オルトランの使い方観葉植物!室内での臭い対策と害虫予防

観葉植物の害虫対策、オルトランの使い方は?量や頻度、あの独特な臭いを室内で防ぐ裏技を解説。コバエへの効果や、効かなくなった時の対処法まで詳しく紹介します。あなたの植物、本当に守れていますか?
オルトラン完全ガイド
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基本の使い方

土にまいて水をやるだけ!根から吸収させて植物全体を守る

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臭い対策

「腐ったタクアン」臭は土で蓋をして封じ込めるのが正解

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抵抗性対策

効かなくなるのを防ぐため、薬剤ローテーションを意識しよう

オルトランの使い方と観葉植物

オルトランの基本的な使い方と粒剤の適量

観葉植物を育てていると避けては通れないのが害虫の問題です。特に室内で育てている場合、虫の発生は衛生面でも精神面でも大きなストレスになります。そこで頼りになるのが、園芸初心者からプロまで幅広く愛用されている殺虫剤「オルトラン」です。しかし、正しい使い方や適量を守らないと、期待した効果が得られなかったり、最悪の場合は植物に悪影響(薬害)を与えてしまったりすることもあります。ここでは、オルトランの基本的な使い方と、鉢のサイズごとの適切な粒剤について深掘りして解説します。

 

まず、オルトランには「粒剤(りゅうざい)」、「水和剤(すいわざい)」、「液剤(えきざい)」などの種類がありますが、観葉植物の普段の管理に最も適しているのは、手軽に使える「粒剤」タイプです。粒剤の最大のメリットは、スプレータイプのように虫を見つけてから噴射するのではなく、「予防」としてあらかじめ土にまいておける点にあります。

 

具体的な使い方の手順は以下の通りです。非常にシンプルですが、ポイントを押さえることで効果が大きく変わります。

 

  1. 植物の株元に粒剤をまく

    植物の茎の根元周辺の土の上に、パラパラと均一になるように粒剤を散布します。一箇所に固まってしまうと、根の一部に高濃度の薬剤が触れてしまい、根痛みの原因になることがあるため、ドーナツ状に広げるのがコツです。

     

    参考)家庭園芸用GFオルトラン粒剤

  2. 土と軽く混ぜ合わせる(重要)

    表面にまいただけで終わらせる方もいますが、割り箸やスプーンなどを使って、表面の土と薬剤を軽く混ぜ合わせることを推奨します。これにより、薬剤が水に溶け出しやすくなり、後述する「臭い」の揮発も多少抑えることができます。

     

  3. たっぷりと水やりをする

    オルトランの成分は水に溶けることで土壌に浸透し、根から吸収されます。散布後は必ず、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えてください。この最初の水やりが、薬剤のスイッチを入れる役割を果たします。

     

    参考)多肉植物にも最適な農薬「オルトランDX粒剤」の使い方

次に、最も悩ましい「適量」についてです。製品のラベルには「1平方メートルあたり〇〇g」や「1株あたり〇〇g」と書かれていますが、家庭の鉢植えではイメージしにくいのが実情です。使用量が少なすぎると殺虫効果が出ず、多すぎると植物が枯れる「薬害」のリスクが高まります。

 

目安としては、以下の分量を参考にしてください。

 

  • 4号鉢(直径12cm程度):約0.5g〜1g
  • 6号鉢(直径18cm程度):約1g〜1.5g
  • 8号鉢(直径24cm程度):約1.5g〜2g
  • 10号鉢(直径30cm以上):約2g〜3g

1gの目安ですが、コンビニやスーパーでもらえる透明なプラスチックのデザートスプーン(プリン用など)が役立ちます。一般的な使い捨てスプーンですり切り1杯が約0.5g〜1g程度(スプーンの大きさによるため一度キッチンスケールで計ると確実です)であることが多いです。これを基準に、「6号鉢ならスプーン山盛り1杯弱」といった自分なりの基準を作っておくと便利です。

 

参考)バラの害虫駆除にオルトラン粒剤!使い方と量は? - バラを楽…

また、散布の頻度については、オルトランの効果持続期間は約3週間〜1ヶ月程度です。そのため、虫が発生しやすい春から秋の成長期には、月に1回のペースで定期的に散布することで、常に植物体内に殺虫成分が行き渡った状態をキープできます。カレンダーやスマホのリマインダーに「オルトランの日」を設定しておくと忘れずに済みます。

 

オルトランDXで防げる害虫とコバエへの効果

オルトランには通常の「オルトラン粒剤」と、成分が強化された「オルトランDX粒剤」の2種類が主に流通しています。パッケージが青いものが通常版、赤いものがDX版です。観葉植物の害虫対策としてどちらを選ぶべきか迷うところですが、結論から言えば、より幅広い害虫に効く「DX」を選ぶのが無難です。

 

オルトランDXには、2つの殺虫成分(アセフェートとクロチアニジン)が含まれています。これにより、以下のような厄介な害虫を同時に防除することが可能です。

 

  • アブラムシ:新芽に群がり植物の汁を吸う代表的な害虫。放置するとウイルス病を媒介することもあります。オルトランが最も得意とする相手です。
  • カイガラムシ類(幼虫):硬い殻に覆われる前の幼虫段階であれば効果が期待できます。成虫になると薬剤が効きにくくなるため、予防的な散布が非常に重要です。

    参考)観葉植物の室内管理注意点。≪越冬×害虫対策×オルトランDX粒…

  • アオムシ・ヨトウムシ:葉をかじって穴だらけにする食害性害虫。これらにも効果があるのがDXの強みです。
  • アザミウマ(スリップス):葉や花の色をカスリ状に白くしてしまう微細な害虫。

さて、室内園芸で最も悩みの種となりやすい「コバエ(キノコバエなど)」への効果についてはどうでしょうか。ここには注意が必要です。

 

実は、オルトランは「コバエ専用」の殺虫剤ではありません。ネット上の口コミや検索結果では「オルトランをまいたらコバエが減った」という声もあれば、「全く効かない」という声もあり、意見が分かれています。これは、オルトランの主成分が、コバエの「幼虫(ウジ)」に対してはある程度の殺虫効果を示すものの、空中を飛び回っている「成虫」を即座に撃ち落とす効果はないためです。また、コバエの種類によっても感受性が異なります。

 

参考)観葉植物のコバエ駆除はダントツ水溶剤で解決!効果と手順を解説…

コバエ対策としてオルトランを使用する場合の位置づけは、あくまで「土の中に潜む幼虫を駆除し、次世代の発生を抑える予防策」と考えるべきです。すでに部屋中をコバエが飛び回っているような状況では、オルトランだけでは解決までに時間がかかります。その場合は、以下の方法を併用することをおすすめします。

 

  • 即効性なら「ダントツ水溶剤」:コバエに対する効果が非常に高く、即効性があります。水に溶かして土に灌注することで、幼虫を一網打尽にできます。

    参考)観葉植物のコバエ駆除には【ダントツ】!効果的な使い方と注意点…

  • 成虫には「粘着シート」や「スプレー剤」:飛び回る成虫は物理的に捕獲するか、空間噴射式の殺虫剤で減らします。
  • 土の乾燥:コバエは湿った土を好むため、オルトランをまいた後、植物が耐えられる範囲で土の表面を乾かし気味に管理します。

オルトランDXは「アブラムシやカイガラムシなどの吸汁害虫」と「アオムシなどの食害害虫」をダブルでブロックできる点が最大のメリットです。「コバエもついでに減ればラッキー」くらいの気持ちで使いつつ、本命の害虫予防として活用するのが賢い使い方と言えるでしょう。

 

オルトランの強烈な臭いを抑える室内での工夫

オルトランを使用する際、最大のデメリットとして挙げられるのがその独特な「臭い」です。多くのユーザーが「腐ったタクアンのような臭い」「硫黄のような温泉臭」「強烈な薬品臭」と表現し、特に室内で管理する観葉植物に使用する場合、リビングや寝室が異臭に包まれるというトラブルが後を絶ちません。

 

参考)【楽天市場】住友化学園芸 オルトランDX粒剤 徳用 1kg(…

この臭いの原因は、有効成分であるアセフェートなどが分解する過程で発生するガス(硫黄化合物など)によるものです。しかし、適切な対策を講じることで、この臭いを最小限に抑え、室内でも快適に使用することが可能です。ここでは、効果的な臭い対策テクニックをいくつか紹介します。

 

1. 「土で蓋をする」サンドイッチ作戦
最も効果的で推奨される方法は、オルトランをまいた後に、その上から新しい土を被せる方法です。

 

  • 手順:まず、鉢の土の表面を少し削り取るか、最初からウォータースペース(鉢の縁から土の表面までの空間)に余裕を持たせておきます。オルトランを散布し、軽く馴染ませた後、その上から「赤玉土」や「化粧砂」、「観葉植物用の土」などを1cm〜2cm程度の厚さで被せます。
  • 効果:臭いの発生源である薬剤を土の中に物理的に封じ込めることで、揮発したガスが室内に広がるのを防ぎます。これは非常に効果が高く、多くの園芸家が実践しています。

    参考)https://ameblo.jp/masplantas/entry-12722898076.html

2. 散布直後の数日間は屋外または通気性の良い場所に置く
オルトランの臭いは、散布して水やりをした直後から数日間がピークです。その後、徐々に薄れていきます。

 

  • 対策:可能であれば、薬剤をまいて水やりをする作業はベランダや庭などの屋外で行います。そして、散布後3日〜1週間程度はそのまま屋外(直射日光や寒暖差に注意しつつ)で管理し、臭いが落ち着いてから室内に取り込むというローテーションを組むのが理想的です。
  • 注意点:屋外に出せない大型の観葉植物の場合は、換気扇の近くや窓際など、空気が循環しやすい場所に一時的に移動させましょう。

3. 活性炭を混ぜ込む
消臭効果のある「園芸用活性炭」や「竹炭」を細かく砕いたものを、オルトランと一緒に土に混ぜ込む、あるいは土の上に化粧砂として敷くという方法もあります。炭の多孔質な構造が、発生した臭い成分を吸着してくれることが期待できます。ただし、完全に無臭になるわけではないため、他の方法との併用がおすすめです。

 

4. 薬剤選びを見直す
どうしても臭いが耐えられない場合は、オルトランの使用を諦め、臭いの少ないタイプの殺虫剤に切り替えるのも一つの手です。

 

  • 代替案:例えば、「モスピラン」や「ベニカXガード粒剤」などは、オルトランに比べて臭いがマイルドである(または臭いの質が異なる)と言われています。ただし、適用害虫が異なる場合があるため、ターゲットとする害虫に効くかどうかを事前に確認する必要があります。

注意点:健康への影響
「臭い」は単なる不快感だけでなく、体調不良の原因になることもあります。特に化学物質過敏症の方や、小さなお子様、ペットがいる家庭では、薬剤の揮発成分に敏感になる必要があります。散布作業中は必ずマスクと手袋を着用し、換気を徹底してください。もし臭いで気分が悪くなった場合は、すぐに換気を行い、植物を屋外に出すなどの対応をとってください。

 

オルトランの浸透移行性を高める水やりのコツ

オルトランが他の殺虫剤と大きく異なる点は、「浸透移行性(しんとういこうせい)」という性質を持っていることです。これは、薬剤が植物の根や葉から吸収され、植物の体液(師管液や道管液)に乗って植物全体の隅々まで行き渡る性質を指します。つまり、オルトランを吸った植物は、いわば「毒を含んだ植物」へと一時的に変化し、その植物を食べたり汁を吸ったりした害虫を退治するのです。

 

参考)https://www.greenjapan.co.jp/orutoran_r.htm

この浸透移行性の効果を最大限に発揮させるためには、ただ漫然とまくのではなく、水やりのコントロールが非常に重要になります。薬剤を効率よく根から吸収させるためのコツを深掘りしましょう。

 

1. 散布のタイミングは「水やりの直前」がベスト
オルトラン粒剤は、水に溶けることで初めて効果を発揮します。乾いた土の上にまいて放置しても、薬剤は溶け出さず、根に届きません。したがって、最も効率が良いのは「そろそろ水やりの時期だな」と土が乾いてきたタイミングでオルトランをまき、その直後にたっぷりと水やりをするという流れです。

 

逆に、土がまだ湿っている状態でまいてしまうと、すぐに水やりができないため、薬剤が表面に残ったままになり、臭いの原因になったり、ペットが誤食したりするリスクが高まります。

 

2. 最初の水やりは「優しく、じっくり」
散布直後の水やりは、薬剤を土全体に広げるための重要な工程です。しかし、ここでホースの強い水流で勢いよく水をかけてしまうと、軽い粒剤が水に浮いて鉢の外に流れ出たり、土の表面で偏ってしまったりします。

 

  • コツ:ハス口のついたジョウロなどを使い、柔らかい水流で、鉢土全体に行き渡るようにゆっくりと水を与えます。薬剤が徐々に溶けて土の中に染み込んでいくのをイメージしてください。

3. 薬剤が到達するまでのタイムラグを考慮する
浸透移行性の薬剤は、まいてから効果が出るまでに一定の時間がかかります。根から吸収され、茎を通って葉の先端まで薬剤が到達するには、植物の大きさや蒸散の活発さにもよりますが、数日〜1週間程度かかることがあります。

 

  • 対策:今まさに害虫が大発生している時には、オルトランだけに頼ると手遅れになることがあります。即効性のあるスプレー剤(接触毒タイプ)で目の前の敵を駆除しつつ、オルトランをまいて「後続部隊」や「未来の敵」に備えるという、二段構えの戦術が有効です。

4. 植物の「活性」が高い時期に使う
浸透移行は、植物が水を吸い上げる力(蒸散作用)を利用して薬剤を運びます。そのため、植物が休眠していて水をあまり吸わない冬場などは、薬剤の吸収効率が落ちます。

 

  • コツ:オルトランの効果が最も高まるのは、植物が新芽を出し、水をぐんぐん吸い上げる春から秋の成長期です。冬場に害虫(カイガラムシなど)が発生した場合は、根からの吸収が遅いため、直接害虫に塗布するタイプの薬剤や、マシン油乳剤などを検討したほうが良い場合もあります。

5. 鉢底から流れ出る水について
オルトランをまいた後の最初の水やりでは、鉢底から白い濁った水や、薬剤の成分を含んだ水が出てくることがあります。これをそのまま受け皿に溜めておくと、高濃度の薬剤が残り、再吸収による根腐れや、蒸発時の臭いの原因になります。

 

参考)植物にオルトランを撒いた時の水やりについてです。水やりをする…

  • 対策:水やり後の受け皿の水は必ず捨ててください。これは通常の水やりの基本でもありますが、薬剤使用時は特に徹底しましょう。

オルトランが効かない場合の抵抗性害虫対策

「オルトランを毎月まいているのに、アブラムシが減らない」「最初は効いていたのに、最近コバエが死ななくなった」……そんな経験はありませんか?それはもしかすると、害虫が薬剤に対する「抵抗性」を持ってしまった可能性があります。

 

抗生物質を使いすぎると耐性菌が生まれるのと同様に、農薬も同じ種類のものを使い続けると、その薬に強い個体だけが生き残り、やがて薬が効かない「スーパー害虫」が爆発的に増えてしまうのです。これを防ぐための高度なテクニックが、異なる種類の薬剤を順番に使う「ローテーション散布」です。

 

参考)オルトランがヨトウムシに効かない?4つの原因と対策 - sa…

1. 作用機序(さようきじょ)の異なる薬を使う
ローテーションとは、単に商品名を変えることではありません。重要なのは「作用機序(殺虫成分が虫に効く仕組み)」が異なる薬を選ぶことです。

 

オルトラン(成分名:アセフェート)は、「有機リン系」と呼ばれるグループに属します。これと同じ系統の薬を続けて使っても意味がありません。

 

  • ローテーションの例
    • A:オルトラン(有機リン系)

      ↓ 翌月

    • B:モスピラン または ベニカ(ネオニコチノイド系)

      ↓ 翌々月

    • C:オルトランに戻る、または第三の薬剤

    このように、系統の違う薬剤を交互に使うことで、仮に有機リン系に強い個体が生き残っても、次のネオニコチノイド系で仕留めることができ、抵抗性の発達を阻止できます。

     

    2. オルトランの「使いすぎ」による副作用リスク
    「効かないから」といって、規定量以上のオルトランを大量にまくのは非常に危険です。これは抵抗性の問題を解決しないどころか、植物に深刻な副作用(薬害)をもたらす可能性があります。

     

    • 葉の変色・縮れ:薬剤濃度が高すぎると、葉の縁が茶色く焼けたり、新芽が萎縮したりすることがあります。特に、葉が薄い観葉植物(アジアンタムなど)や、幼苗は薬害が出やすいので注意が必要です。​
    • 根のダメージ:高濃度の成分が根の細胞を傷つけ、水や栄養の吸収を阻害し、結果として植物が弱ってしまいます。

    3. 「抵抗性」以外の原因も疑う
    オルトランが効かないと感じた時、抵抗性以外にも意外な落とし穴がある場合があります。

     

    • 土壌の古さ:何年も植え替えをしていない古い土は、団粒構造が崩れて水はけが悪くなっていることが多いです。このような土では、薬剤が均一に浸透せず、一部に溜まったり、逆にすぐに流れ出てしまったりして効果が安定しません。
    • 根詰まり:鉢の中が根でパンパンになっていると、薬剤を吸い上げるための健全な「根毛」が育っておらず、せっかくまいたオルトランを吸収できていない可能性があります。

    4. 究極の対処法:物理的防除への回帰
    もし、完全な抵抗性を持ってしまった害虫が現れた場合、薬剤の使用を一旦ストップし、物理的な駆除に切り替える勇気も必要です。

     

    • テデトール(手で取る):原始的ですが、ブラシでこすり落とす、粘着テープでペタペタ取る、水流で洗い流すといった方法は、抵抗性に関係なく確実に数を減らせます。
    • 剪定:被害が激しい枝や葉を思い切ってカットし、害虫の密度を下げてから、新しい薬剤による管理を再スタートさせます。

    オルトランは魔法の薬ではありませんが、その特性を理解し、適切に管理すれば、これほど心強い味方はありません。抵抗性対策としてのローテーションや、日々の観察と組み合わせることで、あなたの愛する観葉植物を長く美しく保つことができるでしょう。