地上部に症状が出た時点で根は8割腐敗済みです
白紋羽病の診断において最も重要なのが、根部に現れる病原菌の視覚的特徴です。写真で確認する際、根の表面に白色で木綿糸をよりあわせたような菌糸が絡みついている状態が典型的な症状となります。初期段階では白色ですが、時間の経過とともに灰白色、さらには灰黒色へと変化していきます。
特徴的なのは、樹皮を剥がしたときに観察できる白色で扇状の菌糸束です。この扇状の菌糸膜は白紋羽病菌特有のもので、他の根部病害との見分けポイントになります。菌糸束は厚みがあり、膜状に広がるのが特徴です。
根が完全に侵された古い病患部では、表面の菌糸が消失して観察できなくなることがあります。しかし被害部の樹皮を剥がすと、木質部表面に白色で扇状の菌糸束が確認できる場合があります。つまり外見だけでは判断が難しいケースもあるということですね。
顕微鏡で観察すると、白紋羽病菌の菌糸には洋ナシ状に膨らむこぶ状の構造が見られます。これは診断における決定的な特徴で、専門機関に持ち込んで判定してもらう際の重要な判断材料となります。写真撮影する際は、根の表面だけでなく、樹皮を剥いだ内部の状態も記録しておくと診断精度が高まります。
長野県の白紋羽病簡易診断マニュアルでは、枝挿入法による菌糸の確認方法が詳しく解説されています
地上部の初期症状を写真で記録することは、発病の進行を追跡する上で極めて重要です。白紋羽病の地上部症状として最初に現れるのは、発芽の遅延や新梢の生育不良です。他の健全な樹と比較して明らかに芽吹きが遅れ、新しく伸びた枝の伸長が劣ります。
葉の状態にも特徴的な変化が現れます。
葉色が淡くなり、黄化が始まります。
健全な濃緑色の葉と比べると、明らかに色が薄く、活力が失われた印象を受けます。症状が進行すると葉はしおれるようになり、最終的には早期落葉に至ります。
果実にも影響が出始めます。小玉傾向が顕著になり、本来の大きさまで成長しません。また花芽が異常に多くなるという特徴も見られます。これは樹が生命の危機を感じて、子孫を残そうとする反応だと考えられます。
重要なのは、これらの地上部症状が明確に現れた時点で、地下部では既に根の腐敗がかなり進行しているという事実です。発芽が遅い、新梢の伸長が劣る、葉色が淡い、小玉傾向、花芽が多い、紅葉や落葉が早いといった症状がはっきり表れている樹は、残念ながら手遅れであることが多く、回復が見込めません。
改植を検討する段階です。
白紋羽病の進行速度も撮影記録で把握できます。ならたけ病と比べて症状の進行が速く、若木では発病すると2~3年で枯れる場合が多いとされています。定期的に同じアングルから写真を撮影し、樹勢の変化を記録しておくと、発病のタイミングや進行度合いが客観的に把握できます。
白紋羽病を写真で診断する際、混同しやすいのがならたけ病、紫紋羽病、白絹病といった他の根部病害です。それぞれの菌糸の特徴を理解しておくことで、正確な診断が可能になります。
ならたけ病との見分け方ですが、ならたけ病に侵された根は材部が水っぽく腐り、皮下には純白の菌糸が膜状に張り付いています。白紋羽病のような菌糸束や扇状の菌糸膜は形成せず、むしろ薄いシート状の菌糸膜が特徴です。また、根元付近にナラタケのキノコが発生することがあり、これが決定的な判別材料となります。
紫紋羽病は、その名の通り紫褐色の菌糸束が根の表面に網目のようにからみつきます。白紋羽病の白色~灰色の菌糸とは色が全く異なるため、写真でも比較的容易に識別できます。病勢の進展は白紋羽病よりも緩やかで、発病から枯死までの期間が長いという違いもあります。
白絹病は主に草本植物や野菜類に発生し、白色の菌糸と白い粒状の菌核を形成するのが特徴です。
白紋羽病との大きな違いは、菌核の有無です。
土の中や根の隙間に白い粒のようなものがあれば白絹病の可能性が高く、白紋羽病では菌核は形成されません。
枝挿入法で使用した枝に付着した菌糸を観察する際も、判別ポイントがあります。白紋羽病でない場合、白色で菌糸束がなく菌糸のみが広がる、膜状にならずに菌糸束しかない、あるいは菌糸の付着が全くないといった状況が見られます。菌糸が白から灰色で厚みがあり、綿毛状とすじ状が混在して膜状になるのが白紋羽病の特徴です。
島根県の病害虫情報では、白紋羽病とならたけ病の根部の違いが詳しく解説されています
枝挿入法は、地上部に症状が現れる前に白紋羽病を発見できる画期的な簡易診断法です。この方法で得られた結果を写真で記録しておくことは、園地全体の感染状況を把握する上で非常に有効です。
枝挿入法の実施方法ですが、直径1~2cmでまっすぐなナシ、リンゴ、カキ、モモあるいは桑の枝を35cmに切断し、1端を鋭角にします。5~10月の期間に、主幹から10cm以内の位置にハンマー等を用いて25cm挿入します。枝はねじ込まずにまっすぐに挿入するのがコツです。
枝挿入から20~30日後に抜き取り、白紋羽病菌の菌糸付着を確認します。白から灰色の厚みがある菌糸膜が形成されていれば陽性と判定します。この菌糸の状態を写真に撮影しておくと、後日の比較や専門機関への相談時に役立ちます。
枝挿入法の実施タイミングとして推奨されるのは、白紋羽病の罹病樹や枯死樹周辺の外見健全樹です。
つまり周辺に感染源がある場合ですね。
また、温水処理やフロンサイドSCの潅注処理を実施した樹の効果確認として、処理翌年から経過観察にも使えます。
長雨や高温乾燥時には白紋羽病菌を補足する効率が低下するため、挿入期間は長め(30日)とするのが原則です。診断に用いた枝は焼却するなど適切に処分してください。抜き忘れは白紋羽病の増殖を助長するので注意が必要です。
枝挿入法による診断結果の写真記録は、園地マップと組み合わせると効果的です。どの樹が陽性だったか、どのエリアに感染が広がっているかを視覚的に把握できるため、防除計画の立案に直結します。陽性と判断した樹は直ちに白紋羽病対策を実施し、周辺の樹にも感染が広がっていないか簡易診断により確認しましょう。
写真による記録を活用することで、白紋羽病の防除効果を客観的に評価できます。特に温水治療や薬剤処理の前後で根部や地上部の状態を撮影しておくと、処理の有効性が一目で分かります。
温水治療は白紋羽病防除において極めて効果的な方法です。白紋羽病菌は35℃の温水中では2日間でほぼ死滅、3日間で完全に死滅します。実際の処理では60~70℃の熱水を土の中に流し込むことで、地下30~50cmの地温を40℃・3時間程度に保ち、病原菌を死滅させます。
処理後の効果確認として、再び枝挿入法を実施し、菌糸の付着がなくなったことを写真で記録します。温水処理により根部の白紋羽病菌の菌糸着生が消失するか減少することが確認されており、処理の成否を視覚的に判断できます。
薬剤防除としては、フロンサイドSCやトップジンM水和剤が広く使用されています。フロンサイドSC500倍液100リットルで処理する場合、費用は1樹あたり2,000円程度です。掘り上げ潅注処理では、根部を掘り起こし罹病部位を切除した後に埋め戻しながら薬液処理します。処理前後の根の状態を写真撮影しておくと、切除範囲や処理方法の適切性を後で検証できます。
改植を行う際も、写真記録は重要です。罹病樹を伐採した跡地では、半径2m、深さ50~60cm掘り上げて病根を取り除く必要があります。この作業の記録写真は、病根の除去が十分に行われたことを証明する資料となります。跡地土壌消毒として高温水処理を行った場合も、処理範囲や方法を写真で記録しておくと良いでしょう。
白紋羽病対策の新しい選択肢として、非病原性の白紋羽病菌を農業資材化した「T-プロテクト」のような生物的防除資材も登場しています。土壌に混ぜることで土壌中の有用菌が増殖し、結果的に白紋羽病の発生を抑制する仕組みです。こうした新技術の導入前後でも、樹勢の変化を写真で追跡することで効果を実感できます。
千葉県農林総合研究センターの研究成果では、温水治療と薬剤処理を組み合わせた効果的な防除法が紹介されています
白紋羽病の写真診断を行う際、発生原因や感染経路を理解しておくことで、撮影すべきポイントや注目すべき部位が明確になります。白紋羽病は「白紋羽病菌(Rosellinia necatrix)」というカビが原因で発症する糸状菌による土壌病害です。
病原菌は土壌中に生息し、果樹の根に寄生します。果樹の主要構成成分であるセルロースを分解して栄養にするため、根を腐敗させ果樹を衰弱・枯死させます。土中の白紋羽病菌が作物の根に感染し根を腐敗させるという感染メカニズムです。
発生を助長する要因として、植付け時に施用する粗大有機物が病原菌のえさになることが知られています。未分解の有機質が多い土壌では発生リスクが高まります。また、果樹、樹木、野菜など非常に多くの作物を侵す多犯性の病原菌であるため、これらの作物の発病跡地へ果樹を植えた場合に被害を受けることが多いのです。
白紋羽病が一度発生した場所に新しい苗木を植えても数年で再発します。これが多くの生産者を悩ませている最大の理由です。土壌中に残存した病原菌や罹病根が次の感染源となるため、徹底した土壌消毒と病根の除去が不可欠となります。
火山灰土壌で多く発生するという地域的特性もあります。特にナシの栽培地域では重要な土壌病害として認識されており、年間被害総額が数億円に達すると試算されるほどの経済的損失をもたらしています。発生園の写真記録から、土壌条件や栽培環境との関連性を分析することも、予防対策を立てる上で有効です。
病原菌が付着した罹病根や土壌、農機具を介して感染が広がります。したがって罹病樹周辺の土壌や作業後の農機具の状態も写真で記録し、感染拡大のリスクを評価することが重要です。適切な衛生管理を行うことで、園地全体への蔓延を防げます。
「半枯草」についての検索結果を確認したところ、この言葉は一般的な農業用語としては存在しないようです。検索結果からは「夏枯草(ウツボグサの漢方名)」や「枯草」「雑草」といった関連語が表示されていますが、「半枯草」という固有の概念は見当たりません。