コシヒカリbl 問題 品質表示 BL非BL論点整理

コシヒカリbl 問題をめぐる品質や食味、表示の課題を整理しつつ、農家が現場でどう向き合うべきか一緒に考えてみませんか?

コシヒカリbl 問題 生産と表示の現在地

コシヒカリBL問題の全体像
🌾
BL導入の背景

いもち病対策として誕生したコシヒカリBLの育成経緯と、新潟県を中心とした導入の流れを整理します。

📊
品質・食味の評価

従来コシヒカリとの食味比較、低アミロース化や高温登熟との関係など、品質面の論点を紹介します。

⚖️
表示と信頼の問題

「コシヒカリ」と「コシヒカリBL」をめぐる銘柄表示、DNA判別、消費者との信頼関係の作り方を考えます。

コシヒカリbl 問題 いもち病抵抗性BL導入の経緯

 

コシヒカリBLは「いもち病に強いコシヒカリ系統」として開発された同質遺伝子系統(ブラストレジスタンスラインズ)で、Blast resistance Linesの頭文字を取ってBLと名付けられています。
BL系統は従来のコシヒカリにいもち病抵抗性遺伝子を連続戻し交配で導入したものであり、遺伝子組換えではなく従来育種の一種として位置づけられています。
新潟県ではいもち病の多発と農薬散布コスト、環境負荷の問題を背景に、2005年産から段階的にコシヒカリ新潟BLへ全面切り替えを進め、奨励品種もBL系統に一本化してきました。
コシヒカリBLは種苗法上、従来のコシヒカリとは別品種として登録されており、各BL系統ごとに固有の番号(新潟BL1号、BL5号、BL13号など)が付与されています。

 

参考)https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/216451.pdf

これらBL系統は、いもち病真性抵抗性遺伝子型(例:Pita、Pitなど)が異なる複数の系統を組み合わせることで、病害菌レースの変化に耐える「モザイク的な抵抗性構成」を狙って設計されています。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbbr/8/3/8_3_79/_pdf

その結果、圃場一帯で単一遺伝子に依存しない抵抗性を確保でき、近年の温暖化で発生しやすくなったいもち病のリスクを大幅に低減することが期待されています。

新潟県による試験では、BL導入によりいもち病防除のための農薬散布回数を概ね25%程度削減できるとされ、コストと環境負荷の両面でメリットがあると説明されています。

 

参考)「コシヒカリBL」は本物のコシヒカリなのか…正確には別品種の…

一方、従来コシヒカリからBLへ転換させられた農家の中には、「農協出荷を続けるためにはBLに切り替えざるを得なかった」という声もあり、政策主導の品種転換政策として議論の対象にもなってきました。

 

参考)コシヒカリって今や9割がBLなんですよ(笑) : これからの…

BL導入の是非は、「病害リスクとコスト削減を優先するのか」「従来品種のブランド性や味の違いを守るのか」という、農業経営の価値観の違いが濃く反映される論点と言えます。

 

参考)そのコシヒカリ、BL?非BL?新潟のコシヒカリ非BL農家にB…

コシヒカリbl 問題 品質・食味と低アミロース化の実態

行政や研究機関の評価では、コシヒカリBLの食味・品質は従来のコシヒカリと「実用上同等」とされ、日本穀物検定協会の食味ランキングでも同じく特A評価を得ています。
官能評価のモニター試験でも、東京や大阪など都市部の消費者の約8割が「BLの方が美味しい」または「変わらない」と回答した調査結果が示されており、少なくとも一般消費者レベルでは明確なマイナス評価は少ないようです。
一方で、長年従来コシヒカリを食べてきた一部の農家や玄人の中には、「コシヒカリBLは香りや後味がやや淡く、従来の方がコシヒカリらしい」と感じる層も存在し、BLか非BLかを指定して購入するこだわり需要も生まれています。
ここでしばしば混同されるのが、「BLだから味が変わった」「最近のコシヒカリはやたら粘る」という声の背景に、高温登熟による低アミロース化の影響が重なっている点です。

 

参考)東北農業研究センター:冷めてもおいしい低アミロース米

お米のアミロース含量は登熟期の気温が高いと低下し、もち米寄りの白濁や強い粘り、場合によってはもち臭のような香りが出やすくなり、これはBL・非BLを問わず起こりうる現象です。

近年は夏季高温が常態化しているため、BL導入と同じタイミングで「粘りが強くなった」「炊きあがりがべたつく」と感じられやすく、それが「コシヒカリBL問題」として一括りに語られがちです。

 

参考)コシヒカリ新潟BLの登場が教えたもの - FoodWatch…

品種特性の比較試験では、いもち病抵抗性以外の農業形質(出穂期、倒伏、千粒重など)はBL8号と従来コシヒカリでほとんど差がなく、出穂期が1日前後異なる程度と報告されています。

 

参考)https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030720612.pdf

ただし、地区ごとの選抜経過や栽培条件の違いにより「粒張りがやや硬い」「冷めたときの粘りの出方が違う」といった細かな差を指摘する生産者もおり、局地的な経験則も無視はできません。

農家としては、低アミロース傾向が強く出る年ほど、窒素施肥や過度な高温登熟を避ける栽培管理で、BL・非BLに関わらず食味をバランスよく仕上げることが、現実的な対応策になります。

コシヒカリbl 問題 品種表示・DNA判別と信頼性

コシヒカリBLは品種登録上は従来コシヒカリとは別品種ですが、流通段階では「新潟県産コシヒカリ」として一括表示されることが多く、精米段階で消費者がBLか非BLかを区別して選ぶことはほぼ不可能です。
新潟県の出荷段階では「産地品種銘柄:新潟県産コシヒカリ」「品種名:コシヒカリBL」として検査されていますが、JAS法上、混合栽培されたBL系統をコシヒカリとして表示しても問題はないとされており、この点が「本物のコシヒカリではないのに同じ名前で売られている」と批判される理由になっています。
一方で行政側は、「いもち病抵抗性以外は同質であり、味や品質は従来と同等であるため、『コシヒカリ』として表示することは妥当」と説明しており、表示の妥当性を巡る議論は今も続いています。
興味深いのは、BL導入に伴いDNA判別技術が実用化され、「コシヒカリ新潟BL」であることを1時間以内に判定できる簡便なLAMP法キットまで開発されている点です。

 

参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/h26_seika_p02-03.pdf

このDNA判別は、従来「新潟県産コシヒカリ」と称しながら他県産や別品種を混入させる不正流通を抑止する役割も期待されており、「偽物はばれるぞ」というメッセージとして市場の規律を保つ効果があると指摘されています。

 

参考)新潟コシヒカリBL 果たしてこのお米は??? 当店は、従来の…

つまり、BL化は「コシヒカリブランドを守るための仕組み」として機能している側面もあり、単に「別品種でごまかしている」という見方だけでは捉えきれない二面性を持っています。

 

参考)コシヒカリBL

その一方で、DNAでBLかどうかは判別できても、流通現場で「BL使用」と明示されることはほとんどなく、一部の米屋や生産者が自主的に「非BLコシヒカリ」などと表示して差別化しているのが実情です。

 

参考)https://www.kanaya-farm.jp/bl.htm

消費者から見れば、「BLか非BLかを知りたい」「昔ながらのコシヒカリを選びたい」というニーズに十分応えられていないという点が、コシヒカリBL問題の核心の一つです。

 

参考)実は新潟コシヒカリは1品種じゃなかった!

農家が自らの販路でBL・非BLを明示し、DNA判別の活用や栽培履歴の開示を行うことは、こうした不信感を和らげ、自分たちのコメ作りのストーリーを価値として伝える有効な手段になり得ます。

コシヒカリbl 問題 非BL継続農家の戦略とブランドづくり

新潟県内でも、奨励品種から外れJA出荷が難しくなった後も、あえて従来の非BLコシヒカリの栽培を続ける農家が存在し、直販や通販など自前の販路で「非BL」「在来コシヒカリ」として販売しています。
こうした農家は、「昔ながらのコシヒカリの香りや後味を求める固定ファン」に支えられており、冷めても甘みが残るおにぎり用途など、BLとの差異が分かりやすい場面で価値を訴求する戦略を取っています。
市場全体ではコシヒカリの9割近くがBL米とされる中で、非BLは希少品として位置づけられ、一般流通ではほとんど出回らない「知る人ぞ知る米」になりつつあります。
非BLを維持する農家にとっての最大のリスクは、いもち病多発年の収量減であり、一度大きく発病すると圃場の信頼を取り戻すまで数年単位のダメージを受けます。

 

参考)https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/noushi/kikaku/bulletin_d/fil/42_2.pdf

そのため、非BL農家の多くは、圃場の立地や風通し、湛水管理など、病害リスクを徹底的に抑え込める条件にこだわり、地域内でも限られた田んぼだけで非BLを続けるケースが目立ちます。

いもち病防除に要する農薬コストもBLより高くつきますが、付加価値販売による単価上乗せでカバーし、「量より質」「ブランド志向の少数顧客に絞る」という経営モデルで成り立たせている事例が多いようです。

独自ブランド形成の観点では、非BLであることを前面に出しすぎると、BL米を「偽物扱い」にしてしまいかねず、同じ地域の農家同士で不要な対立を生む懸念もあります。

そこで、あえてBLか非BLかは裏側だけで伝え、「特定の田んぼのテロワールや栽培ストーリー」を中心に語る米屋・農家もおり、BL問題を超えて「産地の多様性」として打ち出す工夫も見られます。

農家にとって重要なのは、自分の圃場条件と販路を冷静に見極め、「BLで安定生産+一部非BLで差別化」など、リスク分散を意識したポートフォリオ型の作付け戦略を組むことだと言えるでしょう。

コシヒカリbl 問題 将来の高温登熟と新品種・次世代BLの行方

地球温暖化の進行により、登熟期の高温が常態化すると、コシヒカリ系統では白未熟粒の増加や食味低下が問題化しやすく、とくに低アミロース化による「粘り過多」「もち臭」が懸念されています。
研究機関では、高温登熟でも品質が安定しやすい「低アミロース米」や、高温に強いコシヒカリ後継品種の育成が進められており、冷めてもおいしい弁当・おにぎり用米など、新たな用途別品種の提案も出てきています。
将来的には、「コシヒカリBL」の枠を超えて、いもち病抵抗性と高温登熟耐性を兼ね備えた次世代系統や、コシヒカリ以外のブランド米へのBL技術の応用が広がる可能性もあります。
一方で、「ブランド名はそのままに中身だけ入れ替える」やり方に対する不信感は、コシヒカリBLの事例によって広く認知されてしまいました。

この経験から、今後の新品種導入では、銘柄名や表示のあり方をより透明にし、「コシヒカリ系」「BL系」「高温耐性系」など、消費者にも分かるレベルで情報を開示していくことが求められます。

農家サイドとしては、新品種や次世代BLの試験栽培に早めに関わり、自分の圃場での収量・食味・病害リスクを実地で確認しながら、コシヒカリBL問題の次の時代に備える姿勢が重要になってくるでしょう。

コシヒカリBLの基礎と行政の説明を確認するうえで有用な参考リンクです(BL導入の背景と品質評価の部分の参考)。

 

新潟県公式「コシヒカリBL」解説ページ
DNA判別技術と品種同定の仕組みを詳しく知るための資料です(表示・信頼性、DNA判別の部分の参考)。

 

農研機構「コシヒカリ新潟BLの迅速判別手法の開発」成果報告

 

 


【令和7年産 新潟県 旧下田村産 2025年産 白米】清流 五十嵐川の清水で育った新潟県産コシヒカリ100% 低減農薬 コシヒカリ5kg お米の選別が1.95mmと大粒です!