感染苗を持ち込むだけで全滅する
シソサビダニは学名Shevtchenkella sp.と呼ばれるフシダニ科に属する微小なダニです。成虫の体長は約0.15~0.2mmで紡錘形をしており、体色は淡黄色から黄色をしています。肉眼での観察は非常に困難で、顕微鏡を使わなければその存在を確認することができません。このダニは平成24年に千葉県のシソで初めて発生が確認されて以来、愛知県、高知県、大分県、茨城県といったオオバの主要産地で発生報告が相次いでいます。
つまり全国的な広がりを見せているということですね。
シソサビダニの発育は温度に大きく影響されます。24℃の環境では卵から成虫まで約9日で成長し、温度が高くなるほど成長速度が速くなります。ただし32℃以上では発育が抑制され、40℃の高温環境では卵も成虫も2日以内に死亡してしまいます。一方で低温には比較的強く、5℃が4日間続いても産卵能力を保持し、卵も正常に孵化します。
発育停止温度は12.8℃です。
このダニの寄主植物はシソ科シソ属に限定されており、青ジソ、赤ジソ、エゴマ、レモンエゴマのみに寄生します。他のシソ科雑草であるホトケノザ、カキドオシ、タツナミソウでは増殖しません。また、バジル、ミント類、セージといったシソ科の園芸作物でも増殖できないという特徴があります。
宿主範囲が限定されているのが基本です。
露地栽培では野良生えのシソがある場合、4月から発生が見られ始めます。5月後半から6月上旬にかけて密度が急激に増加し、盛夏は一時的に密度が低下しますが、秋口の9月から10月にかけて再び密度がやや回復します。10月下旬までシソ上で発生が確認されており、高知県や愛知県では年間約15世代を繰り返すと推定されています。これは栽培期間全体にわたって警戒が必要であることを意味します。
シソサビダニの主な移動手段は風です。圃場に設置した粘着トラップの調査により、このダニが風に乗って移動していることが確認されています。捕獲されるのはほとんどが雌で、1mの高さで最も多く捕獲されることから、シソの株の高さ付近を移動していると考えられます。
興味深い研究結果があります。風速0.5m/秒から2.5m/秒の範囲で実験を行ったところ、0.5m/秒における分散率が約40%と最も高く、強い風はむしろ分散に適していないことが判明しています。つまり穏やかな風の日こそ、飛来リスクが高いということです。
これは使えそうです。
越冬に関しては、10月上中旬から成虫が産卵しないタイプの休眠に入ります。越冬条件は16℃前後の温度と日長12時間以下が重なることで、11月頃になると株元に移動します。腐敗した株にはいなくなりますが、立ち枯れた株には3月下旬まで株元で生存していることが確認されています。
土壌中には越冬個体は見られません。
シソサビダニの最大の問題は、シソモザイクウイルス(Perilla mosaic virus、PerMV)を媒介することにあります。このウイルス病は愛知県では約30年前から、高知県では平成12年頃から発生が確認されていましたが、長らく原因不明でした。平成23年にPerMVが病原体であることが判明し、その媒介生物がシソサビダニであることが明らかになりました。
ウイルスを獲得したシソサビダニは極めて強力な媒介能力を持っています。保毒虫が数頭吸汁しただけでも高い割合でモザイク病を発症させ、吸汁時間は最短30分でウイルス伝染が成立します。また、無保毒のシソサビダニが新たにウイルスを獲得する時間も最短30分です。
発病までの速さに注意すれば大丈夫です。
PerMVの宿主範囲もシソサビダニと同様にシソ属の4種(シソ、トラノオジソ、セトエゴマ、レモンエゴマ)に限られています。他のシソ科雑草には感染せず、シソ科の園芸作物にも感染しません。また、アブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類、カイガラムシ類といった他の昆虫では媒介されないことも確認されています。
大分県では防除体系の確立により、発病がほぼゼロになり約1500万円の増収となった実証例があります。これは10a当たりに換算すると、本病が発生した圃場では約2.2万円の所得損失が発生していたことを示しています。
知らないと損しますね。
シソサビダニはウイルス媒介だけでなく、直接的な加害によっても被害を引き起こします。葉や茎を吸汁加害し、初期段階では葉の基部に近い部分の表面が褐色に変色します。加害が進行すると葉全体、成長点、茎の表面が褐色になる「さび症」が発生します。これまでの調査では、シソサビダニの密度が約40頭/cm²以上になった葉でさび症が発生することが確認されています。
さび症状が出た葉は商品価値を完全に失います。生食用として出荷できないため、栽培初期に密度が高まると収穫量が大幅に減少してしまいます。さび症とモザイク病が同時発生する場合もあり、その場合は被害がさらに深刻化します。
葉の表面が褐変する初期症状を見逃さないことが重要です。早期発見により、被害の拡大を最小限に抑えることができます。定期的な圃場巡回を行い、葉の基部付近を重点的に観察する習慣をつけましょう。特に施設栽培では出入り口や側窓付近で発生しやすいため、これらのエリアを優先的にチェックすることが効果的です。
定期確認が条件です。
モザイク病の典型的な症状は、葉に葉脈に沿った退緑や黄化が生じ、目の細かいモザイク模様となって現れます。モザイクは葉の全面に生じる場合もあれば、一区画のみにとどまる場合もあります。また、葉脈が正常に伸びず、葉が曲がったり変形したりすることもあります。いずれの場合も葉の商品価値は完全に失われます。
感染しても株が枯れることは通常ありませんが、これが逆に問題を複雑にしています。発病株の中には見た目に健全な葉をつける枝と、モザイク葉がつく枝が混在することがあるためです。健全そうな枝から葉を収穫したくなりますが、その株を残しておくと周囲の株へ病気が広がる可能性が高くなります。
モザイク病に似た症状として、ホコリダニ類による障害があります。ホコリダニ類による障害では葉全体がまだら模様に色が抜け、葉色もくすんだ色になりますが、モザイク症状は出ません。見分けがつかない場合は、普及指導員などの専門家に診断してもらうことをおすすめします。誤診による対応の遅れは被害を拡大させる原因となります。
どういうことでしょうか?
赤ジソもPerMVに感染します。葉の紫色が濃い品種ではモザイク症状が目立ちにくいため発見が遅れがちですが、ウイルスの伝染源としての危険性はオオバと変わりません。赤ジソを栽培している場合や、圃場周辺に自生している場合は、特に注意が必要です。
施設内でのモザイク病発生は出入り口や側窓に近い場所ほど多く、発生時期は7月から11月に集中します。これは野外のシソで増殖してウイルスを保毒したシソサビダニが、施設内に風に乗って侵入してくるためです。この時期は特に警戒を強化し、防除対策を徹底する必要があります。
シソサビダニとモザイク病による経済的損失は生産者にとって深刻な問題です。前述の通り、発病した圃場では10a当たり約2.2万円の所得損失が発生します。これは年間の栽培所得が完全に失われることを意味するケースも少なくありません。特に栽培初期に発病した場合、株全体が商品価値を失い、その後の収穫が一切できなくなるため、被害程度は極めて高くなります。
愛知県はシソ生産量全国1位で、全国生産量の約44%を占めています。このような主要産地で被害が広がると、市場供給にも影響を及ぼし、価格変動を引き起こす可能性があります。個々の生産者レベルでは収入減だけでなく、防除コストの増加、労働時間の増加といった追加負担も発生します。
発病株の抜き取り作業、周辺のシソ除去作業、防虫ネットの設置、薬剤散布といった防除作業には相当の労力と時間が必要です。特に収穫期に発病が見つかった場合、発病している枝だけを切除して処分する細かな作業が求められ、作業効率が大幅に低下します。
厳しいところですね。
一方で、適切な防除体系を導入した現地実証試験では90%以上の被害抑制効果が確認されています。大分県の事例では、防除マニュアルに基づいた対策により発病がほぼゼロとなり、約1500万円の増収を実現しました。これは初期投資と継続的な管理を行うことで、十分な経済的メリットが得られることを示しています。
防除対策の経済性を考える際、目先のコストだけでなく、被害が発生した場合の損失額と比較することが重要です。予防的な対策に年間数万円を投資することで、数十万円から数百万円の損失を回避できる可能性があります。圃場規模が大きいほど、予防投資の経済的効果は高まります。
結論は投資対効果が高いということです。
シソサビダニとモザイク病の防除には4つの基本原則があります。これらを理解し、総合的に実践することが被害を最小限に抑える鍵となります。
第一の原則は「圃場の外の伝染源をなくす」ことです。野外の野良生えのシソやエゴマで増殖し、ウイルスを保毒したシソサビダニが圃場内に侵入することが発病の主な原因となります。施設周辺や圃場周辺に生えているシソ属植物は、発見次第すぐに除去する必要があります。除去作業は定期的に実施し、新たに芽生えたものも見逃さないようにしましょう。
圃場周辺の除草が基本です。
第二の原則は「感染苗を持ち込まない」ことです。育苗段階で既にウイルスに感染している苗を圃場に持ち込むと、そこから一気に被害が拡大します。苗はシソサビダニが発生していない圃場とは別の場所で育苗し、施設開口部に0.6mm目合いの防虫ネットを展張して育苗することが推奨されています。購入苗を使用する場合は、信頼できる生産元から健全苗を入手することが重要です。
第三の原則は「圃場内への侵入を防止する」ことです。施設栽培では天窓や側窓からシソサビダニが風に乗って侵入します。開口部に0.6mm目合いの防虫ネットを展張することで、侵入を大幅に抑制できます。4mm目合いの防風ネットでもある程度の効果はありますが、0.6mmより効果は低くなります。ネットの設置は手間とコストがかかりますが、侵入防止には最も確実な物理的防除方法です。
なら問題ありません。
第四の原則は「圃場内の発生株を除去する」ことです。圃場内で発病株を発見したら、速やかに株ごと根元から除去し、その場でビニール袋に密閉して処分します。発病枝だけを切除する場合もありますが、株全体を除去する方がより確実です。除去した株は圃場外に持ち出し、適切に処分することで、シソサビダニが健全株に移動するリスクを最小限に抑えられます。
シソサビダニに対する化学的防除では、登録農薬を適切な時期に散布することが重要です。育苗期にはサンマイトフロアブルの使用が推奨されています。定植から収穫開始までは1週間毎、収穫期間中は1ヵ月毎に殺虫剤を散布してシソサビダニを防除します。
収穫期に使用できる薬剤として、アニキ乳剤(収穫前日まで使用可能)やコロマイト乳剤(収穫前日まで使用可能)があります。これらの薬剤は収穫直前まで使用できるため、収穫期間中の防除に非常に有効です。また、アファーム乳剤はハスモンヨトウやヨトウムシ、ハダニ類にも効果があるため、複合的な害虫防除を行う際に便利です。
薬剤散布の注意点として、同じ薬剤を連続使用すると抵抗性が発達する可能性があります。2~3種類の薬剤を用意し、交互に使用することで効果を持続させることができます。使用回数や使用方法は必ず商品ラベルを確認し、適用作物や使用時期を守って正しく使用してください。
使用方法の厳守が原則です。
シソの花穂を収穫利用する場合、「野菜類」および「シソ(花穂)」で登録のある農薬は使用できますが、「シソ」および「シソ科葉菜類」で登録のある農薬は使用できないという規制があります。栽培目的によって使用できる農薬が異なるため、事前に確認が必要です。
微生物農薬としてボタニガードESがあります。有効成分はボーベリア・バシアーナという昆虫病原性糸状菌で、散布間隔が開く場合に補助的に処理することで効果を高めます。化学農薬との組み合わせにより、環境負荷を抑えながら効果的な防除が可能となります。
つまり複合防除が効果的です。
感染株を確認した際の緊急対応として、発見後すぐにアニキ乳剤またはコロマイト乳剤で防除を実施し、それ以降も通常防除に加えてこれらの薬剤による追加防除を月1回程度行うことが推奨されています。早期発見と迅速な対応により、被害の拡大を食い止めることができます。
物理的防除の中核となるのが防虫ネットの展張です。施設の開口部に0.6mm目合い以下の防虫ネットを設置することで、シソサビダニの侵入を効果的に防止できます。体長0.15~0.2mmという微小なダニに対しては、できるだけ細かい目合いのネットを選ぶことが重要です。
防虫ネットの設置場所は、天窓、側窓、出入り口など、すべての開口部が対象となります。一箇所でも隙間があればそこから侵入するため、設置後は隙間がないか入念にチェックしましょう。ネットと枠の接合部分、ネット同士の継ぎ目などは特に注意が必要です。
4mm目合いの防風ネットは、元々風を和らげる目的で使用されているケースがあります。これでもある程度の侵入抑制効果はありますが、0.6mmネットと比べると効果は劣ります。既に防風ネットを設置している場合でも、被害が深刻な圃場では0.6mmネットへの交換を検討する価値があります。
0.6mmが条件です。
育苗施設でも防虫ネットの展張は必須です。苗への感染を防ぐため、圃場とは別の場所で育苗し、その育苗施設の開口部にも0.6mm目合いの防虫ネットを設置します。育苗段階で感染を防ぐことができれば、その後の圃場での被害リスクを大幅に低減できます。
防虫ネットには保温効果はありませんが、施設内の温度管理に影響を与える可能性があります。夏季は通気性を確保しつつネットを設置し、高温障害を防ぐための換気対策も併せて行う必要があります。栽培環境全体のバランスを考えながら、最適なネット配置を検討しましょう。
栽培期間中は定期的にネットの状態をチェックします。破れや穴があればすぐに補修し、侵入経路を作らないようにします。また、台風などの強風後は特に念入りに確認し、ネットのずれや外れがないか点検することが重要です。
農研機構が公開しているオオバのシソサビダニおよびシソモザイク病防除マニュアルには、防虫ネットの具体的な設置方法や効果検証データが詳しく記載されています。設置を検討する際の参考資料として活用できます。
耕種的防除とは、栽培管理や環境整備によって病害虫の発生を抑える方法です。シソサビダニ対策では、伝染源となる植物の除去が最も重要な耕種的防除となります。
圃場周辺に生えているシソ、赤ジソ、エゴマは発見次第すぐに除去します。これらは野良生えとして気づかないうちに生育していることが多く、放置するとシソサビダニの温床となります。除去作業は定期的に実施し、特に春先から初夏にかけての芽生え時期と、秋口の再生時期には重点的にチェックしましょう。
除去した植物の処分方法にも注意が必要です。抜き取った株はその場でビニール袋に入れて密閉し、シソサビダニが飛散しないようにします。袋に密閉したまま圃場外に持ち出し、焼却処分するか、深く埋めて処分します。圃場内に放置したり、堆肥として利用したりすると、そこからサビダニが拡散する危険があります。
痛いですね。
施設栽培と雨よけ栽培は露地栽培に比べて環境をコントロールしやすく、防除効果を高めることができます。雨よけにより湿度管理が容易になり、シソサビダニの発生を抑制できる可能性があります。また、施設栽培では防虫ネットの設置が容易であり、総合的な防除体系を構築しやすい利点があります。
圃場の立地選定も重要です。周辺に放棄地や荒地が多く、野良生えのシソが多発している場所では、いくら圃場内で対策をしても外部からの侵入圧が高くなります。新規に圃場を設置する際は、周辺環境も考慮に入れた立地選定を行うことが長期的な被害軽減につながります。
土壌全面をマルチで覆うことも効果的な耕種的防除の一つです。マルチにより地温管理ができるだけでなく、雑草の発生を抑制し、圃場内の衛生管理を向上させることができます。特に黒マルチは雑草抑制効果が高く、野良生えのシソの発生を防ぐのに有効です。
栽培密度の管理も見逃せません。密植を避けて風通しを良くすることで、湿度が下がり、病害虫の発生しにくい環境を作ることができます。適切な株間を確保し、枝葉が込み合わないように整枝を行うことで、観察もしやすくなり、早期発見につながります。
シソサビダニとモザイク病の被害を最小限に抑えるには、早期発見が極めて重要です。定期的な圃場巡回により、発病初期の症状を見逃さないようにしましょう。特に7月から11月の発生警戒時期には、週に2~3回程度の巡回が推奨されています。
巡回時のチェックポイントとして、まず施設の出入り口や側窓付近を重点的に観察します。これらの場所は外部からの侵入が最も起こりやすいエリアです。次に、葉の基部付近の褐変や、葉脈に沿ったモザイク模様がないかを確認します。発病は枝単位で発生することが多いため、一部の枝だけに症状が見られる場合もあります。
発病株を発見した場合の対応手順は以下の通りです。まず、発見した株の周囲をビニール袋で覆い、株ごと根元から抜き取ります。袋に入れたまま密閉し、圃場外に持ち出して処分します。その後、発病株があった場所とその周辺に、アニキ乳剤またはコロマイト乳剤を散布します。
発見後すぐの処理で被害は低減します。
収穫期に発病を発見した場合は、株全体を抜き取るのが困難なケースがあります。その場合は発病している枝だけを切除し、ビニール袋に入れて処分します。ただし、株を残す場合は伝染源として周囲への拡散リスクが残るため、より頻繁な観察と追加防除が必要です。
発病株の周囲の健全に見える株も、既にウイルスに感染している可能性があります。発病株の周辺3~5株程度は特に注意深く観察を続け、症状が現れた場合は速やかに除去します。感染から発病までには一定の潜伏期間があるため、発見後2~3週間は警戒を強化しましょう。
これは使えそうです。
記録をつけることも重要な管理手法です。発病株の発見日時、場所、株数、対応内容を記録しておくことで、発生パターンの分析や次作への対策検討に活用できます。複数年のデータが蓄積されれば、自分の圃場における発生傾向が見えてきて、より効果的な予防策を立てられるようになります。
早期発見のための観察力を高めるには、健全な葉の状態を日頃からよく把握しておくことが大切です。正常な葉色、葉の形、生育状態を記憶しておけば、わずかな異常にも気づきやすくなります。デジタルカメラやスマートフォンで定期的に撮影し、画像で比較する方法も有効です。
異常を見つけた際、自分で判断がつかない場合は、迷わず農業改良普及センターや農協の営農指導員に相談しましょう。早期の正確な診断により、適切な対応が可能となり、被害拡大を防ぐことができます。相談する際は、症状が出ている葉を持参するか、鮮明な写真を撮影して見せることで、診断がスムーズに進みます。
将来的な防除技術として、捕食性天敵の利用が研究されています。化学農薬に頼らない生物的防除は、環境負荷の低減と持続可能な農業の実現につながる重要な技術です。
現在、シソサビダニを捕食する天敵の探索と、その利用技術の開発が進められています。フシダニ科のダニを捕食する天敵昆虫やダニ類が候補として研究対象となっていますが、実用化にはまだ時間がかかる見込みです。天敵の増殖方法、放飼タイミング、放飼密度などの技術確立が必要だからです。
天敵利用の利点は、化学農薬の使用量を削減できることと、抵抗性発達のリスクが低いことです。また、収穫直前まで使用できるため、収穫期の防除手段としても期待されています。一方で、天敵の定着条件が限られることや、効果発現までに時間がかかること、コストが高い可能性があることなどの課題もあります。
意外ですね。
現時点では、微生物農薬であるボタニガードESの使用が、生物的防除の実用的な選択肢となっています。有効成分のボーベリア・バシアーナは昆虫病原性糸状菌で、化学農薬との併用により総合的な防除体系を構築できます。使用回数の制限内で計画的に散布することで、環境への負荷を抑えながら防除効果を得られます。
天敵利用技術が確立されれば、IPM(総合的病害虫管理)体系の中核技術として、シソ栽培における持続可能な防除が実現します。現在はまだ研究段階ですが、今後の技術開発の動向に注目し、実用化された際には積極的に導入を検討する価値があります。
農林水産省が公開している施設栽培葉ジソのシソモザイク病に対する総合的防除技術では、物理的防除、化学的防除、生物的防除を組み合わせた防除体系の詳細が紹介されています。最新の研究成果を確認する際の参考になります。
天敵利用を含む総合的な防除体系の構築には、各防除手段の特性を理解し、適切に組み合わせることが求められます。化学農薬による速効性と、物理的防除による持続性、生物的防除による環境適合性を、それぞれの長所を活かしながら統合することで、最も効果的な防除が実現します。
生産現場では、コストと労力のバランスを考慮しながら、自分の経営規模や栽培体系に合った防除方法を選択することが重要です。小規模栽培では手作業による除去や防虫ネットが中心となり、大規模栽培では薬剤防除を効率的に組み込んだ体系が適しています。
防除技術は日々進歩しており、新しい薬剤や資材、栽培技術が開発されています。農業試験場や普及センターが発信する情報を定期的にチェックし、新技術の導入可能性を検討する姿勢が、長期的な安定生産につながります。地域の勉強会や研修会に参加し、他の生産者との情報交換を行うことも、実践的な知識を得る有効な手段です。