作物から5m未満にトラップ設置すると害虫を畑に集めて被害拡大
フェロモントラップとは、害虫のオスをメスが発するフェロモンの匂いで引き寄せて捕獲する仕掛けです。蛾の成虫数を減らすことで、畑に産み付けられる卵の量を抑制し、結果的に幼虫による食害を防ぐことができます。市販品を購入する方法もありますが、ペットボトルを使えば自分で簡単に作ることが可能です。
この方法の最大のメリットは、農薬の散布回数を大幅に減らせることです。化学農薬に頼らず害虫密度を下げられるため、環境にも優しく、作業の省力化にもつながります。さらに、トラップに捕獲された成虫の数から産卵時期を予測できるため、本当に必要な時だけ防除対策を実施できるのです。
フェロモントラップが効果を発揮するのは、主にハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、コナガといったチョウ目害虫です。これらの害虫は野菜の葉や果実を食害し、農作物に深刻な被害をもたらします。特にハスモンヨトウは1本のトラップで一晩に300匹近く捕獲できることもあり、その効果の高さが実証されています。
自作トラップの材料費は約1000円程度で、市販品と比べて圧倒的に安価です。大規模な圃場で複数設置する場合、この差額は無視できません。
つまり経済的負担が軽いということですね。
また、効果は約2ヶ月間持続するため、梅雨明けから夏場の害虫発生ピーク時に設置すれば、その期間中ずっと防除効果が期待できます。
ただし、フェロモントラップは万能ではありません。すべての害虫を完全に捕獲することは不可能ですし、設置場所を間違えると逆に害虫を畑に呼び寄せてしまうリスクもあります。正しい知識と設置方法を理解した上で活用することが、成功への鍵となるのです。
ペットボトルでフェロモントラップを作る際に必要な材料は、驚くほどシンプルです。まず用意するのは1.5リットルの柔らかいタイプのペットボトルです。硬いタイプより柔らかいタイプの方が加工しやすく、切り込みを入れた部分を内側に折り込む作業がスムーズに進みます。
次に必要なのがフェロモン剤です。これは市販されているもので、対象害虫に応じた種類を選ぶ必要があります。ハスモンヨトウ用、オオタバコガ用など、害虫ごとに専用のフェロモン剤が販売されています。1個あたり数百円から購入でき、農業資材店やインターネット通販で入手できます。
その他の材料として、針金またはボルトとロックナット、輪ゴム、ビニール袋が必要です。針金はフェロモン剤を固定するために使用し、太すぎず細すぎない直径2ミリ程度が扱いやすいでしょう。ビニール袋は捕獲した害虫を収集するためのもので、透明なものを使うと中の様子が確認しやすくなります。
作業に使う道具はカッター、はさみ、マジックペン、そしてキリや画びょうといった穴あけ道具です。カッターはペットボトルに切り込みを入れる際に使い、安全のために刃先が出すぎないよう注意が必要です。キリはフェロモン剤を固定する部分に小さな穴を開けるために使用します。
トラップ内部に入れる水と中性洗剤も忘れてはいけません。容器の下部に水を約1リットル入れ、そこに中性洗剤を1~2滴加えます。中性洗剤は水の表面張力を弱めて、侵入した害虫が水から這い上がれないようにする役割を果たします。これがないと、せっかく誘引した害虫が再び外に出てしまう可能性があるのです。
設置用の支柱や吊り下げ用のひもも準備しましょう。トラップは地上1~1.5メートルの高さに固定する必要があるため、農業用の支柱や竹竿、丈夫なひもなどが適しています。設置場所によっては、樹木の枝に直接吊るすこともできますが、風で大きく揺れないよう安定させることが重要です。
ペットボトルトラップの製作は、まずキャップ部分の切断から始めます。1.5リットルペットボトルのキャップから約9センチ下の位置にマジックで印をつけ、カッターで水平に切断します。この上部がフェロモン剤を設置する部分になるため、切り口はできるだけ真っすぐに切ることが大切です。
次に害虫の侵入口を作ります。ペットボトルの側面、キャップ上端から約10センチの位置に、向かい合う2箇所または4箇所にH型の切り込みを入れます。切り込みのサイズは縦3センチ、横2センチ程度が適切です。このH型切り込みの上半分を外側に折り曲げて雨除けにし、下半分を内側に折り込むと、害虫が入りやすく出にくい構造になります。
切り込みを内側に折り込む理由が重要です。内側に折り込まれた部分が、侵入した害虫が外に出ようとする際の障害物になります。一度入ったら出口が見つからず、やがて下の水槽部分に落ちる仕組みです。折り込みが甘いと効果が半減するので、しっかりと折り目をつけましょう。
フェロモン剤の固定部分を作成します。最初に切り取った上部の中央に、キリや画びょうで小さな穴を複数開けます。この穴からフェロモンが徐々に放出される仕組みです。フェロモン剤本体を針金またはボルトで固定し、ペットボトルのキャップ部分に取り付けます。フェロモン剤は直射日光を避けるため、上部を下向きにして設置することもあります。
底部にビニール袋を取り付けます。ペットボトルの底から約10センチの部分を切り取り、その切り口にビニール袋を輪ゴムで固定します。このビニール袋が捕獲した害虫を回収する容器になります。透明なビニール袋を使うと、外から捕獲数を確認できて便利です。
最後に水と中性洗剤を入れて完成です。ビニール袋の中、またはペットボトル本体の下部に水を約1リットル入れ、食器用中性洗剤を1~2滴垂らします。洗剤の量が多すぎると泡立って効果が落ちるので、本当に1~2滴で十分です。吊り下げ用のひもを取り付ければ、トラップの完成となります。
フェロモントラップの効果を最大限に引き出すには、設置場所の選定が極めて重要です。最も守らなければならないルールは、作物から5メートル以上離すことです。トラップを畑の中や作物のすぐそばに設置してしまうと、フェロモンに誘引された大量の害虫を畑に呼び込んでしまい、かえって被害が拡大します。これは初心者が最もやってしまいがちな失敗です。
設置する方向も重要で、必ず畑の風上側に配置します。フェロモンの匂いは風に乗って拡散するため、風上に設置することで、畑の中にいた害虫がフェロモンを感知してトラップの方向に移動していきます。風下に設置すると、外部から飛来した害虫が畑を通過してからトラップに到達するため、その途中で作物に産卵されるリスクが高まります。
地上からの高さは1メートルから1.5メートルが標準です。圃場内では作物よりも高い位置に設置することで、フェロモンが広範囲に拡散しやすくなります。低すぎると地面の障害物に阻まれて効果が落ち、高すぎると風の影響を受けすぎて安定しません。ちょうど人間の胸から頭の高さくらいが目安ですね。
夜間照明がない場所を選ぶことも大切です。蛾は光に引き寄せられる習性があり、近くに街灯や作業灯があると、フェロモンよりも光に反応してしまいます。そうなると行動が攪乱され、トラップへの誘引効果が大きく低下します。できるだけ暗い場所、具体的には外灯から10メートル以上離れた位置が理想的です。
設置密度の目安は、1ヘクタールあたり2~4台です。広い圃場では複数のトラップを50~100メートル間隔で配置し、圃場の周辺部に設置します。トラップの誘引範囲は半径60メートル前後とされているため、この間隔であれば圃場全体をカバーできる計算になります。
複数種類のフェロモントラップを同時に使用する場合は、トラップ同士を最低でも10メートル以上離す必要があります。異なる害虫のフェロモン成分が干渉し合うと、どちらの誘引効果も低下してしまうからです。たとえばハスモンヨトウ用とオオタバコガ用を同じ場所に設置すると、両方とも中途半端な効果しか得られません。
地形的な条件も考慮しましょう。無風状態やこれに近い場合、斜面地、強風地帯では誘引効果が出にくくなります。フェロモンは空気より重く、風で広がる性質があるため、適度な風通しのある平坦な場所が最適です。谷間や建物に囲まれた場所は避けた方が無難でしょう。
フェロモントラップで捕獲できる主要な害虫の筆頭がハスモンヨトウです。この害虫はナス科、マメ科、アブラナ科など幅広い作物を加害し、成虫は茶褐色の蛾で翅を広げると約4センチになります。幼虫は緑色から黒褐色で、成長すると体長4~5センチに達し、夜間に葉を食害します。一晩で大量の葉を食べ尽くすため、発見が遅れると甚大な被害につながります。
オオタバコガは、トマト、ナス、ピーマンなどの果菜類に深刻な被害をもたらす害虫です。成虫は黄褐色から灰褐色の蛾で、翅を広げると約3.5センチ程度です。幼虫は果実の中に潜り込んで食害するため、外見からは被害が分かりにくく、収穫時になって初めて被害に気づくこともあります。フェロモントラップによる発生予察が特に重要な害虫といえます。
シロイチモジヨトウは、ハスモンヨトウと似た生態を持ちますが、やや小型で成虫の翅には白い一文字の模様があることが特徴です。野菜類、特にネギやキャベツに多く発生し、幼虫期には集団で葉を食害します。ハスモンヨトウよりも発生時期が早い傾向があり、春から初夏にかけての防除が重要です。
コナガはアブラナ科作物の重要害虫で、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイなどに発生します。成虫は灰褐色の小型の蛾で、翅を広げても1センチ程度と非常に小さいのが特徴です。幼虫は淡緑色で体長1センチ以下と小さいものの、葉の表皮を残して内部を食べる独特の食害痕を残します。世代交代が早く、年間10世代以上繰り返すため、継続的な防除が必要です。
これらの害虫を見分けるポイントは、まず成虫の大きさと色です。ハスモンヨトウとオオタバコガは比較的大型で茶色系、シロイチモジヨトウは中型で白い模様が特徴、コナガは小型で灰色という具合に、目視でもある程度区別できます。複数種を同時に誘引したい場合は、それぞれに対応したフェロモン剤を別々のトラップに設置することが基本です。
フェロモン剤の効果期間は約1ヶ月が標準です。市販のフェロモン剤の多くは、設置後30日前後で誘引効果が顕著に低下し始めます。この時期を過ぎると、トラップに誘引される害虫の数が目に見えて減少するため、1ヶ月を目安に新しいフェロモン剤と交換する必要があります。
製品によっては効果持続期間が異なり、一部の高性能なフェロモン剤は1.5~2ヶ月程度効果が続くものもあります。ただし、真夏の高温期には揮発が早まり、設計された持続期間よりも短くなることがあります。気温が30度を超える日が続く場合は、通常より早めの交換を検討した方が確実です。
交換のタイミングを判断する具体的な指標は、捕獲数の推移です。設置直後は多くの害虫が捕獲されていたのに、急に捕獲数がゼロに近くなった場合、フェロモン剤の効果が切れている可能性が高いといえます。一方、もともと害虫密度が低い時期は捕獲数も少ないため、周辺の他のトラップの状況と比較して判断することが重要です。
トラップ本体の水と中性洗剤は、フェロモン剤よりも頻繁に交換が必要です。捕獲した害虫の死骸が溜まったり、雨水で希釈されたりするため、2週間に1回程度は水を入れ替えるのが理想的です。水が濁ったり悪臭がしたりする場合は、すぐに新しい水に交換しましょう。
粘着シートタイプのトラップを使用している場合は、シートの粘着力が失われたら交換のタイミングです。害虫が大量に捕獲されてシート表面が覆われたり、埃や雨で粘着面が汚れたりすると効果が落ちます。通常は2週間から1ヶ月程度で交換が必要になりますが、捕獲数が多い場合はもっと早く交換することになります。
交換したフェロモン剤や捕獲した害虫は、適切に処分することが大切です。使用済みのフェロモン剤は、まだ微量の成分が残っているため、畑の近くに放置すると害虫を引き寄せる原因になります。ビニール袋に密閉して一般ゴミとして処分するか、自治体の指示に従って廃棄しましょう。効果が切れたからといって、その場に放置するのは絶対に避けるべきです。
季節による交換頻度の調整も考慮に入れましょう。害虫の発生が多い梅雨明けから9月頃は、こまめな点検と交換が必要です。逆に冬季など害虫の活動が低下する時期は、トラップ自体を撤去して保管し、翌シーズンに備えるという管理方法もあります。
最も多い失敗は、作物に近すぎる場所への設置です。「害虫をたくさん捕まえたいから作物のそばに」という発想で畑の真ん中にトラップを設置してしまうと、周辺から害虫を呼び寄せる結果になります。実際に、適切な距離を守らなかったために、設置前よりも被害が増えたという報告もあります。必ず5メートル以上、できれば10メートル離すことが鉄則です。
風向きを考慮しない設置も典型的な失敗例です。風下にトラップを設置すると、フェロモンの匂いが畑の方向に流れず、外部からの飛来害虫を畑の手前で捕獲できません。その地域の卓越風向を把握し、季節によって風向きが変わる場合は、それに応じてトラップの位置を調整する柔軟性が求められます。
複数種類のトラップを近接して設置するのも避けるべきです。ハスモンヨトウ用とオオタバコガ用のフェロモン剤を同じ支柱に設置したところ、両方とも捕獲効果が半減したという事例があります。異なる種類のフェロモン成分が互いに干渉し合うため、最低でも10メートル、できれば20メートル以上離して設置する必要があります。
水と中性洗剤の管理を怠ることも失敗につながります。水を入れ忘れたり、洗剤を入れなかったりすると、侵入した害虫が再び脱出してしまいます。逆に洗剤を入れすぎて泡だらけになると、フェロモンの拡散が妨げられたり、トラップ内部の構造が見えにくくなったりします。
適量は本当に1~2滴だけです。
設置高さが不適切なケースもよく見られます。地面すれすれに置いたり、逆に3メートル以上の高所に設置したりすると、効果が大きく低下します。1~1.5メートルという高さは、害虫の飛翔高度とフェロモンの拡散特性を考慮した科学的根拠に基づいています。
交換時期を過ぎても放置し続けるのも問題です。効果が切れたフェロモン剤を設置したままにしても、害虫は誘引されません。それどころか、「トラップがあるから大丈夫」という安心感から、他の防除対策を怠ってしまい、気づいたときには害虫が大発生していたという事態も起こり得ます。
夜間照明の近くに設置してしまうケースも多く報告されています。作業灯や外灯の近くは作業の便宜上設置しやすいのですが、蛾は光に強く引き寄せられるため、フェロモンの効果が大幅に低下します。明かりのない場所を選ぶのが難しい場合は、照明から最低でも15メートル以上離すようにしましょう。
これらの失敗を避けるためには、設置前に必ず周辺環境を観察し、風向き、作物との距離、照明の有無、地形などを総合的に判断することが重要です。一度設置したら終わりではなく、定期的に点検して効果を確認し、必要に応じて位置を調整する姿勢が、フェロモントラップを成功させる秘訣なのです。

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