除草直後に定植すると、かえって苗が一晩で全滅することがあります。
カブラヤガの幼虫・成虫には毒はありません。 アゲハチョウの幼虫が持つ「臭角」や、毒毛を持つドクガ類とは根本的に異なります。 素手で触れても皮膚炎や痛みを引き起こす物質は分泌されません。shigei+1
これは安全性の面では朗報です。
農薬を使わずに捕殺する場合でも、手袋なしで作業できます。ただし、農薬を散布した後の幼虫には薬剤が付着している可能性があるため、その場合は手袋を着用してください。 「毒がある」と思い込んで必要以上に対応を躊躇すると、適切な捕殺のタイミングを逃してしまうことになります。
参考)ネキリムシとは? 特徴や発生しやすい条件、防除方法まで、農家…
🔍 倉敷昆虫館によるカブラヤガの解説(毒なしの記載あり)。
https://www.shigei.or.jp/ento_museum/sekai08.htm
では、毒がないのになぜ「ネキリムシ」として恐れられるのでしょうか?
その理由は、農作物への被害の深刻さにあります。毒による直接的な健康被害ではなく、経済的な損失こそが農業従事者にとっての本当のリスクです。1匹の老齢幼虫が1晩のうちに数株を食い倒すという事実は、定植したばかりの畑では壊滅的な被害につながります。
カブラヤガはチョウ目ヤガ科に属するガで、その幼虫がネキリムシと呼ばれます。 成熟した幼虫の体長は40mm前後で、はがきの横幅(約148mm)の約4分の1ほど。 体色は土と同じ灰褐色で、昼間は土の中で丸まって静止しているため、土の塊や小石と見間違えやすい特徴があります。foocom+1
発生のピークは年2回あります。
参考)ネキリムシの予防法と発生した時の対策|無農薬で駆除する方法に…
第2ピークが大きい理由は重要です。
夏に成虫が飛来して産卵するため、秋の定植時期(キャベツ・白菜・大根など)とぴったり重なるからです。 四国など暖地の一部では年4世代を経過するものもおり、年間を通じた防除意識が必要になります。nogyo.tosa.pref.kochi.lg+1
若齢幼虫のうちは地際の茎葉を食べながらイネ科雑草の上で活動しますが、中齢以降は昼間に土中へ潜る夜行性に切り替わります。 この習性の変化が、被害の発見を遅らせる最大の原因です。
参考)しょうが カブラヤガ : こうち農業ネッ…
🔍 ネキリムシの発生時期・予防法の詳細(農学博士・木嶋利男先生監修)。
ネキリムシの予防法と発生した時の対策|無農薬で駆除する方法に…
カブラヤガ幼虫の被害で最もわかりやすいサインは、定植直後の苗が根元からぱったり倒れていることです。 根を食べるコガネムシ幼虫の被害とは異なり、茎を地際で「切断」するのがカブラヤガの特徴。 根自体は残っていても、茎を切り落とされた苗は回復できません。
参考)カブラヤガ・幼虫はネキリムシの真犯人 – FOO…
特に被害を受けやすい作物は以下の通りです。
老齢幼虫は口器が非常に丈夫で、ほぼすべての植物を食害できます。
これは要注意です。
食べる植物がなくなると根や塊茎にも食害が及ぶため、畑の規模にかかわらず被害ゼロとはなりません。 また、1匹がひと晩のうちに次々と複数の株を加害するため、棲息密度がそれほど高くなくても被害は広範囲になります。nogyo.tosa.pref.kochi.lg+1
ネキリムシとヨトウムシの被害は混同されやすい点も覚えておくとよいでしょう。ヨトウムシは葉を集団で食い荒らすのに対し、カブラヤガ幼虫は株元の茎を切る点が異なります。 被害パターンで犯人を特定することが、正しい防除への第一歩です。
🔍 ネキリムシとヨトウムシの違い・防除方法(マイナビ農業)。
ネキリムシとは? 特徴や発生しやすい条件、防除方法まで、農家…
防除の基本は「雑草管理」と「適切なタイミングでの薬剤使用」の2本柱です。
これが原則です。
雑草管理が重要な理由は、成虫がイネ科雑草を主な産卵場所にするためです。 雑草を除去してから2週間後に耕耘すると、土中の幼虫が絶食状態になり自滅します。 除草直後に即定植すると、餌を失った幼虫が一斉に新しい苗に集中するため被害が急激に増えます。
| 防除方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 🌿 雑草管理 | 産卵防止・費用ゼロ | 除草後2週間待ってから定植 |
| 🔦 夜間捕殺 | 無農薬・即効性あり | 懐中電灯で株元を照らして探す |
| 🛡️ 物理的防護 | 農薬不使用 | 苗の株元をストローや芯で囲む |
| 💊 ペレット農薬 | 速効性・広範囲に対応 | 作物ごとに登録農薬を確認 |
| 🌱 大苗定植 | 本葉4枚以上で被害を受けにくくなる | 柔らかい若苗は特に狙われる |
薬剤防除には、ペレット状(粒剤)のベイト剤が使いやすいです。 代表的なものに「ネキリベイト」「ガードベイトA」「サンケイデナポン5%ベイト」があります。これらは株元にばらまくだけでよく、薬剤の飛散リスクも低いため、農薬散布の経験が少ない方でも扱いやすい農薬です。
防虫ネットも有効な手段です。 細かい目のネットで成虫の飛来自体を防ぐことで、産卵を根本的に遮断できます。ただしハウス内では換気が妨げられる場合があるため、通気性に注意しながら設置してください。
🔍 ネキリムシ類の薬剤防除データ(徳島県農業試験場)。
https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/432282.pdf
カブラヤガ幼虫に関して、農業従事者が意外と気づきにくいポイントが3つあります。
つまり「知らないと損する」情報です。
①「きれいに除草した畑は安全」という誤解
除草直後に定植すると、餌を失った幼虫がいっせいに新しい苗へ集中します。 むしろ丁寧に除草した直後の定植が最も危険なタイミングです。雑草除去から約2週間は土中の幼虫が生存しているため、この期間を置いてから定植するのが安全策です。
②「土中で丸まっている土塊は無害」という誤解
耕耘中に出てきた丸まったものが「土の塊かな」と見えても、実はカブラヤガ幼虫の擬態です。 発見時に動かない・丸まっているのは敵から身を守る保護行動で、数分後には動き出して再び土へ潜ります。耕耘中に見つけた場合はすぐに捕殺してください。
③「根がしっかりしていれば問題ない」という誤解
カブラヤガ幼虫の食害を受けた株は、根が残っていても茎が切断されていれば回復しません。 被害を発見してから対処では遅いことも多く、定植前の予防措置(土壌処理剤の施用など)が収益を守る上で非常に重要です。agri.mynavi+1
④過去に被害がなかった圃場でも油断は禁物
カブラヤガの成虫は長距離を飛んで産卵場所を探します。 昨年被害がなかった畑でも、周辺環境(休耕地・雑草地)が変わるだけで突然の大発生につながります。特に圃場周囲に耕作放棄地がある場合は、毎シーズン予防的な対策を講じることが大切です。
農業資材メーカーのFMCジャパンによる害虫Wikiでは、ネキリムシ類に効果のある農薬と秀品率向上に関する情報が公開されています。
参考)https://www.fmc-japan.com/wiki/vegetable/butterfly/cutworm
🔍 ネキリムシ類の特徴と農薬による防除方法(FMCジャパン 害虫Wiki)。
https://www.fmc-japan.com/wiki/vegetable/butterfly/cutworm