チップバーンいちご原因と対策を徹底解説

いちごのチップバーンはなぜ起きるのか?カルシウム不足だけでなく、窒素過多・乾燥・塩基バランスの乱れなど複合的な原因を徹底解説。あなたの農園に当てはまる原因はどれですか?

チップバーンいちごの原因と症状・対策を徹底解説

イチゴのチップバーンは、石灰を足す前に『根域の水分と根の状態→温湿度→肥料・土壌分析』の順に原因を切り分けます。土壌にCaがあっても新葉へ届かないことがあり、対策の成否は枯れた葉先ではなく、その後に展開する新葉で判断します。高知県の生理障害台帳
土壌にカルシウムが十分あっても、いちごはチップバーンを起こすことがある。



チップバーンとはいちごに発生する生理障害のこと



チップバーンとはいちごに発生する生理障害のこと
チップバーン(Tip Burn)とは、いちごの新しい葉の葉縁(ようえん)や萼片(がくへん)の先端部分が、焼けたように褐変して枯死する生理障害です。病害虫が原因ではなく、カルシウム欠乏によって引き起こされる「生育上のトラブル」に分類されます。


症状の特徴は「新しい葉」に出ること。


これが重要なポイントです。


古い葉の縁の枯れも老化とは即断せず、発生の経過や他の症状を確認します。また、葉全体が縮れたり変色している場合は、ホコリダニやアザミウマの寄生、あるいは農薬の薬害が疑われます。新葉の葉縁の褐変は判断の手掛かりですが、症状の場所だけで確定せず、根域の水分・根の状態も合わせて確認します。


特に発生しやすい時期は冬から春にかけて。ハウス内の温湿度変化が大きくなる厳寒期に、症状が集中して現れることが多いです。


項目 チップバーン 老化・薬害との違い
発生部位 新葉(上位葉)の縁 老化は古い葉、薬害は全体
変色の様子 葉縁が褐変・枯死 老化は均一に黄変、薬害は縮れ
原因 カルシウム欠乏(生理障害) 老化・農薬・害虫
治癒 発生した部位は回復しない 要因除去で改善

いちごチップバーンの直接原因はカルシウム不足

いちごチップバーンの直接原因はカルシウム不足対策を分けるポイントは、根の周囲にカルシウムが足りないのか、存在していても吸収・新葉への分配が追いつかないのかです。新葉の症状だけでは、この二つは区別できません。高知県の台帳も、施設栽培では土壌中のCa不足より、乾燥や塩基のアンバランスによる吸収移行不良が多いと説明しています。高知県の発生条件と対策

  1. まず発生株と健全株で、同じ深さの土壌水分、灌水の届き方、根の色と細根の有無を比べます。乾いた場所や根傷みのある株に偏るなら、Ca追加より先に水分・根の問題を直します。
  2. 土壌分析では交換性Caだけでなく、pH、EC、カリ・苦土、残存窒素を一緒に確認します。養液栽培では給液と根域・排液を分けて確認します。ECだけでは、どの成分が多いかまでは分かりません。
  3. 分析機関がその土壌・作型に用いる診断基準でCa不足と判定されれば、補給を施肥設計に組み込みます。Caが十分なのに発生する場合は、乾燥、塩類集積、根傷み、急な生長、新葉への分配を順に検討します。

千葉県の研究では、千葉S4号は紅ほっぺより吸水量が多いのに、上位葉のCa含有量は少なく、下位葉では多い結果でした。古い葉に蓄積したCaは新葉へ再移動しにくいため、株全体の吸水が多いことと、新葉への供給が足りることは同じではありません。研究報告の結果・考察

関連用語・資料:農業 / 蒸散 / 施設栽培

いちごチップバーンの原因①窒素過多によるカルシウム吸収阻害

窒素過多を疑うときは、葉が大きいという印象だけで全株の施肥を減らさず、元肥・追肥・残存窒素と根域ECを確認します。カリ過剰が疑われる場合も、Caを上乗せする前に、分析値と使用肥料のカリ投入量を照合します。
千葉県の養液試験では、千葉S4号のチップバーン発生株率はEC0.5dS/mで0%、1.1で38%、2.3で100%でした。培養液中のCaも高濃度区ほど多かったため、これは『Caの投入量が多ければ防げる』とはいえない実例です。ただし肥料成分をまとめて変えた試験であり、窒素またはカリ単独の影響を分離した数値ではありません。EC0.5も、すべての栽培方式に推奨する値ではありません。千葉県研究報告・試験1
施肥量の例として見かける『窒素20~25kg/10a』『Ca:Mg:K=5:2:1』は、対象作型や算定方法を示さないまま全株共通の処方にはできません。特に塩基比は重量比か当量比か、土壌の交換性成分か肥料の配合比かが不明では使えません。地域・品種・作型別の施肥基準を起点に、土壌から供給される成分と実際の投入量を差し引いて判断します。

関連用語・資料:窒素肥料 / アンモニア態窒素 / 施肥 / 土耕栽培 / 元肥 / 養液栽培 / 液体肥料 / 定植 / 農林水産

いちごチップバーンの原因②水不足による乾燥と根量低下

水不足を疑う場合は、葉のしおれだけでなく、根がある深さの水分と灌水のむらを確認します。表面が湿っていても根域が乾いている、逆に水を増やしても根が黒変して吸水できない、という違いを分ける必要があります。
pF1.7と2.1は『この間に保てば全品種で安全』という範囲ではありません。千葉県の研究で比較したのは、千葉S4号の特定の土耕条件における灌水開始基準です。実際の測定深さ・灌水量・マルチ時期と結果は、下の灌水管理の項目で確認してください。試験2の材料・方法

関連用語・資料:培地 / 灰色かび病 / 防除 / 収穫 / 土壌水分計

いちごチップバーンの原因③塩基バランスの崩れと拮抗作用

塩基のアンバランスが疑われる場合は、『比率を5:2:1に合わせる』より先に、Ca・Mg・Kそれぞれの分析値とECを確認します。比率だけを整えるためにCaを追加すると、すでに塩類が集積している根域へさらに成分を入れることになります。
Ca不足なら不足分の補給、カリなどの過剰なら過剰成分の投入見直し、根域ECの上昇と根傷みがあるなら給液・灌水・排水を含めた濃度管理、と対処を分けます。高知県の台帳が示す対策も、Ca散布だけでなく乾燥と塩類集積の回避です。高知県の対策

関連用語・資料:連作 / 塩類集積 / イチゴをチップバーンから守れ!(塩基バランスと根の状態の解説)|セイコーエコロジア

いちごチップバーンの原因④高温多湿と温湿度の急変

根域の乾燥と空気の高湿度は、同じ対策にはなりません。根域が乾いていれば灌水の届き方を直します。一方、根域は十分湿っているのに結露や高湿度が長く続く場合、灌水の上乗せだけでは解決せず、葉の高さの温湿度と換気・加温の運転を確認します。
『高湿度では必ず気孔が閉じる』とは説明できません。また、Caの新葉への供給には蒸散だけでなく根圧も関係するため、『湿度を下げるほどよい』ともいえません。千葉県の研究は、新葉へのCa分配と根の状態の重要性を論じていますが、特定の湿度設定の効果を比較した試験ではありません。Ca移行についての考察
温湿度の記録は、発生株に近い葉の高さで取り、朝の換気後に急なしおれが出ないかも併せて見ます。時刻だけで一律に窓を開けるのではなく、室温・結露・外気条件と株の反応を見ながら開口量を変えます。高温で生長を極端に早めないことは、高知県の台帳にも記載されています。温度管理上の注意

関連用語・資料:気孔

いちごチップバーンの原因⑤品種によって発生リスクが異なる

いちごチップバーンの直接原因はカルシウム不足<img class=対策を分けるポイントは、根の周囲にカルシウムが足りないのか、存在していても吸収・新葉への分配が追いつかないのかです。新葉の症状だけでは、この二つは区別できません。高知県の台帳も、施設栽培では土壌中のCa不足より、乾燥や塩基のアンバランスによる吸収移行不良が多いと説明しています。高知県の発生条件と対策

  1. まず発生株と健全株で、同じ深さの土壌水分、灌水の届き方、根の色と細根の有無を比べます。乾いた場所や根傷みのある株に偏るなら、Ca追加より先に水分・根の問題を直します。
  2. 土壌分析では交換性Caだけでなく、pH、EC、カリ・苦土、残存窒素を一緒に確認します。養液栽培では給液と根域・排液を分けて確認します。ECだけでは、どの成分が多いかまでは分かりません。
  3. 分析機関がその土壌・作型に用いる診断基準でCa不足と判定されれば、補給を施肥設計に組み込みます。Caが十分なのに発生する場合は、乾燥、塩類集積、根傷み、急な生長、新葉への分配を順に検討します。

千葉県の研究では、千葉S4号は紅ほっぺより吸水量が多いのに、上位葉のCa含有量は少なく、下位葉では多い結果でした。古い葉に蓄積したCaは新葉へ再移動しにくいため、株全体の吸水が多いことと、新葉への供給が足りることは同じではありません。研究報告の結果・考察

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いちごチップバーンの原因①窒素過多によるカルシウム吸収阻害窒素過多を疑うときは、葉が大きいという印象だけで全株の施肥を減らさず、元肥・追肥・残存窒素と根域ECを確認します。カリ過剰が疑われる場合も、Caを上乗せする前に、分析値と使用肥料のカリ投入量を照合します。
千葉県の養液試験では、千葉S4号のチップバーン発生株率はEC0.5dS/mで0%、1.1で38%、2.3で100%でした。培養液中のCaも高濃度区ほど多かったため、これは『Caの投入量が多ければ防げる』とはいえない実例です。ただし肥料成分をまとめて変えた試験であり、窒素またはカリ単独の影響を分離した数値ではありません。EC0.5も、すべての栽培方式に推奨する値ではありません。千葉県研究報告・試験1
施肥量の例として見かける『窒素20~25kg/10a』『Ca:Mg:K=5:2:1』は、対象作型や算定方法を示さないまま全株共通の処方にはできません。特に塩基比は重量比か当量比か、土壌の交換性成分か肥料の配合比かが不明では使えません。地域・品種・作型別の施肥基準を起点に、土壌から供給される成分と実際の投入量を差し引いて判断します。

関連用語・資料:窒素肥料 / アンモニア態窒素 / 施肥 / 土耕栽培 / 元肥 / 養液栽培 / 液体肥料 / 定植 / 農林水産

いちごチップバーンの原因②水不足による乾燥と根量低下水不足を疑う場合は、葉のしおれだけでなく、根がある深さの水分と灌水のむらを確認します。表面が湿っていても根域が乾いている、逆に水を増やしても根が黒変して吸水できない、という違いを分ける必要があります。
pF1.7と2.1は『この間に保てば全品種で安全』という範囲ではありません。千葉県の研究で比較したのは、千葉S4号の特定の土耕条件における灌水開始基準です。実際の測定深さ・灌水量・マルチ時期と結果は、下の灌水管理の項目で確認してください。試験2の材料・方法

関連用語・資料:培地 / 灰色かび病 / 防除 / 収穫 / 土壌水分計

いちごチップバーンの原因③塩基バランスの崩れと拮抗作用塩基のアンバランスが疑われる場合は、『比率を5:2:1に合わせる』より先に、Ca・Mg・Kそれぞれの分析値とECを確認します。比率だけを整えるためにCaを追加すると、すでに塩類が集積している根域へさらに成分を入れることになります。
Ca不足なら不足分の補給、カリなどの過剰なら過剰成分の投入見直し、根域ECの上昇と根傷みがあるなら給液・灌水・排水を含めた濃度管理、と対処を分けます。高知県の台帳が示す対策も、Ca散布だけでなく乾燥と塩類集積の回避です。高知県の対策

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いちごチップバーンの原因④高温多湿と温湿度の急変根域の乾燥と空気の高湿度は、同じ対策にはなりません。根域が乾いていれば灌水の届き方を直します。一方、根域は十分湿っているのに結露や高湿度が長く続く場合、灌水の上乗せだけでは解決せず、葉の高さの温湿度と換気・加温の運転を確認します。
『高湿度では必ず気孔が閉じる』とは説明できません。また、Caの新葉への供給には蒸散だけでなく根圧も関係するため、『湿度を下げるほどよい』ともいえません。千葉県の研究は、新葉へのCa分配と根の状態の重要性を論じていますが、特定の湿度設定の効果を比較した試験ではありません。Ca移行についての考察
温湿度の記録は、発生株に近い葉の高さで取り、朝の換気後に急なしおれが出ないかも併せて見ます。時刻だけで一律に窓を開けるのではなく、室温・結露・外気条件と株の反応を見ながら開口量を変えます。高温で生長を極端に早めないことは、高知県の台帳にも記載されています。温度管理上の注意

関連用語・資料:気孔

いちごチップバーンの原因⑤品種によって発生リスクが異なる" />
チップバーンは品種によって発生しやすさが大きく異なります。


これは一般にあまり知られていない事実です。


同じビニールハウス内で同じ管理をしていても、品種によってチップバーンが多発する株とほとんど起きない株が並ぶことがあります。


例えば「とちおとめ」はチップバーンが発生しやすい品種として研究報告(千葉県農林総合研究センター、2020年)でも明記されています。一方、品種によってはカルシウムの吸収効率や体内移行能力に差があり、同じ栽培条件でも発生率に大きな開きが出ることがわかっています。


新しい品種を導入する際や、既存のハウスで品種を切り替える際には、その品種のチップバーン発生リスクを事前に確認することが損失を防ぐ上で重要です。試験栽培や産地情報を参考にして、ハウスの環境条件に合った品種選定を行いましょう。


イチゴ「千葉S4号」の栽培法 第3報 チップバーンの発生に及ぼす肥料吸収特性(千葉県農林総合研究センター研究報告)

いちごチップバーンがガク枯れ・収量低下につながるメカニズム

いちごチップバーンがガク枯れ・収量低下につながるメカニズム
チップバーンは見た目の問題だけではありません。放置すると、深刻な経済的損失につながります。


まず光合成への影響です。


新葉の葉縁が枯死すると葉面積が減少し、光合成量が低下します。その結果、株の生育が停滞し、全体的な収量が下がります。


さらに深刻なのがガク枯れとの関係です。チップバーンと同様のカルシウム欠乏によって、いちごのガク(ヘタ)部分が褐変するガク枯れが発生します。果実自体に問題がなくても、ガクの見た目が悪いと「高級いちご」や贈答用としての出荷ができなくなり、商品価値が著しく低下します。


症状が重い場合は不受精果が増え、収量減少に直結します。また、チップバーンが起きた新葉の枯死部分は、灰色かび病(Botrytis cinerea)の感染口になりやすいという側面もあります。一度病原菌が侵入すると隣接する果実にも被害が広がるため、二次的なリスクも念頭においておく必要があります。


  • 🍓 新葉の葉面積減少 → 光合成低下 → 株の生育停滞
  • 🏷️ ガク枯れ発生 → 贈答・高級向け出荷不可 → 単価低下
  • 🦠 枯死部位 → 灰色かび病の感染口に → 果実被害拡大
  • 🌸 萼片焼けが重度の場合 → 不受精果増加 → 収量減少

いちごチップバーンの対策①かん水・灌水管理の見直し

実在試験を使って灌水を考えるなら、pFの数字だけでなく測定位置と処理をセットで読みます。千葉県の試験は2013年、千葉S4号、腐植質普通黒ボク土のパイプハウスで実施されました。深さ15cmを週3回、午前9時~9時30分に測定し、pF1.7または2.1を超えていた場合に1回1.4L/株相当を灌水しています。各区32株・1反復です。

  • 11月5日マルチ開始区の葉の発生株率:pF1.7区59%、pF2.1区97%。
  • 同じ区の頂花房がく片の発生株率:pF1.7区9%、pF2.1区35%。
  • 平均灌水間隔:pF1.7区は2.3~3.5日、pF2.1区は5.0~7.0日。
  • 4月までの収量:同じ11月5日区で726g/株と741g/株。灌水基準による明確な収量差はありませんでした。

この結果は、当該条件で乾燥を進めすぎない管理が発生を減らした根拠です。発生をゼロにした試験でも、すべての土壌・培地・品種にpF1.7を指定する根拠でもありません。また、マルチを遅らせると発生が減る一方で収量低下の傾向があり、著者らは両方を考慮して11月上旬を適期としました。試験2・第4~6表と収量
自園では、まず発生場所と健全場所に同じ深さで水分計を置き、灌水直前と直後の値、給水むら、根の状態を記録します。乾燥が確認できれば開始を早める方向へ調整し、湿っているのに根が傷んでいれば増水を止めて排水・根域濃度を確認します。

関連用語・資料:灌水 / 根腐れ

いちごチップバーンの対策②カルシウム肥料の適切な施用

Ca肥料の追加は、土壌・培養液の分析で不足を確認してから決めます。硝酸石灰なら窒素も投入するため、窒素過剰が疑われる株にCa補給だけのつもりで加えないよう、成分量を施肥記録へ合算します。
0.5%塩化カルシウム液の出典は、高知県のイチゴ生理障害台帳です。原文は『応急的には0.5%の塩化カルシウム液を葉面散布し、被害の拡大を防ぐ』であり、枯れた葉先の回復を保証するものではありません。品種別の安全性、散布量、間隔、気温、製剤の水和形態や濃度の調製基準は、この台帳には示されていません。したがって、任意の塩化カルシウム製品を一律に同じ重量で溶かす処方には転用せず、使用資材の表示・技術資料と照合します。0.5%散布の原資料
効果確認では、散布前の展開葉に印を付け、その後に展開した新葉を別に数えます。観察日はそろえ、発生株数だけでなく新たな発生葉数と葉縁の被害程度、薬害を疑う変色も記録します。可能なら同じ品種・苗齢・根域条件で散布しない比較区も残します。灌水や施肥も同時に変えた場合は、改善を葉面散布だけの効果とは判定しません。この観察手順は編集上の比較方法であり、高知県台帳が指定した試験法ではありません。

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いちごチップバーンの対策③窒素肥料の削減と施肥設計の見直し

肥料を減らす判断は、根域が乾いていないか、給水むらがないか、根が傷んでいないかを確認した後に行います。養液栽培でも、チップバーンが出たという理由だけで給液ECを一律に下げるのではなく、給液・排液・根域のECと肥料組成を照合します。
千葉県の養液試験は、高濃度区で発生と根の黒変が増えた根拠になりますが、全品種に共通する安全ECや年間窒素量を決めた試験ではありません。土耕では元肥、追肥、土壌の残存窒素を分けて集計し、高設では給液量を含めた成分投入量を確認してから過剰分を減らします。肥料濃度と根・症状の比較

いちごチップバーンの対策④温湿度管理と換気による環境制御

管理変更は、根域水分と根の状態、葉の高さの温湿度、肥料濃度の順に照合して決めます。乾いた株には給水の修正、高湿度が続く施設には換気・加温の運転見直し、塩類集積と根傷みのある株には濃度・排水の修正が必要で、すべてを『朝に換気し、灌水と散布を増やす』という処方にはできません。
高知県の台帳は、乾燥・塩類集積を避け、生長を極端に早めない日中の温度管理を挙げています。一方、朝の特定時刻に必ず換気することや、天候急変時の集中的な葉面散布について、同台帳には効果を比較した条件はありません。公式台帳で確認できる対策

いちごチップバーンと育苗期の根の状態

育苗期には、根鉢の乾湿むら、根の黒変、細根の状態と培土の肥料濃度を記録しておきます。発生後に根を確認する際も、同じ品種の健全株と比較すると、元からの苗質の差か定植後の障害かを検討しやすくなります。
千葉県の試験では、高濃度の培養液で千葉S4号の根の黒変が進み、チップバーンも増えました。ただし、黒変の直接原因が濃度障害なのかCa欠乏なのかは明らかでないと著者ら自身が記しています。根の黒変だけで原因を決めつけないことが重要です。根の観察結果と研究上の限界
ここで引用した原資料には、菌根菌資材によってイチゴのチップバーンを確実に予防できるという比較試験はありません。資材の利用を検討する場合も、根の生育や養分吸収への作用と、チップバーン発生率を下げる効果は分けて評価します。

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いちごチップバーンの発生後の正しい対処法

葉先が枯れたからといって、新葉を一律に摘み取る必要はありません。一方、『どの状態でも必ず残す』という絶対的な扱いも、ここで引用した公式資料・研究からは裏づけられません。残る緑色部分、株全体の葉数、枯死範囲、病害を疑う腐敗やかびの有無を見て分けます。病害の疑いがある葉は、チップバーンだけと決めつけず診断対象にします。

  1. 発生葉と未発生葉を記録し、次に展開する葉を観察対象にします。
  2. 根域の乾燥・過湿、給水むら、根傷みを先に確認します。
  3. 温湿度の推移と肥料・土壌分析を照合し、原因に対応する管理を変更します。
  4. 葉面散布を併用する場合も、既存の枯死部の回復ではなく、新たな発生の増減で判断します。

高知県が記す0.5%塩化カルシウム液は応急的な拡大防止策です。原因の確認を省略できる処方ではありません。応急処置の位置づけ

いちごチップバーンを予防するための年間管理のポイント


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年間管理は月だけで固定せず、品種・作型と実際の根域条件に合わせて組みます。

  • 育苗期:根の状態、培土の乾湿、肥料投入量を記録します。微生物資材の使用を予防成立の条件にはしません。
  • 定植前:土壌分析でCa不足と塩類集積を分け、不足がないのにCa肥料を自動的に追加しません。
  • 定植後~出蕾期:水分計の設置深さと灌水の届き方を確認します。pF1.7は千葉S4号の特定試験の開始基準であり、全品種の固定値にはしません。
  • 収穫期:葉の高さの温湿度、根の状態、給液・根域濃度と、新葉・がく片の発生を記録します。
  • 作終了後:発生の偏った場所と管理変更日を振り返り、翌作の灌水系統と施肥設計を修正します。

実在試験でも、発生抑制と収量が同じ方向に動くとは限りません。千葉S4号ではマルチの遅延によって発生が減る一方、収量低下の傾向もありました。症状だけでなく収穫への影響も併せて管理を選びます。マルチ時期・灌水と発生・収量の関係

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