摘果とは、果樹栽培において結実した果実の一部を人為的に取り除く作業のことを指します。この作業により、残った果実に樹木の栄養が集中するため、サイズが大きく品質の高い果実を収穫できるようになります。また、過剰な着果による翌年の収量不安定化を防ぎ、連年安定生産を実現する重要な栽培管理技術でもあります。
参考)みかんの摘果のやり方~摘果の時期や種類、摘果する理由など、1…
摘果には大きく分けて「部分全摘果」と「間引き摘果」の2種類があります。部分全摘果は特定の枝についた実を全て落とす方法で、翌年のための養分を枝や葉に蓄えることで隔年結果の是正につながります。一方、間引き摘果は果実を選別しながら一部を残す方法で、果実肥大の促進や品質向上を目的とします。
摘果作業は果樹経営において避けて通れない重要な工程です。適切な摘果を行うことで、市場価値の高い大玉果実を生産でき、樹勢を健全に保つことができます。
参考)摘果(てっか)
摘果の最大の目的は、果実の品質向上です。果樹は限られた養分を多数の果実に分配するため、着果量が多いと個々の果実が小さくなり、糖度も低下します。摘果により残す果実数を調整することで、一つ一つの果実に十分な栄養が行き渡り、大きくて甘い高品質な果実が収穫できます。
参考)温州みかんの品質向上対策|技術と方法|アグリくまもと
品質向上の具体的な効果として、果実のサイズアップと糖度の向上が挙げられます。みかん栽培では、7月から9月にかけて行う間引き作業が果実の成長を促し、より良い品質を実現します。特に仕上げ摘果を適切に行うことで、有田みかんのような高品質果実の生産が可能になります。
参考)https://www.lemon8-app.com/@user4765091150408/7406269856081347077?region=jp
さらに摘果は、傷果や病害虫被害果、奇形果を除去する機会にもなります。摘果作業中に果実や芽をよく観察することで、黒星病などの病気を早期に発見でき、被害拡大を防ぐことができます。このように摘果は単なる間引きではなく、総合的な品質管理の一環として機能します。
参考)梨の本摘果の時期・方法を画像で解説『果実の残し方とその理由』…
農業資材の紹介サイト - 摘果の基本情報とメリット
隔年結実とは、ある年に果実が多く実った翌年は収量が極端に減少する現象です。これは着果過多により樹体が消耗し、翌年の花芽形成に必要な養分が不足するために起こります。摘果は、この隔年結実を防止する最も効果的な対策の一つです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3469648/
早期の摘果ほど隔年結実の抑制効果が高くなります。5月上旬から6月下旬の開花期から生理落果終了期に行う枝別全摘果は、樹体により多くの養分を蓄積させることができるため、隔年結果の是正に特に効果的です。木の上部を全摘果することで、翌年のための栄養を確保します。
カンキツ類では、着果が多い年には必ず摘果を実施することが推奨されています。摘果により残された果実を大きくするだけでなく、樹勢を維持し翌年の安定生産につなげることができます。特に樹勢維持のため、主枝先端部分は全摘果することが重要です。
参考)https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/10026979_03.pdf
蔵出しみかん - 摘果する理由と1年間通しての摘果方法
摘果の時期は果樹の種類によって異なりますが、一般的には開花後から果実が成長し始める時期に行います。摘果には摘蕾(つぼみ時)、摘花(開花時)、摘果(幼果期)の段階があり、早い時期ほど効果が大きくなります。摘果<摘花<摘蕾の順に効果が高いため、可能な限り早期に作業を行うことが推奨されます。
参考)fruit thinning
りんごの場合、基本的には満開後30日以内に1回目の「粗摘果」、満開60日以内に2回目の「仕上げ摘果」の2回行います。具体的な時期としては、5月下旬に荒摘果(1果叢につき1つの着果)、6月から7月初旬に仕上げ摘果(果叢の数を3〜5分の1に調整)を実施します。
参考)おいしいりんご作りに欠かせない!「摘果」体験レポ
みかん栽培では、7月上旬から8月中旬の粗摘果で果実肥大を促進し、8月下旬から9月下旬の仕上げ摘果で品質向上を図ります。予備摘果(7月)と仕上げ摘果(8月)の2回行うことで、果実が揃います。着果が多く果実の大きさが小さい場合は、早く強めに摘果して果実肥大を促進させる必要があります。
参考)8月の果樹だより
梨では5月上旬頃から本摘果を開始し、収穫時期が早い品種(幸水など)を優先します。桃の場合も、摘蕾・摘花から予備摘果(一次摘果)、本摘果(二次摘果)と段階的に進め、最終的な果実の選別を行います。
参考)桃の摘果の基本と時期:甘くて大きな実を育てるための重要ステッ…
摘果作業では、どの果実を残しどの果実を取り除くかの判断が重要です。基本的には、傷果・病害虫被害果・奇形果・小玉果(遅れ花果)などを優先的に摘果します。健全な果実の中から、無傷で形が良く、適度な大きさのものを選んで残します。
参考)梨の摘果の方法
梨の摘果では、健全な花芽に結実した3〜5番果の中から、傷の無い形の良い果実を1つ残すのが王道とされています。3〜5番果を選ぶ理由は、各果実の成長や実り方に違いが発生するためです。また、棚線に近い果実は風で揺られてスレやキズができるため摘果します。
りんごの一つ成り摘果では、中心果を残すことを基本とし、側果を摘み取ります。人差し指と中指の間に親指で実の付け根部分を掴んで取る方法が効率的です。新梢(枝先から見て最初の年次までの部分)については、全ての実を摘み取ります。
参考)りんご農作業のお手伝いができる方を大募集しています|相馬村農…
果実を残す間隔の目安として、柿では結果母枝の長さが10センチを超えるごとに1つ残します。つまり10センチまでは0個、10〜19センチなら1個、20〜29センチなら2個という計算です。キウイフルーツでは、短枝3本・中間の枝2本・長枝1本あたり1個程度になるように摘果します。
参考)摘果が終盤に入りました~(2017/7/12) &#8211…
| 果樹の種類 | 摘果時期 | 残す果実の基準 |
|---|---|---|
| りんご | 5月下旬〜7月初旬 | 1果叢につき1果、中心果を優先 |
| 梨 | 5月上旬〜 | 3〜5番果から1果選定 |
| みかん | 7月上旬〜9月下旬 | 葉果比を考慮し段階的に調整 |
| 桃 | 開花後〜小果期 | 摘蕾→予備摘果→本摘果と段階実施 |
| 柿 | 6月〜7月 | 結果母枝10cm超ごとに1果 |
一般的な摘果マニュアルでは果実数や枝の長さを基準にしますが、実際の栽培現場では樹勢の強弱に応じた柔軟な対応が求められます。同じ品種でも、勢いのある元気な木と弱った木では最適な着果量が異なるためです。
参考)キウイフルーツの摘果方法
樹勢が強い木では、葉の枚数と比較して残す果実数を多めに設定できます。逆に樹勢が弱い木では、基準よりも少なめ(葉7枚程度に1個)に摘果する必要があります。これは樹体の養分供給能力が異なるためで、弱い木に多くの果実を残すと、さらに樹勢が低下し翌年の生産に悪影響を及ぼします。
また、摘果は一度に完全に行う必要はありません。防除が行き届かない場合や降雹被害を受けやすい地域では、早期に不要な果実を全て落とすと十分な収穫を行えない事態につながる恐れがあります。特に黒星病などの被害を受けやすい場合には、大まかに摘果作業を行い、最終調整は袋がけ作業で行うのが確実です。
着果量の判断では、樹全体のバランスを見ることも重要です。着果数が多いと小玉になり、着色不良や食味不良になるため、結実が判断でき次第早めに摘果を行います。品種や樹勢によって優先順位を決めてからスタートすることで、効率的な作業が可能になります。
参考)https://agrin.jp/documents/5221/manual.pdf
梨の本摘果の時期・方法を画像で解説 - 果実の残し方とその理由

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