あなたが使っている「スタークル」と「アルバリン」は、実は同じ成分の農薬です。
参考)ジノテフラン
ジノテフランは、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社が創出・開発したネオニコチノイド系殺虫剤の有効成分名です。 日本では2002年に農薬登録を受け、同年「スタークル」「アルバリン」の商品名で販売が開始されました。 つまり、スタークルとアルバリンは同じジノテフラン成分です。
農業従事者がよく目にする商品名を以下にまとめます。
| 商品名 | 剤型 | 主な用途 |
|---|---|---|
|
スタークル粒剤 |
粒剤 | 水稲・野菜・果樹の害虫防除 |
| アルバリン顆粒水溶剤 | 顆粒水溶剤 | 野菜・果樹の葉面散布 |
| アルバリン粒剤 | 粒剤 | 土壌混和・株元散布 |
| スタークルエアー50 | 水溶剤 | 広範囲の作物の害虫防除 |
| スタートレボンW10 | 乳剤 | 複合成分の殺虫剤 |
農薬の「名前」には、①有効成分名(ジノテフラン)②種類名(ジノテフラン粒剤 など)③商品名(スタークル・アルバリン など)の3階層があります。 ラベルに書かれた「種類名」を確認する習慣をつけておくと、別メーカーの同成分農薬と重複使用するミスを防げます。
これが基本です。
参考)https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-hyouka-170616-dinotefuran.pdf
参考:農家webによるジノテフラン有効成分の農薬一覧(国内登録製品を網羅)
ジノテフランを有効成分に持つ農薬・除草剤の一覧
ジノテフランはニコチン性アセチルコリン受容体を阻害することで、昆虫の神経系に作用する殺虫剤です。 哺乳類や鳥類への安全性が高く設計されており、長期残効性と浸透移行性に優れています。wikipedia+1
「浸透移行性」とは何でしょうか?
根や茎から吸収された成分が植物全体に行き渡り、葉や果実まで届く性質のことです。 これにより、散布が届きにくい葉の裏側にいるアブラムシやコナジラミも防除できます。
これは使えそうです。
参考)【Future Dialogue】第5回じっくり知りたい、ネ…
ただし、浸透移行性があるゆえに、成分は花粉や蜜にも移行します。 開花期に散布した場合、実際に水田周辺のミツバチで平均300匹程度のへい死が確認されており、花粉団子からジノテフランが検出されています。 開花期散布のリスクは、数字で見ると非常に深刻です。lib.ruralnet+1
参考:ネオニコチノイド系農薬とミツバチへい死の関係(農村工学研究情報)
https://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=3119
ジノテフランは稲・果樹・野菜・いも・豆・花卉など、非常に幅広い作物に登録されています。 農薬登録制度上、作物ごとに「使用回数の上限」が設定されており、これを超えると農薬取締法違反になります。
厳しいところですね。
参考)https://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun/rv/s03_dinotefuran.pdf
代表的な使用回数制限の例を挙げます。
参考)アルバリン顆粒水溶剤の適用表|農薬の検索|農薬インデックス
農薬ラベルには「〇回以内」と明記されており、複数の製品を使う場合は同じ有効成分の合計回数でカウントします。 スタークルとアルバリンを別々に使っても「ジノテフランとして」の回数に合算されます。この点は多くの農業従事者が見落としがちです。
参考)商品案内 家庭園芸用
ジノテフランはIRAC(国際殺虫剤耐性行動委員会)の分類で「4A」(ネオニコチノイド系)に属します。 同じ4A系統の農薬だけを繰り返し使い続けると、害虫が耐性を持つリスクが高まります。耐性がつくと、同じ薬量では効かなくなります。
耐性回避のために実践したい輪番使用の例を示します。
同じネオニコチノイド内でもジノテフランには特徴があります。 イミダクロプリドやチアメトキサムなど他のネオニコチノイドが持つ「ピリジン環」や「チアゾール環」を含まず、代わりにテトラヒドロフリルメチル基という構造を持ちます。
成分の構造が違うということですね。
そのため、他のネオニコチノイド系農薬に耐性を持った害虫にも効果が期待できるケースがあります。mhlw.go+1
どの薬剤と組み合わせるかは、都道府県の農業病害虫防除所や地域の農業指導センターに確認することが推奨されます。
ラベルには書かれていない「地域連携のリスク」があります。 近隣で養蜂が行われているエリアでジノテフランを使用する場合、農薬取締法の改正(2019年施行)に基づき、関係機関(都道府県農薬指導部局や農業団体)に対して農薬使用情報を事前に提供する義務が生じています。
これは意外ですね。
怠った場合の法的リスクも軽くありません。農薬取締法違反には罰則規定があり、違反の内容によっては3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。 近隣とのトラブルは農業継続にも影響します。
安全使用のために押さえておきたい主なポイントをまとめます。
農薬を単なる「害虫を殺すもの」として扱うと、こうした周辺リスクを見落とします。ジノテフランは浸透移行性と残効性が高いがゆえに、使用前の「周辺環境の確認」が他の農薬より一層重要です。
リスク管理が基本です。
農薬登録情報の確認や安全使用ガイドは、農林水産省の農薬コーナーや農薬工業会の公式資料を一次情報として参照することをお勧めします。
参考:農薬登録情報検索システム(農林水産消費安全技術センター)
https://www.acis.famic.go.jp/syouroku/dinotefuran/index.htm
参考:ミツバチへの農薬影響に関する農業資材審議会資料(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/council/sizai/attach/pdf/index-275.pdf