アレルゲン28品目は、食品表示法に基づき定められた食物アレルギー表示の対象品目です。これらは発症頻度や症状の重篤度によって「特定原材料(義務表示8品目)」と「特定原材料に準ずるもの(推奨表示20品目)」に分類されています。
参考)アレルゲン28品目とは?表示が必要な原材料を一覧で紹介
特定原材料として表示が義務付けられている8品目は、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)です。これらの品目は、発症例が多く重篤化しやすいため、容器包装された加工食品に微量(数μg/mlまたは数μg/g以上)でも含まれる場合は必ず表示しなければなりません。
参考)加工食品のアレルギー表示|食物アレルギー研究会
特定原材料に準ずるものとして表示が推奨されている20品目は、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、ごま、バナナ、マカダミアナッツです。これらは発症例があるものの重症化の頻度が比較的低く、事業者の自主的な対応として表示が求められています。
参考)「くるみ」の食物アレルギー表示が義務化されました|尼崎市公式…
食品関連事業者向けアレルゲン28品目の詳細解説(一般社団法人食品衛生管理研修センター)
なお、令和6年3月28日の改正により、まつたけが推奨表示から削除され、マカダミアナッツが新たに追加されました。また、令和5年3月にくるみが特定原材料に追加され、令和7年(2025年)4月1日から完全施行されています。
| 区分 | 品目数 | 表示の性質 | 対象品目 |
|---|---|---|---|
| 特定原材料 | 8品目 | 義務表示(法令) | えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生 |
| 特定原材料に準ずるもの | 20品目 | 推奨表示(任意) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、ごま、バナナ、マカダミアナッツ |
食品表示法では、容器包装された加工食品にアレルゲンが含まれる場合、その表示が義務付けられています。原則として、個々の原材料や添加物ごとにアレルゲンを表示する「個別表示」が推奨されており、原材料名の直後に「(○○を含む)」と記載する方法です。
参考)アレルギー物質の表示とは|アレルギー表示|知って!食物アレル…
一方、表示欄が小さい場合など個別表示により難い状況では、原材料名欄の最後にまとめて「(一部に○○・△△を含む)」と表記する「一括表示」も認められています。ただし一括表示では、どの原材料にどのアレルゲンが含まれているか個別に確認できないという欠点があります。
参考)ルール1 一括表示には含まれているすべてのアレルゲ…
添加物の場合は、「(○○由来)」と表示する点が原材料とは異なります。また、同一の特定原材料等が複数の原材料に含まれている場合、そのうちいずれかに表示すれば、それ以外の原材料のアレルゲン表示は省略できる規定もあります。
参考)食品表示(衛生事項:アレルゲン、添加物等)について - 福山…
表示義務が免除されるケースとして、店頭での対面販売品や外食料理、運搬容器への表示、食品中に含まれる特定原材料等の総タンパク量が数μg/ml濃度レベル又は数μg/g含有レベルに満たない場合などがあります。特に農産物直売所などで対面販売する場合は表示義務がないため、農業従事者は販売形態によって対応を変える必要があります。
参考)アレルゲン物質の表示|Table for All 食物アレル…
消費者向けアレルギー表示の基礎知識(認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク)
農産物を加工食品として製造・販売する農業従事者にとって、アレルゲン管理は食品安全の基本です。アレルゲン管理の第一歩は、製造施設で使用される原材料の正確な調査から始まります。取引先から原材料規格書を取得し、食物アレルゲンの特定および含有量についての情報を把握することが必須です。
参考)基本中の基本! 食品製造業における食物アレルゲン管理のポイン…
原材料の保管段階では、アレルゲンを含む原材料と含まない原材料を明確に分けて保管する「分別管理」が効果的です。これにより異なる原材料間でのコンタミネーション(意図しない混入)のリスクを減少させることができます。農産物直売所などでアレルゲン食材を取り扱う場合は、販売台を分けたり他の食品に付着させないよう注意が必要です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000604216.pdf
製造工程においても、アレルゲンを含む製品専用の製造ラインを設置し、物理的な分離により交差汚染を防止することが理想的です。予算制約がある場合は、時間帯による分離製造も有効な手段となります。また、原材料の受け入れから製品出荷まで、各工程におけるアレルゲン混入リスクを定量的に評価し、優先的に対策すべき工程を明確化することが重要です。
参考)食品工場アレルゲン管理の課題とは?記録効率化で事故を防ぐ実践…
サプライヤーとの連携強化も不可欠です。仕入先でのアレルゲン管理状況(アレルゲンの把握方法、交差接触防止対策等)を資料要求や監査により調査し、原材料規格書等の記載に間違いがないか確認することで、信頼できるサプライチェーンを構築できます。
参考)https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/k_shokuhin/eakon/f3ce2314e08ff07575677322e7381e52.pdf
食品製造業における食物アレルゲン管理の実践ガイド(森永乳業株式会社)
原材料として使用していなくても、食品の製造工程で特定原材料等が意図せず混入すること(コンタミネーション)を完全に排除できない場合があります。このような状況では、消費者庁により「注意喚起表示」をすることが促されています。
参考)アレルゲンを含む食品の表示|名古屋市公式ウェブサイト
注意喚起表示は、原材料表示の欄外に「本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています」や「卵を使用した設備で製造しています」といった形式で記載されます。ただし、「入っているかもしれません」といった可能性表示は認められていません。
参考)加工食品のアレルギー表示|食物アレルギー研究会
コンタミネーションが発生する典型的な状況として、同一製造ラインの使用による混入や、原材料の採取方法による混入があります。例えば「本製品に使用しているしらすは、かにの混ざる漁法で採取しています」といった表示がこれに該当します。
参考)https://kururan.jp/html/page4.html
注意喚起表示には表示義務はありませんが、アレルギーを持つ消費者の安全を守るため、事業者の自主的な判断で表示することが推奨されています。農産物加工に携わる農業従事者も、製造環境や原材料調達の実態を正確に把握し、適切な注意喚起表示を行うことで消費者への情報提供責任を果たせます。
日本のアレルギー表示制度は、平成14年(2002年)4月に食品衛生法関連法令の改正により開始されました。当初は特定原材料5品目(卵、乳、小麦、そば、落花生)からスタートし、その後段階的に品目が追加されてきました。
参考)https://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/shitte_okitai3.pdf
平成20年(2008年)にはえび・かにが特定原材料に追加され7品目となりました。平成21年(2009年)には消費者庁が設置され、以後その管轄となりました。平成25年(2013年)9月には特定原材料に準ずるものにカシューナッツとごまが追加され、令和元年(2019年)9月にはアーモンドが特定原材料に準ずるものに追加されました。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/832cde793c4bdfc5592b3f599a5dc665ed342ef0
最も大きな変更は令和5年(2023年)3月で、くるみによる食物アレルギーの症例数増加を踏まえ、くるみが特定原材料(義務表示)に追加されました。この改正には2年間の経過措置期間が設けられ、2025年4月1日から完全施行されています。くるみは非常に多くの加工食品に含まれているため、農産物加工に関わる事業者への影響は大きいと言えます。
参考)くるみのアレルギー表示義務化について │ くるみのアレルギー…
さらに令和6年(2024年)3月28日には、特定原材料に準ずるものにマカダミアナッツが新たに追加され、まつたけが削除されました。これにより現在の品目構成は、特定原材料8品目と特定原材料に準ずるもの20品目の計28品目となっています。
消費者庁は継続してアレルギー表示対象品目の調査・研究を進めており、今後も食物アレルギーの実態に応じた見直しが行われる可能性があります。農業従事者としては、最新の法改正情報を定期的に確認し、適切な表示対応を行うことが求められます。
参考)アレルギー表示の対象は27品目|トピックス|46号|WEB版…
農業従事者が加工食品を製造・販売する際、原材料段階からのアレルゲン管理が重要です。全ての農産物取扱い施設においてアレルゲン管理計画を整備し、アレルゲンとの交差接触のリスク評価と交差接触の低減または排除する対策を講じる必要があります。
参考)②a 17.9 アレルゲン管理 : すてきな農業のスタイル
HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理では、アレルゲンを化学的危害要因として位置づけ、各工程でのアレルゲン管理ポイントを設定します。農産物直売所における衛生管理では、使用した食材に特定原材料が含まれている場合、ラベルに表示する必要があります。
原材料の正確な把握は、食物アレルゲンの管理および適正な食品表示を実現するための基本です。製造者段階でアレルゲンに関する知識が十分に普及していない場合や、複雑な加工原料には様々な形でアレルゲン関連食品が使用されている場合があり、一定の知識の上にたってもなお把握が難しいケースが存在します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0301-3.html
サプライヤーとの情報伝達フローの改善も不可欠です。原料成分の変更情報が適切に伝達されないと、予期しないアレルゲン混入が発生する可能性があります。代替原材料選定基準を明確にし、調達担当者が無意識にアレルゲンを含む原料を選択してしまうリスクを回避することも重要です。
GAP(農業生産工程管理)の枠組みでは、農場で起こり得るリスクの危害要因を特定し、それらの対策を実行、記録、点検することで、問題を継続的に改善していくアプローチが有効です。これにより、「農場から食卓まで」のトレーサビリティを確保し、消費者の信頼を獲得できます。
参考)GAP(農業生産工程管理)で食の安全を確保しよう!
共同利用加工施設の衛生管理ガイド(農林水産省関連資料)

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