品種登録期限切れバラ種苗法育成者権農家実務

品種登録期限切れバラをどう見分け、種苗法や育成者権を押さえつつ農家が安全に増殖・販売するには何がポイントになるのでしょうか?

品種登録 期限切れ バラ種苗法の基本

品種登録期限切れバラの押さえどころ
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種苗法と育成者権のしくみ

バラの品種登録制度と育成者権の存続期間を整理し、「どこからがアウトか」を具体的に理解する。

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期限切れ品種の見分け方

登録データベースの調べ方と、現場でありがちなグレーゾーンへの実務的な対応を紹介する。

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農家が守るべき線引き

自家増殖・販売・フリマ出品など、具体的なシチュエーションごとにリスクと対策を整理する。

品種登録 期限切れ バラと種苗法・育成者権の基礎知識

 

バラを仕事で扱う農業者にとって、「品種登録」と「期限切れ」がどこで線引きされているかを正しく理解しておくことは、今や必須のリスク管理になっています。
種苗法に基づく品種登録制度では、新品種を育成した者に「育成者権」が与えられ、登録されたバラの苗を増殖して販売するには、育成者権者の許諾が必要になります。
育成者権の存続期間は、現在は多くの作物で登録日から25年、木本性のバラなど一部は30年とされており、登録された時期によって15年・18年・20年・25年・30年と段階的に延長されてきた経緯があります。

 

参考)「種苗法」を理解して、正しくバラを増やそう!

この期間内に無断で苗を増やして販売したり、フリマアプリで出品したりすると、種苗法違反として刑事罰や損害賠償請求の対象となりうる点は、農家側でも共有しておきたいポイントです。

 

参考)そのタネ、ほんとに大丈夫?~育成者権侵害について~:農林水産…

バラに関しては、改正前から自家増殖の制限が強く、登録品種は「家庭で自分が楽しむために増やす」レベルを超えると、すぐに育成者権侵害のラインに達する可能性があります。

その一方で、在来種やこれまで登録されたことのない品種、育成者権の存続期間が切れた「期限切れ」の品種については、一般品種として自由に利用できると明確に位置づけられています。

 

参考)広報誌「NARO」

参考:種苗法と品種登録制度全体の概要を農林水産省が図解している資料。バラ以外も含めた育成者権の基本整理に役立つ。

 

農林水産省「品種登録制度 育成者権」

品種登録 期限切れ バラの見分け方とデータベース活用

「期限切れバラかどうか」の判断は、現場の感覚ではなく、農水省の品種登録データベースで確認するのが原則です。
データベースでは品種名や属名「バラ(バラ属)」などで検索し、登録日と育成者権の存続期間を確認することで、保護期間中なのか、期限切れなのか、あるいはそもそも登録されていない一般品種なのかを見分けることができます。
実務上の目安として、現在から35年以上前に作出された古いバラ品種は、権利が消滅している可能性が高いとされますが、登録の更新や登録料の不納付による途中失効が絡むため、「古いから安全」と短絡せず、最終的にはデータベースでの確認が推奨されます。

 

参考)https://www.naro.go.jp/laboratory/ncss/hogotaisaku/files/tourokukenri.pdf

また、育成者自身が育成者権を放棄したケースや、登録料の未納で登録が失効したケースもあり、この場合も「登録が切れた品種」として一般品種と同様に扱える一方、表示やカタログ上の情報が残っていて現場を混乱させることがあります。

 

参考)https://www.hinshu2.maff.go.jp/pvr/pamphlet/161101tekiseika.pdf

登録満了や失効により育成者権が消滅した「品種登録期限切れのバラ」は、種苗法上の利用制限がなくなるため、増殖や販売が可能になりますが、商標権やブランド名の扱い、契約上の制約など、別の知的財産権が残っていないかもチェックしておくと安全です。

 

参考)売ってはいけない花や植物がある? 種苗法違反にあたる行為と罰…

とくに輸入品種の場合は、海外での権利関係が日本と異なることも多く、「日本では期限切れでも海外では現役の登録品種」というギャップが生じるため、輸出や通販で国外に苗を出す可能性がある農家は慎重な運用が求められます。

 

参考)https://www.alic.go.jp/content/001191185.pdf

参考:品種登録のQ&A集。登録料不納付などで登録が消滅するパターンや、期限切れ品種の扱いについて具体的な質問と回答が整理されている。

 

農林水産省「品種登録制度 Q&A」

品種登録 期限切れ バラ苗の増殖・販売で農家が注意すべきポイント

期限切れバラや一般品種の苗は、種苗法上の制限がないため、農業者が自家増殖して販売に回すことができますが、現場で問題になりやすいのは「うっかり現役の登録品種を混ぜてしまう」ケースです。
ホームセンターや園芸店で購入した苗の中には、ラベルに小さく「登録品種」「PVP」などの表記があるものが多く、これを見落として挿し木苗を販売した場合、育成者権侵害として摘発されるリスクがあります。
実際に、登録品種のバラ苗を自宅で増やし、フリマアプリで販売したことで書類送検された事例が報道されており、「趣味の延長だから大丈夫」という感覚は通用しない状況になっています。

 

参考)【警鐘】知らなかったじゃ済まされない?メルカリでのブランド苗…

フリマサイトにおける苗販売は、農家の副収入の場として魅力的ですが、「登録品種」「期限切れか不明な品種」は避け、品種名を明記したうえで一般品種・古い品種に限定するなど、自衛策を徹底する必要があります。

 

参考)フリマサイトに苗、違法売却 登録品種で「小遣い稼ぎ」、希少種…

農家として販売用に増殖する際には、次のようなチェックリストを用意しておくと安全です。

 

このような運用を徹底することで、品種登録制度を尊重しつつ、期限切れバラの価値を活用した経営の幅を広げることができます。

 

参考)https://www.ruralnet.or.jp/gn/202011/tane.htm

参考:種苗法改正の農家への影響をQ&A形式で整理した解説。一般品種・登録切れ品種の扱いが平易に説明されている。

 

ルーラルネット「種苗法改定に異議あり!Q&Aでよくわかる」

品種登録 期限切れ バラと一般品種・在来種の活かし方

期限切れバラを含む一般品種は、「在来種」「これまで登録されたことのない品種」「育成者権存続期間が切れた品種」と定義され、種苗法による利用制限がないため、地域ブランドづくりや直売所向けの差別化素材として活用しやすい存在です。
例えば、古い香りバラや、昔から地域で受け継がれてきた在来品種を、露地栽培の切り花や観光農園の景観植栽として組み合わせることで、ロイヤリティ負担を抑えながら、オリジナリティのある品揃えを作ることができます。
期限切れ品種を生かした経営の工夫としては、次のような方向性が考えられます。

 

  • 一般品種の中から、香り・花色・耐病性などの特徴が明確な品種を選抜し、「オールドローズフェア」などの企画でまとめて打ち出す。​
  • 一般品種を台木にし、登録品種は許諾を得た上で接ぎ木することで、権利関係をクリアにしつつ安定した苗生産体制を組む。​
  • 期限切れ品種を教材に、地域の農業高校や市民講座と連携して「種苗法と品種登録の勉強会」を開き、消費者の理解を高める。​
  • 在来のバラや古い一般品種を使った加工品(ポプリやローズウォーターなど)の原料として位置づけ、観光や体験メニューと組み合わせる。​

実は、一般品種の活用は「育成者権を回避するための逃げ道」ではなく、地域に根付いた遺伝資源を守り、次世代にバトンを渡す取り組みでもあります。

 

参考)種苗法の育成者権を理解し、育成者権の侵害が発生しないように注…

登録品種と一般品種をうまく組み合わせることで、ロイヤリティを支払いながらも、原価構成を安定させ、品種多様性と収益性を同時に追求することが可能です。

参考:改正種苗法と一般品種の位置づけを、図表つきで整理している解説。期限切れ品種を含む一般品種の自由利用について明示されている。

 

農研機構「ポイント 改正種苗法」

品種登録 期限切れ バラだからこそ起こりがちなトラブルと独自のリスク管理

期限切れバラは「自由に使える」と言われる一方で、現場レベルでは思わぬトラブルの火種になることがあります。
たとえば、育成者権は期限切れでも、品種名が有名ブランドの商標として生きている場合、品種名の使い方しだいでは商標権トラブルに発展する可能性があり、「育成者権が切れた=何をしても安全」ではない点に注意が必要です。
また、農家同士の口伝えやSNSの情報だけを頼りに「この品種はもう期限切れだから大丈夫」と判断し、後から登録情報が更新されていたり、別名義で再登録されていたことが判明する、というケースも考えられます。

とくに海外育成のバラでは、日本で期限が切れても、輸出先の国では依然として権利が有効な場合があり、苗や穂木をお土産感覚で持ち出すと、相手国の法律に抵触するリスクがあります。

こうしたリスクを減らすために、現場でできる独自の工夫として、次のような取り組みが考えられます。

 

  • 圃場ごとに品種リストを作成し、「登録品種」「期限切れ品種」「在来種」を色分け管理する。​
  • 新しく導入するバラは、仕入れ時点で品種登録データベースに照会し、登録番号や存続期間を記録しておく。​
  • 農協や花き市場と連携し、地域として「登録品種の適正利用マニュアル」を作成し、共同で勉強会を開く。​
  • フリマアプリやネット通販での苗販売について、地域の指導機関から最新の注意喚起情報を定期的に収集する。​

こうした独自のリスク管理を行うことで、「知らなかった」では済まされない時代に、農家自身が自分の経営と産地の信用を守ることができます。

参考:一般品種や登録期限切れ品種の自由利用と、登録品種の利用条件の違いを、農業者向けにわかりやすく解説した資料。

 

茨城県「種苗法の育成者権を理解し」

 

 


【花苗】こだわりヒューケラ ファイヤーアラーム 9cmポット 1苗 農林水産省品種登録 登録品種名 Fire Alarm 登録番号 第25898号