除草剤を正しく使っているのに、水田から特定の雑草だけが消えずに毎年増えているなら、あなたの田んぼはすでに「SU抵抗性雑草」に侵食されている可能性が高く、次の収穫が2〜3割減になるリスクがあります。
「難防除雑草」とは、文字通り防除しにくい雑草のことを指します。水田で特に問題になるのは、地下に塊茎(かいけい)をもつ多年生雑草や、除草剤に対して抵抗性を獲得した雑草です。
一般的な一年生雑草は、適切な時期に一発処理剤を使えば抑えることができます。しかし難防除雑草は、塊茎が地中深くに複数の芽を持っていたり、種子の寿命が数年から20年近くに及んだりするため、一度の除草剤散布では根絶できません。
つまり体系処理が前提です。
水田雑草は全国に約200種類存在するとも言われています。その中でも特に収量に影響する「強害雑草」と呼ばれる種が、難防除雑草と重なる場合が多くあります。農作業の省力化に伴い一発処理剤の使用が主流になったことで、特定の除草成分への依存が高まり、抵抗性を持つバイオタイプが全国に広がっています。こうした背景を理解することが、適切な防除体系を組む第一歩です。
除草剤を散布しているにもかかわらず特定の雑草だけが大量に残草している場合、それは難防除雑草か抵抗性雑草の可能性が高いです。
早めの対策が必要です。
参考:農作業便利帖「難防除雑草対策」(みんなの農業広場)
https://www.jeinou.com/benri/rice/2008/06/100938.html
ノビエとは、タイヌビエ・イヌビエ・ヒメタイヌビエなどを総称した呼び方です。水田で最もよく見られる代表的な雑草で、特にタイヌビエは全国の水田に広く分布しています。
ノビエが厄介なのは、幼苗期にイネと非常によく似ているためです。葉齢が進むまで見分けがつきにくく、発見が遅れると除草剤の使用適期を逃しやすくなります。除草剤のラベルに記載されている使用限界はノビエの葉齢(例:3葉期まで)で示されることがほとんどで、この時期を少しでも過ぎると効果が大幅に低下します。
| 特徴 | イネ | ノビエ(タイヌビエ) |
|---|---|---|
| 葉の形 | 葉脈が平行、やや光沢あり | 葉脈が平行、やや幅広 |
| 葉舌(葉の付け根) | 膜状の葉舌がある | 葉舌なし(最重要判別ポイント) |
| 葉耳 | 葉耳がある | 葉耳なし |
| 根元 | 白色 | 淡紫色〜緑色 |
畦畔から見えるノビエが2.5葉期のときでも、圃場内ではそれより生育が進んだ個体が存在する場合があります。安定した除草効果を得るためには、早め早めに散布するのが基本です。なお、シハロホップブチルやペノキススラムなどの特定成分に対して抵抗性を示すヒメタイヌビエ・イヌビエのバイオタイプが国内で確認されており、同じ成分の連用は避けましょう。
種子の寿命は土中で6〜8年、乾田の耕土下層では10年以上生存することが確認されています。一度多発させると、その後何年にもわたり発生源になります。
早期発見が条件です。
参考:宮城県「雑草解説(稲作)」
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/hk-nousi/zassou-kaisetsu-inasaku.html
ホタルイ(イヌホタルイ)は、カヤツリグサ科の多年生雑草で、全国の水田にごく普通に見られます。除草剤ラベルではホタルイ・イヌホタルイ・タイワンヤマイをまとめて「ホタルイ」と表記します。
ホタルイが難防除雑草とされる主な理由は2つあります。
1つ目は、種子の寿命が土中で10〜20年に及ぶことです。これは、田畑輪換(水田と畑作を交互に行う)を行っても種子が死滅せずに残り続けることを意味します。しかも移植後10日頃から最大30日以上にわたってだらだら発生し続けるため、一発処理除草剤だけでは防除しきれないことが多いです。
2つ目は、SU(スルホニルウレア)系除草剤に対する抵抗性を獲得した個体群が全国各地で報告されていることです。SU系成分は多くの一発処理剤に主成分として配合されており、これが効かなくなると除草体系が根底から崩れます。さらに近年では、SU抵抗性に加えてALS阻害剤(アセト乳酸合成酵素阻害剤)交差抵抗性を持つイヌホタルイも確認されており、使える除草剤の選択肢がさらに絞られています。
ホタルイは多発するとカスミカメムシ類の中間宿主にもなります。つまり、ホタルイの密度が高い水田ほど斑点米による等級落ちのリスクが高まるということです。
収量だけでなく品質にも直結します。
これは痛いですね。
ホタルイへの対策として有効なのは、SU成分以外の成分(ブロモブチド・ベンゾビシクロンなど)を含む初期剤と、バサグラン粒剤などのベンタゾン系中後期剤を組み合わせた体系処理です。また刈り取り後の耕うんにより越冬株を乾燥させて枯殺することが、翌年の発生を大幅に減らす耕種的防除として有効です。
参考:minorasu「水田雑草ホタルイの効果的な除草対策」
https://minorasu.basf.co.jp/80792
クログワイは、カヤツリグサ科の多年生雑草で、水田の難防除雑草の中でも特に厄介な存在です。地下に多数の塊茎を形成し、その塊茎が鋤床(すきどこ)より下の深い土中からも発生してくることが最大の特徴です。
宮城県の農業技術資料によると、クログワイが1平米あたり200g程度の生育量に達した場合、収量が約3割減収するとされています。200gとはどの程度かというと、一つの塊茎から次々と分株が発生して密生した場合、畳1枚のスペースに大人の手で両手いっぱいの葉茎が詰まるイメージです。
クログワイの塊茎には複数の芽があります。最初の芽を除草剤で防除しても、次の芽が同じ塊茎から発生してきます。さらに、塊茎の寿命は通常5〜7年、湿田条件では5年以上生存することが確認されています(シンジェンタジャパン資料)。これだけ長期間土中に潜むため、防除を1〜2年で終わらせると残存塊茎から再び発生します。
体系処理を3年以上継続することが原則です。
| 防除年次 | 効果の目安 |
|---|---|
| 1年目 | 放任区比20〜70%の残草(効果が低め) |
| 2年目 | 放任区比20%以下に低下 |
| 3年目 | 放任区比1〜5%まで抑制 |
(出典:日本植物調節剤研究協会「クログワイの防除について」)
秋耕(15cm深以上のロータリ耕)により土壌を乾燥・低温にさらすことで、塊茎を1/2〜2/3に減らせます。これと除草剤体系処理を組み合わせることが、現状で最も実践的な防除方法です。使う除草剤はクログワイに有効な成分(プロピリスルフロン・ピリミスルファン・ベンタゾン含有剤)を含む製品を選ぶことが条件です。
参考:シンジェンタジャパン「難防除雑草クログワイの生態と防除」
https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20150501_01
オモダカは、矢じりのような形の特徴的な葉を持つ多年生雑草で、水田の難防除雑草の中でも広く知られた存在です。塊茎から発生しますが、オモダカの塊茎の芽は1つだけです。一見シンプルに見えますが、発生期間が非常に長いことが防除を難しくしています。
移植後からだらだらと発生を続けるため、一発処理剤一本で全期間をカバーするのは困難です。農研機構の資料でも「オモダカは発生期間が長いため、有効な除草剤を複数回使用する体系処理での防除が基本」と明記されています。
初中期一発処理剤だけに頼るのはダメです。
オモダカの塊茎の寿命は1〜2年で、クログワイと比べると短いです。ただし、発生密度を確実に下げるためには最低でも数年間の継続防除が必要です。塊茎の土中貯量を減らしきるまで気を緩めないことが重要です。
有効な除草剤成分としては、ベンタゾン(バサグラン含有剤)が代表的で、中後期の茎葉処理剤として広く使われています。初期剤で初動を抑え、その後のオモダカ発生を中期剤で追い打ちをかける体系が推奨されています。水管理との組み合わせも重要で、湛水を保つことで塊茎の発芽を遅らせる効果も期待できます。
これは使えそうです。
参考:農研機構「水田の難防除雑草(オモダカ・クログワイ・シズイ)の防除法」
https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H02/tnaes90020.html
シズイとコウキヤガラは、どちらもカヤツリグサ科の多年生雑草で、特定地域で深刻な被害をもたらす難防除雑草です。
知られざる強害雑草と言えるでしょう。
シズイは主に寒冷地・高冷地の水田で問題になります。5mm前後の非常に小さな塊茎を多数形成し、その数の多さがロータリーや耕起機械に付着して他のほ場に広がる原因になります。多発ほ場の耕起後に同じ機械で別のほ場を耕すと、一気に侵入リスクが高まります。宮城県の試験研究データでは、シズイが1平米あたり1000株多発した水田で無防除のまま放置した場合、8割減収、初期防除を行っても2割の減収が生じたとされています。
シズイを軽く見てはいけません。
一方、コウキヤガラは沿岸地域や干拓地に多発し、耐塩性が高いことから東日本大震災後の復旧田でも広域に繁茂が確認されました。その塊茎は非常に硬く、乾燥・低温・機械的な衝撃に強く、寿命は8年以上です。大量発生した場合は7割から収穫皆無レベルの雑草害をもたらすこともあります。
どちらも水稲生育初期の防除が最重要です。シズイに対してはベンタゾン含有剤との体系処理を3年繰り返すことで完全防除が可能とされています。コウキヤガラにはピラクロニルとALS阻害剤を含む一発型除草剤が有効で、水持ちが悪いほ場ではベンタゾン剤との体系も必要です。
参考:宮城県公式ウェブサイト「雑草解説(稲作)」
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/hk-nousi/zassou-kaisetsu-inasaku.html
SU(スルホニルウレア)系除草剤は、多くの雑草に効果が高く残効性も優れ、人体や環境への影響が比較的少ないことから、水稲用一発処理除草剤の主成分として広く使われてきました。ところが、この成分を含む除草剤を長年連続して使用した結果、特定の雑草がSU成分に対する抵抗性を獲得し始め、現在ではイヌホタルイ・コナギ・アゼナ類など21種の水田雑草でSU抵抗性バイオタイプの存在が確認されています(みんなの農業広場:難防除雑草対策より)。
SU抵抗性雑草の特徴は、適正にSU系の除草剤を使用しているにもかかわらず、特定の草種だけが大量に残草することです。周囲の雑草は枯れているのにホタルイやコナギだけ残っている、という状況はSU抵抗性の典型的なサインです。
見逃すと損します。
SU抵抗性が疑われる場合は、まず地域の農業改良普及センターや農協に相談することが現実的です。SU系以外の成分(ブロモブチド・ベンゾビシクロン・テフリルトリオンなど)を含む製品への切り替えと、ALS阻害剤以外の有効成分を含む中後期剤(ベンタゾン剤など)を組み合わせた防除体系への移行を検討しましょう。
参考:日本農業新聞「水稲の病害虫・雑草:防除特集」
https://pr.agrinews.co.jp/bojo/kiji-01_suitou.html
雑草イネとは、栽培イネと同じ植物種(Oryza sativa)でありながら、水田に自然に発生して強害雑草となるイネのことです。見た目がほぼ同じ稲であるため、出穂前に雑草イネと栽培イネを見分けることは極めて困難です。
これが最大の問題です。
雑草イネには玄米が赤い「赤米タイプ」のものがあり、このタイプが混入すると収穫した玄米に赤米が混じって品質が大幅に低下します。等級落ちや市場での評価低下につながり、農家にとって直接的な経済的打撃になります。コシヒカリなど高品質米を栽培している産地では特に致命的です。
さらに、雑草イネの種子(籾)は早ければ出穂10日後から脱落が始まります。脱落した種子は翌年以降の発生源となり、対策しないまま放置すると毎年被害が拡大します。雑草イネの埋土種子の寿命は3年以内とされているため、3年間の徹底防除でなくすことは理論上可能です。
対策の基本は以下の通りです。
水稲用除草剤は雑草イネを抑える期間が短く、最初の散布から10日前後で再び発生してきます。
体系後処理も「早め早め」が原則です。
参考:農研機構「雑草イネまん延防止マニュアル」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/028068.html
近年、全国の水田関係者が注目している難防除雑草がナガエツルノゲイトウです。南米原産の多年生水生植物で「史上最悪の外来植物」と呼ばれることもあります。外来生物法に基づく特定外来生物に指定されており、生きた状態での栽培・保管・運搬・譲渡は法律で禁止されています。
2025年5月時点で東北以南の29都府県で分布が確認され、うち14府県で水田への侵入が確認されています(農済新聞2025年10月号)。河川・水路から用水を通じて水田に侵入するパターンが多く、茎が千切れやすく断片が水流に乗って広がるため、一度侵入されると除去が非常に困難です。
水田に定着すると取水・排水の障害になるほか、水稲の生育を強く抑制します。また、特定外来生物であるため、もし誤って生きた株を別のほ場へ持ち込んだ場合は法律違反になるリスクもあります。
知らなかったでは済まない問題です。
農研機構の研究成果(2025年2月公表)では、水稲移植後にピラクロニルを含む除草剤を処理し、再生始〜草丈5cm、または草丈35cm以下のタイミングでフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を処理することが有効とされています。2年間継続することで地下部まで防除できるとされており、根気が必要です。
まず最優先の対策は「早期発見」です。用水路・水田の水口付近・畦畔を定期的に見回り、発見した場合は速やかに地域の農業改良普及センターや行政機関に相談することをおすすめします。自己判断で除去した残渣を圃場外に持ち出す際は、生きた状態での運搬が禁止されていることに注意してください。
参考:千葉県農林水産部「難防除雑草ナガエツルノゲイトウに関する情報」
https://www.pref.chiba.lg.jp/ap-kimitsu/kimitsu/syokubo-nagae.html
参考:農研機構「特定外来生物ナガエツルノゲイトウの水稲移植後の除草剤防除技術」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nipp/167657.html
難防除雑草の多い水田では、除草剤を1回だけ散布する「一本頼み」の防除は通用しません。体系処理とは、作用時期や有効成分の異なる複数の除草剤を組み合わせて使うことで、長い発生期間を持つ雑草全体をカバーする防除方法です。
水稲用除草剤は大きく以下の4種類に分けられます。
| 種類 | 使用時期の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 🌱 初期除草剤(土壌処理剤) | 田植え直後〜7日目頃 |
残効10〜25日程度。 発生前の雑草を抑える。 難防除雑草対策の初動として使う |
| 🌾 初中期一発処理剤 | 田植え後7〜14日目頃まで |
残効30〜50日程度。 一年生・多年生雑草を広くカバー。 防除体系の軸になる |
| 🌿 中期除草剤 | 田植え後15日〜30日目頃 | 初期剤で取りこぼした雑草を追加防除。ホタルイ・オモダカなど難防除雑草に重要 |
| 🌱 後期除草剤(茎葉処理剤) | 田植え後30日目以降 | 発生してしまった雑草を直接枯殺。ベンタゾン剤が代表的 |
難防除雑草が多いほ場では、①初期剤→②一発処理剤→③中後期剤という3段階の体系が基本です。これを正しく機能させるためには、各剤の使用時期(特にノビエ葉齢)を守ることが最低条件です。使用時期を逃した除草剤は効果が半減以下になります。
また、SU抵抗性が懸念される場合は、一発処理剤に含まれる有効成分がどの系統かを確認することが大切です。同じALS阻害剤系の成分ばかり使い続けることは抵抗性の拡大を招くため、作用点の異なる成分を意識的にローテーションする必要があります。地域の農協や農業改良普及センターに相談することで、ほ場に合った体系を提案してもらえます。
参考:農研機構「水稲直播栽培における難防除雑草の防除」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/nipp_suidenchokuha_nambojozasso_bojo_20251031.pdf
除草剤の効果を最大限に引き出す上で、水管理は最も重要な要素の一つです。いくら良い除草剤を使っても、水管理が不適切だと効果を十分に発揮できません。
一発処理剤や初期剤の多くは、湛水状態で散布することで田面に処理層(除草成分の薄い膜)を形成し、雑草が吸収することで効果を発揮します。そのため、散布後少なくとも3〜4日間は湛水状態を保つことが基本です。この期間に田面が乾いたり、水が流出したりすると処理層が壊れて除草効果が大きく低下します。
湛水深についても重要なポイントがあります。水深が5cm以上の深水管理を維持すると、多くの一年生雑草は葉が水面に触れず光合成ができなくなるため、発生・生育が抑制されます。アメリカセンダングサなどの大型一年生雑草も、5cm以上の湛水を保てれば出芽や生育を大きく抑えることができます。
深水管理は有効です。
一方で、漏水の多いほ場では除草剤が流出しやすくなります。特にジャンボ剤・フロアブル剤・豆つぶ剤は水中を拡散して田面に沈殿し処理層を形成するタイプであるため、漏水の多いほ場では粒剤の方が安定した効果が期待できます。漏水対策(畦塗り・水口の整備など)と合わせて使用剤型を選ぶことが、防除効果の安定化につながります。
参考:シンジェンタジャパン「難防除雑草の決め手は上手な水管理」
https://www.syngenta.co.jp/cp/weeds-control-water-management
除草剤に頼らない耕種的防除(農作業や水管理によって雑草を抑える方法)は、難防除雑草対策において除草剤との組み合わせで大きな効果を発揮します。
これを「複合防除」と呼びます。
代かきは雑草の種子や塊茎を土中に埋め込み、発芽・出芽を抑制する基本作業です。特に2回代かきは有効で、1回目の代かきで雑草の種子を表層に移動させ、3〜4週間湛水して発芽させた後、2回目の代かきで発芽した個体を浮かせて除去する方法が推奨されています。また、ミズガヤツリのように酸素が少ない環境では出芽できない雑草は、よく代かきして土壌中に埋め込むだけで発生数が大幅に減ります。
代かきは侮れません。
秋耕(収穫後の耕うん)は、越冬する塊茎や残存した種子への有効な対策です。刈り取り後に速やかに耕うんすることで、土表面に残った種子や越冬株の基部を地中に埋め込み、翌年の発芽を抑制できます。クログワイについては、15cm深以上のロータリ耕を実施して土壌を乾燥・低温にさらすと、塊茎が1/2〜2/3に減少するデータがあります。
田畑輪換(水田と畑の交互作付け)も多くの水田雑草に有効ですが、ホタルイ(種子寿命10〜20年)・クログワイ(塊茎寿命5年以上)については田畑輪換だけでは防除しきれない点に注意が必要です。完全な根絶を目指すなら複数年の継続防除が条件です。
一般にあまり知られていない視点として、「直播栽培への転換が雑草イネリスクを急増させる」という問題があります。移植栽培では田植え後の水管理や除草剤の使い方で雑草イネをある程度コントロールできます。しかし、直播栽培に切り替えた場合、雑草イネの出芽タイミングが不均一になり、複数回の除草剤散布が必要になります。
実際、農研機構のデータでは「通常の1回の除草剤散布だけでは十分に防除できず、2〜3回の散布が必要」とされています。しかも雑草イネは水稲除草剤が抑える期間が最初の散布から10日前後と短く、再び発生してきます。手間とコストが移植栽培より格段に増えるということです。
もう一点、省力化を目的に収穫後の耕起をしないケースが増えています。しかし雑草イネが発生した水田で秋耕を省略すると、脱落した種子が表土に残ったまま翌春を迎えることになり、翌年の発生量を大幅に増やします。作業省力化の意図が結果的に数年間の防除コスト増大につながる皮肉な状況です。
雑草イネが発生しているほ場での対処を一つに絞るなら、翌年の水稲栽培を一時中断し大豆・野菜などへ転作してイネ科雑草を徹底防除することです。3年間の埋土種子寿命を活用して発生源を断つ作戦が、長期的には最もコスト効率が高い方法です。農研機構の雑草イネ防除マニュアルも同様のアプローチを推奨しています。
参考:農研機構「雑草イネ・漏生イネ防除技術マニュアル(詳細版)」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/WRman202103_1.pdf
現場で実際によく起きている失敗パターンを整理しておきます。これらを知っておくだけで、余計なコストと手間を避けられます。
失敗①:一発処理剤のみで「今年も大丈夫だろう」と判断する
初中期一発処理剤は水田除草の強力な味方ですが、難防除雑草(特にクログワイ・オモダカ・シズイ)の多い圃場では一発剤だけでは不十分です。一発剤の残効期間(30〜50日)が切れた後も難防除雑草はだらだら発生し続けます。
一発剤を使ったから安心、は禁物です。
失敗②:除草剤散布後の用水管理を怠る
散布後に水を落とす・流す・補給しすぎるなど、適切な湛水深を維持しないと処理層が壊れます。3〜4日の湛水保持を怠った結果、「薬が効かなかった」と感じるケースが実は少なくありません。除草剤の問題ではなく、水管理の問題であることが多いです。
失敗③:毎年同じ除草剤を使い続ける
特定の有効成分を毎年同じほ場で連続使用すると、SU抵抗性をはじめとする除草剤抵抗性雑草の発生リスクが高まります。除草剤の作用点(系統)を定期的に変えるローテーション管理が、長期的な防除効果の維持に不可欠です。今年使った成分をメモして、翌年の選択の参考にしましょう。
メモが条件です。
農業改良普及センターや農協では、地域の難防除雑草の発生状況や推奨除草体系について最新情報を提供しています。年1回は相談・確認する習慣を持つことが、長期にわたる雑草管理コストの削減につながります。

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