ナス科野菜(トマト、ナス、ジャガイモなど)を食べた直後に、唇や舌、喉の奥がイガイガしたり、痒くなったりする症状は、口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれます。これは、特定の花粉症を持っている人が、その花粉と似たタンパク質構造を持つ野菜や果物を食べたときに起こる交差反応が原因であることが多いです。
参考)果物・野菜アレルギー:一覧(2025)
これらの症状は通常、口の中や喉に限局されますが、稀にじんましんや腹痛、呼吸困難などの全身症状(アナフィラキシー)に進行することもあるため注意が必要です。
参考)知っておきたい果物・野菜アレルギーの症状、原因、対策まで
交差反応とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)の構造が似ているために、異なる物質に対しても免疫システムが「敵だ」と誤認して攻撃してしまう現象です。ナス科野菜の中でも、特にトマトとジャガイモは報告例が多く、注意が必要です。
参考)春の花粉症と食物アレルギー
食物アレルギーの症状と分類(なすのがはらクリニック)
リンク先では、食物アレルギーの具体的な症状や、花粉症との関連性について専門的な解説がなされています。
食べるだけでなく、農作業や家庭菜園でナス科の植物に「触れる」ことでもアレルギー症状や皮膚炎が起こることがあります。これは一般的な検索ではあまり出てこない、生産者や調理従事者特有の視点です。
農業従事者は、長袖や手袋を着用して直接植物体に触れないようにする対策が必須です。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/miyagi_yasai18_10.pdf
手湿疹診療ガイドライン(日本皮膚科学会)
リンク先では、野菜や植物による接触皮膚炎や手湿疹の原因、治療法について詳細なガイドラインが示されています。
ナス科野菜を食べたときに痒みを感じても、それが必ずしもIgE抗体を介した「真のアレルギー」とは限りません。ナス、トマト、ホウレンソウなどの野菜には、ヒスタミンやアセチルコリンといった化学物質が含まれており、これらが直接体に作用してアレルギーのような症状を引き起こすことがあります。これを仮性アレルゲンと呼びます。
参考)よくあるご質問:食物アレルギーのはなし
ナス科アレルギー、特に口腔アレルギー症候群(OAS)の原因となるタンパク質は、熱に弱いという特徴を持つことが多いです。そのため、生のトマトでは口が痒くなる人でも、加熱したトマトソースや煮込み料理なら問題なく食べられるケースがよくあります。