団粒構造の作り方と土壌改良の資材や微生物と堆肥のメリット

畑の土がカチカチで水はけが悪く困っていませんか?団粒構造を作るには単に堆肥を混ぜるだけでは不十分です。微生物の働きや資材の選び方、意外な物理的メカニズムまで、プロが実践する土作りの極意とは?

団粒構造の作り方

団粒構造を作る3つの重要ポイント
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微生物という「建築家」

土の粒子を接着するのは、菌糸や微生物が出す粘着物質です。

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C/N比の高い「資材」

分解の遅い繊維質な有機物が、構造を維持する骨格になります。

物理的な「刺激と時間」

根の伸長や乾湿の繰り返しなど、物理的な力が団粒を強固にします。

団粒構造の作り方における有機物と微生物の重要な役割


団粒構造の作り方を理解する上で最も重要なのは、土は「人間が耕して作るもの」ではなく、「微生物と根が協働して建築するもの」であるという認識の転換です。多くの農業関係者が誤解している点は、トラクターで細かく粉砕すれば団粒構造になると考えていることですが、それは一時的な「単粒構造の集合」に過ぎず、雨が降ればすぐに固まってしまいます。


真の団粒構造とは、土壌中の鉱物粒子(粘土やシルト)と有機物が、微生物の働きによって強力に接着された状態を指します。この接着剤の役割を果たすのが、微生物が排出する多糖類や、糸状菌(カビの仲間)の菌糸、そして近年注目されているアーバスキュラー菌根菌が放出する「グロマリン」という糖タンパク質です。


  • 細菌(バクテリア)の役割

    細菌は有機物を分解する過程で、バイオフィルムと呼ばれる粘着質の膜や多糖類を分泌します。これが微細な土の粒子同士をくっつけ、「ミクロ団粒」と呼ばれる最小単位の塊を形成します。


  • 糸状菌(カビ)の役割

    糸状菌は長い菌糸を土の中に張り巡らせます。この菌糸が物理的なネットのように土の粒子を絡め取り、より大きな「マクロ団粒」へと成長させます。菌糸による結合は比較的強力で、水に浸かっても崩れにくい耐水性団粒を作る上で欠かせません。


  • ミミズなどの土壌動物

    彼らは土と有機物を一緒に体内に取り込み、腸内で混ぜ合わせ、カルシウムなどの無機物と結合させた状態で排泄します。この「糞土」は非常に安定した団粒構造を持っており、天然の肥料ペレットとも言えます。


したがって、団粒構造の作り方の核心は、「いかにして微生物の多様性を高め、彼らに接着剤を作り続けてもらうか」という点に集約されます。単に有機物を投入するだけでなく、微生物が住みやすい環境(適度な水分、空気、pH)を整えることが、物理性の改善には不可欠なのです。


農業現場で役立つ技術情報として、土壌の物理性改善に関する詳しいメカニズムは以下のリンクが参考になります。


静岡県志太榛原農林事務所:団粒土の形成と破壊のメカニズム、凍結融解の影響について

団粒構造の作り方に適した堆肥や腐植などの資材の選び方

団粒構造を効率的に作るためには、投入する資材の選び方が結果を左右します。ここで重要な指標となるのが「C/N比(炭素率)」と「繊維の硬さ(リグニン含有量)」です。肥料効果を期待する資材と、土壌改良(団粒化)を期待する資材は明確に使い分ける必要があります。


団粒化を目的とする場合、分解が早すぎる資材(鶏糞や米ぬか単体など)は、一時的に微生物を爆発的に増やしますが、エサが尽きると微生物も死滅し、団粒構造も長持ちしません。一方で、分解されにくい木質系の繊維を含む資材は、長期間にわたって微生物の住処となり、物理的な隙間を維持し続けます。


以下の表は、団粒構造形成における主要な資材の適性をまとめたものです。


資材の種類 主な特徴と団粒化への効果 C/N比の目安 おすすめの使用場面
バーク堆肥 樹皮を発酵させたもの。リグニンが多く分解が遅いため、長期間土をふかふかに保つ効果が高い。土壌改良の王様。 30〜50 粘土質の畑の改良、通気性の確保
牛ふん堆肥 繊維質を含み、緩やかに分解される。土壌の保水性と通気性のバランスを整える基本資材。完熟品を選ぶことが必須。 15〜20 ベースとなる土作り、保肥力の向上
もみ殻くん炭 多孔質で微生物の住処として最適。pH調整効果もあり、土壌の通気性を物理的に確保する。分解されず半永久的に残る。 - 排水性が悪い土壌、酸性土壌の矯正
緑肥作物 ソルゴー(イネ科)やヘアリーベッチ(マメ科)などを栽培し、すき込む。根が土を耕し、生の有機物を供給する。 植物による 休耕期間の土作り、広範囲の改良
腐植酸資材 フルボ酸やフミン酸を含む資材。化学的に粘土と結合しやすく、即効性のある団粒化促進剤として機能する。 - 短期間で結果を出したい時、追肥

特に注目すべきは「腐植」の存在です。腐植は、有機物が微生物によって分解・再合成された最終生成物に近い黒色の物質です。腐植はマイナスの電気を帯びており、プラスの電気を持つカルシウムやマグネシウムイオンを仲介役として、マイナスの電気を持つ粘土粒子と強く結びつきます(陽イオン架橋結合)。


この化学的な結合を作るために、堆肥とセットで「石灰(カルシウム)」や「苦土(マグネシウム)」を適切に施用することも、団粒構造の作り方における隠れたコツです。ただし、石灰の入れすぎは土を硬くする原因にもなるため、土壌診断に基づいた施用が求められます。


腐植の働きや資材の特性については、以下の専門的な解説も参考になります。


リサール酵産:団粒構造と腐植の関係、微生物による分解プロセスについて

団粒構造の作り方の手順と土壌改良にかかる期間の目安

理想的な団粒構造を作るには、正しい手順と、ある程度の期間が必要です。「明日すぐに団粒構造ができる」という魔法の方法はありません。焦って過剰な耕うんを行うと、逆に土の構造を破壊してしまう「ロータリー耕のジレンマ」に陥ります。


ステップ1:土壌診断と物理性の確認
まず、現在の土の状態を知ります。湿った土を握って固まり、指で押すとホロリと崩れるのが理想です。握っても固まらない(砂質)、握ると粘土細工のように固まる(粘土質)場合は改良が必要です。また、水はけの悪さが「耕盤層(ロータリーの爪が届かない深さにある硬い層)」によるものかどうかも、棒を刺して確認します。


ステップ2:資材の投入と粗耕起
完熟堆肥(牛ふんやバーク)を10aあたり2〜3トン程度目安に投入します。ここで重要なのは、深く耕しすぎないことです。表層15cm〜20cm程度に有機物を混ぜ込みます。機械で攪拌しすぎると、せっかくの資材ごと土が粉々になり、雨降下後にセメントのように固まってしまいます。「土と資材を練り込む」のではなく「土と資材をサンドイッチにする」イメージで、ロータリーの回転数を下げ、走行速度を上げて粗く起こすのがコツです。


ステップ3:養生期間(微生物の活動期間)
資材を入れた直後に作付けするのではなく、可能であれば2週間〜1ヶ月程度、土を休ませます。この間に微生物が活発に動き出し、初期の団粒化(のり付け作業)が始まります。適度な雨(水分)が必要です。


ステップ4:作物の根による耕うん
作付けを行います。作物の根が伸びることで土が押しのけられ、微細な隙間が生まれます。また、根からは糖分などの分泌物が出され、根圏微生物が集まり、団粒化が加速します。


期間の目安について

  • 初期変化(半年〜1年): 堆肥を入れた表層部分が柔らかくなり始めます。しかし、まだ構造は脆く、大雨で崩れやすい状態です。
  • 安定期(3年〜5年): 毎年継続的に有機物を投入し、適切な管理を続けることで、耐水性団粒(水に濡れても崩れない団粒)が増え、深い層まで構造が発達します。

特に注意すべきは、頻繁なロータリー耕うんが団粒構造を破壊する最大の要因になり得るという点です。近年では、不耕起栽培や簡易耕起(ミニマム・ティレッジ)が見直されています。一度出来上がった団粒構造を守るためには、「耕さない」あるいは「浅く耕す」という選択肢も、作り方の一部として組み込むべきです。


耕うん方法と土壌構造の関係性については、農文協の以下の記事が現場視点で非常に有益です。


農文協:穴を掘って耕し方を見直そう、ロータリー耕による団粒構造破壊のリスク

団粒構造の作り方で重要な粘土の性質と根の物理的な作用

多くの解説記事では「堆肥を入れれば団粒構造ができる」と説明されますが、実はそれだけでは不十分なケースがあります。ここでは、検索上位の記事にはあまり詳しく書かれていない、しかし農業物理学的には極めて重要な「粘土の乾湿繰り返し」と「根の物理的作用」という独自視点から解説します。


1. 乾湿の繰り返し(ウェッティング・アンド・ドライング)
土壌中の「粘土」は、水を吸うと膨張し、乾燥すると収縮する性質を持っています。この膨張と収縮の物理的な動きが、土の粒子を強制的に近づけたり離したりするポンプのような役割を果たします。


  • 乾燥時: 土が収縮して亀裂が入ります。この亀裂が空気の通り道となり、同時に粒子同士が強い力で圧着されます。
  • 湿潤時: 土が膨らみますが、乾燥時に圧着された一部の結合は残ります。

このサイクルが繰り返されることで、微生物の出した接着剤がより強固に作用し、強固な団粒が生まれます。つまり、ずっと湿っている土や、ずっと乾いている土では団粒化は進みません。「雨が降って、晴れて乾く」という自然のリズムこそが、団粒構造の仕上げを行っています。マルチングで水分を一定に保つことも大切ですが、土作りの段階では適度な乾湿の変化を与えることも必要です。


2. 植物の根による「貫入」と「脱水」
植物の根は、物理的なドリルとして土を貫きます。根が太くなるとき、周囲の土は数気圧という強い圧力で圧縮されます。この圧力が土粒子同士を密着させます。さらに、根は土中の水分を吸い上げます。根の周りの土は局所的に激しく乾燥(脱水)し、前述の「収縮」が起こります。


  • 根が伸びる = 物理的な穴が開く(通気性の確保)
  • 根が水を吸う = 根圏の土が収縮し、団粒化が促進される

つまり、何も植えずにただ堆肥を入れて寝かせておくよりも、「緑肥作物などを植えて、根に仕事をさせる」方が、圧倒的に早く、良質な団粒構造を作ることができます。特にイネ科の緑肥(ソルゴー、ライムギなど)はひげ根が大量に発生し、土を細かく抱き込むため、表層の団粒化には最強のツールとなります。マメ科(ヘアリーベッチなど)は直根で深く入り、窒素固定により微生物を活性化させるため、これらを組み合わせる(混播する)のがプロのテクニックです。


また、寒冷地においては「凍結と融解」の作用も無視できません。冬場に土中の水分が凍って霜柱ができると、土が持ち上げられ隙間ができます。春に解けると、その隙間を残したまま土が落ち着きます。この物理作用を活かすために、秋に粗く耕しておき(寒起し)、冬の寒さに晒すという伝統的な農法は、理にかなった団粒構造の作り方の一つなのです。


最後に、堆肥作りから土壌改良までの一連の流れを、農機メーカーの視点で解説している以下のページも参照してください。


ヤンマー:堆肥ができるまでの過程と土壌物理性の改善について




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