病被害が大きい傾向がある一方で、過剰施肥も疫病の発生を助長するとされ、土壌診断に基づく適正な基肥施用と適切な追肥が被害軽減につながると整理されています。つまり“少なすぎても多すぎてもダメ”が、病害面でも成立します。
参考:疫病と施肥(リン酸不足傾向、過剰施肥も助長、土壌診断の重要性)
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/documents/37014/37014_20211118153647-1.pdf
独自視点として提案したいのは、「疫病リスクの高い圃場ほど、追肥は“回数を増やさず、1回あたりを薄く”」という考え方です。マニュアルは適正施肥と適切な追肥を求めていますが、現場では一発で効かせようとして過剰になりがちです。追肥は2回が基本であること自体は維持しつつ、1回目と2回目の量を微調整し、葉色・株勢・畝の湿りを見て合計量を最適化する方が、過剰施肥の事故を減らしやすいです。


最後に、土壌診断を“コスト”ではなく“保険”として扱うと意思決定が速くなります。疫病が出やすい畑で、リン酸不足傾向と過剰施肥リスクが同時に語られている以上、勘だけで追肥を積むのは最も危うい選択です。少なくとも、前年に疫病が多発した圃場では、基肥設計(特にリン酸の過不足)を数字で把握してから追肥の強さを決める、という順序が安全策になります。




野生の島のロズ (字幕/吹替)