
バラの挿し木には「緑枝挿し」と「休眠挿し」の2つの方法がありますが、初心者には5月下旬~7月頃に行う緑枝挿しが最適です。特に6~7月の梅雨時期は湿度が高く、挿し穂が乾燥しにくいため失敗が少ないとされています。この時期は気温もほどよく、発根までの期間は約1ヶ月半程度です。
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挿し穂には、その年に伸びた新梢から3~7mm程度の充実した枝を選びます。柔らかすぎず適度に締まった部分が理想的で、先端部分は避けましょう。5枚葉が2つ付いた状態で5~10cmの長さに切り取り、発根面積を増やすため切り口は斜めにカットします。黒ずんだ部分や傷がある枝は発根率が下がるため選ばないようにしてください。
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9月中旬~10月頃の秋挿しも可能ですが、気温が低めで発根まで1ヶ月半~2ヶ月程度かかります。真夏は気温が高すぎて挿し穂が痛みやすく、水切れにも注意が必要なため避けた方が無難です。
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挿し穂を準備したら、まず30分~1時間程度水につけて水揚げを行います。これにより挿し穂が十分に水分を吸収し、発根しやすい状態になります。
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発根促進剤として広く使われているのが「ルートン」です。ルートンは挿し木の発根を促進させる植物ホルモン剤で、主成分はα-ナフチルアセトアミドです。使い方は簡単で、水揚げ後の挿し穂の切り口を水で湿らせ、切り口から3cm程度にルートンの粉末を薄くまぶします。
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ルートンを使用することで、発根作用が著しく促進され、活着がよくなり、その後の生育も良好になります。ただし多量使用は控え、適量を守ることが大切です。ルートン1本(20g)で約200~400本の挿し木に使用できるため、コストパフォーマンスも優れています。
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さし木、さし苗の発根促進に役立つルートンの詳細な使用方法については、住友化学園芸の公式ガイドが参考になります
メネデールなどの活力素も発根促進に効果的で、水揚げ時や水やり時に薄めて使用すると良いでしょう。
バラの挿し木用土は、肥料分を含まない清潔で水はけの良い土を選ぶことが重要です。最も一般的なのは小粒の赤玉土または鹿沼土です。
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赤玉土は保水性に優れ、多くの栽培者が高い成功率を報告しています。一方、鹿沼土は水はけがよく、多湿でカビが生えやすい環境では赤玉土よりも適しています。お住まいの環境によって使い分けることで、成功率を高めることができます。乾燥しやすい場所では赤玉土が、多湿な環境では鹿沼土が有効です。
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挿し木専用の土として、鹿沼土細粒、焼赤玉土微粒、調整ピートモス、くん炭、バーミキュライトなどを配合した市販の挿し芽・種まき用土も便利です。これらの微粒~小粒の土を使用することで、挿し穂と土の密着度が高まり発根しやすくなります。
参考)https://ameblo.jp/kisameaoi/entry-12388809794.html
用土は事前にたっぷりと水を含ませておき、割り箸などで穴を開けてから挿し穂を挿します。挿し穂と土の間に隙間ができると水の吸い上げが不足して枯れる原因になるため、しっかりと土を押さえて固定することが大切です。
参考)バラの挿し木のやり方 | ピーキャットローズショップ
挿し木後は風通しのよい半日陰で管理し、直射日光を避けます。遮光ネットで覆うと管理が楽になります。最も重要なのは乾燥させないことで、土の表面が乾かないよう毎日水やりを続けます。
発根の確認は、新芽が伸びてきたり、鉢底から根が見えてきたタイミングで行います。通常、発根まで1ヶ月半~2ヶ月程度かかります。焦らずじっくり待つことが成功の秘訣です。
参考)薔薇の挿し木の鉢上げ、時期について。初めて挿し木に挑戦しまし…
鉢上げは、根と新芽が確認できてから1ヶ月後が目安です。春から初夏に挿し木した場合は冬の植え替え時期まで、秋に挿し木した場合は翌年の春までそのままでも問題ありません。
バラの挿し木から鉢上げまでの詳しい手順については、住友化学園芸のガーデニング初心者向けコラムが役立ちます
鉢上げの際は、いきなり大きな鉢に植えず、最初は小さいポットに植え付けます。水がすぐに乾くようになってきたら、鉢が小さくなってきているサインなので、一回り大きな鉢に植え替えます。鉢底には少し土を入れ、根は崩さずそのまま移植し、隙間に土を足して軽く鉢を落として土をなじませます。
参考)バラの挿し木 鉢上げと植え替え - Papillon(パピヨ…
バラの挿し木で失敗する主な原因は、水切れ、雑菌の繁殖、挿し穂と土の隙間、不適切な枝の選択です。特に挿し穂の基部に空隙ができると水の吸い上げが不足して枯れるため、植え付け時にしっかりと土を押さえることが重要です。
参考)【バラ挿し木2月下旬〜】失敗の理由5つを検証 - バラ栽培M…
雑菌が繁殖すると、挿し穂が艶のある黒褐色になり水ぶくれ状態になります。土が湿りすぎている、風通しや温度が悪い、挿し穂に傷があるといった条件で起こりやすいため注意が必要です。予防策として、清潔な道具を使い、アルコールで消毒した剪定ハサミで切ることをおすすめします。
参考)バラの挿し木の成功率を上げる方法を教えて下さい。地植えのバラ…
成功率を上げる裏ワザとして、いくつかの方法があります。透明のビニール袋を被せて適度な湿度を保つ方法は、挿し穂の乾燥を防ぎ発根を促進します。朝晩に霧吹きで水分を補給することも効果的です。
参考)バラの挿し木でガーデニング!手順と成功のコツを徹底解説
水耕栽培も選択肢の一つで、切り口をスポンジで包み水を入れた容器に浸ける方法があります。発根の様子が確認しやすく、管理もシンプルです。ただし水切れしないようこまめに水やりする必要があります。
実験データによると、正しい方法を実践することで挿し木の成功率を30%から75%に向上させることができたという報告もあります。適切な時期選び、健康な枝の選別、発根促進剤の使用、そして乾燥を防ぐ丁寧な管理が成功への近道です。
バラの挿し木の簡単な方法については、エンジョイ・ローズのわかりやすい解説ページが参考になります
セルトレイを使用すると、一本一本の挿し木苗を別々に管理でき、一本が腐敗しても他の苗に影響しないためおすすめです。新品の赤玉土小粒をセルトレイに詰め、無肥料の水道水で管理すると成功しやすくなります。
参考)https://www.shuminoengei.jp/?m=pcamp;a=page_qa_detailamp;target_c_qa_id=33413