なす 脇芽かき 仕立て 更新剪定

なすの脇芽かきは「どこを残すか」と「いつ切るか」で収量と品質が変わります。3本仕立て・摘芯・更新剪定までを現場目線で整理し、失敗しやすい分岐点も具体例で解説しますが、あなたの畑ではどの型で回すべきでしょうか?

なす 脇芽かき

なす 脇芽かき:収量と管理性を同時に上げる要点
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最初に決めるのは「何本仕立て」

1番花を基準に残す枝が決まると、以後の芽かき・誘引・摘芯が迷いません。

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脇芽は「若いうち」に処理

大きくしてから切るほど株のムダ消耗が増え、傷口も大きくなります。

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摘芯と更新剪定で後半戦を作る

側枝の摘芯で着果の回転を作り、7月下旬〜8月上旬の更新剪定で秋ナスへつなげます。

なす 脇芽かき 1番花 3本仕立て


なすの脇芽かきは、「1番花(最初に咲く花)」の位置を基準に、残す枝(主枝+側枝)を決める作業です。タキイの解説では、露地栽培は通常「3本仕立て」で、1番花の下のわき芽2本を伸ばす、または1番花をはさんで上下2本のわき芽を伸ばし、主枝と合わせて3本の主枝にする、とされています。さらに「花の直下のわき芽は強く伸びる性質がある」と明記されており、ここを読み違えると仕立てが崩れやすいポイントです。
現場で迷いが出るのは、「下から出た芽は全部取るのか?」「3本にした後も脇芽は取るのか?」の2点です。3本仕立ての骨格(主枝3本)を作る段階では、主枝以外の不要な側枝は早めに摘み取る(芽かきする)方針が示されています。いったん3本の主枝が決まった後は、主枝から出る側枝(わき芽)を“全部消す”のではなく、果実をつけさせて回転させる管理に移ります。


判断のコツを、作業者がブレない形で言語化すると次の通りです。


  • 目的:主枝を3本に固定し、通路側・株間側にバランスよく振る。

    参考)https://www.mdpi.com/2309-608X/7/7/579/pdf

  • 残す場所:1番花の周辺(直下や上下)で勢いがある芽を「2本」選ぶのが基本。​
  • 取る場所:主枝化しない側枝、混み合って内側へ向く芽、明らかに弱い芽は若いうちに除去。

ここで重要なのは、3本仕立ては「最初の選抜」で勝負が決まる点です。勢いのある芽を外して弱い芽を残すと、後で誘引摘芯で辻褄合わせをしても、樹勢差が縮まりにくく、結果として着果の波が乱れます(見た目は3本でも、実質2本+1本が停滞、になりやすい)。

なす 脇芽かき わき芽 摘芯 1葉

3本(または4本)の主枝を作った後は、主枝から出たわき芽(側枝)を「伸ばして1果着果させ、先に1葉残して摘芯する」という管理が、タキイのイラスト家庭菜園で具体的に示されています。つまり、わき芽は“ゼロにする対象”ではなく、“果実を取るために使う枝”として扱います。
さらに、わき芽についた果実を収穫した後は「その下2葉残して摘除する」という手順が書かれており、これが「次の芽を出させ、同じ場所に枝を長くし過ぎない」ための回転設計になります。脇芽かき(除去)と摘芯(先端停止)と摘除(切り戻し)を混同すると、やり過ぎで樹勢を落としたり、逆に放任で混み合ったりします。


作業の流れを、畑で使える“合図”に落とすとこうなります。


  • 花(つぼみ)を見つけたら:その側枝は「1果どり用の枝」になる候補。
  • 着果を確認したら:果実の先に「1葉」を残して側枝の先端を止める(摘芯)。
  • 収穫したら:収穫果の付いていた枝は「下2葉残し」で整理し、次の芽の発生スペースを作る。

意外と見落とされるのが、「摘芯の位置が一定だと、株全体の“果実の付く高さ”が揃い、収穫姿勢が安定する」点です。農業従事者の作業設計では、1株当たりの収量だけでなく、収穫・誘引・防除が同じテンポで回ることが収益に直結します。枝を伸ばしっぱなしにして“どこかに実が付く”状態にすると、果実の探索時間が増え、見逃し果(過熟・品質落ち)も増えます。


また、芽かき・摘芯は「傷口を乾かしやすい時間帯に行う」という注意喚起が、施設園芸マニュアル内の記述として確認できます(脇芽の大きさは短いうちに欠く、という整理も含む)。小さな切り口で終えるほど、作業後のストレスが少なく、病害の入口も減らせます。


参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/Large-scale_facility_gardening_manual_Toyama.pdf

なす 脇芽かき 追肥 水やり 乾燥

なすは「肥料切れ、水切れが大敵」で、追肥は何回にも分けて施す、乾燥に注意する、という栽培ポイントが明確に示されています。脇芽かきの精度を上げても、乾燥や肥料切れで株が止まると、花が落ちたり果実肥大が鈍ったりして、結局“取れる枝が少ない”状態になります。
脇芽かきと水分・肥料は、実は相互に影響します。芽を整理して葉を減らすと蒸散が下がり一時的に水要求が下がる一方、強い追肥を一度に入れると根を傷めやすい(細根が多いので集中的施肥が不利)という注意もあり、作業を雑にすると「切ったのに伸びない」「実がつかない」という逆効果が起きがちです。

現場での“崩れサイン”と対策を、脇芽かき目線でまとめます。


  • サイン:芽が細く短い、葉色が薄い、花が小さい → 対策:追肥を少量で回数分けし、畝の乾きに注意(特に1番果収穫期以降)。​
  • サイン:葉が重なり日当たり・風通しが悪い → 対策:古い葉は適宜摘み取って改善(芽かきだけでなく葉の整理もセット)。​
  • サイン:夏の乾燥で日中しおれる → 対策:敷きわらやマルチで土壌水分を安定させ、地温の過剰上昇も抑える。​

ここでのポイントは、「芽かき=枝だけ」ではなく、「光と風と水の流れを作る作業」だと捉えることです。芽を取る目的が“見た目の整理”に寄ると、必要な葉まで落として同化産物が足りなくなり、逆に実が小さくなります。

なす 脇芽かき 更新剪定 7月下旬 8月上旬

なすは高温を好む作物ですが、真夏は「なり疲れなどで樹勢が弱り、品質のよい収穫が望めなくなる」ため、7月下旬〜8月上旬に枝を切り戻して新しい枝を出させる「更新剪定」が推奨されています。脇芽かきの延長として見ると、更新剪定は“株の再起動”で、秋ナスの品質と収量を作る大きな分岐点です。
更新剪定の前後で、脇芽かきの考え方は変わります。前半戦は「主枝の骨格固定→側枝で1果回転」、後半戦は「切り戻し後の新梢から再び“良い主枝候補”を選抜し直す」イメージです。ここで躊躇して更新剪定が遅れると、弱った枝を抱えたまま秋に入り、結局“実の質が戻らない”まま終盤を迎えやすくなります。

独自視点として、更新剪定を“芽かきの作業負荷”から逆算すると判断が速くなります。


  • 目的を「秋に良果を揃える」に置くと、古い枝を温存する理由が減り、切り戻しに踏み切りやすい。​
  • 目的を「作業を減らす」に置くと、更新剪定後の新芽整理(選抜芽かき)を計画でき、結果的に防除・収穫の導線も整う。​
  • 目的を「収穫を途切れさせない」に置くと、切る枝・残す枝の優先順位が決まり、全面的に切り過ぎる事故を避けやすい。​

更新剪定は“切って終わり”ではなく、その後の芽の出方を見て「次の主軸を作る芽かき」が必ずセットになります。脇芽かきの精度が高い圃場ほど、更新剪定後の立ち上がりも揃いやすく、秋の収穫が作業として安定します。

「更新剪定の目的・時期(7月下旬〜8月上旬)の根拠」参考:タキイ種苗:ナス(整枝・更新剪定の時期と考え方)
「3〜4本仕立て、わき芽の摘芯(1葉残し)と収穫後の整理(下2葉残し)」参考:タキイ種苗:イラスト家庭菜園 ナス(整枝・摘芯・摘除の具体手順)




国内産 なす 3本