黒腐病キャベツの症状発生原因対策農薬防除

キャベツ栽培で深刻な被害をもたらす黒腐病について、特徴的なV字型病斑の症状から種子消毒や耐病性品種まで、農業従事者が知っておくべき効果的な防除対策を徹底解説します。収量減少を防ぐための実践的な方法とは?

黒腐病キャベツの症状と対策

種子消毒しないと育苗段階で全滅します


この記事の3ポイント要約
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黒腐病は細菌性病害で水孔から侵入

葉脈に沿ったV字型の黄褐色病斑が特徴で、道管を伝って全身に広がるため治療が極めて困難です

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種子の乾熱消毒が最重要の予防策

75℃で5〜7日間の乾熱処理により病原菌を完全死滅させることができます

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耐病性品種と総合防除の組み合わせ

ふうりんや涼峰などの耐病性品種を使い、銅剤散布と害虫防除を併用すると効果的です


黒腐病キャベツの特徴的な症状


キャベツ黒腐病は細菌性の病害で、幼苗期から収穫期まであらゆる生育段階で発生する厄介な病気です。病原菌はキサントモナス・カンペストリスという細菌で、アブラナ科作物全般に感染します。この細菌は極めて乾燥に強く、土壌中や種子に付着した状態で1年以上も生存できるのが特徴です。


播種直後から発芽初期に感染した場合、子葉の水孔から病原菌が侵入し、先端部が黒変してから急速に縮れて枯死してしまいます。育苗段階での感染は特に深刻で、一度発生すると苗床全体に広がる危険性があります。


定植後の本圃では、主に下葉から症状が現れます。初期症状として葉裏の葉脈に沿って暗緑色から黒色の水浸状病斑が生じ、葉の表側は灰緑色から淡黄褐色へと変色していきます。最も特徴的なのは、葉脈に沿って形成されるV字型の黄褐色病斑です。つまりV字病斑が黒腐病の決定的な診断ポイントです。


病気が進行すると病斑内の葉脈は褐色から紫褐色へ変色し、葉は乾燥によって破れやすくなります。重症化すると葉だけでなく根や茎の道管部も黒変し、腐敗して空洞ができることもあります。ただし軟腐病とは異なり、株の崩壊や悪臭は生じないのが見分けるポイントです。


黒腐病の厄介な点は、一度道管内に侵入すると病原菌が植物体内を急速に移動することです。病原菌が導管を伝って全身に広がるため、発症後の治療的防除は極めて困難になります。発病株率が高くなると収穫量と品質に大きな影響を及ぼし、経営的な損失につながります。


黒腐病キャベツの発生原因と感染経路

キャベツ黒腐病の感染経路は主に3つあります。種子伝染、土壌伝染、そして害虫や風雨による物理的な傷からの侵入です。それぞれの感染経路を理解することが効果的な防除の第一歩となります。


種子伝染は最も警戒すべき感染経路です。種皮に付着した病原菌や汚染された育苗培土から、育苗段階で感染が始まります。種子に病原菌が付着していると、発芽と同時に病気が広がる可能性が高まります。感染苗が定植時にほ場へ持ち込まれると、そこから一気に被害が拡大してしまうのです。


土壌伝染では、土壌中に生存していた病原菌が降雨や頭上灌水によって雨滴や水滴とともに跳ね上げられ、葉の水孔や傷口から侵入します。水孔は葉の縁などにある小さな穴で、植物が余分な水分を排出するための器官です。病原菌にとっては格好の侵入口ということですね。


ほ場に放置された被害残さは翌年の重要な伝染源になります。病原菌は51℃以上で10分以上加熱すると死滅しますが、通常の環境では長期間生存します。前年に黒腐病が発生したほ場では、残さを適切に処理しないと次作での発生リスクが著しく高まるのです。


害虫の食害痕や台風などの強風による傷も病原菌の侵入ルートとなります。モンシロチョウコナガキスジノミハムシ、コオロギなどの害虫が葉を食害すると、そこから病原菌が侵入しやすくなります。台風や大雨の後に黒腐病が急増するのは、強風で葉に傷ができて病原菌の侵入が容易になるためです。


発病に適した温度は15〜30℃で、特に5〜6月または9〜10月の気温がやや低い時期に降雨が続くと発生が多くなります。春播き、初夏播き、夏播きでは発病が多く、晩夏播きや秋播きでは比較的少ない傾向があります。高温多湿の環境で活発になるため、排水の悪いほ場では特に注意が必要です。


黒腐病キャベツの種子消毒と育苗管理

種子消毒は黒腐病防除の最も重要な対策の一つです。キャベツ黒腐病を育苗段階から防ぐには、種子の乾熱消毒が極めて有効とされています。具体的な方法は、まず40℃で24時間の予備乾燥を行い、その後75℃で5〜7日間乾燥させることで病原菌を完全に死滅させることができます。


この乾熱消毒は物理的な処理方法であり、化学農薬を使わずに病原菌を除去できる利点があります。ただし注意点として、乾熱消毒後の種子を長時間貯蔵すると発芽率が低下する恐れがあるため、処理後は早めに播種することが推奨されます。播種適期を逃さないよう計画的に処理を行いましょう。


温湯浸漬による種子消毒も選択肢の一つです。53〜55℃の湯に20分間浸漬する方法で、トマトかいよう病やキャベツ黒腐病に利用されています。温湯処理は種子の生命力を維持しながら病原菌を殺菌できる技術ですが、温度管理が重要で、温度が低すぎると殺菌効果が不十分になり、高すぎると種子がダメージを受けます。


育苗培土の消毒も忘れてはいけません。育苗培土を介したほ場への土壌伝染を防ぐため、育苗培土は必ず消毒して病原菌を死滅させておくことが大切です。病原細菌に汚染されていない清潔な土で育苗することが基本となります。


苗床で感染が見つかった場合は、速やかに発病株を取り除くことがポイントです。発病株をそのまま放置すると周囲の健全苗にも感染が広がり、育苗全体が台無しになってしまいます。いち早く発見して除去することが被害拡大を防ぐ鍵です。


消毒済みの種子を使用することも有効な手段です。市販の種子には消毒処理済みのものもあるので、それらを選択することで育苗段階での発病リスクを大幅に低減できます。種子を購入する際は消毒の有無を確認しましょう。


黒腐病キャベツのほ場管理と耕種的防除

ほ場の環境整備は黒腐病防除の基本です。大雨や台風の後に土壌が過湿状態になると葉に病原菌が付着しやすくなるため、土壌の排水対策が重要になります。水はけの悪いほ場では高畝にするなど、排水を良好に保つ工夫が必要です。排水性を高めることで病原菌の跳ね上がりを抑制できます。


株間を適切に確保して風通しを良くすることも効果的な対策です。密植栽培を避けることで、葉の表面が乾きやすくなり病原菌の繁殖を抑えられます。


通風を良くすることが基本ですね。


連作を避けることも重要な防除対策です。アブラナ科の作物を連作すると黒腐病の発生リスクが高まるため、2〜3年程度の休栽期間を設けることが推奨されます。過去に黒腐病が発生したほ場では特に注意が必要で、輪作を実施することで土壌中の病原菌密度を下げることができます。


輪作の際は、キャベツとほかのアブラナ科作物を避け、豆類や穀物との輪作が推奨されます。イネ科やマメ科の作物を栽培することで、土壌環境がリセットされ病原菌の生存率が低下します。


田畑輪換も効果的な方法の一つです。


被害残さの適切な処理も欠かせません。発病残さを速やかに処理することで、翌年の営農への影響を防げます。黒腐病に感染した作物や葉が見つかった場合は、翌年の感染を引き起こさないよう速やかにほ場外に撤去し、土中深くに埋めるか焼却処分を行います。


害虫防除も黒腐病対策として重要です。病原細菌が葉の傷口から侵入するため、モンシロチョウやコナガなどの食害で葉が傷つかないよう、害虫の侵入を防ぐことが大切です。防虫ネット寒冷紗の活用は害虫侵入対策として効果的なだけでなく、風害対策にも効果を発揮します。


防虫ネットを張る際は、土との間にすき間ができないように張り、トンネル栽培にします。目の細かい防虫ネット(目合い1mm以下)を使用することで、小さな害虫の侵入も防ぎやすくなります。また、害虫対策として株元に「ダントツ粒剤」や「プレバソンフロアブル5」「アベイル粒剤」などの殺虫剤を散布することも有効です。


黒腐病キャベツの農薬による化学的防除

黒腐病の予防には銅剤が効果的とされています。代表的なものとしてボルドー液があり、定植直後から定期的に散布することで病原菌の侵入を抑えることが可能です。特に台風など風を伴う降雨が予想される場合は、降雨前後に予防散布を実施しましょう。


キャベツ黒腐病に適用のある主な農薬として、カスミンボルドー、キノンドーフロアブル、バリダシン液剤5、オリゼメート粒剤などが利用できます。カスミンボルドーは収穫7日前まで使用でき、使用回数は4回以内です。キノンドーフロアブルは収穫14日前まで3回以内の使用が認められています。


オリゼメート粒剤は定植時に全面土壌混和または作条土壌混和で施用し、10a当たり6〜9kgを1回使用します。定植時の土壌処理により、初期感染を抑制する効果が期待できます。


常発地では特に有効な防除方法です。


農薬散布の際は耐性菌の出現リスクを考慮する必要があります。予防的な散布により発病前から初発を抑制することが可能ですが、連用は避け、ほかの防除法とのローテーションを心がけます。同一系統農薬の連用は耐性菌を生みやすいため、作用機作の異なる農薬をローテーションで使いましょう。


適期・的確な散布も重要なポイントです。台風や大雨の後を避けるなど、発生予察情報などを参考に、適期に的確な農薬を選択して散布することが大切です。また、キャベツの葉には薬液が付着しづらいため、薬液を作る際は展着剤を混合し、下葉を含めまんべんなく散布します。


農薬や展着剤を使用する前にラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布してください。地域によっては農薬使用の決まりが設けられている場合もあるため、事前に確認しておくことが必要です。


農薬登録情報は農林水産省の農薬登録情報提供システムで検索できます。最新の登録情報を確認してから使用しましょう。


農薬登録情報提供システム(農林水産省)


このサイトでは作物名や病害虫名から使用可能な農薬を検索でき、使用時期や使用回数などの詳細情報を確認できます。


黒腐病キャベツの耐病性品種と独自の防除戦略

耐病性品種の導入は黒腐病対策の有力な選択肢です。黒腐病に耐性を持つキャベツの主な品種として、ふうりん、涼峰、BCR龍月、夢いぶき、新藍などが挙げられます。これらの品種は遺伝的に黒腐病への抵抗性が強化されており、発病リスクを大幅に低減できます。


ふうりんは2023年1月に発売された新品種で、優れた耐暑性を持つ中生・平玉品種です。一般地や暖地の10〜11月どりは黒腐病の発生が問題になりやすい作型ですが、ふうりんは黒腐病に高度な耐病性を示しているため、安定した収穫が見込めます。バーティシリウム萎凋病への耐病性と萎黄病への抵抗性も兼ね備えています。


涼峰は定植から75日程度で収穫期を迎える中早生種で、初夏〜夏どりの作型に適しています。黒腐病に高度な耐病性を示し、萎黄病・バーティシリウム萎凋病にも耐病性があります。茎が短いため倒伏による玉尻からの腐敗が少なく、高収量を実現できる品種です。


BCR龍月は作型が広い点が特徴です。一般地や暖地での秋どり、初夏どりだけでなく、冷涼地での初夏どり、夏秋どりが可能で、黒腐病と根こぶ病に高度な耐病性を示します。萎黄病にも耐病性があるため、複合的な病害対策として有効です。


夢いぶきは一般地や暖地での栽培に特化した品種で、低温期の12月下旬〜1月に品質の良いキャベツを出荷できるのが特徴です。黒腐病への高度な耐病性と萎黄病の耐病性を兼ね備えています。冬どり作型で安定生産を目指す場合に適した品種です。


新藍は一般地や暖地での初夏どりや年内どり、冷涼地での夏どりや秋どりに対応した品種です。黒腐病と根こぶ病に耐病性があり、萎黄病には遺伝子レベルでの抵抗性があります。複数の病害に対応できる万能型の品種といえます。


ただし重要な点として、品種によって作型や感受性が異なり、キャベツ黒腐病を遺伝子レベルで完全に予防することは困難です。耐病性品種を過信せず、種子消毒、ほ場の環境整備、農薬散布などの防除対策を総合的に行うことが安定生産の鍵となります。


独自の防除戦略として、発生予察システムの活用が挙げられます。各都道府県の病害虫防除所が発表する発生予察情報を定期的にチェックし、地域の発生動向を把握することで、適期に防除対策を実施できます。気象条件と発生予測を組み合わせることで、より効率的な防除が可能です。


また、生物農薬の活用も検討する価値があります。ベジキーパー水和剤などの生物農薬は、環境への負荷が少なく、化学農薬との併用で総合的な防除効果を高めることができます。有機栽培や減農薬栽培を目指す場合に特に有効な選択肢です。


記録管理による防除効果の検証も重要です。発病株率、防除時期、使用農薬、気象条件などを詳細に記録することで、自分のほ場における最適な防除体系を確立できます。データに基づいた科学的な栽培管理が、長期的な安定生産につながります。


キャベツ黒腐病対策の詳細(BASF農業ソリューション)


このサイトでは耐病性品種の詳細情報や農薬の使用方法など、実践的な防除対策が詳しく解説されています。


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