草生栽培は、防草シートや裸地管理の代わりに、地表に草を生やしたまま栽培する管理法で、果樹園や茶園、ブドウ園などの永年作物で特に利用が進んでいます。
その中でクローバーは、地表を覆う被覆力と根粒菌による窒素固定を兼ね備えたマメ科多年草として、雑草抑制と土づくりを一体的に行える草種として注目されています。
クローバー草生の大きなメリットは、地表を隙間なく覆うことで、光を奪い雑草の発芽・初期生育を抑えられる点と、冬期も残る常緑性により土壌流亡を防げる点です。
参考)http://www.fruit-fields.com/j221_1clove.htm
加えて、窒素固定による肥料代の低減や、刈り草をその場に敷き込むことで有機物循環を高め、長期的な団粒構造の発達や微生物多様性の向上が期待できます。
参考)第2回 無施肥・不耕起の草生栽培 - 自然農法センター
一方で、クローバーは繁殖力と土壌適応力が非常に高く、一度定着すると他の被覆植物や作付けへの切り替えが難しくなるというデメリットもあります。
参考)グランドカバー|草生栽培でクローバーメリット|果樹園にクロー…
日当たりや土質によっては雑草の勢いが勝ち、クローバーが想定ほど密生せず、「草で草を制する」どころか雑草園に逆戻りした事例も多く報告されており、導入初期の管理労力を軽く見ないことが重要です。
クローバー草生と一口に言っても、現場ではシロクローバー(シロツメクサ)、ラジノクローバー、クリムソンクローバー、アルサイクローバーなど複数の種・品種が使われており、それぞれ草丈や耐湿性、耐寒性が大きく異なります。
果樹園の下草としては、ほふく性で草丈の低いシロクローバーがよく用いられ、カンキツ「不知火」園やリンゴ園では、下草の優占種として位置付けることで無除草管理に近づけた事例もあります。
アルサイクローバーや一部の赤クローバー系は、酸性土壌や湿田跡土壌に強く、排水性に課題のあるほ場の土壌改良に有効とされています。
参考)6.草生栽培に利用できる草
一方で、ラジノクローバーは耐干性・耐寒性に優れ、牧草としての利用実績も豊富で、雑草防止と土づくりを兼ねた果樹園草生に混播する形で導入されるケースがあります。
参考)果樹園にラジノクローバーの種を蒔いて雑草防止&土づくりを試み…
気象条件面では、クローバーは冷涼期に生育しやすく、夏の高温期には勢いが落ちるため、その隙間を突いて多年生雑草や一年生イネ科雑草が台頭しやすい点に注意が必要です。
参考)草生栽培とは? メリットやデメリット、利用できる草や取り組み…
また、梅雨時の雨滴でクローバーが横倒しになると被覆層に隙間が生じ、そこから雑草が侵入して密生状態が崩れることも報告されており、排水性の悪いほ場では草種選択と播種密度の調整が鍵になります。
果樹園でのクローバー草生では、初年度に既存雑草の種子土壌バンクの影響が大きく、クローバーが負けやすいため、播種後1〜2年は丁寧な補播と草刈り・手取り除草が欠かせません。
自然農法の解説でも、クローバーと雑草が混生している段階での「刈り取り」や「踏み付け」により、クローバーを助け雑草を弱らせる管理が重要とされ、放任では密生状態までたどり着きにくいことが指摘されています。
実際の失敗事例として、クローバーを全面播種したものの、春の雑草ラッシュでクローバー層を突き抜けて雑草が一気に繁茂し、再び「雑草園」に戻ってしまったケースがあります。
刈り取り時に刈り草をそのままクローバーの上に厚く被せると、クローバーの再生が阻害され、隙間から雑草ばかりが伸びるという予期せぬ現象も報告されており、刈り草の扱いも草生栽培の成否を分けるポイントです。
夏野菜畝の間をクローバーで草生化した例では、キュウリなどの根域とクローバーの地下茎が競合し、生育が抑制される場面も見られます。
参考)自然農:クローバー草生栽培(夏野菜)
とくに家庭菜園規模では、クローバーの地下茎が畝全体に広がると、毎年の作付け変更が難しくなり、作物によっては水分・養分競合から生育不良を招くため、作物ごとの相性をあらかじめ検討する必要があります。
クローバー草生は、見える範囲の雑草抑制だけでなく、土壌生物や天敵昆虫のすみかを提供することで、病害虫の抑制力を高める側面も持っています。
シロクローバーは花期が長く、花蜜や花粉が供給されるため、テントウムシやクモ類、寄生バチなど土着天敵が生息しやすい環境が維持され、リンゴやナシ園での殺虫剤削減と組み合わせた事例研究が進んでいます。
また、クローバーの根には菌根菌をはじめとした共生微生物が集まりやすく、窒素固定由来の窒素だけでなく、リン酸の可給化や微量要素の吸収促進にも間接的に関与していると考えられています。
参考)草生栽培で目指す持続可能なミカン作り。そして最高の味。
これにより、果樹根圏に広がる微生物ネットワークが強化され、みかんなどの品質向上や樹勢の安定に寄与しているという報告もあり、単なる「草」以上の役割を担っていることが見えてきます。
意外なポイントとして、クローバー草生は園地の景観向上や、作業者の心理的な負担軽減にも寄与しているという声も聞かれます。
一面のクローバーによって泥濘が減り、足元の安定感が増すことで、長時間の収穫作業や剪定作業のストレスが下がり、結果として作業ミスや疲労由来の事故リスクを減らす効果も期待できます。
参考)https://www.pref.kanagawa.jp/documents/27252/531899.pdf
クローバー草生を導入する前には、ほ場の排水性、既存雑草の種類(多年生イネ科・スギナ・チガヤなど)、作業機の進入経路、作物の根域深さをチェックし、「クローバーが本当に主役になれる条件か」を見極めることが重要です。
特に多年生の深根性雑草が多いほ場では、クローバーだけで完全制圧を狙うのではなく、初期数年は部分的な被覆とスポット除草を組み合わせる設計が現実的です。
独自アイデアとして、果樹列の直下は別の被覆作物(例えば浅根性のナギナタガヤやレンゲ)を配置し、通路側をクローバー草生とする「二段構え」のレイアウトにすることで、根の競合と作業性を両立させる方法があります。
また、クリムソンクローバーなど花色の濃い品種をエリア限定で混播することで、受粉昆虫の誘引や観光要素を兼ねた「見せる果樹園」を作り、直売や観光農園ビジネスとリンクさせている事例も参考になります。
参考)一年目の緑肥の失敗から学ぶ(自然栽培の記録vol.2)|Ka…
さらに、クローバー刈り草を集めて「雑草→土→雑草→土」と層状に積み重ね、米ぬかや籾殻、米のとぎ汁を加えた自家製堆肥にすることで、草生栽培と堆肥づくりを一つの循環にまとめることも可能です。
このように、自園の作付け計画や販売戦略と組み合わせてクローバー草生を位置付けることで、単なるコスト削減策ではなく、農場全体の「設計」の一部として活かしていく視点が重要になります。
クローバー草生栽培の基本や事例研究の詳細解説
草生栽培とは? メリットやデメリット、利用できる草や取り組み事例
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露地栽培カンキツ「不知火」のシロクローバー草生管理
リンゴ園でのシロクローバー草生と天敵保護技術の研究報告
生物の多様性を維持する果樹・茶の管理技術(草生栽培関連部分)

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