あなたの畑にヒメカメノコテントウが多いと農薬コストが上がることがあります。
ヒメカメノコテントウ(体長約6mm)は、アブラムシを食べる益虫として知られています。見た目は可愛らしく、古くから「幸運の虫」として農家の間でも親しまれてきました。日本では約120種のテントウムシの中でも、特に黒地に赤い星が2つあるこの種は縁起が良いとされています。
しかし、その可愛らしさに油断は禁物です。幸運の象徴と言われる一方で、管理を誤れば畑の生態バランスを崩します。
つまり、単なる「縁起もの」ではないのです。
自然農法を志す農家の方の多くは、この虫を“無条件の味方”と思いがちですね。実際は、ヒメカメノコテントウが活躍する環境条件が極めて限定的です。温度が20~28℃、湿度60%前後で最も活発になります。
この条件を外すと、捕食効率が落ちて、アブラムシがむしろ増えてしまうケースもあります。
結論は、幸運の虫も環境次第ということです。
多くの農家が「ヒメカメノコテントウがいるなら害虫は減る」と考えがちです。しかし、農薬との併用は大きな問題になります。たとえば、ピレスロイド系農薬を使用した圃場では、個体の約80%が3日以内に死滅するという試験結果があります。
つまり、テントウムシを守りたいなら薬剤散布タイミングを調整しないといけません。
農薬と生物防除の併用は一見効率がよく見えますが、実際には逆効果です。
虫が減るのではなく、虫が来なくなります。
これでは生態系が崩れ、天敵不在で害虫が急増する悪循環を生みます。
防除カレンダーを導入して散布日を管理するだけでも大きな改善になります。化学農薬と生物農薬の組み合わせを提案する「農研機構」の一覧が参考になります。
農研機構:生物防除技術の最新情報
地方によって、ヒメカメノコテントウを「招福虫」と呼ぶ文化があります。例えば長野県では「見つけると収穫量が2割増す」との言い伝えがあります。
しかし実際、統計的な裏付けは存在しません。
この誤解により、農薬散布や害虫対策を怠るケースも見られます。信仰として大切にするのは良いことですが、農業経営という現実の視点も必要です。
ヒメカメノコテントウの生息が多い地域は、元々有機栽培比率が高いだけという分析もあります。つまり信仰と実益が混同されているということですね。
調査によれば、ヒメカメノコを増やす目的で設置した樹皮ハウスで、カメムシ類の越冬率まで上がるケースもありました。
いいことばかりではないようです。
ヒメカメノコテントウとヒメアカホシテントウは見た目がよく似ています。
前者は黒地に赤丸、後者は赤地に黒丸です。
パッと見ただけでは間違える人が多いですね。
問題は間違えて後者を保護してしまうこと。ヒメアカホシは外来種で、在来のテントウ類や植物に悪影響を与えます。ある調査では、ヒメアカホシの定着したハウスで、トマトの果皮障害率が15%上昇していました。
結論は、見分けが基本です。
見分けには写真アプリ「昆虫ナビ」(無料版でOK)を使うと便利です。誤認リスクを減らし、無駄な保護コストを防げます。
昆虫ナビ:国内昆虫識別用アプリ
「幸運」とは偶然の運ではなく、環境制御の結果です。ヒメカメノコテントウが訪れる環境条件を整える農家ほど、収穫も安定しやすい傾向があります。
つまり、幸運は作り出せるということです。
例えば、害虫密度10匹/茎を下回るレベルを維持すると、彼らが最も効率良く捕食してくれます。逆に密度が高すぎると、テントウムシは群れを離れます。
温湿度・水分バランスを最適化するスマート農業センサーの利用も有効です。IoT型温湿度管理システム「みどりEye」は、センサー1台あたり月額980円で導入でき、虫も作物も守ります。
これは使えそうです。