低温障害は「霜で凍る」「葉が焼ける」といった目に見える被害だけでなく、内部の細胞膜の損傷から始まる見えにくい障害も多いのが特徴です。 例えばトマトやキュウリなどの暖地原産の野菜は、見かけ上はしおれていなくても、10〜12℃前後を下回る環境に長く置かれると細胞膜の透過性が変化し、イオンが漏出して代謝が乱れます。
生育中の野菜では、低温にさらされると呼吸や光合成が極端に低下し、葉にアントシアニンが蓄積して紫色になったり、葉縁から褐変・白化して枯れ込みが進みます。 特にハウスのビニール破損などで急激に冷気が入り込んだ場合、葉先からパリッと乾いたような裂傷や、果実表面の傷・ざらつき(ピッティング様症状)が現れることがあり、病害と誤認されやすい点に注意が必要です。
参考)トマトの低温障害とは?原因と防止対策を解説 │ 農業経営の利…
青果物全般で見ると、低温に弱い品目では貯蔵中に表皮の褐変や凹み、組織の水浸状化が進み、内部の細胞からの電解質漏出が急増することが報告されています。 これは細胞膜の脂質組成が低温でゲル状に変化し、膜タンパク質の働きが落ちることが主因とされ、単に「寒さに当たった」というレベルを超えて、品質劣化や収量低下に直結する深刻なダメージにつながります。
参考)http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2019/08/6718a6810f1c1edccd2de6d4cb344485.pdf
低温障害の要因として真っ先に挙がるのは気温ですが、実際の現場では「地温」と「水温」の影響も大きく、生育適温を下回る状態が続くことで根の機能不全が起こりやすくなります。 水はけの悪い圃場では冷たい水が滞留して地温が下がりやすく、根が長時間冷水にさらされることで吸水・養分吸収が低下し、葉色の退色や生育の停滞が目立つようになります。
品目別に見ると、トマト・キュウリ・ナス・ピーマン・オクラなどの果菜類は低温に弱く、夜温が10℃を切る状態が続くと着果不良や果実の着色不良、ピッティング、内部の空洞化など、さまざまな症状が現れます。 一方、キャベツやハクサイ、ブロッコリー、ダイコン、ホウレンソウなどの葉菜・根菜類は、耐寒性が比較的高い一方で、生育適温は15℃以上を必要とするものも多く、低温が続くと生育停滞や霜害が起こるため「強いから放任」で良いわけではありません。
参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/atm/seiri/teion_syougai/
意外な点として、同じ作物でも品種や苗齢によって低温感受性が異なり、若苗ほど寒さに敏感で、定植直後の冷え込みで根張りが極端に悪くなるケースが報告されています。 また、省エネルギーのために施設内の夜温を下げすぎた結果、多湿環境が長く続いて灰色かび病などの病害が誘発され、生理障害と病害が複合的に収量を落とす例も見られます。
参考)https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/grass_198004_03.pdf
露地栽培での低温障害対策は、「冷気に直接当てない」「土を冷やしすぎない」「水を溜めない」の三点が基本になります。 トンネル栽培や不織布・ビニールなどの被覆資材で風を遮り、夜間の放射冷却を抑えることで、気温だけでなく地表面温度の急激な低下も緩和できます。
とくに水田転作圃場など排水不良が疑われる場所では、高畝化や明渠・暗渠の整備によって余分な水を素早く外に逃がし、冷たい水が根域に滞留しないようにすることが重要です。 畝内の土壌には腐植やパーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの資材を投入することで通気性と排水性を高められ、地温低下の抑制と根の健全化の両面から低温障害を予防できます。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/aki3-12.pdf
施設栽培では、単に暖房機の能力を上げるだけでなく、ハウスの破れや隙間風の有無、扉付近の温度ムラの解消が効果的です。 内張りカーテンや内トンネルの併用でハウス内に「温度の層」を作ることで、異常低温時でも作物の肩口付近の温度を守りつつ、燃料消費を抑えた省エネ管理が可能になります。
参考)https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/443198.pdf
また、意外と見落とされがちなのが、かん水時の水温管理です。 冬場の井戸水や水道水をそのままかん水に使うと、水温が5〜10℃程度と低く、根に急激な温度ショックを与えてしまうことがあります。 かん水のタイミングを日中の暖かい時間帯にずらす、タンクに一時貯留して水温を周囲温度になじませてから使うなど、現場で無理なくできる工夫が低温障害軽減に役立ちます。
参考)野菜の生理障害まとめ!病害虫でもない野菜の不調の原因はこれ?…
収穫後の野菜は、生育中とは別の形で低温障害のリスクを抱えています。 コールドチェーンでは「できるだけ早く冷やして温度を下げる」ことが強調されますが、冷蔵保存に不向きな作物を低温で貯蔵すると、表皮の褐変や凹み(ピッティング)、内部の水浸状化など、いわゆるポストハーベスト期の低温障害が発生します。
多くの野菜では、低温障害が出やすい温度帯は10〜13℃付近とされ、熱帯・亜熱帯原産の果菜類や一部果実では、この温度を下回る長期保存で障害が顕在化しやすいと報告されています。 一方で、家庭用冷蔵庫の野菜室がこの温度帯よりやや高めに設定されている場合、低温障害を起こさず保存できる可能性があるともされ、必ずしも「低いほど良い」とは言えません。
参考)第35回サイエンスカフェ「聞いてみよう!ポストハーベストって…
予冷は、収穫直後の野菜の呼吸量を抑え、蒸散を減らして品質と鮮度を保つために欠かせませんが、冷やし過ぎは禁物で、作物ごとの「保蔵適正温度」を守ることが重要です。 温度が10℃下がるごとに呼吸速度はおよそ1/2〜1/3まで低下しますが、その一方で低温に弱い作物では、同じ温度低下が細胞膜障害のリスク増加に直結するため、適温の見極めが収益を左右します。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsrae/3/1/3_1_1/_pdf
さらに近年では、大気圧低温プラズマを用いて、青果物の表面に残留したポストハーベスト農薬を分解・無毒化する研究も進められており、品質を損なわずに安全性を高める技術として注目されています。 こうした技術と従来の温度管理を組み合わせることで、「低温障害を避けつつ、鮮度と安全性を両立させる」新しいポストハーベスト戦略が現実味を帯びてきています。
参考)「旬」を安全に保持する方法を探る
現場で見逃されがちな低温障害のサインとして、「肥料をやっても効きが悪い」「生育が揃わない」といった一見栄養問題に見える症状があります。 しかし、根域の地温が低かったり、夜間の温度ムラが大きい場合、根が十分に養分を吸収できず、葉色ムラや生育バラつきが発生しているケースが少なくありません。
また、省エネルギーを意識するあまり暖房を切り過ぎると、ハウス内が多湿になり、灰色かび病や疫病といった病害のリスクが高まります。 その結果、病害対策に追われて防除コストが増加し、単に「燃料を節約したつもりが、トータルでは収支が悪化していた」という事態にもつながりかねません。
現場で実践しやすい工夫としては、次のようなポイントが挙げられます。
さらに、地域の技術資料や試験場のレポートには、現場に近い条件で検証された低温・日照不足対策が数多く整理されています。 自分の圃場条件(標高、土質、水源、栽培体系)と似た事例を探し、温度管理や品種選定、作期調整の参考にすることで、教科書的な知識だけでは見えない「ちょうどよい温度管理ライン」が見えてきます。
参考)https://www.pref.tochigi.lg.jp/g55/keieihukyubu/saigaitaisaku-backnumber/documents/r10709teionnissyoubusokunousakumotugizyututaisaku.pdf
低温障害の原因やメカニズム、作物別の適温・対策一覧の参考資料として役立つ技術解説です。
青果物の低温障害と保蔵適正温度(J-STAGE)
露地・施設野菜の低温・日照不足対策を実例とともに整理した自治体の技術情報です。
低温・日照不足に対する農作物技術対策(栃木県)
各種野菜の生育適温・耐寒性や栽培指針が網羅された技術資料で、作型や品種選定の検討に有用です。

【完熟成へのこだわり】最高級サツマイモ【究極の紅はるか】茨城県産『洗い済』【秀品/定番ミックス M-Lサイズ】約5.0kg 箱込 (1本/200g-500g前後) ~名峰/筑波山と霞ケ浦湖に挾まれた土壌で90日間以上の貯蔵ルールと低温高湿庫内で熟成された伝統の「紅はるか Beni Haruka」低温完熟 ねっとり甘い 農園化粧箱 贈答用 ギフト お中元 さつまいも プレゼント ご挨拶 内祝 Quality Leaders【甘藷農園 燈屋(とうや)農園からお手元へ】★