家庭菜園や農業において「土作り」は最も重要な工程の一つですが、その常識を覆す資材として注目されているのがリサール酵産の「カルスNC-R」です。通常、生の有機物(野菜くずや残渣)を土に直接混ぜ込むと、腐敗して有害なガスが発生したり、病原菌が増殖して植物の根を傷める原因となります。しかし、カルスNC-Rを使用することで、これらの問題を解決しながら、わずか1週間から3週間という短期間で有機物を分解・堆肥化することが可能になります。
この驚異的な分解力の秘密は、カルスNC-Rに含まれる多様な微生物群にあります。多くの微生物資材が単一の菌種(例えば納豆菌のみ、乳酸菌のみ)に頼っているのに対し、カルスNC-Rは「好気性菌(酸素を好む菌)」と「嫌気性菌(酸素を嫌う菌)」、さらには「放線菌」や「糸状菌」など、性質の異なる微生物がバランスよく複合的に配合されています。これにより、土壌の表面(酸素が多い場所)から地中深く(酸素が少ない場所)まで、あらゆる環境下で微生物が活発に働き続けることができるのです。
特に注目すべきは、有機物を分解する過程で発生するガスの抑制メカニズムです。通常、未熟な堆肥や生の有機物が腐敗すると、メタンガスや硫化水素などの有害ガスが発生し、これが植物の根にダメージを与える「ガス害」を引き起こします。しかし、カルスNC-Rに含まれる微生物たちは、これらの有機物をスムーズにアミノ酸や糖類、無機栄養素へと分解するため、有害なガスの発生を極限まで抑えながら、植物が吸収しやすい栄養分へと変換します。
参考)アイアグリ カルスNC-R 1kg(粉状)【カーメン君】
また、この分解プロセスにおいて重要な役割を果たすのが「放線菌」です。放線菌は、抗生物質を生成することで知られる菌類であり、土壌中の病原菌(特にフザリウム菌などのカビ類)の増殖を抑制する効果が期待できます。カルスNC-Rを使用し続けることで、土壌中の善玉菌の割合が増え、病気にかかりにくい健康的な土壌環境、いわゆる「抑止土壌」へと改善されていくのです。このように、単に有機物を分解するだけでなく、土壌生態系そのものを豊かに作り変える点が、他の資材とは一線を画す特徴と言えるでしょう。
リサール酵産 公式サイト「カルスNC-Rとは」
https://www.resahl.co.jp/product/calus_ncr/
カルスNC-Rの基本的な特徴、含まれる微生物の種類、および土壌改良におけるメカニズムが詳細に解説されています。
カルスNC-Rの効果を最大限に発揮させるためには、「微生物」「エサ(有機物)」「起爆剤(米ぬか)」のバランスが極めて重要です。特に、家庭菜園で発生する野菜の残渣や雑草を処理する場合、適当に混ぜるだけでは分解が進まなかったり、失敗の原因となります。ここでは、失敗しないための黄金比と具体的な投入手順について解説します。
まず、カルスNC-Rを使用する際の基本的な配合比率は以下の通りです。これは10坪(約33平方メートル)の畑を基準とした場合の標準的な目安ですが、プランターや小規模な家庭菜園でもこの比率を守ることが成功への近道です。
参考)https://www.resahl.co.jp/product/pdf/210618_01.pdf
この中で特に重要なのが「米ぬか」の存在です。米ぬかは、カルス菌(特に好気性菌や放線菌)にとって最高の栄養源であり、微生物の活動を一気に活性化させる「起爆剤」の役割を果たします。米ぬかが少なすぎると微生物の増殖が遅れ、分解に時間がかかってしまいます。逆に多すぎても問題はありませんが、コストパフォーマンスを考えると、カルス1に対して米ぬか10〜30の割合が理想的です。
次に、残渣処理の具体的な手順を見ていきましょう。
この手順を守れば、夏場であれば1週間~10日、冬場でも3週間程度で残渣の形がなくなり、ふかふかの土へと生まれ変わります。また、この処理を行うことで、残渣に含まれていた病原菌のリスクも、放線菌の働きによって低減されるというメリットもあります。
リサール酵産 公式FAQ「使用量・方法について」
https://www.resahl.co.jp/faq/usage/
1平方メートルあたりの具体的な使用量や、米ぬかの代用品についての公式な回答が掲載されています。
カルスNC-Rを使用していて「野菜の葉が黄色くなった」「生育が止まってしまった」という失敗談を耳にすることがありますが、その原因の9割以上は「窒素飢餓」と呼ばれる現象です。微生物資材を使いこなす上で、この窒素飢餓のメカニズムと、それを防ぐための「硫安(硫酸アンモニウム)」の役割を理解することは避けて通れません。
参考)微生物資材カルスNC-Rの効果的な使い方と窒素飢餓対策
窒素飢餓とは、土壌中の微生物が有機物を分解するために大量の窒素を消費してしまい、植物の根が吸収すべき窒素まで奪ってしまう現象のことです。微生物の体(タンパク質)を作るためには窒素が必須であり、特に「炭素率(C/N比)」が高い有機物を分解する際に、この現象が顕著に現れます。
炭素率が高い有機物の代表格が「籾殻(もみがら)」や「落ち葉」、「剪定枝」などの硬い繊維質のものです。これらは炭素(C)を多く含みますが、窒素(N)はほとんど含んでいません。
カルスNC-Rを使って籾殻などの高炭素有機物を分解しようとすると、微生物は分解に必要な窒素を周囲の土壌から猛烈な勢いで取り込みます。その結果、土の中の窒素が枯渇し、一緒に植えている作物や、後から植えた作物が窒素不足に陥り、生育不良を起こすのです。これが「失敗」の正体です。
この窒素飢餓を防ぐために必要不可欠なのが「硫安(硫酸アンモニウム)」の添加です。硫安は即効性の窒素肥料であり、微生物に直接窒素を供給する「サプリメント」のような役割を果たします。リサール酵産が推奨する配合比率は非常に明確です。
【籾殻を使用する場合の硫安添加量】
籾殻1kgに対して、硫安は約40gが必要です。
参考)硫安の添加量 - リサール酵産
(例:籾殻30kgを使用する場合は、硫安1.2kgが必要)
「化学肥料を使いたくないから硫安は入れない」という判断は、カルスNC-Rを使用した土作りにおいては逆効果となる場合が多いです。投入した硫安は、微生物が有機物を分解する過程で菌体タンパクとして取り込まれ、微生物が死滅した後にゆっくりと分解されて植物の栄養(有機質肥料)として還元されます。つまり、一時的に化学肥料として投入しても、最終的には有機的なサイクルの中に組み込まれるのです。
ただし、野菜くずや生ごみなど、水分が多く窒素を含んでいる有機物(炭素率が低いもの)を中心に使用する場合は、硫安の添加は必ずしも必要ありません。使用する有機物の種類によって硫安の有無を使い分けることが、カルスNC-Rマスターへの第一歩です。
農業協同組合新聞「土壌改良資材の選び方」
https://www.jacom.or.jp/kizai/2021/210304-49888.php
窒素飢餓のメカニズムと、C/N比(炭素率)の調整がいかに重要かについて、専門的な視点から解説されています。
マンションのベランダ菜園や家庭菜園で最も頭を悩ませるのが、一度野菜を育てた後の「古土(ふるつち)」の処分です。根がびっしりと張り、栄養分が抜け、病原菌が潜んでいるかもしれない古土は、自治体によってはゴミとして出すことも難しく、放置されがちです。しかし、カルスNC-Rを使えば、この古土を「捨てるゴミ」から「最高級の培養土」へと再生させることができます。しかも、面倒な「ふるい掛け」や「天日干し」といった作業は一切不要です。
参考)微生物の力で土の再生をもっと簡単に|リサール酵産株式会社産株…
プランターの古土再生における最大の特徴は、前作の「根」や「茎」などの残渣をそのまま再生材料として利用できる点です。これこそがカルスNC-Rの真骨頂であり、ゴミを減らしながら土を豊かにする一石二鳥のテクニックです。
【プランター古土再生の具体的ステップ】
ここでは、一般的な65cmプランター(土容量約12〜14リットル)を想定した手順を紹介します。
この状態で、夏場なら1週間~2週間、冬場なら3週間~1ヶ月ほど放置します。土を掘り返してみて、投入した根や残渣の形がなくなり、白い菌糸(放線菌)が広がっていれば再生完了のサインです。土は驚くほどふかふかになり、独特の「森の土」のような良い香りがします。
この再生法のメリットは、連作障害のリスクを軽減できることです。カルス菌群が土中のバランスを整えるため、同じ科の野菜を植える場合でも、トラブルが起きにくくなります(ただし、完全に連作障害を防ぐものではないため、輪作が基本です)。
カーメン君ガーデンチャンネル(YouTube)「【再生土】古い土を捨てるなんてもったいない!カルスNC-Rで最強のリサイクル術」
https://www.youtube.com/watch?v=wNNrj3Wd9QU
園芸系YouTuberによる実演動画。実際の土の状態や、混ぜ方のコツが映像で分かりやすく解説されています。
カルスNC-Rが単なる「生ごみ処理菌」ではないことを証明する、非常に興味深く、かつあまり知られていない事実があります。それは、通常の微生物では分解が困難とされる物質までも、時間をかければ分解してしまうという意外な能力です。
その代表例が「生分解性プラスチック」です。近年、環境保護の観点から釣り用のルアー(疑似餌)や農業用マルチシートなどに生分解性素材が使われるようになっていますが、これらは自然環境下では分解に数年かかることも珍しくありません。しかし、リサール酵産の実験やユーザーからの報告によれば、カルスNC-Rを使用した土壌環境では、これらの生分解性プラスチック製品の分解が著しく促進されることが確認されています。
これは、カルスNC-Rに含まれる複合微生物たちが、非常に強力かつ多様な分解酵素を出していることを示唆しています。特定のプラスチック構造を切断できる酵素を持つ菌が、カルスの菌叢(きんそう)の中に含まれていると考えられます。
さらに驚くべきは、「カキ殻(牡蠣の殻)」や「カニの甲羅」といった、極めて硬い有機物の分解能力です。これらは主成分が炭酸カルシウムやキチン質であり、通常の堆肥作りでは「分解できないもの」として分別されるのが一般的です。しかし、カルスNC-Rを施用した土壌にこれらを投入し、十分な期間(数ヶ月〜半年単位)をおいて観察すると、硬かった殻がボロボロに崩れ、土に還っていく様子が確認されています。
この現象は、カルス菌群の中に「キチン質分解菌」や、有機酸を出してカルシウムを溶解させる能力を持つ菌が存在することを示しています。カニ殻などに含まれる「キチン」は、放線菌のエサとして非常に優秀であり、これを分解することで土壌中の放線菌密度がさらに高まります。その結果、フザリウム菌などの病原菌に対する抑制力が強化され、より病気に強い土壌が出来上がるのです。
このように、カルスNC-Rは単に残渣を処理するだけでなく、分解困難な有機廃棄物を資源に変え、さらに土壌の免疫力とも言える機能を強化する可能性を秘めています。「もしかして、これも分解できるのでは?」という実験的な視点で土作りを楽しむのも、カルスユーザーの醍醐味の一つと言えるでしょう。ただし、プラスチックや貝殻の分解には、野菜くずとは比較にならない長い時間が必要ですので、気長に取り組む姿勢が必要です。
リサール酵産 公式ブログ「分解実験レポート」
https://www.resahl.co.jp/blog/
生分解性ルアーや硬い有機物の分解実験など、メーカーによるユニークな検証結果が記事として公開されています。