キスジノミハムシ農薬と大根防除体系

キスジノミハムシの被害が出やすい大根で、播種時処理と茎葉散布をどう組み、登録とローテーションをどう考えるかを整理します。あなたのほ場では「開始時期」と「散布間隔」をどこに置きますか?

キスジノミハムシ農薬と大根

キスジノミハムシ農薬と大根:この記事で分かること
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防除体系の基本

播種時の粒剤+生育期の茎葉散布を組み、初期密度を下げて根部被害を抑えます。

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開始時期と散布間隔

播種7~10日後に茎葉散布を始め、前半は7日間隔を基本に組み立てます。

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薬剤以外の効かせ方

圃場周辺のアブラナ科雑草管理や、光の乱反射などの物理対策で飛来と増殖源を減らします。

キスジノミハムシ農薬で大根の防除体系を組む要点


大根のキスジノミハムシは、成虫が発芽と同時期に圃場へ飛来し、地際に産卵、ふ化幼虫が土中へ潜って根部を食害する流れが基本です。
この「幼虫が土中に入った後は茎葉散布が届きにくい」性質のため、播種時に土壌処理する粒剤と、生育期に使う茎葉散布剤を適切に組み合わせる体系防除が重要になります。
青森県の夏だいこんでは、播種時にフォース粒剤などで土壌処理し、生育期前半は7日間隔で2~3回、後半は発生状況に応じて7~10日間隔で2~3回の茎葉散布を行う体系が指導されている、という現場寄りの整理が示されています。


参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20200601

また、成虫の産卵を抑える意味で「播種7~10日後の散布開始」が推奨され、開始が早いほど防除効果が高まり収量・品質が向上した比較試験結果も紹介されています。

防除体系を作るときは、次の3点をセットで考えると設計ミスが減ります。


・播種時:粒剤の“規定量”と“処理深度”を守って初期密度を落とす。

・生育期前半:7日間隔を基本に、成虫の産卵行動を止めるタイミングを外さない。

・生育期後半:発生状況で7~10日間隔に調整し、効かせ続けるより「効く時期に確実に当てる」発想に切り替える。

キスジノミハムシ農薬の選び方:IRACコードとローテーション

「効く農薬を毎回同じ系統で回す」ほど、抵抗性リスクが現実化しやすいのが、難防除害虫のつらいところです。
そのため、農薬は製品名だけでなくRAC(IRAC)コードで作用機作(系統)を見て、タイプの異なる殺虫剤をローテーション散布する考え方が重要だと整理されています。
大根でキスジノミハムシに適用がある代表例として、IRACコード別に有機リン(1B)、ピレスロイド(3A:フォース)、ネオニコ(4A:アルバリン/スタークル等)、ネライストキシン系(14:パダン)、METI剤(21A:ハチハチ)、ジアミド(28:ベネビア等)、メタジアミド(30:グレーシア)といった区分が挙げられています。


参考)大根に発生するキスジノミハムシに使える農薬

ローテーションの組み立ては、次のように“同じコードが続かない”ことを最優先にします(例は考え方のイメージです)。


✅ 例:4A → 28 → 14 → 21A → 30(同系統の連用を避ける)​
⚠️ 注意:実際の使用可否は「適用作物=ダイコン」「適用病害虫=キスジノミハムシ」「収穫前日数」「回数制限」「希釈倍率」などラベルが絶対で、記事や一覧表は最終判断材料になりません。

また、同じ「茎葉散布」でも狙いが違います。


・成虫対策:飛来直後~産卵期に当て、産卵行動を抑える。

・幼虫対策:土中に入る前に“土壌側から”押さえ、根部被害を減らす。

だからこそ、播種時処理を軽視すると、いくら地上散布を頑張っても最終被害が大きくなりがち、という現場感のある指摘が出ています。

キスジノミハムシ農薬の散布タイミング:播種7日後と7日間隔の意味

「フォース粒剤の残効が播種時処理の21日後頃まで確認された」一方で、茎葉散布の開始を21日以降に遅らせると、地上部ではすでに成虫の産卵が行われて幼虫密度が高まり、茎葉散布剤の地上防除で抑えきれず被害が出ることが多い、という説明がされています。
この理屈が、「播種7~10日後に茎葉散布開始」を強く推奨する根拠です。
青森の資料では、播種時の粒剤(フォース粒剤4kg/10aを播溝土壌混和、種子と同程度の深さで浅く混和)に加え、播種7日後から7日間隔で茎葉散布し、生育日数約60日なら7回程度になる、といった具体像が示されています。


参考)https://www.semanticscholar.org/paper/4388b6244cab0dae23f5ac922e2b00d5ab2a3583

同資料では「7日間隔の方が10日間隔より効果が高い」ことも示唆されており、甚発生・多発生条件下では“間隔を空けない”こと自体が防除成否に関わると読み取れます。

現場で迷いやすいのは「見えてから打つ」か「入らせない」かですが、キスジノミハムシは後者の比重が大きい害虫です。

そのため、次のチェックが実務的です。


・播種後7~10日で最初の茎葉散布を入れられるか。

・前半を7日間隔で回せる作業計画か(雨・収穫作業・他作物防除と衝突しないか)。

・後半は発生に応じて7~10日へ調整する余地があるか。

キスジノミハムシ農薬だけに頼らない:雑草と物理対策

キスジノミハムシの成虫は、圃場周辺のイヌガラシやスカシタゴボウといったアブラナ科雑草でも増殖するため、圃場周辺の雑草防除が生育初期の成虫密度を減らすのに有効だと説明されています。
青森県の研究成果資料でも、圃場周辺のアブラナ科雑草の除草管理や、周辺のアブラナ科野菜で繁殖しないよう適宜防除して圃場内の成虫密度を低くすることが大切、と明記されています。
薬剤以外の選択肢としては、光の乱反射を嫌う習性を利用したシルバーマルチ等が飛来抑制に有効という整理があります。

この種の物理対策は「効けばラッキー」ではなく、薬剤の負担を下げてローテーションを保ちやすくする(=翌作の効きも守る)という意味で価値があります。

実務の落とし穴は、圃場内だけを完璧にしても、周辺からの供給が続くと“毎回多発スタート”になってしまう点です。

雑草管理は地味ですが、播種時処理と同じくらい「最初の密度を下げる」施策として扱うと、全体の散布回数や精神的負荷が下がります。

キスジノミハムシ農薬の独自視点:2層局所施薬で「効く層」を作る

検索上位の一般解説では「播種時粒剤+茎葉散布」が中心になりがちですが、少し踏み込むと“粒剤をどこに効かせるか”まで設計した技術が出てきます。
ダイコンのキスジノミハムシ防除のための2層局所施薬機は、作用の異なる2粒剤を深さの異なる土層に施薬し、忌避効果の高い剤は0~1cm、浸透移行性剤は3~5cmに分布させて特性を活かす、という発想です。
背景として、本種は成虫が土壌中に産卵し、ふ化幼虫が加害するため、生育期に6回程度薬剤散布しても防除が困難な難防除害虫である、という位置づけが示されています。


参考)https://www.semanticscholar.org/paper/35c817bdb74af36de5e1a55e76e14e34902030c3

また、プリロッソ粒剤(ジアミド系)は地下3~6cm処理で効果が高いこと、フォース粒剤は成虫に対して忌避効果が高く浅い処理が深い処理より効果が高い傾向、という“効く条件の違い”が整理されています。

この技術の面白い点は、「2剤を足す」より「2剤を分けて置く」ことで、成虫(地表近く)と幼虫(地下側)を同時に狙う設計になっていることです。

実証では、プリロッソ粒剤とフォース粒剤を併用し生育期に1回薬剤散布した区が、被害を最も抑えて9割以上の高い出荷可能根率を示した、と報告されています。

さらに、適切な作業速度(1.6~2.2km/h)を超えると覆土が安定せず発芽不良要因になるなど、機械化技術ならではの注意点も示されています。

「手散布で同じことを再現する」のは簡単ではありませんが、発想としては防除体系の改善に直結します。


・成虫対策は“表層で効く(忌避も含む)”状態を作る。

・幼虫対策は“根域側で効く”状態を作る。

・茎葉散布は“産卵させない”ために早く入れる。

参考:播種時粒剤+茎葉散布の体系と、7日間隔が有利になりやすい話(根部被害の抑制、薬剤名の例も記載)
https://www.aomori-itc.or.jp/_files/00133777/FL64-P3.pdf
参考:2層局所施薬(表層0~1cmと地下3~5cmに“効く層”を分ける発想、出荷可能根率の改善データ)
https://www.naro.go.jp/laboratory/karc/prefectural_results/files/30_2_02.pdf
参考:播種7~10日後の茎葉散布開始が重要な理由(21日開始では遅れやすい、開始が早いほど収量・品質が向上)
https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20200601




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