発病後に殺菌剤を散布してもほぼ手遅れです。
白絹病対策に使える殺菌剤には複数の種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。土壌殺菌剤として代表的なのがフロンサイド粉剤で、ネギの白絹病には10アール当たり15キログラムを土寄せ時に株元散布します。この薬剤はフルアジナムという成分を含み、土壌中の病原菌を予防的に抑える効果があります。
カナメフロアブルはSDHI系の殺菌剤で、ネギや大豆の白絹病に高い防除効果を示します。浸達性と浸透移行性を持つため、株全体を保護できる特徴があります。収穫前日まで使用可能な点も利便性が高いです。
リゾレックス水和剤は有機リン系の殺菌剤で、病原菌の運動や細胞分裂を阻害する作用があります。リゾクトニア属菌などの糸状菌に効果を発揮し、予防的処理で優れた残効性を示します。コンニャク、ニラ、ネギなど多くの作物に登録があります。
バリダマイシン液剤は抗生物質系の殺菌剤で、耐性菌発生の可能性が極めて少ないことが大きな利点です。高温時の散布でも薬害の心配がほとんどなく、白絹病のほか多くの糸状菌病害に効果があります。
安全性が高いということですね。
モンガリット粒剤はネギ、ニラ、ニンニク、コンニャクなどの白絹病に効果があり、根から迅速に吸収される速効性が特徴です。ネギの黒腐菌核病や黒穂病にも有効で、幅広い病害に対応できます。
白絹病防除で最も重要なのは、発病前の予防散布です。白絹病は発症後の治療が困難な病害で、一度菌糸が株を覆ってしまうと殺菌剤では治せません。そのため、発病リスクが高まる時期の前、つまり梅雨入り前から初夏にかけての予防散布が効果的です。
殺菌剤の散布は雨の前に行うのが基本です。多くの病原菌は雨を契機として活動を始めるため、降雨前に殺菌剤で作物を保護しておくことで病気にかかりにくくなります。ただし、降雨直後の処理は混和ムラの原因となるので避けてください。
ネギの場合、フロンサイド粉剤は土寄せ時に株元散布するのが効果的で、収穫21日前までに使用します。この時期は白絹病が発生しやすい高温期に入る前の防除として重要です。使用回数は1作期に2回以内と制限されているため、計画的な散布が必要です。
バリダシン液剤は収穫14日前まで使用でき、白絹病対策としては500倍希釈で株元散布します。防除効果は3週間から1か月ほど持続するため、天候の具合を見ながら毎月1回を基準に散布すると良いでしょう。
つまり定期的な予防が鍵です。
早朝や夕方の涼しく風が穏やかな時間帯を選んで散布してください。高温時の散布は薬害のリスクがあり、風が強いと薬液が飛散して効果が低下します。薬液が乾いた後、6時間以上経過していれば、その後の降雨で成分が流されることはほとんどありません。
同じ殺菌剤を連続使用すると、薬剤耐性菌が出現するリスクが高まります。大分県の調査では、2013年から2018年に採取したネギ白絹病菌175菌株のうち、36菌株でフルトラニル(モンカット)剤への感受性低下が確認されました。耐性菌に対する防除効果は感受性菌の約半分まで低下したというデータがあります。
耐性菌の出現を防ぐには、作用機構の異なる殺菌剤をローテーション散布することが重要です。フロンサイド粉剤(フルアジナム系)、リゾレックス水和剤(有機リン系)、バリダマイシン液剤(抗生物質系)、カナメフロアブル(SDHI系)など、異なる系統の薬剤を交互に使用してください。
ローテーション散布の具体的な方法としては、予め作用系統の異なる3~4種類の殺菌剤を用意し、散布の度に違う系統の薬剤を使います。例えば、1回目にフロンサイド粉剤、2回目にバリダシン液剤、3回目にリゾレックス水和剤というように、系統を変えながら散布していきます。
結論は系統の分散です。
各殺菌剤には使用回数制限があるため、注意が必要です。フロンサイド粉剤は1作期に2回以内、バリダシン液剤は1回以内など、農薬ごとに定められた使用基準を守ってください。使用回数を超えると残留農薬の問題や環境への悪影響が懸念されます。
耐性菌が既に出現している圃場では、当該薬剤の使用を中止すると、防除効果が回復してくる場合があります。一定期間使用を控えることで、耐性菌の比率が低下し、再び効果的に使えるようになることがあるということですね。
白絹病の病原菌は土壌中で5~6年間生存可能な菌核を形成するため、発病した圃場では土壌消毒が不可欠です。薬剤による土壌消毒では、クロルピクリンくん蒸剤やバスアミド微粒剤が効果的ですが、使用には専用の機械や技術が必要で、ガス抜き期間も設けなければなりません。
太陽熱消毒は、7月中旬から8月下旬の高温期に実施する物理的な土壌消毒方法です。水を多く含ませた土に透明マルチを隙間なくかぶせ、約20~30日間放置することで、土壌温度を40℃以上に上げて病原菌を死滅させます。薬剤を使わないため環境負荷が少ないですが、時間とタイミングが重要です。
天地返しは冬季に行う簡易的な防除法で、50センチ以上の深さまで土を掘り返し、深層の土を表層に出します。白絹病の菌核は地表から5センチ程度の浅い場所に多く存在し、好気性のため土中深くに埋められると死滅しやすくなります。1月から2月の寒い時期に実施すると、寒気にさらすことで殺菌効果が高まります。
石灰質資材の施用も白絹病予防に有効です。白絹病の病原菌は酸性土壌を好むため、石灰を散布して土壌pHを中性からアルカリ性に調整することで、菌の生育を抑制できます。ピーマン圃場での試験では、石灰質資材を10アール当たり40キログラム施用することで、9月中旬まで防除価50以上を維持できたというデータがあります。
つまり土壌改良が予防になります。
土壌消毒と殺菌剤散布を組み合わせることで、より確実な防除効果が得られます。作付け前にクロルピクリンや太陽熱消毒で土壌中の菌を減らし、栽培期間中は予防的な殺菌剤散布を行うという二段構えの対策が理想的です。特に白絹病が多発した圃場では、この併用アプローチが推奨されます。
白絹病を発見したら、感染株を速やかに株ごと掘り出し、圃場外へ持ち出して処分することが最優先です。感染株を圃場内に放置すると菌が繁殖して他の作物にも広がるため、必ず圃場外で焼却または埋却処分してください。処分後は使用した道具(スコップ、ハサミなど)をアルコールや熱湯で念入りに消毒します。
発病初期であれば、周辺株への拡大防止として殺菌剤の緊急散布が有効な場合もあります。リゾレックス水和剤やバリダシン液剤を株元に灌注することで、二次感染を抑制できる可能性があります。ただし、既に菌糸が広がった株を治すことはできないため、あくまで拡大防止が目的です。
白絹病の発生が確認された圃場では、次作のために土壌消毒を必ず実施してください。菌核が土壌中に残存している限り、翌年以降も発病リスクが続きます。水田との輪作では、湛水により菌核が死滅することから発病を抑制できるため、可能であれば水田転作を検討する価値があります。
殺菌剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法を厳守してください。過剰な使用は初期生育の抑制や薬害を引き起こす可能性があります。特にフロンサイド粉剤を根こぶ病対象で多量使用すると、初期生育が抑制される場合があるため、適用薬量の範囲内で使用することが重要です。
薬量は守るのが基本です。
風通しを良くするため、密植を避け適切な株間を保つことも重要な予防策です。未分解の有機質(稲わらなど)が地表に多いと白絹病が発生しやすくなるため、株元まで敷きわらで覆わないよう注意してください。完熟堆肥を使用し、未熟な有機物の施用は避けることで、発病リスクを低減できます。
白絹病対策において殺菌剤は重要なツールですが、万能ではありません。耕種的防除、土壌管理、適切な施肥、排水対策などの総合的なアプローチと組み合わせることで、初めて効果的な防除が実現します。予防を中心とした計画的な防除体系を構築し、発病前の対策に重点を置くことが、白絹病から作物を守る最善の方法です。
農林水産省の農薬登録情報や各都道府県の病害虫防除指導指針で、最新の農薬使用基準を確認することをおすすめします。登録内容は随時更新されるため、使用前に必ず最新情報をチェックしてください。
白絹病防除に関する詳細な技術情報や、地域に適した防除方法については、最寄りの農業改良普及センターや農協の営農指導員に相談すると良いでしょう。地域の発生状況や気象条件に応じた適切なアドバイスを受けられます。
白絹病は予防が全てといっても過言ではありません。発病してからでは手遅れになるケースが多いため、日頃からの観察と予防的な殺菌剤散布、適切な土壌管理を心がけてください。

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