アルバリン農薬とジノテフラン水溶剤登録番号

アルバリン農薬を「ジノテフラン水溶剤」として正しく理解し、登録番号や適用表、使用回数・収穫前日数の読み方まで現場目線で整理します。効かない原因や抵抗性対策も押さえて、今年の防除を迷わず組み立てられますか?

アルバリン農薬

アルバリン農薬の要点(現場で迷わない)
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まず「登録番号」と「適用表」

アルバリンは農薬登録情報(登録番号・適用作物・希釈倍数・収穫前日数・回数制限)で使い方が決まります。

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ジノテフラン水溶剤=IRAC 4A

同系統の連用は抵抗性リスクが上がるため、ローテーション設計が重要です。

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「収穫前日数」と「総使用回数」

収穫前日数だけでなく、有効成分(ジノテフラン)としての総使用回数も必ず確認します。

アルバリン農薬の登録番号とジノテフラン水溶剤の基本情報

 

アルバリン農薬として流通する「アルバリン顆粒水溶剤」は、農林水産省の農薬登録情報で登録番号「20812」、農薬の種類「ジノテフラン水溶剤」、用途「殺虫剤」、剤型「水溶剤」として整理されています。
現場での最短ルートは、まず登録情報ページで「登録番号」「有効成分」「適用表情報」を確認し、次に製品側の基本情報で有効成分濃度やIRACコードなどの補助情報を押さえることです。
メーカーの製品情報では、有効成分ジノテフラン20.0%で、IRAC分類が4A(ネオニコチノイド系の作用機構グループ)であることが明示されています。
この「4A」を知っておくと、同じ系統の薬剤を続けて使いがちな年(アブラムシコナジラミが長く出る年)に、抵抗性対策としてローテーションを組む判断が早くなります。

アルバリン農薬の適用表と希釈倍数・使用方法(散布・灌注)

アルバリン顆粒水溶剤の強みは、作物・害虫・使用方法のバリエーションが多く、散布だけでなく灌注(育苗トレイ灌注、株元灌注など)の枠が適用表に含まれている点です。
例えば登録情報の適用表では、水稲のカメムシ類で2000倍、ウンカ類・ツマグロヨコバイで3000倍、使用液量60~150L/10a、収穫7日前まで、散布、回数制限あり…という形で“数字”が具体的に示されています。
また野菜でも、コナジラミ類・アブラムシ類などに対して2000~3000倍の散布枠や、定植時などに育苗トレイへ灌注する枠があり、初期防除を「散布だけ」に寄せない組み立てが可能です。
ここで重要なのは、同じ害虫名でも作物ごとに「希釈倍数」「収穫前日数」「使用回数」が違うことがあるため、経験則で決め打ちせず、必ず該当作物の行を見に行く運用にすることです。

アルバリン農薬の使用回数と収穫前日数:総使用回数の落とし穴

農薬の適用表は「本剤の使用回数」だけ見て終わりにしがちですが、アルバリンの登録情報には「ジノテフランを含む農薬の総使用回数」がセットで書かれており、ここが事故(基準逸脱)を生みやすいポイントです。
例として水稲では、本田散布の回数とは別に、育苗箱への処理・側条施用などを合算した「総使用回数」の制限が記載されています。
つまり、育苗期にジノテフラン系(別商品名でも可)を使っている場合、本田でアルバリンを“いつもの感覚”で重ねると総回数側が先に上限に達する可能性があります。
収穫前日数も同様で、作物によって「収穫前日まで」「収穫3日前まで」「収穫7日前まで」など差があるため、出荷予定と防除計画を同じ表で突き合わせるのが安全です。

アルバリン農薬が効かない原因:浸透移行性の誤解と抵抗性管理

メーカー情報では、アルバリン顆粒水溶剤は「高い浸透移行性」「速効性」「残効性」に優れるとされていますが、これは“いつでも万能”という意味ではなく、発生密度・散布ムラ・葉裏到達・害虫のステージで体感が変わります。
効きが悪い年にありがちなパターンは、①高温期の増殖スピードに対し散布間隔が長い、②作物が茂って薬液が葉裏や新葉へ届きにくい、③同系統(IRAC 4A)連用で感受性が落ちている、の組み合わせです。
抵抗性の話を“自分の圃場は関係ない”で済ませないために、国立研究開発法人等がまとめた薬剤抵抗性管理ガイドラインのように、作用機構のローテーションという原理原則を作業計画に落とすことが現実的です。
このときのコツは、ローテーションを「商品名」ではなく「IRACコード(作用機構)」で管理し、同じ4Aに偏っていないかを月ごとに棚卸しすることです。

アルバリン農薬の独自視点:無人航空機散布・周辺昆虫影響を踏まえた説明責任

アルバリン顆粒水溶剤の登録情報には、作物によっては無人航空機散布や空中散布など“散布手段の選択肢”も適用の枠として整理されており、現場の省力化と相性が良い一方、周辺環境への配慮がより問われやすくなります。
ネオニコチノイド系農薬等の環境中残留の実態や影響評価に関する調査報告が公的機関からも出ており、地域内で水系・送粉昆虫への関心が高い場合、散布計画(風・飛散低減・周辺作物)を“説明できる形”で残すことがトラブル回避に効きます。
加えて、ネオニコチノイドによる陸域昆虫類への影響評価研究のように、ミツバチ等を対象にした毒性・影響評価の整理も進んでいるため、開花期の散布回避や周辺への配慮は「マナー」ではなくリスク管理の一部として位置づけるのが無難です。
意外と効果が出る運用として、散布前に「圃場の周囲に咲いている花(雑草含む)」「近隣の養蜂や果樹の開花」をチェック項目に入れ、作業日報に一行残すだけでも、後日の説明がスムーズになります。
公的な登録情報(適用表・回数・収穫前日数の原典):農薬登録情報提供システム「アルバリン顆粒水溶剤(登録番号20812)」
メーカーが示す成分濃度・IRAC・特徴(浸透移行性、速効性、残効性など):アグロ カネショウ 製品情報「アルバリン顆粒水溶剤」
抵抗性管理の考え方(作用機構ローテーション等の基本原則の整理):薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案(NARO/NIAS)
環境影響の調査(ネオニコチノイド系等の残留実態・調査の公的資料):環境省「平成28年度 農薬の環境影響調査業務 報告書」
送粉昆虫等への影響評価の研究成果(国内研究の整理):環境再生保全機構 成果報告「ネオニコチノイド農薬による陸域昆虫類に対する影響評価研究」

 

 


殺虫剤 三井東圧 アルバリン顆粒水溶剤 500g入 ジノテフラン水溶剤