最低気温12度作物影響寒さ対策事例解説

最低気温12度前後が続くと作物にどんな影響が出て、どんな寒さ対策や管理をすれば収量と品質を守れるのでしょうか?

最低気温12度作物影響と寒さ対策

最低気温12度が続く時の基本ポイント
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生育適温と生育限界温度を把握

作物ごとに「快適な温度」と「ここから先は止まる・傷む温度」が異なります。最低気温12度は、暖地型野菜では低温障害の入口になる一方、冷涼地型作物にはまだ余裕がある温度帯です。

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作物別に見る12度ラインの意味

トマトやキュウリなどの熱帯・亜熱帯原産野菜は10〜12度を下回ると低温障害が出やすくなり、着色不良や花落ちなどのトラブルが増えます。

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12度前後で効く現場の寒さ対策

ハウスでは最低気温設定を12度に抑える代わりに「根域加温」や被覆資材を組み合わせることで燃油代を抑えつつ生育を維持できるケースがあります。

最低気温12度と生育適温・生育限界温度の考え方

 

気象情報で最低気温12度と聞くと一見それほど寒く感じないかもしれませんが、作物の生理から見ると「生育適温」と「生育限界温度」のどちら側に近いかで意味合いが大きく変わります。
生育適温とは、その作物が最もよく育つ温度帯であり、これを外れると高温でも低温でも光合成や呼吸、養分吸収などの生理機能が鈍り生育が不良になります。
一方、生育限界温度はそれを下回る(あるいは上回る)と生育がほぼ停止し、長く続くと枯死や重度の障害につながる温度で、暖地型作物では10〜12度付近が低温障害の境目になる例が多くなります。
一般に葉菜類や根菜類など冷涼地を原産とする作物は生育適温が15〜20度前後とやや低く、最低気温12度でもまだ生育が進む余地がありますが、熱帯・亜熱帯原産の果菜類では12度付近でもう生育のブレーキがかかり始めます。

 

参考)https://www.takii.co.jp/tsk/hinmoku/tokusei/

逆に、稲や小麦などの穀物では冬の休眠期にさらに低温へ耐える性質を持っており、最低気温12度は「まだ暖かい」側に分類されるため、作物の系統によって同じ12度でも評価がまったく異なってきます。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-131.pdf

最低気温12度がトマト・キュウリなど果菜類に与える具体的な影響

トマトやキュウリ、ナス、ピーマン、オクラなど、もともと熱帯〜亜熱帯で育ってきた作物は、10〜12度を下回る低温に一定期間さらされると低温障害が発生しやすく、葉の変色や奇形、果実の着色不良などが表れます。
トマトでは12度を挟む低温が続くと、果実の着色が遅れたり不均一になったりするほか、葉裏や葉先が紫色に変わるアントシアニンの発現、根傷み、花芽が落ちるなどの症状が報告されており、収量と品質の両方に影響します。
キュウリの生育適温は昼22〜28度、夜17〜18度とされ、夜間の最低限界温度は7〜10度が目安ですが、この下限に近い温度が続くと養分吸収が鈍り、翌日の葉の立ち上がりや果実の伸びが目に見えて悪くなります。

最低気温12度というのは、キュウリやナスにとって「いきなり枯れるほどではないが、毎日続くとじわじわ効いてくる」温度帯であり、肥大不良や曲がり果発生、花数の減少などとして現れるため、夜温の記録と作物の症状をセットで見ておくことが重要です。

最低気温12度と低温障害・凍霜害の境目にある意外な落とし穴

最低気温が12度程度なら霜の心配はないと感じがちですが、実際の凍霜害は地表の放射冷却による「地表面温度」が0度前後まで下がることで発生し、気象台の観測値よりも畑の葉先の温度がぐっと低いケースがあるため注意が必要です。
最低気温が氷点下まで予報されていなくても、晴天・無風・乾燥した夜は放射冷却が強くなり、翌朝には畑一面が真っ白になっていることがあり、一度の霜で作物が枯死する事例も各地で報告されています。
また、低温障害は「凍るほどの寒さ」でなくても起こり、暖地型の野菜では10〜12度以下に長時間さらされることで、呼吸と光合成のバランスが崩れ、生育抑制や奇形、変色、花や幼果の脱落など多様な症状として現れます。

 

参考)低温障害の原因と対策|予防方法やおすすめ資材|農業・ガーデニ…

特に幼苗期は根が十分に発達しておらず、冷たい土への接触時間が長いと水分・養分吸収が低下し、生育が止まるだけでなく根腐れや病害が助長されるため、最低気温12度前後でも湿った重い土ではリスクが高くなります。

 

参考)https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/1049287.pdf

最低気温12度と根域加温・地温管理による収量アップの実例

温室栽培では、冬季に通常最低気温15〜16度で管理している花き作物について、最低気温を12度まで下げる一方で根域温度を24度程度に加温すると、生育をほぼ維持できたという報告があり、暖房費削減のヒントになります。
この試験では、空気温度を下げることで暖房エネルギーを節約しつつ、根域だけを効率的に温めることで水分・養分吸収を確保し、生育遅延や品質低下を最小限に抑えられたとされています。
野菜作りでも同様に、マルチやトンネル、ベッドの高畝化などで地温を上げると、最低気温12度の夜でも根の機能低下を抑え、翌日の立ち上がりや肥大を改善できます。

 

参考)http://home.a04.itscom.net/monamour/chion.pdf

特にハウス内での夜間は空気温度よりも土壌温度の方が作物の反応に直結するため、温度センサーを地際と地中に1つずつ入れておき、「最低気温12度でも地温は15度以上を確保する」管理を狙うと、暖房費と収量のバランスが取りやすくなります。

最低気温12度を味方にする作付け計画と適地適作の発想

気候変動により日本の平均気温は上昇傾向にあり、地域によっては秋〜春の最低気温がかつてより高くなったことで、露地野菜の収穫期の前進や遅延、葉菜類の抽だい増加、結球不良など、新たな生育パターンが出てきています。
こうした中で、ある地域の「最低気温が12度前後で推移する期間」が長くなっている場合、その地域は暖地型作物にとっては露地栽培シーズンの拡大、冷涼地型作物にとっては品質低下リスクの高まりという、相反する意味を持つことになります。
ブランド米の適地が変わりつつあるように、野菜や果樹でも「その地域の最低・最高気温の分布に合った品種や作型を選び直す」適地適作の発想が求められています。

 

参考)気候変動に対応した「適地適作」_シリーズ『気象情報を活かした…

例えば、冬場でも最低気温12度以上の日が多い地域なら、トマトやキュウリ、ピーマンなどの果菜類を中心に作付け期間を延長し、逆に春先の低温や遅霜リスクが残る地域では、凍霜害に強い品種や作型に切り替えることで、収量と品質の安定を図ることができます。

低温障害の基礎知識や作物別のリスク、対策の詳細解説
低温障害の原因と対策|予防方法やおすすめ資材
作物の温度要求性と生育適温・限界温度の整理
温度と作物栽培(作物別の温度条件解説資料)
参考)https://bsikagaku.jp/cultivation/temperature%20and%20crop.pdf

地温と野菜作りの基礎、地温管理の実践的なポイント
地温 野菜作りの基礎知識

 

 


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