カーボンクレジット 種類 仕組み メリット デメリット 比較

カーボンクレジット 種類ごとの仕組みやメリット・デメリット、農業での活用ポイントを整理しながら、あなたの経営に合う選び方を一緒に考えませんか?

カーボンクレジット 種類 仕組み

カーボンクレジット 種類の全体像
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仕組みと基本用語

カーボンクレジットの定義やt-CO2、オフセットといった基礎用語を農業の現場目線で整理します。

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主な種類と違い

国際クレジット、J-クレジット、民間クレジットなどの種類と、価格やリスクの違いを解説します。

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農業での稼ぎ方

田んぼや畑からクレジットを生み出す具体的な方法と、採算ラインの目安を紹介します。

カーボンクレジット 種類ごとの基本構造と仕組み

 

カーボンクレジットは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「1トンの二酸化炭素(1t-CO2)」という単位で数値化し、売買できるようにした権利のことです。
元になっているのは「ベースライン&クレジット制度」と呼ばれる考え方で、従来通りのやり方(ベースライン)よりどれだけ排出量を減らせたかを差分として認証します。
クレジットには、削減や吸収を行うプロジェクトを実施する側と、削減努力の一部をお金で補う形でクレジットを購入する側がいて、その両者を仲介する市場やブローカーが存在します。
カーボンクレジットの品質を担保するため、プロジェクトには「追加性(そのプロジェクトがなければ削減されなかったこと)」「測定可能性」「永続性」などの要件が課されます。

 

参考)https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220628003/20220628003-f.pdf

また、同じ削減量が二重にカウントされないように登録や追跡の仕組みが整備されており、こうした仕組みが甘いと「グリーンウォッシュ」と批判されるリスクがあります。

 

参考)https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/067/067_012.pdf

農業分野では、稲作の水管理やバイオ炭施用、堆肥利用の高度化などがプロジェクトの例となり、これらの取り組みで減らした排出量がカーボンクレジットとして認証される可能性があります。

 

参考)農業従事者のカーボンニュートラル(CN)挑戦を支援するGre…

カーボンクレジット 種類の分類軸と代表的なタイプ

カーボンクレジットの種類は、大きく「どこで発行されるか」と「どんなプロジェクトか」という二つの軸で整理できます。
発行主体で分けると、国際的カーボンクレジット(CDMなど)、政府や自治体が主導する日本のカーボンクレジット(J-クレジットなど)、民間主導のボランタリークレジット(VCS、Gold Standardなど)が代表的です。
プロジェクトの内容で分けると、排出回避・削減型(省エネ設備や再エネ導入など)、固定吸収・貯留型(森林吸収、土壌炭素貯留など)、除去型(DACなど新技術を使うもの)といった種類があります。
農業従事者にとって身近なのは、日本政府が運営するJ-クレジット制度で、農林水産分野向けのメニューや支援策が用意されています。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/jcredit/cckakudai.pdf

一方、海外のボランタリークレジット市場では、土壌炭素やバイオ炭、アグロフォレストリー(農業と林業の組み合わせ)など、農業起点のプロジェクトが増えており、プロジェクトの種類によってクレジットの価格やリスクが大きく変わることが指摘されています。

 

参考)カーボンクレジットとは?その種類と違い:どれを選べばいいのか…

最近は、東京証券取引所のカーボン・クレジット市場が開設され、日本国内でもクレジット売買の「場」が整い始めているため、どの種類のクレジットを作るのか・売るのかという戦略性が重要になっています。

 

参考)https://www.smbc.co.jp/hojin/magazine/planning/about-carboncredits.html

カーボンクレジット 種類別メリット・デメリットと価格の違い

カーボンクレジットの種類によって、得られるメリットと抱えるリスクが変わり、それが価格にも反映されます。
一般に、品質要件が厳しく、追加性や永続性の証明が難しいプロジェクトほど、クレジットの価格は高くなる傾向があり、逆にリスクが高いと判断されるプロジェクトは安値で取引されがちです。
例えば、森林保全や土壌炭素のように長期的な管理が必要な固定吸収・貯留型は、永続性リスクをどう扱うかで評価が分かれ、バッファプール(予備のクレジット)を引かれる分、手取りが減る場合があります。
購入側の視点では、自社の温室効果ガス排出を補う「カーボンオフセット」としてクレジットを使うケースが多く、価格が低いクレジットを大量に買うか、信用度の高いクレジットを少量高値で買うかという選択が生じます。

 

参考)カーボンクレジットの仕組みをわかりやすく言うと?メリット・デ…

日本のJ-クレジットは入札結果を見ると平均落札価格が上昇傾向にあり、今後も需要拡大に伴い高騰する可能性が指摘されています。

農業由来のクレジットは、環境価値に加えて「食と環境を支える」というストーリー性を評価して、高値で買う企業も出てきており、種類選びと売り先のマッチングが収益性を左右します。

 

参考)畑・農業で稼ぐカーボンクレジットとは?環境価値とビジネス利益…

カーボンクレジット 種類と農業現場の稼ぎ方・MRVコストの落とし穴

農業分野でカーボンクレジットを稼ぐ方法として、稲作では中干し期間の延長や水管理の工夫によるメタン排出削減、畑作ではバイオ炭施用やカバークロップ導入による土壌炭素の増加などが注目されています。
しかし、実際にクレジットを発行して売るまでには、「MRVコスト(測定・報告・検証)」と呼ばれる見えにくい経費がかかり、小規模農家が単独で申請すると年間数十万〜百万円規模になるケースも報告されています。
バイオ炭施用の例では、1ヘクタールあたり数十万円レベルのバイオ炭購入費に加え、申請書作成や土壌分析などの費用も発生し、クレジット売上を簡単に上回って赤字になるシミュレーションが示されています。
こうした課題に対して、複数の農家を束ねて「プログラム型申請」を行い、1戸あたりのMRVコストを下げるスキームが増えています。

コンソーシアムや専門事業者がプロジェクト登録・申請の手続きを代行し、登録初期費用を負担することで、参加農家は初期投資を抑えながらクレジットの収益を得られるモデルも出てきました。

農業従事者としては、どの種類のクレジットに乗るかだけでなく、「単独申請か、プログラム参加か」「どの事業者と組むか」という選択が、採算ラインを大きく左右するポイントになります。

カーボンクレジット 種類と農家のリスク管理・独自の戦略視点

カーボンクレジットは、新しい収入源になり得る一方で、「価格」「制度」「気候」という三つの不確実性を抱えており、農家側のリスク管理が不可欠です。
クレジット価格は市場の需給で変動し、制度面では認証ルールの変更や国際的な会計基準の見直しによって、将来の価値が変わる可能性があります。
また、固定吸収・貯留型のプロジェクトでは、台風や病害虫、干ばつなどの自然災害で森林や作物が被害を受けると、想定していた吸収量が確保できず、クレジットを返上したり、バッファから差し引かれたりするリスクも指摘されています。
そこで一つの戦略として、「主力作物の収量・品質を最優先し、その範囲で無理のない削減・吸収を積み上げる」という考え方が重要になります。

例えば、稲作で極端な中干し延長をして品質を落とすより、既に取り組んでいる省エネ設備導入や堆肥利用の高度化をクレジット化する方が、経営全体のリスクは小さくなります。

また、将来の制度変更や価格変動に備えて、一つの種類のクレジットだけに依存せず、J-クレジットと民間クレジット、国内市場と海外ボランタリー市場など、複数ルートの可能性を検討しておくことも、中長期的なリスク分散につながります。

 

参考)カーボンクレジットとは?企業のメリット・デメリットと取り組み…

農家の立場から見ると、「自分の農場のどの取り組みが、どの種類のカーボンクレジットとして評価され得るのか」を早めに棚卸ししておくことが、今後の交渉力を高めるうえでの意外なカギになります。

その際には、自治体や農業団体が実施しているJ-クレジット説明会や、農林水産省・環境省の資料をこまめにチェックし、支援策や新しいプロジェクト類型が出ていないかを確認しておくと有利です。

さらに、地域全体での「面」としての取り組み(流域単位での水田管理や、集落単位のバイオ炭利用など)を企画できれば、単独の農家では難しいスケールメリットを生み出し、より有利な条件でカーボンクレジットにアクセスできる余地も広がっていきます。

 

参考)「ウチのCO2削減がカネになる?」農家が今知っておくべき『カ…

農林水産分野におけるカーボン・クレジット拡大や支援策の全体像について詳しく知りたい場合は、農林水産省の資料が参考になります。

 

農林水産分野における カーボン・クレジットの拡大に向けて(農林水産省)

 

 


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