ワタアブラムシ駆除方法と効果的な薬剤選び

ワタアブラムシは多くの作物に被害をもたらす重要害虫です。薬剤抵抗性の発達や天敵への影響など、駆除には正しい知識が不可欠です。効果的な防除方法と薬剤の使い分けを知っていますか?

ワタアブラムシ駆除の方法と対策

よく効く殺虫剤を何度も散布すると逆にワタアブラムシが増える可能性がある


この記事の3つのポイント
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薬剤抵抗性の実態

ピレスロイド剤や有機リン剤の散布により天敵が減少し、ワタアブラムシが増加する事例が全国で報告されています

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効果的な薬剤選び

ネオニコチノイド剤抵抗性が発達した地域では、フロニカミドやトルフェンピラドなどの代替薬剤が有効です

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総合的な防除体系

化学的防除・生物的防除・物理的防除を組み合わせた総合的な対策で持続可能な防除を実現できます


ワタアブラムシの生態と発生時期


ワタアブラムシは体長1.2mm程度の小型アブラムシで、体色は黒から緑、黄白色まで変異に富んでいます。この害虫は野菜、果樹、花卉など116科912種にものぼる広範な寄主植物に寄生する広食性の害虫です。キュウリメロンピーマン、ナス、サトイモ、イチゴなど多くの農作物が被害を受けます。


発生時期は春から秋にかけてで、特に3月から6月、そして9月から10月が発生のピークです。暖冬では発生量が多くなり、増殖時期も早まる傾向があります。発育が非常に速く、春と秋では10〜15日で成虫になりますが、盛夏期には5〜7日で成虫に達し、年に10世代以上を繰り返します。


つまり非常に速いペースです。


この害虫の越冬形態は多様で、卵での越冬はムクゲやクロウメモドキなどの木本植物で行われます。一方、成虫と幼虫での越冬はイヌノフグリ類、ナズナ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなどの雑草で行われ、これらが春の発生源となります。春先の気温上昇に伴って増殖を始めるため、早期発見が防除の鍵となります。


ワタアブラムシは成虫・幼虫が葉や茎に寄生して吸汁し、葉巻き、葉の萎縮、発育阻害を引き起こします。高密度発生時には排泄物(甘露)にすす病が発生し、大きな被害が出ます。さらに深刻なのは、キュウリモザイク病をはじめとする多数のウイルス病を媒介することです。


ウイルス病は治療できません。


そのため、ワタアブラムシの防除は単に吸汁害を防ぐだけでなく、ウイルス病の蔓延を防ぐ意味でも極めて重要です。


ワタアブラムシに効く農薬の種類と使い分け

ワタアブラムシの薬剤抵抗性は1980年代から問題となり始め、現在では複雑な様相を呈しています。まず、有機リン剤とカーバメート剤に対する抵抗性が顕在化し、1989年にはピレスロイド剤に対する感受性低下が確認されました。その後、ネオニコチノイド剤の登場により防除は比較的容易になりましたが、2012年以降、宮崎県や大分県でネオニコチノイド剤の効力が著しく低下したワタアブラムシが発生しました。


この抵抗性は作用点変異によるもので、使用開始後20年以上を経過して顕在化しました。和歌山県、愛媛県、福島県など各地で同様の問題が報告されており、今後も全国的な拡大が懸念されています。ネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシに対しては、代替薬剤への切り替えが必須です。


効果的な代替薬剤としては、フロニカミド(IRAC分類29)とトルフェンピラド(同21A)が極めて有効であることが確認されています。これらの薬剤は抵抗性系統に対しても補正死虫率96〜100%と高い効果を示します。ピリジンアゾメチン誘導体のピメトロジンやピリフルキナゾン(同9B)も有効です。


結論は代替薬剤の活用です。


興味深いのは、ネオニコチノイド剤の中でもシアノ基タイプのアセタミプリドとチアクロプリドは、抵抗性系統に対しても比較的高い効果を維持していることです。これはニトロ基タイプのイミダクロプリドジノテフランとは作用機序が若干異なるためで、抵抗性対策として有用です。


薬剤のローテーション散布も重要な対策となります。同一系統の薬剤を連用すると抵抗性の発達を加速させるため、作用機序の異なる薬剤を組み合わせて使用します。定植時の粒剤処理にはアセタミプリド粒剤やスピロテトラマト(同23)を使用し、生育期にはフロニカミドやピリフルキナゾンなどを散布する体系が推奨されます。


農研機構の薬剤抵抗性管理ガイドラインでは、ワタアブラムシの抵抗性リスクレベルに応じた防除体系が詳しく解説されています。


ワタアブラムシ駆除で注意すべき薬剤の選択

ワタアブラムシの駆除で最も注意すべきなのは、一部の殺虫剤が天敵を減少させ、結果的にワタアブラムシを増加させる逆効果を招くことです。合成ピレスロイド剤や有機リン剤は、ワタアブラムシが既に抵抗性を獲得している上に、これらの薬剤散布により天敵昆虫が死滅します。天敵が消えた圃場では、ワタアブラムシが爆発的に増殖する事態が全国各地で報告されています。


天敵昆虫には、テントウムシ類(ナナホシテントウ、ナミテントウ、ヒメカメノコテントウ)、寄生蜂類(コレマンアブラバチ、ナケルクロアブラバチ)、ヒラタアブ類クサカゲロウ類などがいます。これらの天敵は、成虫1頭が1日に100匹ものアブラムシを捕食するものもあり、自然界における重要な防除力となっています。


この防除力は無料です。


生物的防除を積極的に取り入れた防除体系では、非選択性薬剤である有機リン剤、ピレスロイド剤、カーバメート剤の使用を控える必要があります。天敵への影響が少ない選択性薬剤としては、フロニカミド、ピメトロジン、ピリフルキナゾンなどが推奨されます。これらは害虫に効く一方で、天敵への悪影響が少ないため、総合的病害虫管理(IPM)に適しています。


大分県の夏秋ピーマン栽培では、コレマンアブラバチとヒメカメノコテントウをリレー使用することで高い防除効果が得られています。具体的には、生育初期にコレマンアブラバチを放飼し、その後ヒメカメノコテントウに切り替える方法です。この体系により、殺虫剤散布回数を大幅に削減できます。


バンカー法も効果的な生物的防除法です。栽培が容易なイネ科植物(オオムギなど)を栽培し、そこで土着寄生蜂の餌となるアブラムシ(トウモロコシアブラムシなど)を増殖させることで、ワタアブラムシの防除に土着天敵を活用します。


バンカー植物が供給源となります。


この方法は施設栽培で特に有効で、10a規模の生産圃場での成功事例が多数報告されています。


ワタアブラムシの無農薬駆除方法

農薬での防除方法は、発生初期の物理的駆除が基本となります。アブラムシの発生数が少ない段階では、手で取り除いたり、指先ではじいて落とす方法が効果的です。または、ホースの水流で洗い流すこともできます。水圧は葉を傷めない程度に調整し、葉の裏側にも丁寧に水を当てるのがコツです。


粘着テープを使った駆除も初期段階では有用です。テープの粘着面を葉に軽く押し当て、アブラムシを捕獲します。葉を傷めないよう注意しながら、密集している箇所に試すと効果的です。ただし、この方法は発生が広がる前の対処法です。


物理的防除資材としては、防虫ネットによる侵入防止が効果的です。ワタアブラムシに使用する防虫ネットの目合いは0.8mm以下が推奨され、0.4mmでは97〜100%の個体の侵入を防止できます。できるだけ小さい目合いを選択することが望ましいですが、目合いが細かいほど通気性が悪くなるため、換気とのバランスを考慮します。


光反射シートも有効な物理的防除手段です。アブラムシ類は黄色や銀色に誘引される性質があるため、シルバーマルチや反射シートを圃場に敷くことで飛来を抑制できます。施設栽培では近紫外線除去フィルムを使用することで、アブラムシの侵入や増殖を抑制する技術も確立されています。


これらは設置が簡単です。


施設密閉高温処理は、夏季に栽培するピーマンなどで有効な方法です。晴天日にビニルハウスのすべての開口部を閉め、地上高150cmの気温が46〜50℃に達するまで(または30分経過するまで)ハウス内の温度を上昇させます。その後すぐに開口部を開けて換気し、常温に戻します。この処理により、ワタアブラムシの密度を大幅に抑制できます。


牛乳スプレーや石鹸水スプレーなど、家庭でも作れる天然素材のスプレーも駆除に利用できます。牛乳の原液または水で薄めたものを霧吹きで吹きかけると、牛乳の膜でアブラムシが窒息します。ただし、牛乳が乾燥した後は水で洗い流さないと、カビやニオイの原因になる点に注意が必要です。


効果は限定的ですね。


ワタアブラムシ駆除の早期発見と予防対策

ワタアブラムシの防除で最も重要なのは、発生初期の早期発見と早期対応です。アブラムシは増殖が極めて速く、気づいた時には大量発生していることが多いため、定期的なモニタリングが不可欠です。黄色水盤トラップを圃場に設置し、有翅虫の飛来を監視することで、発生初期の段階で察知できます。


黄色水盤による調査は、ワタアブラムシの発生ピークである春(3〜6月)または秋(9〜10月)に実施します。トラップは3日に一度交換し、捕獲された個体を保存して遺伝子診断や生物検定に供試することで、薬剤抵抗性のリスクレベルを判定できます。1地点あたり累計20個体以上の採集が目安です。


圃場での観察では、葉の裏側を重点的にチェックします。ワタアブラムシは葉裏に寄生することが多く、表側からは発見しにくいためです。新芽や若い葉、茎の柔らかい部分も注意深く観察します。葉が黒ずんだり、新梢が縮れている場合は、すでにアブラムシが寄生している可能性が高いです。


予防対策としては、圃場周辺の雑草管理が重要です。ホトケノザ、オオイヌノフグリ、オランダミミナグサ、オニタビラコ、ハハコグサ、ナズナなどの雑草でワタアブラムシが越冬することが確認されています。これらの雑草を圃場周辺で管理することで、春の発生源を減らせます。


雑草管理が基本です。


栽培管理では、植物の株間を適切に保ち、風通しを良くすることがアブラムシの発生抑制につながります。密植状態では湿度が高まり、アブラムシが繁殖しやすい環境になります。また、窒素肥料の過剰施用は植物体を軟弱にし、アブラムシの寄生を助長するため、適切な施肥管理も予防に効果的です。


持続可能な防除体系の構築には、「入れない、増やさない、出さない」という3つの原則に基づいた総合的アプローチが必要です。防虫ネットなどで侵入を防ぎ、早期発見・早期防除で増殖を抑え、発生圃場からの拡散を防ぐことで、地域全体での防除効果を高めることができます。


地域での取り組みが鍵です。


薬剤抵抗性管理の観点からは、単為生殖により増殖するワタアブラムシでは、作付期間中の交雑による感受性回復が期待できません。そのため、一度抵抗性が発達した圃場では、ネオニコチノイド剤の使用を極力控え、代替防除手段を積極的に採用する必要があります。


農家webのワタアブラムシ駆除ガイドでは、最新の防除技術と農薬情報が詳しく紹介されています。


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