すす紋病トウモロコシの症状・原因・防除対策と品種選定

トウモロコシのすす紋病は、北海道を中心にTDN収量を最大22%も減少させる深刻な病害です。症状の見分け方から耐病性品種の選び方、薬剤防除のタイミングまで、現場で使える対策を徹底解説します。あなたの圃場は大丈夫ですか?

すす紋病トウモロコシの症状・原因・防除対策と品種選定

すす紋病抵抗性の高い品種を使っても、収穫が遅れるだけで病気が一気に進んでTDN収量が最大22%も失われることがあります。


🌽 すす紋病 トウモロコシ 完全ガイド
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症状と病原菌の特徴

紡錘形の大型病斑(長さ5〜10cm超)が葉に出現。病原菌 Exserohilum turcicum が越冬残渣から胞子を飛ばし感染を広げます。

⚠️
収量への深刻な影響

激発するとTDN収量が最大22%減少。さらにサイレージの発酵品質まで低下し、採食量・消化率ダウンの連鎖被害が発生します。

🛡️
効果的な3つの防除戦略

①耐病性品種の選択 ②残渣のプラウ耕によるすき込み ③チルト乳剤25(プロピコナゾール)の適期散布で被害を最小化できます。


すす紋病とはトウモロコシにとってどんな病気なのか


すす紋病は、糸状菌(かび)の一種である Exserohilum turcicum(エクセロヒラム・ツルシカム)が引き起こすトウモロコシの葉枯れ性病害です。以前は Helminthosporium turcicum という学名で呼ばれていましたが、現在は改名されています。別名でいえば「ツルシカム葉枯病」とも呼ばれることがあります。


この病気は北海道や東北の冷涼多湿な地域で特に深刻で、大発生した年には圃場全体が枯れ上がるほどの壊滅的な被害をもたらすことがあります。九州など温暖な地域でも観察されることがありますが、冷涼な気候ほど被害が拡大しやすい点が特徴です。


冷涼地での代表的な葉枯性病害といえます。


発生は生育後期、つまり出穂期(絹糸抽出期)以降に集中します。それまでは目立った症状が見えないため「まだ大丈夫」と思いがちですが、胞子はすでに圃場に飛散していることがあります。


見えない段階からの備えが欠かせません。


  • 🌿 病原菌名: Exserohilum turcicum(糸状菌・かびの一種)
  • 📍 主な発生地域: 北海道・東北(冷涼多湿地帯)、九州でも発生例あり
  • 📅 発生時期: 出穂期(絹糸抽出期)以降の生育後期
  • 🌡️ 好発条件: 低温多湿(気温15〜27℃、相対湿度90%以上が継続)


すす紋病のトウモロコシへの感染経路と越冬のしくみ

すす紋病菌は、感染したトウモロコシの葉をはじめとする植物体の内部で、菌糸体や分生胞子の形で越冬します。これが翌シーズンの最大の伝染源(第一次伝染源)となります。前年の収穫残渣を圃場にそのまま放置しておくことが、翌年の多発につながる最大のリスクです。


春から初夏にかけて気温と湿度が好適になると、残渣の上に残っていた病原菌が増殖し始めます。その胞子は雨水の跳ね返しや風に乗って新しいトウモロコシの葉に付着し、最初の感染(一次感染)が成立します。感染には「葉の表面に水が6〜18時間存在し、気温が18〜27℃」という条件が必要です。


二次感染では、感染した株から新たな胞子が生産され、風で長距離を移動することで隣の圃場にも広がります。つまり、自分の圃場の管理が行き届いていても、周辺からの飛来胞子によって発生するケースもあります。


これは重要な点です。


農研機構の研究(岡部 2021)では、「相対湿度90%以上の状態が10時間以上持続し、その間の平均気温が15℃以上」となった直後に胞子が空中に飛散することが確認されています。胞子の飛散を予測するプログラム「ストップ!!すす紋病!」(Microsoft Excel VBA製)も開発されており、民間気象予報データと組み合わせて発生予察に活用できます。


参考リンク先:農研機構によるすす紋病の発生気象条件の研究成果。胞子形成条件・感染成立条件の具体的な温度・湿度データが確認できます。


トウモロコシすす紋病の発生する気象条件 - 農研機構


すす紋病のトウモロコシにおける症状の特徴と見分け方

すす紋病の症状を早期に発見するためには、病斑の形状と色の変化を正確に理解しておく必要があります。


発症初期には、葉脈と平行に紡錘形の病斑が現れます。最初は暗緑色で水浸状(水が染み込んだように見える状態)ですが、時間が経つと灰白色に変色して拡大します。病斑の大きさは発病初期の段階でも3cm程度、進行すると10cmを超えるものが多くなります。10cmといえば、はがきの横幅(約14.8cm)よりやや短い程度の大型病斑です。


これは一目で異変とわかるサイズです。


病斑が古くなると、表面にすす状の黒いかびが密生して葉が裂けやすくなります。


ここが「すす紋病」という名前の由来です。


感染は通常、下部の葉から上部へと進行しますが、胞子量が非常に多い大発生年には上の葉から先に感染が起きることもあります。


これは意外なパターンです。


病気の進行が速く、雌穂葉(穂を包む葉)から上の葉まで病斑が広がると収量への影響が深刻になります。


収穫前には全葉が枯死することもあります。


  • 🟢 初期症状: 暗緑色の水浸状・紡錘形病斑(3cm程度)
  • 進行期: 灰白色に変色・拡大(10cm超)、葉が裂けやすくなる
  • 末期: 病斑にすす状の黒いかびが密生、全葉枯死
  • 📍 進行方向: 下葉から上葉へ。大発生時は上から始まることも


すす紋病の発生に好適な気象条件とトウモロコシの感染タイミング

すす紋病の発生は、その年の気象条件に大きく左右されます。


これが防除計画を難しくする要因の一つです。


農研機構の圃場観察(2018〜2019年)では、以下の2つの条件が揃ったときに病気が発生することが明らかになっています。


  • 🌧️ 胞子形成条件: 相対湿度90%以上が10時間以上持続し、その間の平均気温が15℃以上
  • 💧 感染成立条件: 17℃で18時間、19.7℃で15時間、21.5℃で12時間、24℃で9時間以上の高湿度(90%以上)が必要


胞子が飛散した後、感染成立条件が揃うと、2〜3週間の潜伏期間を経て病斑数が急増します。「先週まで何ともなかったのに急に広がった」と感じやすいのはこの潜伏期間のせいです。


また、気象変動の影響も見逃せません。近年、南から北に強い嵐が縦断するパターンが増加しており、これによって病原菌の胞子が従来よりも北の地域にまで運ばれてくるようになっています。従来の「自分の圃場の管理さえしていれば安心」という考えは、もはや通用しない時代になっています。


そこが難しいところですね。


発生は年次間変動がきわめて大きく、「全く発病しなかった年の翌年に大発生」という事例も報告されています。軽微な年が続くと油断しがちですが、これが最も危険な状況です。


すす紋病がトウモロコシの収量と品質に与える具体的な被害

すす紋病の被害は「葉が汚く見える」という見た目の問題にとどまりません。収量と飼料品質の両面に深刻な影響を与えます。


北海道立総合研究機構根釧農業試験場の試験成績によると、すす紋病が激発した場合はTDN(可消化養分総量)収量が最大22%減少することが報告されています。仮に10aあたりのTDN収量目標が4,500kg/10aだとすると、約990kgもの損失になる計算です。これは飼料費換算で決して無視できない金額です。


さらに見逃しがちなのが、サイレージ品質への影響です。すす紋病で著しく枯れ上がると、収穫物の乾物率が高くなり(水分が下がりすぎる)、サイレージとして調製した際に発酵品質が悪化します。二次発酵やかびが発生しやすくなり、結果として家畜の消化率や採食量の低下につながります。収量が減るだけでなく、残った飼料の質まで落ちるということですね。


| 被害の種類 | 具体的な影響 |
|---|---|
| TDN収量損失 | 激発時に最大22%減少 |
| サイレージ発酵品質低下 | 二次発酵・かびが発生しやすくなる |
| 採食量・消化率低下 | 家畜の摂取栄養量が低下 |
| 収穫適期の短縮 | 枯れ上がりが進むと早期収穫を迫られる |


すす紋病に対するトウモロコシの耐病性品種の選び方

すす紋病対策の中で最もコストパフォーマンスが高い手段が、耐病性品種の選択です。農薬散布の手間や費用をかける前に、まず品種選定から見直すことが基本です。


すす紋病菌にはいくつかのレース(系統)が存在し、品種によって各レースへの抵抗性が異なります。パイオニアなどのメーカーは種子カタログでレースごとの抵抗性スコアを公表しています。また、雪印種苗の「ビビッド」は、すす紋病に対して優れた抵抗性を示しているとの報告があります。


ただし、注意しておきたいことがあります。耐病性品種でも、登熟が進むと病気が進展しやすくなります。「強い品種だから大丈夫」と収穫を遅らせると、かえって被害が大きくなるリスクがあります。耐病性品種を選んだ場合でも、収穫適期の管理を怠らないことが条件です。


品種選定の際には、すす紋病への抵抗性だけでなく、以下の要素を総合的に判断することが求められます。


  • 🌱 熟期: 地域の気候・栽培スケジュールとの適合性
  • 💪 収量性・倒伏耐性: TDN収量ポテンシャルと茎の強さ
  • 🦟 その他病害虫への抵抗性: ごま葉枯病フザリウム茎腐病への耐性
  • 📊 試験データの信頼性: より多くの試験地・年数から得られたデータを重視する


参考リンク先:子実コーンNAVIによるすす紋病の詳細解説。病原菌のレース、感染条件、品種選択の考え方が整理されています。


すす紋病 | 子実コーンNAVI | サナテックシード株式会社


すす紋病対策としてのトウモロコシ残渣処理と輪作の重要性

耐病性品種の次に重要な耕種的対策が、残渣管理と輪作です。前作の残渣が越冬伝染源となることを考えれば、この2つは病害管理の土台といえます。


収穫後の残渣をそのまま放置した圃場では、翌年のすす紋病発生リスクが大幅に高まります。プラウ耕による秋おこし(秋耕)で残渣を土壌中にすき込むことで、残渣の分解を促進し伝染源を減らすことができます。不耕起栽培で病害が多発した圃場は、一度秋耕を行うことが推奨されています。不耕起栽培はコスト面でメリットがありますが、すす紋病多発地帯では慎重に判断が必要です。


輪作も有効な手段の一つです。同じ圃場に毎年トウモロコシを連作すると、土壌中の残渣と伝染源が蓄積し続けます。輪作することで、残渣の分解が進み翌作への伝染リスクを大幅に低減できます。なお、家畜飼料のために茎葉部を収穫すること自体が残渣を減らす効果を持ちます。


また、圃場の排水性改善もあわせて行うと効果的です。サブソイラーの利用などで排水を整えることで、多湿条件の持続を防ぎ、感染成立を妨げることができます。


  • 🚜 秋耕(プラウ耕): 残渣を深くすき込み、翌年の伝染源を断つ
  • 🔄 輪作: 残渣蓄積を防ぎ、病原菌密度を下げる
  • 💧 排水改善: サブソイラー利用で圃場の過湿を抑制
  • 🌾 茎葉部収穫: 残渣そのものを減らす副次的効果


すす紋病の発生と播種時期の関係——トウモロコシ栽培の意外な盲点

播種時期の遅れがすす紋病の被害を深刻にすることは、現場ではあまり知られていない重要な知識です。


播種が遅れた圃場では、トウモロコシは他の圃場に比べて生育ステージが小さい段階で病原菌に感染してしまいます。生育が進んでいないうちに感染すると、その後の病気の進行スピードがトウモロコシの生育速度を上回り、被害が大きくなります。


逆に、適期に播種して順調に生育している株は、感染が起きたとしても生育のスピードで病気の進展をある程度カバーできます。つまり、すす紋病対策としての「適期播種」は、農薬を使わない防除の一手段です。


ただし注意点もあります。病原菌のプレッシャー(胞子量)が非常に高い年には、早播きをしても遅播きをしても被害が大きくなることがあります。適期播種はあくまでリスクを下げる手段であり、万能ではありません。結論は、適期播種はリスク管理の一つとして位置づけることです。


適切な播種時期は地域の気候や品種の熟期によって異なるため、地域の農業改良普及センターや農協からの情報を参考にするとよいでしょう。


すす紋病に対するトウモロコシの薬剤防除——使える農薬と散布のタイミング

薬剤防除は、すす紋病が発生した後でも被害拡大を抑えるための重要な手段です。ただし「発生したら何でも散布すればいい」ではなく、登録農薬・散布タイミング・方法のすべてを正確に押さえる必要があります。


これが基本です。


現在、トウモロコシのすす紋病に登録されている主な農薬は以下の通りです。


  • 💊 プロピコナゾール乳剤(チルト乳剤25): 飼料用・子実用トウモロコシに使用可。

    収穫7日前まで・2回以内。

    浸透移行性に優れ、フザリウム茎腐病・赤かび病も同時防除が可能
  • 💊 トリフミン水和剤 未成熟トウモロコシ(スイートコーン)および子実に使用可
  • 💊 シグナムWDG: 未成熟トウモロコシ(スイートコーン)に使用可


散布のタイミングは、すす紋病の発生初期が原則です。病気が進んでしまってからでは効果が限られます。収穫7日前までなら散布可能ですが、できるだけ早期発見・早期防除が求められます。


草丈が約3mに達したトウモロコシ圃場では、地上からのブームスプレーヤによる散布では外周部にしか薬剤がかからないことが問題になります。ほ場全体に均一に散布したい場合は、無人航空機(ドローン・ラジコンヘリ)による空中散布が有効です。チルト乳剤25の無人航空機散布の使用基準は、希釈8倍または16倍・10a使用液量800mlまたは1600mlです。ドローン散布は作業委託になるため、発生が確認されたら早めに専門業者へ相談することが大切です。


参考リンク先:タキイ種苗によるすす紋病の症状・発生のしくみ・登録防除薬剤の解説。


登録農薬の基本情報を確認できます。


スイートコーンすす紋病 - タキイ種苗


参考リンク先:胆振農業改良普及センターによる飼料用トウモロコシのすす紋病発生確認後の具体的対策。ドローン散布の使用基準や早期収穫の判断基準が詳しく載っています。


とうもろこし(飼料用)のすす紋病発生確認後の対策について - 胆振農業改良普及センター(PDF)


すす紋病発生後のトウモロコシ早期収穫の判断基準

すす紋病が発生・進行した圃場では、収穫時期の判断が収益を大きく左右します。「登熟を待ちすぎる」ことが病害を悪化させる最大の落とし穴の一つです。


すす紋病に罹患した株では、雌穂の登熟が進むにつれて病気も進展しやすくなります。


これは耐病性品種であっても同様です。


耐病性品種だから安心、ではありません。枯れ上がりが進むと乾物率が高くなりすぎて(水分が低下しすぎて)、サイレージとして調製した際の発酵品質が著しく低下します。


早期収穫の主なメリットは以下の通りです。


  • ✅ 病気の進行を途中でストップできる
  • ✅ 過乾燥によるサイレージ発酵品質の低下を防げる
  • ✅ 圃場の早期空きで残渣処理や秋耕に余裕が生まれる


一方、デメリットとして子実の登熟が不十分な場合は、子実収量・TDN含量が低くなることが挙げられます。このバランスを見極めるのが難しいところです。


判断に迷う場合は、地域の農業改良普及センターや農協の普及員に圃場の状況を確認してもらうのが確実です。発生が疑われる症状を見つけたら、早めに相談することをお勧めします。


すす紋病がトウモロコシのサイレージ品質に与える影響——見落とされがちな2次被害

すす紋病の被害として収量減少はよく知られていますが、サイレージ調製後の2次的な品質低下については見落とされることが少なくありません。


これは知らないと損する情報です。


すす紋病で著しく枯れ上がったトウモロコシを収穫すると、植物体全体の水分が低下します。サイレージ調製に適した水分は概ね65〜70%程度ですが、過度に枯れ上がると水分が60%を下回るケースも出てきます。水分が低すぎると、サイロ内での発酵が不均一になり、カビや二次発酵が起きやすくなります。


さらに、すす紋病の病原菌が産生するマイコトキシン(かび毒)が飼料を汚染するリスクも指摘されています。重度のすす紋病罹病トウモロコシから調製したサイレージでは、発酵品質だけでなく栄養価も低下するとの調査結果があります。


つまり、すす紋病は「圃場での収量ロス」→「サイレージの品質低下」→「家畜の採食量・消化率の低下」→「乳量・増体量の低下」という連鎖被害を起こす可能性があります。


被害は見えないところで連鎖します。


サイレージ品質を守るためには、すす紋病発生圃場の収穫タイミングを適切に見極めることが欠かせません。品質低下が心配な場合は、調製後のサイレージ品質分析(発酵品質・栄養成分)を行い、給与設計に反映させることが重要です。家畜衛生保健センターや飼料メーカーに相談すると、サイレージの発酵品質分析サービスを利用できる場合があります。


すす紋病対策に活かすトウモロコシ圃場の土壌管理と施肥管理

すす紋病に対して圃場環境を整えることも、重要な予防策の一つです。


排水性の悪い圃場では高湿度が持続しやすく、すす紋病の感染成立条件(相対湿度90%以上)が整いやすくなります。サブソイラーを利用した心土破砕や暗渠設置など、圃場の排水性を改善することで、多湿環境の継続時間を短縮できます。


施肥管理も見逃せません。窒素肥料が不足すると株が軟弱になり、病気にかかりやすくなります。一方で、過剰な窒素施肥は徒長を招き、これもまた病害リスクを高めます。土壌分析結果や有機物投入量を踏まえた適正施肥が条件です。


密植も通気性・採光性を悪化させ、多湿マイクロ環境を作りやすくなります。播種密度を適正に保ち、株間の風通しを確保することも、軽視できない管理ポイントです。


| 圃場管理の項目 | 推奨内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 排水改善 | サブソイラー、暗渠設置 | 多湿条件の継続を抑制 |
| 施肥管理 | 土壌分析に基づく適正施肥 | 株を健全に保つ |
| 播種密度 | 密植を避け、風通しを確保 | 圃場内マイクロ環境の改善 |
| 秋耕 | プラウ耕による残渣すき込み | 翌年の伝染源を低減 |


すす紋病とトウモロコシ病害の複合発生——見落としがちな他病害との混発リスク

すす紋病に注意を向けるとき、他の病害との複合発生リスクも視野に入れておくことが重要です。これは現場では意外に見落とされがちな観点です。


トウモロコシではすす紋病と同時期にごま葉枯病(Bipolaris maydis)が発生することがあります。どちらも葉に病斑を作るため、現場での識別が難しいケースがあります。ごま葉枯病は高温多湿で発生しやすく、病斑が小さめで葉脈に沿って拡大する点でやや異なります。混発すると葉の光合成能力がより急速に失われます。


また、フザリウム茎腐病との複合発生もリスクの一つです。チルト乳剤25(プロピコナゾール)はすす紋病だけでなく、フザリウム茎腐病・赤かび病にも同時に効果を持ちます。すす紋病対策として散布する際、これらの病害リスクも同時に抑えられる点は、大きなメリットです。


農薬散布の際に「すす紋病専用」とは考えず、圃場全体の病害プレッシャーを複合的に評価することで、より効率的な防除が実現します。


参考リンク先:トウモロコシ病害虫のわかりやすい解説。すす紋病を含む5つの主要病害の症状・予防法が一覧できます。


トウモロコシを病気から守る!知っておくべきトウモロコシの病気まとめ - 産直プライム


すす紋病への備えとして活用できるデジタルツールと情報収集の方法

近年、すす紋病の発生予察や情報収集に活用できるデジタルツールや機関情報が充実しています。


現場での管理に役立ててほしい情報です。


農研機構が開発した発生予察プログラム「ストップ!!すす紋病!」は、Microsoft Excel VBAで作成されており、民間気象予報会社が発表する気温・相対湿度の1時間ごとのデータを入力することで、胞子形成条件・感染成立条件の出現を事前に予測できます。活用するためには気象データの取得環境が必要ですが、農業改良普及センターや農試との連携で活用している産地も増えています。


スマート農業の文脈では、圃場内に温度・湿度センサーを設置して微気象データをリアルタイムで記録し、病害発生リスクを可視化するサービスも登場しています。圃場単位での気象データ取得が可能になると、より精密な防除判断が可能になります。


情報収集の面では、北海道立総合研究機構(道総研)や農林水産省の病害虫発生情報、地域農業改良普及センターからの発生予察情報を定期的に確認することが重要です。「今年は発生しやすい気象か」という予測情報を早めにキャッチすることで、耐病性品種の選定・早期防除のタイミングを逃さずに済みます。


  • 💻 ストップ!!すす紋病!(農研機構): 気象データから発生条件を予測するExcelプログラム
  • 📡 圃場内センサー: 温度・湿度のリアルタイム計測でリスク管理
  • 📋 発生予察情報: 道総研・農業改良普及センターの情報を定期確認
  • 🤝 農協・普及員: 地域の発生状況把握と対策アドバイスを入手


参考リンク先:農研機構による飼料作物病害図鑑のすす紋病ページ。病徴・病原・防除法の学術的な記述を確認できます。


NARO 農研機構 飼料作物病害図鑑 トウモロコシすす紋病


すす紋病に強いトウモロコシ圃場づくりのための年間管理スケジュール(独自視点)

すす紋病対策は「何か起きてから動く」のではなく、「年間を通じた圃場設計」として組み込むことで初めて安定した効果が得られます。これが多くの上位記事では語られていない現場視点です。


農業現場では各作業が時期ごとに重なり合い、「すす紋病のためだけに時間を割く」ことは現実的ではありません。そこで、他の栽培管理と合わせて自然と対策が積み重なる設計が重要になります。


時期 管理作業 すす紋病対策としての効果
秋(収穫後) プラウ耕(秋おこし)・残渣すき込み 越冬伝染源の低減
冬〜春 品種選定・耐病性スコアの確認 翌年のリスクをあらかじめ下げる
播種時 適期播種・適正播種密度の確保 感染時の生育ステージを大きく保つ
生育期(7〜8月) 発生予察情報の確認・下葉の観察 早期発見・早期防除の判断材料に
出穂期以降 チルト乳剤25の散布(必要に応じて) 病気の拡大を抑制
収穫前 罹病程度の確認・早期収穫の判断 サイレージ品質の確保


この年間設計で重要なのは「冬〜春の品種選定」の段階です。この時点で耐病性品種を選ぶことで、薬剤散布の頻度そのものを減らすことができます。また、秋の秋耕が翌年の発生リスクに直結するため、収穫後の疲労があっても秋耕作業は省略しないことが原則です。


  • 🍂 秋: プラウ耕による残渣すき込みが翌年の被害を左右する
  • ❄️ 冬〜春: 耐病性スコアを確認した品種選定で年間リスクを設計する
  • ☀️ 夏: 発生予察情報と圃場観察を組み合わせた早期対応が鍵




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