ピーマンの「2本仕立て」は、ただ枝を2本に減らす作業ではありません。最初に“残す2本”を決めることで、以降の誘引・整枝・収穫導線が決まり、作業のムダが激減します。特に露地やハウスで株数が増えるほど、ここが曖昧だと後半に効いてきます。
まず押さえたい性質として、ピーマンは花が咲くたびに分枝しやすく、第一分枝・第二分枝…と枝分かれが続きます。現場で迷うのは「第一分枝を主枝にするのか」「一番花直下の側枝を主枝にするのか」の違いですが、上位の解説でも“第一分枝を主枝にする”考え方が示されています。サカタの解説では、根付いた後に第一分枝の下から出るわき芽をすべて取り、第一分枝に発生した2本を主枝にして2本仕立てにする流れが基本として書かれています。
作業手順を、2本仕立ての最短ルートとして整理すると以下です(畑でも施設でも共通で考えやすい形にしています)。
✅ 2本仕立ての基本フロー(迷いを減らす順番)
ここで意外と軽視されるのが、「いつまでに主枝を固定するか」です。わき芽が伸びてから迷い続けると、株は一度“分枝を多く持つ形”で組織を作ってしまい、あとから減らすほどダメージが大きくなります。芽かき・摘心は晴れた午前中が良いという注意もあり、作業タイミングは品質と病気リスクに直結します(切り口が乾くのが早いので病気予防になる、と農家向け解説でも触れられています)。
また、2本仕立ては「3本仕立てよりコンパクトにまとまる」反面、1本あたりの負担は上がりがちです。だからこそ“下のわき芽は早めに整理して上位の光合成葉を残す”というバランスが重要になります。葉を取りすぎると日焼け果が増える、摘芯しすぎると葉枚数が落ち草勢が衰える、という注意点もサカタ側で明確に出ています。
参考リンク(第一分枝を主枝にする2本仕立ての基礎、懐枝の扱い、追肥目安までまとまっている)
https://sakata-tsushin.com/yomimono/howto_kakegawa_vegetable/detail_804/
2本仕立てで支柱が効かない原因は、支柱そのものの本数不足ではなく「結ぶ位置が遅い」「結ぶ場所が細い」「結び替え頻度が少ない」の3つが多いです。ピーマンは分枝点が増えるほど荷重(果実+枝)が外側へ逃げ、風・収穫作業・灌水で揺れたときに分枝部へねじれ応力が集中します。ここを無視すると、ある日まとめて“折損”します。
サカタの解説では、定植後は苗が倒れないよう仮支柱を立て、第一分枝の少し下のしっかりした部分を麻ひもなどで誘引する、と具体的に示されています。ポイントは「第一分枝の少し下」という“太い部位”を最初の固定点にすることです。細い先端を縛ると、結局そこがくびれて傷になり、風で振られて裂けやすくなります。
✅ 誘引の実務ポイント(2本仕立て向け)
ここで、上位記事に出にくい“現場で効く小ネタ”を1つ入れます。2本仕立ては枝が左右に開くため、結束位置が上に偏ると、分枝点が支点になって株元がグラつきます。つまり「上だけ縛って安心」は危険で、下の固定が甘いほど、揺れは増幅されます。対策はシンプルで、株元近くの固定(仮支柱でも良い)を“最後まで活かす”ことです。生育が進んで主枝用の支柱やひも誘引に移行しても、株元の遊びを消しておくと、強風時の折損が明らかに減ります。
さらに、支柱は「1株に1本ずつ」の方法だけでなく、畝で管理して両脇に線(針金など)を張る方法も紹介されています。2本仕立ては枝が張り出すので、畝全体で支える方式のほうが、結束回数を減らして省力化しやすい場面があります。
2本仕立てで収量と品質を落とす最大要因は、中央部が混んで“光が入らない”状態を放置することです。ピーマンは枝数が増えるほど葉も増えますが、中央に向かって強く伸びる枝(いわゆる懐枝)が残ると、採光性が落ち、風通しも悪化し、病気を助長しやすいとされています。サカタの解説でも、第三分枝から発生する側枝(懐枝)は早めに取り除く、と明言されています。
ただし、整枝は強ければ良いわけではありません。過度の摘芯は葉枚数低下→草勢低下、さらに日焼け果を助長するので注意、という警告もサカタにあります。ここを読み替えると、「切るべき枝」と「残すべき葉」の優先順位を決めておく必要があります。
✅ 整枝の優先順位(2本仕立て向け)
摘芯(摘心)の扱いも誤解されがちです。農家向け解説では、側枝(わき芽)が伸びてきたら葉2〜3枚(2〜3節)で先端を摘む方法が示され、主枝は基本摘芯不要だが、支柱の頂上に届いて作業しにくい場合は摘芯する、と整理されています。つまり「主枝を止める」のは最後の手段で、「側枝の整理」で光と風を作るのが基本です。
もう一つ、施設栽培寄りの視点として、岩手県のQ&Aには“半放任型2本仕立て”の話が出てきます。これは2次分枝4本のうち2本だけを従来通り誘引し、残り2本は原則放任(捻枝や側枝のひも誘引は行わない)として省力化する技術で、収穫・整枝が重なる6〜8月の省力化が狙いだと説明されています。さらに「針金幅を40cm程度に狭くすると下位部の繁茂がやや緩和」といった、作業性と樹形を同時にいじる発想も載っています。これは“支柱=倒伏防止”だけでなく、“支柱配置=繁茂コントロール”にもなるという点で、意外に効く考え方です。
参考リンク(省力化の半放任型2本仕立て、針金幅40cmなどの具体値がある)
https://www.pref.iwate.jp/agri/i-agri/qanda/vegetable/2001725.html
2本仕立ては樹形が整理されている分、株の状態(草勢)が見えやすく、追肥・灌水の判断がしやすい利点があります。逆に言うと、追肥がズレると不調がはっきり出ます。典型は、①前半に着果させすぎて株が消耗する、②追肥が遅れてなり疲れが早く来る、③水分の波で落花・奇形・尻腐れ様症状を誘発する、などです。
サカタの記事では、長期多収にはこまめな追肥が必要で、追肥開始は「収穫開始が目安」、その後7〜10日間隔で施す、としています。さらに、施肥量の目安として1平方メートル当たり一握り(約30g、窒素成分で2〜4g/㎡)が示され、収穫量に応じて追肥量を決める発想(ピーマン1kg収穫に必要な窒素等の目安)まで踏み込んでいます。農業従事者向けの記事としては、この“収穫量に応じて追肥量を決める”が管理の軸になりやすいです。
また、追肥場所を生育段階で変える点も重要です。サカタでは生育初期は畝肩に穴肥(株間中間のやや通路寄りに直径3〜5cm・深さ10〜15cm)、中期以降は根が通路まで張るので通路に施す、と書かれています。2本仕立ては通路作業が多い(誘引・収穫・整枝)ため、通路施肥をするなら踏み固めやすい点にも注意が必要です。踏圧で根域が傷むと、水と肥料が“入っているのに効かない”状態が起きます。
✅ 草勢の見方(現場での簡易チェック)
この領域での“意外な効き方”は、追肥そのものよりも「整枝の強弱が追肥の効き方を変える」ことです。葉を落としすぎると、肥料を入れても受ける器(同化産物を作る葉)が減るため、回復が鈍くなります。逆に混みすぎていると、肥料で枝葉だけが暴れて中央が暗くなり、着色不良や病害リスクが上がります。2本仕立ては樹形が単純な分、整枝と追肥のバランスが成否を分けます。
検索上位は「仕立て方」「支柱の立て方」「整枝・摘芯」が中心で、通路(動線)を“栽培技術”として扱う話は意外と少なめです。ですが、農業従事者の現場では、通路設計が2本仕立ての価値を決めます。理由は単純で、2本仕立ては作業が“縦方向(誘引)+横方向(枝の張り出し)”に広がり、通路に枝が垂れると収穫・防除・追肥が一気にやりにくくなるからです。
岩手県の資料でも、通路上に垂れ下がってくる側枝は歩行の邪魔にならない程度に弱摘心する、と書かれています。これは整枝の話に見えますが、本質は「通路の通行性を維持することで、作業速度と収穫ロスを減らす」運用です。さらに同資料には、中段にテープを張ると整枝を遅らせられる、という記述もあり、これは“今すぐ切るのではなく、まず通路へ落ちないように受ける”という発想です。忙しい時期(収穫ピーク)に整枝を後回しにできるだけで、現場の負担はかなり軽くなります。
✅ 通路設計を「2本仕立て」に組み込むコツ
最後に、2本仕立ての狙いは「2本にすること」ではなく、①光が入る、②風が抜ける、③作業が速い、④折れない、を同時に満たすことです。そのための支柱2本(または2本誘引)の考え方として、樹形・通路・追肥を一つのセットで見直すと、収量と作業性が両方上がりやすくなります。

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