地球温暖化対策 世界 取り組みを語る上で外せないのが、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とその下で採択されたパリ協定です。パリ協定では、産業革命前からの気温上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力目標が共有され、今世紀後半には排出量と吸収量のバランス=実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すことが定められました。
各国は「NDC(国が決定する貢献)」として自国の削減目標を提出しており、たとえばEUは1990年比で2030年までに55%以上、日本は2013年比で46%削減を掲げています。この国際的なルールが、エネルギーだけでなく農林水産、物流、金融など、ほぼ全産業の中長期戦略を縛る「物差し」となり、農業もそこから逃れられない構図になってきました。
地球温暖化対策 世界 取り組みは、単に温室効果ガスを減らすだけでなく、「適応」と「緩和」をセットで進める方向にシフトしています。洪水や干ばつへのインフラ整備、作物保険の拡充などの適応策と、省エネや再エネ導入、炭素税・排出量取引といった緩和策が組み合わされ、各国の農業政策にも組み込まれつつあります。SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や、食料安全保障を扱う目標2とも密接にリンクし、農業は「環境負荷を減らしつつ、人を養う」という二重の役割を担うことになりました。
参考)地球温暖化の世界の現状や行われている対策とは?
この部分の詳細解説や年表は、環境省の「地球温暖化をめぐる日本と世界の主な出来事」が整理されています。
参考)地球温暖化をめぐる日本と世界の主な出来事(年表)
世界の地球温暖化対策の国際交渉と枠組みの流れ(JCCCA)
地球温暖化対策 世界 取り組みの進展は、農業にとってリスクでもありチャンスでもあります。リスク面では、高温障害による品質低下や収量減少、病害虫の北上・多発、渇水や豪雨による圃場の冠水・土壌流亡などが顕在化しており、日本でもコメの白未熟粒増加や果樹の着色不良といった事例が増えています。これらは単なる「生産性の問題」にとどまらず、契約破棄やブランド価値低下など経営リスクに直結します。
一方で、地球温暖化対策 世界 取り組みの文脈では、農業が「温室効果ガスの排出源」から「炭素を吸収し蓄える吸収源」へ役割転換する可能性が評価されつつあります。土壌への炭素貯留、稲作のメタン削減、家畜分野の排せつ物処理の高度化などが、カーボンニュートラル戦略の重要ピースと位置づけられ、各国で補助金や技術支援が拡充されています。農業者にとっては、「温暖化対策=コスト」から、「温暖化対策=収益とブランド力の源泉」へと発想を変えられるかどうかが、これからの競争力を左右するポイントになってきました。
参考)地球温暖化対策:農林水産省
こうした農業への影響と対応策は、農林水産省の地球温暖化対策のページで、稲作や畜産など分野別に整理されています。
農業分野における地球温暖化対策の概要(農林水産省)
地球温暖化対策 世界 取り組みの中核にある農業分野のキーワードが、「気候スマート農業(CSA)」と「カーボンファーミング」です。気候スマート農業は、FAOなどが提唱する概念で、「生産性向上」「適応力強化」「温室効果ガス排出削減(または吸収促進)」の三つを同時に追求する取り組みを指し、世界各地でプロジェクトが進んでいます。例えば、節水かんがい技術による収量維持とメタン削減、被覆作物の導入による雑草抑制と土壌炭素蓄積など、現場の工夫と科学的知見を組み合わせた事例が蓄積されています。
カーボンファーミングは、農地の土壌や植生に炭素を貯める農法を採用し、その「炭素貯蔵量の増加」や「排出削減効果」をカーボンクレジットとして取引する仕組みです。フランスが主導する「4パーミル・イニシアティブ」は、世界の農地土壌中の炭素を年0.4%増やすことで、地球全体のCO2濃度上昇を抑えようという挑戦的な試みであり、世界各地で土壌管理の改善や有機物還元のプロジェクトが進められています。日本でも、農業分野のカーボンクレジット制度の検討が進んでおり、将来的には堆肥散布や不耕起栽培など、これまで「良いことだが収入にはつながりにくかった」取り組みが、新たな収益源になる可能性があります。
参考)農業脱炭素化の未来像:気候変動対策への挑戦と可能性
農業の脱炭素化やカーボンファーミングについては、国内外の事例をまとめた記事が参考になります。
参考)農業でも地球温暖化対策が必要?脱炭素化への取り組み、対策を解…
農業脱炭素化とカーボンファーミングの最新動向(Deep Valley)
地球温暖化対策 世界 取り組みの流れを踏まえて、日本の農業現場ではさまざまな技術・取組が動き始めています。代表的なものとして、以下のような対策が挙げられます。
これらの技術は単独でも効果がありますが、組み合わせることで「収量・品質の安定」「燃料費や肥料代の削減」「温室効果ガス削減」という三つのメリットを同時に狙えるのが特徴です。さらに、太陽光発電と農地を両立させるソーラーシェアリングや、バイオガスプラントで家畜ふん尿からエネルギーを生み出す取り組みなど、「エネルギー生産者としての農業」という新しい姿も広がりつつあります。こうした実践を積み上げることで、「環境に配慮した農産物」としてブランド化し、国内外の市場で付加価値を高める動きも出てきています。
参考)世界と日本の地球温暖化対策とは?企業の取組事例までわかりやす…
日本の農業における温暖化対策の具体策は、農林水産省や各地の普及センターの資料が充実しています。
参考)農作物を温暖化に対応させるには? - 農業メディア│Thin…
農作物を温暖化に対応させる方法と現場の対策(カクイチ公式コラム)
地球温暖化対策 世界 取り組みというと、「国や大企業の話で、農家には関係が薄い」と感じられがちですが、視点を変えると農家こそが主役になり得る分野がいくつか見えてきます。第一に、カーボンニュートラルやサステナビリティを重視する企業との連携です。食品メーカーや外食チェーン、小売業は、自社のサプライチェーン全体での排出削減(いわゆるスコープ3)を求められており、低炭素な農産物の調達先を探しています。土壌管理や省エネ設備の導入状況をデータとして示せれば、「環境配慮型生産者」として有利な条件で取引できる可能性があります。
第二に、地域単位での再エネ・資源循環プロジェクトです。ソーラーシェアリングやバイオマス発電に農家が参画することで、売電収入や堆肥の安定供給といったメリットを得つつ、地域全体の脱炭素にも貢献できます。第三に、温暖化に強い栽培技術・品種のノウハウを磨き、「気候変動時代のモデル農場」として情報発信することです。現場で蓄積したデータは行政や研究機関、企業にとっても価値が高く、共同研究や実証事業への参加につながるケースも出てきています。
こうしたビジネスチャンスをつかむためには、自らの経営を「排出」「吸収」「適応」の観点から棚卸しし、小さくても具体的なアクションを積み重ねていくことが重要になります。地球温暖化対策 世界 取り組みの大きな流れの中で、自分の農場をどう位置づけ、どんな強みを打ち出していくか――それを考えることが、これからの農業経営にとって欠かせない視点になりつつあるのではないでしょうか。