オリゼメート粒剤は「作物ごとに、使用量・使用時期・使用方法・回数」が細かく決められており、ここを起点に作業計画を組み立てます。稲では移植時の側条施用(3kg/10a)や、葉いもち・穂いもち向けの散布(3~4kg/10a、収穫14日前まで等)があり、稲(箱育苗)では育苗箱1箱当たり20~30gを移植3日前~移植前日に苗の上から均一散布します。野菜では、きゅうりの斑点細菌病(定植時・植穴土壌混和)や、キャベツ黒腐病(定植時・全面土壌混和または作条土壌混和)など、土壌混和が中心です。
🧾適用表で最低限チェックする順番(現場で迷わない並び)
「同じオリゼメートでも、やり方が違う」のは当たり前で、作物・病害・栽培ステージで“効かせ方(根から吸わせる/土に混ぜる/田面水で効かせる)”が変わるからです。適用表を見ずに「去年こうやった」だけで回すと、回数制限や時期ズレで、効かなかったり指導対象になったりします。
(参考:適用表の一次情報=メーカーの製品ページ)
適用表(稲・野菜の使用量/使用時期/使用方法/回数)がまとまっているリンク:
https://www.mc-croplifesolutions.com/products/13243/
(参考:公的DBで登録情報・適用表を確認したい場合)
登録番号・成分・適用表(公的な農薬登録情報)の確認リンク:
https://pesticide.maff.go.jp/agricultural-chemicals/details/13243
稲でのオリゼメート粒剤は、移植時の側条施用(3kg/10a)が代表的ですが、実は“施用後の水管理”が効果と薬害の分岐点になります。側条施用や本田散布の注意事項として、湛水深3~5cmの湛水状態を保ち、散布後少なくとも4~5日は田面を露出させない、さらに散布後7日間は落水・かけ流しをしないことが明記されています。これは有効成分が水田環境の中で安定して効く時間を確保する意味合いが大きく、逆に言うと「散布したのに効かない」原因の一部が“水が保てていない”に直結します。
💧水田で効かせるコツ(やることが少ないほどミスが減る)
また、移植後に低温が続いて活着遅延が見込まれるときは使用を避ける、という注意もあり、単に薬の問題ではなく「苗が動ける状態か(根が伸びる環境か)」が重要だと分かります。防除のつもりが初期生育抑制(葉の黄化・生育遅延)につながるのは、だいたい“水・地力・苗質”のどれかが弱い条件で起きやすいので、施用前に圃場条件を一度チェックすると安全側に寄せられます。
育苗箱で使う場合、手順の肝は「均一に散布 → 付着薬剤を払い落とす → 十分灌水」です。ラベル注意として、育苗箱(30×60×3cm、使用土壌約5L)1箱当たり20~30gを、移植3日前~移植前日に苗の上から均一に散布することが示されています。さらに、稲苗の葉がぬれていると薬害を生ずる場合があるため、散布直前の灌水は避ける、と具体的に書かれているのが現場的に重要です。
🌱育苗箱で失敗しやすいポイント(予防チェックリスト)
意外と見落とされがちなのが、「散布後に灌水するのに、散布直前の灌水は避ける」という一見矛盾した指示です。ここは“散布時点で葉が濡れていると粒が貼り付いて濃度が偏る”のが問題で、散布後は粒を葉から落として土側へ移し、均一に効かせるための灌水、という意味合いになります。手順を逆にすると、効かせたい場所(根域)ではなく葉面に薬が偏ってしまい、黄化などのトラブル側に寄ります。
野菜でのオリゼメート粒剤は、基本が「定植時の土壌混和(植穴土壌混和、全面土壌混和、作条土壌混和)」で、葉に散布して効かせる薬というより“根域にセットして、病気の立ち上がりを抑える”設計です。適用例として、きゅうりは斑点細菌病に対し定植時に植穴土壌混和、ピーマンも定植時に植穴土壌混和が示され、健苗に使用し幼苗・軟弱徒長苗には使用しない、植穴の土壌と十分混和する、と注意事項がセットになっています。レタスでも、使用方法を誤ると葉が黄化したり生育が遅延することがあると明記されており、「混和不足」「苗が弱い」「定植直後のストレス」が重なるとトラブルになりやすいと読めます。
🥬土壌混和の“効かせ方”を安定させる手順(作業の型)
「土壌混和」は言葉が簡単な割に、現場では再現性が出にくい作業です。そこで、植穴の土を“いったん同じ容器(バケツ等)で混ぜて戻す”など、混和の工程を仕組みに寄せると、作業者が変わってもムラが減ります。薬害を怖がって量を減らすと効きが落ち、効かせようとして混和を省くと薬害が出る、という両極端になりやすいので、「所定量を守り、混和で調整する」が最も事故が少ない考え方です。
オリゼメート粒剤(有効成分プロベナゾール)は、病原菌を直接たたくタイプ一辺倒ではなく、作物側の反応を引き出して発病を抑える性格が知られているため、「出てから叩く」より「出る前に守る」組み立てが合います。実際、稲の本田散布に関する注意事項でも「本剤は予防的に散布した場合に有効」とされ、葉いもちの適期は初発の7~10日前、穂いもちは出穂3~4週間前、白葉枯病は移植活着後なるべく早い時期が有効と、タイミングが具体的に示されています。つまり、作業の正解は“病斑を見てから慌てて散布”ではなく、発生予察や圃場履歴(常発田かどうか)で先回りして入れることです。
🧠独自視点:同じ「予防」でも、現場では2種類ある
さらに、稲でも野菜でも共通して出てくる注意が「健苗」と「ストレス条件の回避」です。漏水田・砂質土壌・未熟有機物多用田では使用しない、低温で活着遅延が見込まれるときは避ける、夏期高温時の使用を避ける、といった条件は、言い換えると“作物が弱る局面で、余計な負担をかけない”という思想です。防除効果だけを追いかけるより、苗づくりと水・土の安定化を合わせて設計すると、オリゼメート粒剤のパフォーマンスは上がりやすく、黄化などのトラブルも抑えやすくなります。