モンシロチョウ幼虫の食べ物はキャベツだけじゃない!アブラナ科野菜の被害対策

モンシロチョウの幼虫(アオムシ)はキャベツだけでなく、多数のアブラナ科野菜を食べます。農業従事者が知っておくべき食草の種類、被害の特徴、効果的な防除方法を解説。知らないと作物の収穫量に大きな損失が出ますよ?

モンシロチョウ幼虫の食べ物と被害対策

農薬使った畑ではモンシロチョウがほとんど見られません。


📋 この記事で分かる3つのポイント
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アブラナ科全般が食草

キャベツ以外にもブロッコリー、ハクサイ、コマツナ、ダイコンなど多数の野菜やナズナなどの野草も食べる

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辛味成分を好む特殊な生態

アブラナ科のシニグリン(辛味成分)を検知して産卵し、幼虫は他の虫が嫌う成分を体内に蓄積して天敵から身を守る

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早期発見と防虫ネットが鍵

幼虫が成長すると薬剤が効きにくくなるため、防虫ネットによる侵入防止と初期段階での手取りや薬剤散布が効果的


モンシロチョウ幼虫が食べるアブラナ科植物の全リスト

モンシロチョウの幼虫、いわゆるアオムシが食べるのはアブラナ科植物です。キャベツが有名ですが、実際にはもっと幅広い植物を食べます。農業従事者にとっては、どの作物が狙われるかを知ることが被害防止の第一歩になりますね。


アブラナ科の野菜には、キャベツ、ハクサイブロッコリーカリフラワーコマツナ、チンゲンサイ、ミズナカブダイコンなどが含まれます。見た目はまったく異なる野菜でも、同じアブラナ科に属していれば幼虫の食草になるということです。つまり、キャベツだけ対策しても、隣のダイコンやコマツナが被害を受ける可能性があります。


野草も例外ではありません。ナズナ、イヌガラシ、タネツケバナ、ムラサキハナナといった雑草もアブラナ科です。畑の周辺にこれらの野草が生えていると、モンシロチョウが集まりやすく、野草で育った成虫が栽培作物に産卵するリスクが高まります。畑周辺の雑草管理が重要というのは、こういった理由からですね。


一方で、レタスは食べません。見た目がキャベツに似ているレタスですが、キク科の植物なので、アオムシはまったく興味を示さないのです。どういうことでしょうか?アブラナ科にはシニグリンという辛味成分が含まれており、モンシロチョウはこの成分を目印に産卵します。レタスにはこの成分がないため、産卵場所として選ばれません。この仕組みを理解しておくと、コンパニオンプランツとしてレタスやシュンギクなどキク科の植物を混植する防除方法の意味が分かりやすくなります。


栽培種と野草の両方が食草になるという点が、モンシロチョウの繁殖力を高めている要因です。野草で数を増やした成虫が、栽培作物に次々と卵を産みつけるサイクルができてしまいます。畑に飛来するモンシロチョウの数を減らすには、周辺の野草管理と作物への直接対策の両方が必要です。


モンシロチョウの幼虫はなぜアブラナ科だけを食べるのか

モンシロチョウの幼虫がアブラナ科だけを食べる理由は、進化の過程で獲得した特殊能力にあります。アブラナ科植物には、ワサビやカラシと同じ辛味成分「シニグリン」が含まれています。この成分は多くの昆虫にとって毒であり、食べられないように植物が身を守る防御物質です。しかし、モンシロチョウの幼虫は数千年の進化でこの毒を分解する能力を獲得しました。


具体的には、幼虫の体内にある特殊な酵素がシニグリンを無害化します。さらに、この成分を体内に蓄積することで、他の捕食者から身を守る武器にしているのです。鳥や他の虫がアオムシを食べると、体内に蓄えられた辛味成分で不快な味がするため、捕食を避けるようになります。植物の防御物質を逆手に取った戦略ということですね。


モンシロチョウの成虫メスは、産卵場所を探すときに前脚でアブラナ科の葉を叩きます。このとき、葉の表面に含まれるシニグリンの化学物質を感知し、「この植物は子どもの餌になる」と判断して卵を産みつけます。見た目が似ているレタスには産卵しないのは、この化学物質がないためです。つまり、モンシロチョウは視覚ではなく、化学的な信号で産卵場所を選んでいます。


この仕組みを農業に応用できます。例えば、忌避剤として他の植物の匂い成分を散布し、アブラナ科の化学信号を隠す方法があります。また、キク科のリーフレタスやシュンギクをアブラナ科野菜の近くに植えると、モンシロチョウが混乱して産卵しにくくなる効果が期待できます。赤い葉のリーフレタスはさらに効果的で、モンシロチョウは赤色を嫌う習性があるため、近寄りにくくなるということです。


アブラナ科を独占できるということは、競争相手が少ないというメリットがあります。他の多くの昆虫が食べられないアブラナ科を、モンシロチョウだけが利用できるため、餌を巡る争いが少なく、安定して子孫を残せるわけです。これは農業従事者にとって厄介な特性ですが、逆に言えば、アブラナ科以外の作物には被害が出ないということでもあります。輪作計画を立てるときに、この点を考慮するとよいでしょう。


モンシロチョウ幼虫の成長過程と被害の進行

モンシロチョウの卵は約1mmの小さなサイズで、最初は白色ですが3日ほどで黄色に変わります。エンピツの芯ほどの大きさで、葉の裏に産みつけられることが多いため、見落としやすいです。卵の段階で発見できれば、被害を未然に防げます。


卵が孵化すると、体長約2.5mmの幼虫が現れます。孵化したばかりの幼虫は、まず自分が生まれてきた卵の殻を食べます。これは栄養補給のためで、その後すぐに葉を食べ始めます。1齢幼虫は小さいため食害量も少なく、この段階では被害はほとんど目立ちません。


しかし、成長速度が非常に速いのが特徴です。


幼虫は脱皮を繰り返しながら成長し、約10日から18日で終齢幼虫になります。この間に4回脱皮して、最終的に体長3cmほどになります。終齢幼虫になると食欲が急激に増し、1日でキャベツの葉を何枚も食べ尽くすこともあります。葉脈だけ残してレース状に食べる様子は、無農薬栽培の農家にはお馴染みの光景でしょう。


食害の特徴として、幼虫はキャベツの表面を横に横に移動しながら食べる習性があります。これは蛾の幼虫とは異なる点で、蛾の幼虫は葉に穴を開けて内部に潜り込むことがあります。モンシロチョウの幼虫は表面から食べていくため、発見しやすいというメリットがあります。葉の表裏をよく観察すれば、緑色のアオムシを見つけられますね。


終齢幼虫まで成長すると、薬剤が効きにくくなります。


これが防除における大きな問題です。


若齢幼虫のうちは農薬に弱く、散布すれば比較的簡単に駆除できますが、成長するにつれて抵抗力が増します。


そのため、早期発見、早期防除が原則です。


モンシロチョウが飛び回っているのを見かけたら、すぐに葉の裏表をチェックして卵や若齢幼虫がいないか確認しましょう。


幼虫が十分に成長すると、葉から離れて蛹になる場所を探します。蛹の期間は約7日から10日で、その後成虫が羽化します。卵から成虫までの全期間は、気温にもよりますが約1ヶ月です。気温が高い時期は発育が早まり、低い時期は遅くなります。寒い時期に蛹になったものは、そのまま越冬して春に羽化することもあります。つまり、春から秋まで複数世代が繰り返されるため、年間を通じて被害が発生する可能性があるということです。


モンシロチョウ幼虫の効果的な防除方法

モンシロチョウの被害を防ぐには、成虫の産卵を防ぐことが最も効果的です。防虫ネット寒冷紗で作物を覆えば、成虫が飛来できず産卵を物理的にブロックできます。網目が細かいものを選び、隙間なく覆うことが重要です。隙間があると、そこから侵入して産卵されてしまいます。


防虫ネットは産卵防止だけでなく、夏の直射日光や冬の霜からも作物を守る効果があります。家庭菜園でも使える方法で、コストもそれほどかかりません。ただし、ネットの設置や収穫時の取り外しに手間がかかるため、大規模栽培では作業効率とのバランスを考える必要があります。トンネル栽培やハウス栽培の入口に防虫ネットを設置するだけでも、侵入数を大幅に減らせますね。


手取りによる駆除も有効です。小規模栽培や家庭菜園では、定期的に葉の裏表を観察し、卵や幼虫を見つけたら箸やピンセットで取り除きます。虫フンが落ちていたら、近くに幼虫がいる証拠です。手取りは手間がかかりますが、農薬を使わずに済むため、無農薬栽培や有機栽培を目指す農家には適した方法です。毎朝の見回りを習慣にすれば、大量発生を防げます。


薬剤防除では、早期散布が基本です。若齢幼虫のうちに散布すれば、効果が高く少量の農薬で済みます。代表的な農薬には、有機リン系のスミチオンやオルトランピレスロイド系のベニカS乳剤などがあります。これらは速効性と持続性を持ち、チョウ目害虫に優れた効果を発揮します。ただし、薬剤抵抗性がつく可能性もあるため、同じ薬剤を連続使用せず、系統の異なる薬剤をローテーションすることが推奨されます。


浸透移行性の殺虫剤も選択肢の一つです。葉や茎から吸収され、植物の細胞全体に行き渡るため、葉裏に隠れている卵や幼虫にも効果があります。散布するだけで済むため、作業効率がよいです。ただし、収穫前の使用制限期間を守る必要があります。農薬のラベルに記載されている使用方法と収穫前日数を必ず確認しましょう。


天敵を利用する生物的防除もあります。アオムシの最大の天敵は、アオムシコマユバチという体長わずか3mmの小さな寄生バチです。このハチはモンシロチョウの幼虫に卵を産みつけ、孵化した寄生バチの幼虫が内部から体液を吸って育ちます。寄生された幼虫の約9割が成虫になれず死んでしまうため、自然界での重要な調整役になっています。農薬を減らしたい場合は、この天敵が生息しやすい環境を整えることも一つの方法です。ただし、一部の農薬(ベノミルなどの殺菌剤)は寄生バチにも影響するため、使用する農薬の種類に注意が必要です。


農業現場で知っておくべきモンシロチョウの意外な事実

モンシロチョウは実は外来種です。弥生時代に農耕文明が日本に渡来したとき、カブやダイコンの種に付いてきたと考えられています。つまり、日本古来の昆虫ではなく、史前外来種ということですね。


意外ですね。


無農薬栽培の畑では、モンシロチョウが大量発生しやすいというイメージがあります。しかし実際には、技術があれば無農薬でもアブラナ科野菜を栽培できます。防虫ネットの設置、適切なタイミングでの手取り、コンパニオンプランツの活用などを組み合わせれば、虫食いを最小限に抑えられます。虫食いだらけになるのは、栽培知識が不足している場合が多いです。


農薬を使用している大規模キャベツ畑では、モンシロチョウをほとんど見かけません。これは農薬の効果が高いことを示していますが、同時に薬剤に頼りすぎると自然界のバランスが崩れるリスクもあります。天敵の寄生バチも減ってしまうため、長期的には害虫の抵抗性が増す可能性があります。適度な農薬使用と生物的防除のバランスが理想的です。


市販のキャベツをモンシロチョウの幼虫に与える場合、注意が必要です。店頭のキャベツには農薬が残留している可能性があり、幼虫が死ぬことがあります。特に浸透移行性の農薬は、洗っても内部に残るため、幼虫の飼育や観察には無農薬栽培のキャベツを使う必要があります。学校での観察授業などでは、この点を理解しておくとよいでしょう。


モンシロチョウの幼虫は新鮮な葉しか食べません。しおれた葉や古い葉は食べないため、飼育する場合はこまめに新鮮な葉に交換する必要があります。これは野外でも同じで、元気な作物ほど被害を受けやすいという皮肉な状況になります。逆に言えば、健康に育っている証拠でもあるわけです。


モンシロチョウのオスは、一日中メスを探して飛び回ります。メスを見つけるために、開けた場所を絶え間なくパトロールする習性があります。この習性を利用して、黄色い粘着トラップを設置すると、オスを誘引して捕獲できます。オスの数を減らせば、交尾の機会が減り、結果的に産卵数も減少します。フェロモントラップと組み合わせれば、さらに効果が高まりますね。


アオムシ(モンシロチョウ)の防除方法と効果的な農薬については、こちらの専門サイトで詳しい情報が得られます。


キャベツのアオムシ対策について、生態や発生時期を含めた総合的な情報はこちらで確認できます。