コナジラミ類防除の薬剤と栽培管理で被害を抑える

コナジラミ類は薬剤抵抗性を持ちやすく、トマト黄化葉巻病などウイルス病を媒介する難防除害虫です。効果的な防除には薬剤選択、物理的対策、天敵利用の組み合わせが必要ですが、あなたの防除方法は本当に正しいでしょうか?

コナジラミ類防除の基本と薬剤対策

展着剤を加用しないとコナジラミに農薬が効きません


この記事の3つのポイント
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コナジラミ類の特徴を理解

薬剤抵抗性を持ちやすく、ウイルス病を媒介する難防除害虫。タバココナジラミとオンシツコナジラミの違いと被害の実態を解説

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効果的な薬剤防除体系

展着剤の加用が必須な理由と、薬剤系統のローテーション方法。定植時期別の防除プログラムと残効期間を考慮した散布タイミング

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物理的・生物的防除の併用

0.4mm以下の防虫ネット、シルバーマルチ、黄色粘着板の設置方法。天敵昆虫や蒸し込み処理による総合的な管理技術


コナジラミ類が難防除害虫とされる理由


コナジラミ類は日本の施設栽培において、最も厄介な害虫の一つとして知られています。その理由は複数ありますが、最も深刻なのが薬剤抵抗性の発達速度です。農薬に対して抵抗性を持つ系統が次々と出現し、これまで効果のあった薬剤が突然効かなくなる事例が全国各地で報告されています。


特にタバココナジラミのバイオタイプQは、従来のオンシツコナジラミよりも薬剤抵抗性を発達させやすい特性を持っています。1989年に海外から日本に侵入して以降、瞬く間に全国に広がりました。この系統は多くの化学農薬に対して高い抵抗性を示すため、防除の選択肢が限られているのが現状です。


虫体が極めて小さいことも問題です。成虫の体長は約1~2mm程度で、肉眼では白い粉のように見えます。葉の裏側に潜んでいることが多く、被害が目に見えて現れるまで発生に気づきにくいのです。発見が遅れると、あっという間に個体数が増加し、防除が困難になります。


さらに重大な被害をもたらすのが、ウイルス病の媒介です。タバココナジラミはトマト黄化葉巻病(TYLCV)などの植物ウイルスを媒介し、感染したトマトは生育が止まり、最悪の場合は収穫皆無となります。栽培初期に感染すると経営に与える影響が極めて大きく、産地全体での対策が必要です。


コナジラミ類は広食性で、多くの植物に寄生できることも防除を難しくしています。トマトやキュウリなどの野菜類だけでなく、施設周辺の雑草や花卉類にも寄生するため、圃場内だけの対策では不十分なのです。周辺環境を含めた総合的な管理が求められます。


茨城県の施設栽培におけるタバココナジラミの防除対策資料(PDF)では、産地で作物を1か月以上作付けしない期間を設定することの重要性が示されています。


コナジラミ類の発生サイクルと被害実態

コナジラミ類の生活環を理解することは、効果的な防除タイミングを決める上で不可欠です。タバココナジラミは25℃の環境下で、卵期間が7~8日、幼虫期間が7~8日、蛹期間が5日程度で、合計19~20日で成虫になります。施設内の温度が高ければ、さらに短期間で世代交代が進みます。


露地では年間3~4世代ですが、温度管理された施設内では10世代以上を経過することも珍しくありません。つまり、一度侵入を許すと爆発的に増殖する可能性があるということです。世代交代が早いということは、それだけ薬剤抵抗性も発達しやすいことを意味します。


コナジラミ類による直接的な被害は、成虫と幼虫による吸汁加害です。植物の師管液を吸うため、生育が抑制され、葉が黄化したり萎縮したりします。多発すると植物全体が衰弱し、収量が大幅に減少します。トマトでは果実の着色不良も発生し、商品価値が下がります。


吸汁の際に排泄される甘露も深刻な問題です。この甘露に黒色のすす病菌が繁殖し、葉や果実の表面が黒く汚れます。すす病が発生すると光合成が阻害されるだけでなく、果実の外観が著しく損なわれ、出荷できなくなる場合もあります。


最も深刻なのは間接被害であるウイルス病の媒介です。ウイルスを保毒したタバココナジラミは、最短約15分の吸汁で健全株にウイルスを感染させた事例が報告されています。つまり、コナジラミの個体数が少なくても、ウイルス病が発生するリスクがあるのです。


トマト黄化葉巻病に感染すると、上位葉が黄化して葉巻症状を示し、葉脈間が黄化して葉が縮みます。病勢が進むと頂部が黄化萎縮し、開花してもほとんど結実しなくなります。栽培初期に感染すると収穫が皆無となる恐れがあり、経営への打撃は計り知れません。


コナジラミ類に効果的な薬剤と展着剤の重要性

コナジラミ類の防除において、薬剤選択と使用方法は極めて重要です。しかし、単に農薬を散布するだけでは十分な効果が得られません。コナジラミ類の体表は水をはじく性質があるため、展着剤を加用しないと薬液が虫体にうまく付着せず、防除効果が大幅に低下します。


福井県の防除指導資料によると、スカッシュ、ニーズ、ブラボーなどの展着剤を加用することで農薬の効果が向上すると報告されています。展着剤は薬液の表面張力を下げ、コナジラミの体表に薬液が広がりやすくするのです。ただし、作物によっては薬害のリスクがあるため、使用前に適合性を確認する必要があります。


薬剤系統のローテーションは薬剤抵抗性の発達を遅らせるために必須です。同一系統の薬剤を連続使用すると、その薬剤に対する抵抗性を持つ個体が選抜され、世代を重ねるごとに効果が低下します。作用機構の異なる薬剤を計画的に組み合わせることで、抵抗性の発達を抑制できます。


定植時の粒剤処理は初期防除の要です。スタークル粒剤やアクタラ粒剤などを株元に処理すると、約1か月間コナジラミ類の発生を抑えることができます。この期間は作物が最も感受性の高い時期であり、ウイルス病感染のリスクも高いため、確実に密度を低く保つことが重要です。


粒剤の効果が切れる定植後約1か月の時期には、散布剤による防除に切り替えます。ベニカJスプレーやベニカXファインスプレー、モスピラン顆粒水溶剤などが使用できますが、コナジラミは葉裏に寄生するため、葉裏にもしっかり薬液がかかるように丁寧に散布することが必要です。


新規系統の薬剤も開発されています。ベリマークSCは灌注処理により作物の根から吸収され、約3~4週間の残効を示します。処理後は摂食活動を速やかに停止させ、チョウ目害虫の令期が進んだ幼虫にも高い効果を発揮します。作業の省力化にも貢献する薬剤として注目されています。


佐賀県のキュウリでのコナジラミ類防除対策資料(PDF)には、薬剤散布後に必ず効果を確認し、圃場によって効果が異なることを考慮した対策が示されています。


コナジラミ類防除における物理的対策の実践

薬剤だけに頼らない物理的防除は、総合的な害虫管理において重要な位置を占めます。中でも防虫ネットの展張は、コナジラミ類の施設内への侵入を防ぐ第一の砦です。しかし、ネットの目合いの選択を誤ると、期待した効果が得られません。


タバココナジラミの成虫の通過を80%以上防ぐには、0.4mm以下の目合いが必要です。一般的な1mm目合いのネットではほとんど通過してしまうため、コナジラミ対策としては不十分です。0.4mm目合いのネットは風通しが悪くなり、施設内の温度や湿度が上昇しやすいという欠点もありますが、ウイルス病の媒介虫を防ぐためには必須です。


防虫ネットは施設の開口部すべてに隙間なく展張することが重要です。天窓、側窓、入口など、コナジラミが侵入できる場所はすべて対策が必要です。ネットに破れや隙間があると、そこから侵入されてしまい、せっかくの対策が台無しになります。定期的な点検と補修を怠らないようにしましょう。


シルバーマルチの利用も有効な物理的防除法です。コナジラミは太陽光を嫌う習性があり、光を反射するシルバーマルチを株元に敷くことで、成虫の飛来を抑えられます。産卵や幼虫の成長も阻害できるため、発生初期の密度抑制に効果的です。マルチングには土の保温や保湿、雑草抑制などの副次的な効果もあります。


黄色粘着板の設置は、発生モニタリングと物理的捕殺を兼ねた対策です。コナジラミは黄色に誘引される性質があるため、黄色粘着板を株の成長点の高さに設置すると、効率的に成虫を捕獲できます。7日ごとに粘着板を交換し、誘殺数を計数することで、発生動向を把握し、薬剤散布のタイミングを決める判断材料になります。


栽培終了時の蒸し込み処理は、次作へのコナジラミ持ち越しを防ぐために極めて重要です。コナジラミ成虫は46℃以上の温度で死亡率が高まり、62℃以上でほぼ100%死亡します。栽培終了後、株を地際部で切断してから施設を密閉し、5~7日間蒸し込むことで、施設内のコナジラミを完全に死滅させられます。


蒸し込みを効果的に行うには、施設内の最高気温が50℃以上になった日が3日以上経過することを目安とします。夏期の晴天日(外気温27℃以上)であれば、この条件を満たしやすいです。蒸し込み前に施設内の雑草を除去することも忘れてはいけません。雑草が残っているとコナジラミが生き残り、効果が落ちてしまいます。


コナジラミ類に対する天敵利用と栽培管理

生物的防除として天敵の利用は、環境負荷を低減しながら持続的な防除を実現する手段として注目されています。コナジラミ類に対しては、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、タバコカスミカメなどの天敵が実用化されています。それぞれ特性が異なるため、栽培環境に応じた選択が必要です。


オンシツツヤコバチはオンシツコナジラミの幼虫に寄生する寄生蜂です。コナジラミの密度が低いうちに導入すると、高い防除効果を発揮します。ただし、定植時に粒剤を使用した場合、その影響がなくなる定植約1か月後に放飼を開始し、1~2週間ごとに3~5回放飼することが推奨されています。


タバコカスミカメは捕食性のカメムシで、コナジラミ類やアザミウマ類の成虫や幼虫を捕食します。2021年にトマトの害虫コナジラミ類の天敵として農薬登録されました。従来の天敵よりも大型で、害虫を食べる量が多いほか、雑食性で特定の植物のみでも定着・増殖が可能な点が優れています。


天敵を導入する際は、影響の少ない薬剤を選択することが不可欠です。天敵に対する農薬の影響は製品によって大きく異なるため、事前に残効期間や影響の程度を確認し、天敵の導入時期と薬剤散布のスケジュールを調整する必要があります。天敵を利用した防除体系では、化学農薬の使用量を大幅に削減できます。


栽培管理面では、下葉除去が重要な防除対策となります。コナジラミ類の幼虫と蛹は下葉に寄生していることが多いため、不要な葉は可能な限り早めに除去します。除去した葉は圃場内に放置せず、ビニール袋で密閉して処分することで、コナジラミが圃場内に拡散するのを防ぎます。


産地全体での作付け期間の統一も、ウイルス病対策として効果的です。茨城県の資料では、産地で作物を1か月以上作付けしない期間を設定することで、ウイルスを保毒したタバココナジラミを減少させられると示されています。産地ぐるみの取り組みにより、次作への媒介虫の持ち込みを大幅に減らせるのです。


育苗時の防除徹底も見落とせないポイントです。栽培圃場と隔離した育苗施設を確保し、0.4mm目合いの防虫ネットを蚊帳状に加工してその中で苗を育てると、タバココナジラミの侵入をほぼ完全に防げます。無寄生の健全な苗を本圃に定植することで、初期密度を極めて低く抑えられ、その後の防除が格段に楽になります。


千葉県の試験研究成果資料(PDF)では、0.4mm目合い防虫ネットの展張、発病株の除去、栽培開始時のハウス密閉などの総合的な対策が示されています。




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