白菜の「おすすめ」は、口コミより先に“登録(適用作物・適用病害虫・使用方法・使用時期・回数)”で決めるのが鉄則です。農薬はラベル(登録内容)に従って使う必要があり、作物名・害虫名・希釈倍率・収穫前日数・総使用回数がセットで管理対象になります。
とくに白菜は、同じアブラナ科でも「はくさい」「キャベツ」「非結球はくさい」などで登録が分かれることがあるため、「アブラナ科だから同じでしょ」という運用は事故の元です(作物分類が違えば使えない、という考え方が公的Q&Aでも明確です)。
参考:作物名・農薬名・病害虫名で登録内容を検索できる公的システムの説明(まずここで“使える/使えない”を確定)
作物名・病害虫名から農薬登録情報を調べる方法(FAMIC Q&A)
実務での手順は、次の順にすると早いです。
✅ 1)白菜(はくさい)で検索して、対象害虫(アオムシ、コナガ、ヨトウムシ等)を選ぶ(農林水産省の登録情報提供システムで作物名検索が可能)。
✅ 2)候補剤の「収穫前日数」「使用回数」「希釈倍率」「使用液量」を確認。
✅ 3)自分の作型(定植~結球~収穫)に対して、散布可能な“窓”が確保できるかを確認。
ここで意外と見落とされるのが「購入後に登録内容が変わっていたら違反になるのか?」という不安ですが、少なくとも“ラベルを守って使用していれば違反に該当しない”という整理が示されています。ただし、登録や残留基準の変更があり得るので、都道府県やメーカーの最新情報確認も推奨されています。
参考:ラベル遵守と登録変更の考え方(現場で揉めやすい論点)
登録変更に気づかず使った場合の扱い(FAMIC Q&A)
白菜の主要害虫で、薬剤選びが効きやすいのは「チョウ目(ガの仲間)の幼虫」系です。代表例としてアオムシ、コナガ、ヨトウムシが挙げられ、発生の波が来ると結球前の葉を一気に食害され、外葉の商品価値も落ちます。
ここで重要なのは、“薬剤の名前”より“虫のステージ”です。若齢幼虫のうちに当てると効きやすく、齢が進むほど効きにくくなって追加散布が増えやすい、という運用上の特徴が一般的に共有されています(白菜に限らず、チョウ目幼虫は若齢で叩くのが合理的)。
実際の散布で効きが落ちる原因は、次の3つに集約されます。
家庭園芸向け資材の説明でも「葉の表裏の害虫にムラなく薬液がかかるように」「チョウ目は若令幼虫に有効なので時期を失せず散布」といった注意が明記されており、白菜でも薬害注意が書かれることがあります。規模の大小に関係なく、“当て方”と“時期”が成否を分けるのは同じです。
参考:散布ムラ・若齢期の重要性、白菜での薬害注意(家庭園芸向けだが原理が分かりやすい)
葉の表裏にムラなく散布/若齢幼虫に有効/はくさいは複数回散布で薬害注意(KINCHO園芸)
ここでは“例として”適用表の読み方を具体化します。たとえば「ベニカS乳剤(有効成分:ペルメトリン、IRAC 3A)」は、はくさいに対してアオムシ・コナガ・ヨトウムシの適用が掲載されており、希釈倍率200倍、使用液量100~300mL/㎡、使用時期は収穫7日前まで、散布、使用回数は5回以内(有効成分を含む回数も5回以内)と整理されています。
この“1行”から、現場で決まることは多いです。
- 収穫が近い作型では「7日前まで」がネックになる(収穫直前の被害には別の登録剤が必要になることがある)。
- 200倍が前提なので、動噴の吐出量・歩行速度・ノズルで必要量が変わる(薬量がブレると効きもブレる)。
- 5回以内という上限があるので、同系統(同一有効成分・同一系統)に偏ると後半で詰む。
そして「おすすめ」を“1本に固定”してしまうのが、抵抗性・効きムラ・回数制限の面で危険です。系統(IRAC)を意識してローテーションし、発生初期は若齢狙いで回数を節約し、どうしても多発する圃場は物理防除(防虫ネット等)も併用して“薬剤に依存しすぎない設計”にすると、トータルの安定性が上がります。
参考:はくさいに対するアオムシ・コナガ・ヨトウムシ、希釈倍率・収穫前日数・回数などの具体的な適用表
ベニカS乳剤の適用表(はくさい:アオムシ・コナガ・ヨトウムシ、収穫7日前まで等)(農家web)
独自視点として、検索上位の記事で“さらっと流されがち”なのが、総使用回数のカウントが作物によってどう切れるか、という運用リスクです。公的Q&Aでは、総使用回数のカウント期間は「は種・植付け(準備作業を含む)から収穫に至るまで」とされ、一般的な一作一収穫の作物はその期間で回数を数える、と整理されています。つまり白菜は、基本的に「この作の開始から収穫終了まで」がカウント枠になります。
この考え方を知らないと、たとえば“前作の感覚”で回数を組んで、後半に「上限で打てない」「有効成分の回数で引っかかった」という事態が起きます。逆に、計画段階で回数上限を前提に設計しておけば、発生初期に効率良く叩き、後半の“保険の1回”を残す運用ができます。
参考:総使用回数のカウント期間の定義(実務で監査・出荷の説明にも使える)
農薬の総使用回数はどの期間で数えるか(FAMIC Q&A)
もう一つ、意外に効く小技は「記録のテンプレ化」です。散布ごとに、日付・圃場・作物(はくさい/非結球はくさいの別)・対象害虫・薬剤名・希釈倍率・使用量・天候(風)・収穫予定日との差(日数)を、スマホのメモやスプレッドシートに固定列で残すだけで、
が一気に進みます。意味のない文字数増やしではなく、失敗の再発防止として効果が高いので、経営体ほど効きます。
剤によっては、白菜での薬害注意が明記されるものがあります。たとえば家庭園芸向け製品の注意として「はくさいには複数回散布すると薬害が生じるおそれがあるため注意」と明記されており、白菜は“何を何回でも”ではない、という現実を思い出させてくれます。
また、同じ注意書きの中に「病害虫の増殖や飛び込みが活発なときは5~7日間隔の連続散布が望ましい」といった運用指針も書かれています。ここから得られる教訓は、「間隔」は固定の正解ではなく、発生密度と世代更新に合わせて設計する、ということです。
参考:5~7日間隔の考え方、白菜での薬害注意、葉裏散布の重要性
連続散布の間隔目安/はくさい薬害注意/葉の表裏にムラなく(KINCHO園芸)
散布設計の実務ポイントを、現場目線でまとめます。
参考:農薬登録情報提供システム(作物名から探す入口。白菜で使える登録を確認してから購入・散布計画を立てる)
農薬登録情報を作物名で探す(農林水産省)