ボカシ肥とは作り方使い方土壌改良効果

ボカシ肥は農業で注目される発酵有機肥料です。米ぬかや油かすを発酵させて作る独自の肥料で、土壌改良と作物の健全な成長を同時に実現できます。化成肥料では得られない微生物の力を活用し、持続可能な農業に貢献できる方法を知っていますか?

ボカシ肥の基本と特徴

📌 この記事で分かること
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ボカシ肥料の基本

発酵有機肥料の仕組みと化成肥料との違い

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失敗しない作り方

材料配合から発酵管理まで実践的手順

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効果的な活用法

元肥・追肥での使い分けと土壌改良効果

ボカシ肥料の基本的な定義と成り立ち

 

ボカシ肥料は、油かすや米ぬか、魚粉などの有機質肥料に土やモミガラを混ぜて発酵させて作る肥料です。土に肥料分を混ぜて「ぼかす(薄める)」ことからその名前がついたとされています。すでに発酵させている肥料のため微生物が多く、土に混ぜるとすぐに効果を発揮してくれます。

 

参考)カンタン有機肥料、ボカシ肥料の作り方|味の農園

ボカシ肥料は化成肥料とは異なり、速効性がありながらも土壌に悪影響を与えにくいメリットがあります。微生物の力を借りて植物にすぐに効く速効性の肥料にしたもので、有機物に微生物を添加したり、微生物が活発に活動しやすい環境を作り増殖させ、有機物の分解を進めます。化成肥料のように土が固くなったり、pH調整が必要になったりする問題が起こりにくいという特徴があります。

 

参考)化学肥料の代わりにボカシ肥料を検討中。実際の効果はどうなの?

ボカシ肥料の材料と配合割合

ボカシ肥料の材料には決まった配合はなく、米ぬか、油粕、魚粉、鶏糞などが使われ、材料の種類や分量により成分含有量を調整できます。基本的な配合例として、米ぬか3:油粕1:カキ殻石灰1の比率に、発酵促進剤と水を投入材料の1/10程度加える方法があります。

 

参考)米ぬかボカシ肥(ぼかし肥料)の作り方と必要材料

別の配合例では、米ぬか6:油かす3:魚粉2:有機石灰1:水2の容量比で作る方法が紹介されています。この配合で作られた保田ボカシの肥料成分は、チッソ全量が約2.7パーセント(うちアンモニア態チッソ0.07パーセント)と低めで、化成肥料よりも成分が少ない代わりに長く穏やかに効き目が持続します。材料を計量する際は容量比なのでスケールは不要で、ひしゃくやボウルなど作りたい量に応じた計量道具を用意すれば十分です。

 

参考)混ぜて袋に密封するだけで、簡単! 地力アップできる「ボカシ肥…

ボカシ肥料の作り方と発酵管理のポイント

ボカシ肥料作りでは、まず材料を必要分量だけ投入し、ジョウロで水を掛けながら手でしっかりと混ぜます。水分量の管理が最も重要で、手で握ると軽く固まる程度の水分含量40%程度が適切です。水分が多いと腐敗の原因となるため、コメヌカなどを追加して水分を調整することが推奨されます。

 

発酵方法には好気性発酵と嫌気性発酵があり、嫌気性発酵の場合は密閉した袋で保管し、途中で切り返す必要がありません。密封した袋は雨と直射日光の当たらない場所に保管し、発酵熱は出ずにずっと常温のまま発酵が進みます。完成の目安は、pHが5以下になることと甘酸っぱい匂いがすることです。発酵後は米袋などの紙袋に入れて保管し、ビニール袋は湿気でカビが生えるため避けるべきです。密閉状態が保たれていれば長期保存が可能で、適切に保管すれば1年は日持ちします。

 

ボカシ肥料による土壌改良と微生物活性化

ボカシ肥料を土作りのときに施すと、微生物が増殖し土壌の微生物のバランスが改善する効果があります。有機物は土壌の通気性や保水性の向上に寄与し、土の団粒構造を良好に保つ効果があります。また、微生物の活動を促進し、有益な土壌生物の生息環境を改善することで、自然な肥沃さが維持されます。

 

参考)ボカシ肥料がもたらす土壌改善のメリットとは?農業での活用

研究によると、ボカシ肥料に含まれる乳酸菌が生産する3-フェニル乳酸(PLA)という物質が根の成長を促進する効果を持つことが明らかになっています。この物質はトリプトファンと相乗効果を示し、植物の根系発達を助けます。土壌に施用された有機物は、土壌微生物や小動物の栄養源、エネルギー源になり、土壌生物性の改善に貢献します。植物の根と微生物には密接な関係があり、根圏の微生物がそれぞれの役割を担うことで共生関係が保たれています。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8215458/

ボカシ肥料の元肥・追肥としての使い方

ボカシ肥料は元肥としても追肥としても使用できます。元肥として使う場合は、畝に溝を切り、まず堆肥を投入してからボカシをまぶして土で埋める畝内施肥がおすすめです。元肥は苗の定植時や植え替えの際に用土の中に混ぜておく肥料で、植物の初期生育に必要な肥料分を供給し、生育を途切れさせないために必要不可欠なものです。

 

参考)肥料の種類とそれぞれの特徴をご紹介!使い方やまくタイミングも…

追肥として使う場合は、一般的な化成肥料の半分の量を目安に施し、土に混ぜ込むと一気に栄養分が供給されてしまうため注意が必要です。ボカシ肥料は速効性を兼ね備えているとともに窒素も多く含まれているため、使い方には注意が必要です。栽培期間が3〜4カ月のものであれば元肥のみで事足りる場合もあり、化成肥料を主体にしていた時と比べるとチッソの量を3分の2ほどに減らすことができます。

 

参考)ぼかし肥料とは|失敗しない作り方は?元肥や追肥での使い方や効…

元肥の場合は生育初期に株を成長させるためチッソが含まれている肥料を選び、追肥には開花前になったらリン酸などが多く含まれた肥料に変えることも検討すると良いでしょう。

ボカシ肥料導入による収穫量向上と病害虫抑制効果

ボカシ肥料の利用は、その栄養価が高いことから収穫量の増加とともに作物の品質向上に大きく寄与します。健康な作物は害虫や病気に強くなり、強い根をはり適切な栄養を吸収するため、結果的に作物の甘みや香り、色合いなどの品質面での改善が見込まれます。

現場の農家からは、土壌の柔軟性が増し、冷害や乾燥などに強い耐性がついたという声や、作物の病害虫の発生率が減少したため農薬の使用量を大きく削減できたという報告があります。実際に化成肥料を主体に施肥していた農家が、3年目から毎年新しい病気が発生するようになり殺菌剤なしにはうまく野菜が作れなくなったという経験も報告されています。ボカシ肥料は豊富なオーガニック成分が提供する栄養素による作物成長の促進、土壌環境の改善による長期的な地力アップなどの利点があります。

アミノ酸や糖などの植物が吸収しやすい形の栄養を与えられることと、善玉微生物を増やすことがボカシ肥料の主な効果です。

保田ボカシの詳しい作り方と効果について(マイナビ農業)
嫌気性発酵によるボカシ肥料の詳しい作り方(農家web)
微生物と土作り・土壌改良の詳しい関係(農家web)

 

 


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