「市販の除草剤なら農地でも使っていい」と思って使うと、最大100万円の罰金刑を受けることがあります。
除草剤を大きく2つに分けると、「選択性除草剤」と「非選択性除草剤」に分類されます。この区別は農業現場で非常に重要な意味を持ちます。
選択性除草剤とは、特定の植物種にのみ作用するよう設計されたものです。たとえば、イネ科雑草だけを枯らし、栽培している作物には影響しないという製品がこれにあたります。一方で、非選択性除草剤は、薬液がかかったすべての植物を枯らします。雑草も作物も、木も草も区別なく枯死させる点が最大の特徴です。
つまり非選択性が原則です。
作物を植えている圃場の中で使う場合は、作物に薬液がかからないよう細心の注意が必要になります。主な活用場面としては、播種・定植前(作物がまだない時期)、畦畔(あぜ)の管理、収穫後のひこばえ処理、そして休耕地・農道・圃場周辺の雑草管理が挙げられます。
非選択性除草剤の作用方式には大きく2種類あります。1つ目は「浸透移行型(システミック型)」で、葉から吸収された成分が植物全体に広がり、根まで含めて枯らすタイプです。
代表的なのがグリホサート系製品です。
2つ目は「接触型(コンタクト型)」で、薬液が直接触れた部分だけを枯らすタイプで、グルホシネート系やジクワット系がこれにあたります。
この2種類の作用方式の違いが、散布後の効果の現れ方や適した雑草の種類を左右します。使い分けを知ることが、非選択性除草剤を上手に活用する第一歩です。
参考:農業技術事典 NAROPEDIA「非選択性除草剤」(農林水産省認可の農業データベース)
非選択性除草剤の定義と用途(ルーラル電子図書館)
非選択性除草剤は、主に「グリホサート系」「グルホシネート系」「ジクワット・パラコート系」の3系統に分類されます。それぞれの系統ごとに代表的な製品と特徴を整理します。
| 系統 | 有効成分 | 代表商品名 | 作用タイプ | 効果発現の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| グリホサート系 | グリホサートカリウム塩 など | ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ、サンフーロン、グリホエース、サンダーボルト007 | 浸透移行型 | 3〜7日で変色、1週間〜2ヶ月で枯死 |
根まで枯らす。 土壌に触れると不活化。 農耕地登録製品は作物のない時期に使用 |
| グルホシネート系 | グルホシネートPナトリウム塩 など | バスタ液剤、ザクサ液剤 | 接触型(茎葉枯死) | 2〜5日で効果、5〜20日で枯死 |
速効性あり。 根まで枯らさない。 抵抗性雑草(オヒシバ等)対策に有効 |
| ジクワット・パラコート系 | ジクワットジブロミド+パラコートジクロリド | プリグロックスL | 接触型(即効) | 数時間〜1日で効果 |
3系統中最も速効性が高い。 毒物指定あり。 取り扱いに特別な注意が必要 |
この中で特筆すべきは、グリホサート系製品の圧倒的な種類の多さです。ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQのような農耕地登録品から、サンフーロン、グリホエースのようなジェネリック品まで非常に多くの商品が流通しています。「農耕地用」と「非農耕地用」の区別については後の項目で詳しく説明します。
また、ジクワット・パラコート系のプリグロックスLについては、成分中のパラコートが「医薬用外毒物」に指定されており、国内ではすでに1999年にパラコート単剤の生産が中止されています。現行で流通している製品は、ジクワットとパラコートの混合剤のみです。取り扱いには他の製品以上の注意が求められます。毒物に指定されている点は覚えておけばOKです。
参考:農研機構 雑草イネ防除マニュアル「3.非選択性除草剤」
水田用非選択性除草剤の種類と効果(農研機構公式PDF)
グリホサート系は、農業現場で最も広く使われている非選択性除草剤の系統です。シキミ酸経路という植物特有のアミノ酸合成経路を阻害することで除草効果を発揮します。動物にはこの経路がないため、哺乳類への毒性は比較的低いとされており、内閣府食品安全委員会も「神経毒性・発がん性・遺伝毒性は認められない」と結論づけています。
グリホサート系の代表的な製品を確認しておきましょう。
- ラウンドアップマックスロード:グリホサートカリウム塩48%配合。
農耕地での使用登録あり。
浸透移行性が高く、スギナ・ツユクサ・クズ・ササ・竹などの難防除雑草にも効果を発揮します。
- タッチダウンiQ:グリホサートカリウム塩を高濃度で配合。
農耕地登録あり。
長期間(約60日)の抑草効果が特徴です。
- サンフーロン:グリホサートイソプロピルアミン塩41%配合。散布後2時間で降雨があっても効果を維持する耐雨性を謳っています。農耕地向けのジェネリック品として普及しています。
- グリホエースPRO:農耕地用のジェネリックグリホサート剤。コスト面で優れるため大面積管理に活用されます。
- サンダーボルト007:グリホサート系でMCPAを配合した農耕地用製品。
広葉雑草への効果が高まる点が特徴です。
グリホサートが根まで枯らす仕組みは、葉面から吸収された成分が師管(植物の栄養輸送路)を通じて根まで運ばれることにあります。効果の発現は遅いですが、地下茎まで持つ多年生雑草にも有効なのはこのためです。
これは使えそうです。
ただし重要な注意点があります。グリホサート系は「散布後に耕起すると効果が低下する」という性質を持ちます。農研機構の試験でも「処理直後の耕起は防除効果が低下するため、翌日〜数日おいてから耕起を行ってください」とされています。
グルホシネート系は、グリホサート系と並ぶ農業現場での主力製品です。作用機構はグリホサートとは異なり、グルタミン合成酵素という酵素を阻害することで植物細胞に毒素を蓄積させ、枯死を引き起こします。
グルホシネート系の最大の特徴は速効性です。散布後2〜5日で効果が現れ、5〜20日で枯死に至ります。グリホサートの「1週間〜2ヶ月」と比べると、体感的にはるかに早い効果が得られます。圃場の管理スケジュールがタイトな場面に向いています。
代表的な製品は以下のとおりです。
- バスタ液剤(BASF):グルホシネート18.5%配合の農耕地用非選択性除草剤。果樹・野菜・畦畔など幅広い農耕地登録があります。抑草期間は40〜50日とされており、圃場周辺の管理に多用されます。
- ザクサ液剤:グルホシネートPナトリウム塩配合。バスタと同系統で、畦畔や水稲の刈取後管理にも使われます。
グルホシネート系は「根まで枯らさない」という点を把握しておくことが重要です。接触した茎葉部分を枯らしますが、地下茎は生きていることが多く、スギナや地下茎で繁殖する多年生雑草は再生してくる場合があります。一方、抵抗性オヒシバのように「グリホサートが効かなくなった雑草」に対して、グルホシネートでの防除効果が確認されているため、抵抗性雑草対策として現在注目されています。
また、グルホシネート系は土壌に吸着されると速やかに分解されるため、後作物への薬害リスクが低い点も農業では評価されています。使用後の作付け制限について確認するのが条件です。
参考:BASF農業ソリューション「オヒシバ対策と非選択性茎葉処理除草剤」
グルホシネート系除草剤のオヒシバへの効果(minorasu by BASF)
ジクワット・パラコート系は、3系統の中で最も速効性が高い非選択性除草剤です。代表製品はプリグロックスL(シンジェンタジャパン)で、ジクワットジブロミド7.0%とパラコートジクロリド5.0%を含む混合製剤です。散布後数時間〜翌日には雑草の変色が始まり、接触した緑色部分を速やかに枯死させます。
速効性が高い半面、注意点が多いのがこの系統の特徴です。
まず毒性の問題があります。パラコートは「医薬用外毒物」に指定されており、取り扱いには専用の安全対策が必要です。誤飲や皮膚吸収による中毒事故が国内で多数報告されており、腎不全・肺線維症を引き起こして死亡するケースもあります。国内では1999年にパラコート単剤の生産が中止されました。
次に、ジクワット・パラコート系は「土壌に触れると不活性化する」という性質を持ちます。このため種子には効果がなく、発芽前の雑草は防除できません。
厳しいところですね。
一方、この特性を活かした使い方もあります。たとえば水田の直播栽培では、播種した種子に薬液がかかっても土壌に落ちると不活性化するため、種子が土に埋まっていれば薬害が起きにくいという場面での活用が研究されてきました。ただし種子にかかると発芽率が下がるリスクがあるため、使用基準の厳守が前提となります。
これは農業従事者が絶対に知っておかなければならない知識です。
ホームセンターや100円ショップで販売されている除草剤の多くは「非農耕地用除草剤」です。これらは農薬登録を受けておらず、農薬取締法上では農薬として扱われません。農地(農作物を栽培する場所)で使用することは、農薬取締法改正法第11条で禁止されています。
違反した場合の罰則は、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方の併科です。法人の場合はさらに重く、1億円以下の罰金が科せられます。
罰則は明確です。
見分け方はパッケージの確認で足ります。農耕地で使用できる製品には「農林水産省登録第○○○○○号」という登録番号が記載されています。この番号がない製品は、農地では絶対に使ってはいけません。
勘違いされやすいのが、「同じグリホサート成分なら農地でも使えるだろう」という思い込みです。成分が同じでも、農薬登録の有無で合否が分かれます。たとえば、同じグリホサート製品でも「農薬登録あり=農地で使える」「農薬登録なし=農地では違法」という違いがあります。
家庭菜園や自宅の庭(農作物を植えている場合)でも同様に法律違反となります。「少量だから」「自分の土地だから」という理由は通りません。
参考:農薬取締法 e-Gov法令検索(農林水産省)
農薬取締法の罰則規定(e-Gov法令検索)
非選択性除草剤を使う農業従事者の多くが「なんとなく雨が降る前は避けている」程度の認識にとどまっています。しかし実際には、系統によって必要な「降雨前の待機時間」が異なります。この違いを知ることが、除草効果の最大化に直結します。
グリホサート系(ラウンドアップマックスロードなど):散布後6時間以内の降雨は効果を減じる可能性があります。
6時間が基本です。
葉面から植物体内に吸収されるまでにまとまった時間が必要なため、晴天日の午前中~昼間の散布が基本です。
グルホシネート系(バスタ液剤など):散布後6時間以内の降雨で効果が低下するとされますが、速効性があるため、グリホサートよりも早く吸収される傾向があります。
ジクワット・パラコート系(プリグロックスLなど):速効性が非常に高く、散布後15〜30分で接触部分への吸収が始まるとされています。ただし、確実な効果のためには散布後1時間以上は雨に当てないことが望ましいです。
一方、「雨上がり直後」の散布も避けるべき場面があります。茎葉処理剤の場合、葉面が濡れていると薬液が流れ落ちやすく、効果が落ちます。雨上がりから少なくとも1日程度、葉面が乾いてから散布することが推奨されています。
また、散布時間帯も効果に影響します。午前中の9〜11時ごろが植物の気孔(葉の表面にある穴)が開いて吸収しやすい状態になるため、散布のベストタイミングとされています。朝露の残る早朝や夕方の散布でも、メーカー(ラウンドアップマックスロード)は「問題ない」としていますが、効果の発現はやや遅くなる傾向があります。
「同じ除草剤を毎年散布してきたのに、最近急に効かなくなった」という経験をお持ちの農業従事者は少なくないかもしれません。これは抵抗性雑草(除草剤抵抗性を獲得した雑草)の問題です。
特に深刻なのが「グリホサート抵抗性オヒシバ」です。日本で初めて報告されたのは2015年のこと。以降、茨城・埼玉・栃木などの北関東を中心に、三重・福島・沖縄など全国各地で次々と発生が確認されています。
なぜオヒシバは抵抗性を獲得しやすいのか。
理由は2つあります。
1つは他家受粉する植物であるため遺伝的多様性が高く、変異が起きやすいこと。2つ目は1株あたりの種子生産量が非常に多いことです(数千粒〜数万粒)。少数でも抵抗性を持つ個体が出現すれば、次世代以降に急速に広がります。
グリホサート抵抗性オヒシバに対して、除草剤の濃度を高くしても、丁寧に散布しても効果はありません。
これは使えない対策です。
有効な対策は以下のとおりです。まずグリホサート以外の系統(グルホシネート系など)に切り替えること。バスタ液剤(グルホシネート)については、オヒシバへの抵抗性が現時点では報告されていません。100倍〜200倍希釈での散布が推奨されています。次に、同じ系統の除草剤を毎年使い続けないこと(ローテーション防除)。そして草刈りや耕起などの物理的防除を組み合わせることです。
オヒシバ以外にも、グリホサート抵抗性が確認されている雑草にはオオアレチノギク、ネズミムギなどがあります。圃場で枯れ残る草が増えてきたと感じたら、抵抗性の可能性を疑うことが大切です。
参考:茨城県農業総合センター「北関東におけるグリホサート抵抗性雑草の発生と対策」
グリホサート抵抗性オヒシバの発生状況と防除法(茨城県農業総合センター)
農耕地で非選択性除草剤を使用できる場面は、大きく3つに分けられます。それぞれの場面での使い方を具体的に確認しましょう。
① 播種・定植前の雑草防除
作物を植える前に圃場に生えている雑草を一掃する場面です。グリホサート系を使う場合は、散布後すぐに耕起せず、翌日〜数日おいてから耕起することが鉄則です。農研機構の試験では「処理直後の耕起は防除効果が低下する」と明示されています。効果が出る前に土に混ぜ込んでしまうと、成分が分解されて除草力が弱まるためです。
② 圃場周辺・畦畔(あぜ)の管理
水田の畦畔管理は、非選択性除草剤が最も活躍する場面の一つです。圃場内の作物に薬液がかからないよう、飛散防止カバーを装着した噴霧器の使用が推奨されます。草丈が30cm以内の段階での散布が基本です。草が大きくなりすぎると効果が落ちる傾向があります。宮城県の試験では、グリホサートカリウム塩液剤またはグルホシネートPナトリウム塩液剤の秋季散布により、翌年7月中旬までイネ科多年生草種の優占を抑制できた結果が報告されています。
③ 収穫後のひこばえ・雑草イネ防除
稲刈り後に発生するひこばえや、翌年の雑草イネ(こぼれ籾から生えてくる稲)対策に非選択性除草剤が有効です。農研機構の資料では、春に出芽する雑草イネ対策として「5月末〜6月初旬が散布適期」とされています。
なお、非選択性除草剤は「生育している個体を枯死させる」効果であり、処理後に新たに発芽した個体には効果がありません。
これが原則です。
すでに出芽している個体に確実に当てることを意識した散布が重要です。
非選択性除草剤を扱う際の安全管理は、農作業事故を防ぐうえで欠かせない知識です。ラベルの注意書きを読むだけでなく、実際の現場で守るべきポイントを整理します。
最低限必要な保護装備は以下のとおりです。
- 🧤 ゴム手袋(薄手のビニール手袋は不可。農薬散布用の厚手のものを使用)
- 😷 防護マスク(ジクワット・パラコート系は特に必須。粉じん対応マスクでは不十分な場合もあります)
- 👓 保護眼鏡またはゴーグル(薬液が目に入ると炎症を起こす可能性があります)
- 👕 長袖・長ズボン・長靴(皮膚への接触を防ぎます)
散布機器については、農薬用として登録された噴霧器を使用することが前提です。散布後は機器の内部を十分に洗浄し、他の農薬との混用ミスを防ぐことが重要です。
薬液の調製には一定の計算が必要です。たとえばラウンドアップマックスロードの場合、畦畔散布では原液を50〜200倍に希釈して使います。500mLのラウンドアップマックスロードを100倍希釈で使う場合、水50Lに原液500mLを加えることになります。10aの畦畔に10Lの希釈液が必要だとすれば、1本(500mL)で約5〜10アールをカバーできる計算です。希釈倍率は必ずラベルで確認することが条件です。
また、散布当日は散布場所に家族や作業者が入らないようにすること、散布場所を明示しておくことも安全管理の基本です。
農業従事者が気にする点として、「今散布した除草剤が土の中に残って次の作物に影響しないか」という問題があります。
これは系統によって大きく異なります。
グリホサート系は、土壌中の微生物によって速やかに分解される性質を持ちます。土壌に触れると不活性化し、根からの吸収はほとんどないとされています。このため通常の使用方法では後作物への薬害リスクは低いとされており、農耕地でも幅広く使用が認められています。
グルホシネート系も同様に、土壌中での分解が比較的速いとされています。後作物への影響は少ないとされていますが、使用後の作付け間隔については各製品のラベルを確認することが重要です。
一方、土壌処理型の非選択性除草剤(ブロマシルなど一部の製品)は残効期間が長く、後作物に影響することがあります。この系統は農耕地で使う機会が限られますが、畑作周辺や非農耕地での長期除草目的で使われることがあります。
残留性を踏まえた散布計画を立てることは、来期の作付け計画とも連動します。たとえば果樹園での使用後に野菜を植える予定がある場合は、使用する製品の残効期間を確認してから散布判断を行いましょう。
「濃くすれば効く」という考え方は間違いです。
これだけ覚えておけばOKです。
実は、非選択性除草剤の効果は、濃度よりも「薬液が葉面にしっかり付着すること」の方が重要です。特にグリホサート系やグルホシネート系の茎葉処理剤は、葉面からの吸収が効果の鍵になります。
以下のポイントが効果を高めるうえで重要です。
まず、散布液量を適切に確保することです。特に多年生の難防除雑草(スギナ・クズ・ハマスゲなど)に対しては、メーカー推奨の上限濃度かつ十分な液量で散布することが推奨されます。水量が少なすぎると葉面への付着量が不十分になります。
次に、草丈の管理です。草丈が高すぎると下部の葉に薬液が届きにくくなります。
一方で草刈り直後の散布も避けるべきです。
刈り取り後の切り口から水分が蒸発しているときや、葉面積が少ない状態では吸収面積が落ちます。バスタ液剤のメーカー資料では「畦畔の除草は雑草の草丈30cm以内での散布が基本」とされています。
最後に、展着剤(てんちゃくざい)の活用も一つの方法です。特に難防除雑草やロウ質の多い葉を持つ雑草(ハコベ、スベリヒユなど)には、展着剤を加えることで薬液の葉面付着性が向上することがあります。ただし展着剤の添加が認められていない製品もあるため、ラベルの確認が必要です。
参考:JA全農「除草剤の上手な選び方」
主要非選択性除草剤の選び方と使い分け(JA全農資料PDF)
農薬の登録は一度取得したら永久に有効ではありません。更新が必要な場合があり、また作物や使用場所の適用範囲が変更されることもあります。農業従事者にとって、使用する前に登録内容を確認する習慣は非常に重要です。
農薬登録の確認には、農林水産省の「農薬登録情報提供システム(農薬インデックス)」が使えます。登録番号や製品名で検索でき、現時点での登録状況・適用作物・使用方法を確認することができます。
確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 農薬登録番号:「農林水産省登録第○○○○○号」という表記
- 適用場所・作物:「畦畔」「水田」「果樹園」などの使用可能場所が明記
- 使用方法・希釈倍率:濃度と散布量の上限・下限
- 使用時期:作物の生育段階に応じた制限
- 使用回数:1作期あたりの散布回数の上限
同一成分でも製品によって登録内容が異なります。「同じグリホサートだから同じように使えるはず」という判断は危険です。必ず使用する製品のラベルで確認することが原則です。
なお、登録が失効した農薬は使用禁止になります。手元に古い在庫がある場合は、農薬データベースで登録有効期限を確認してから使用判断を行ってください。期限切れの農薬を使用することも農薬取締法違反となります。
農業従事者の多くは、非選択性除草剤を「困ったときに使う」という位置づけで捉えています。しかし、計画的な「体系防除」として組み込むことで、年間の除草コストと作業時間を大幅に削減できるという視点は、現場ではまだ広く知られていません。
体系防除とは、非選択性除草剤と選択性除草剤、さらに草刈り・耕起などの物理的防除を組み合わせて、1年間を通じた雑草管理計画を立てるアプローチです。
具体的な体系の例を挙げると、畦畔管理では、春に非選択性除草剤(グリホサート系)を1回散布して一気に初期の雑草を除草し、夏に草刈り、秋に再度グルホシネート系を1回散布するという3段階の管理が実践されています。宮城県農業・園芸総合研究所の試験では、秋に非選択性除草剤を散布することで翌年7月中旬まで多年生イネ科雑草の繁茂を抑制する効果が確認されており、管理回数の削減につながっています。
また、果樹園では、夏の旺盛な生育期にタッチダウンiQのようなグリホサート系を使って地下茎雑草を根ごと叩き、冬の低温期には土壌処理型除草剤を使って翌春の発芽を抑える体系が採用されています。
この体系防除を実践することで期待されるメリットとして、除草の作業回数が年間2〜3回削減される、除草剤の使用量が適正化される、抵抗性雑草の発生リスクが下がるといった効果が挙げられます。
いいことですね。
除草計画を圃場ごとにメモし、使用した製品・時期・効果を記録することで、翌年以降の最適な体系が見えてきます。農薬使用記録帳(農薬使用記帳)の活用が、この体系防除を継続するための実践的な手段になります。
参考:宮城県農業・園芸総合研究所「非選択性除草剤の秋季散布による水田畦畔の植生管理」
秋季散布による畦畔植生管理の試験結果(宮城県PDF)
ここまでの内容を踏まえ、目的別に非選択性除草剤の選び方を整理します。
| 目的・場面 | おすすめの系統 | 代表製品 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 播種・定植前の全面除草 | グリホサート系 | ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ | 根まで枯らし、散布後数日で耕起へ移行できる |
| スギナ・クズなど難防除多年生雑草 | グリホサート系 | タッチダウンiQ、サンダーボルト007 | 浸透移行性で根まで枯死させる。再生しにくい |
| 速効性が必要な場面(急な作業) | グルホシネート系 | バスタ液剤、ザクサ液剤 | 2〜5日で効果。天候が不安定な時期にも向く |
| グリホサート抵抗性雑草(オヒシバ等) | グルホシネート系 | バスタ液剤 | 100〜200倍希釈での使用が推奨される |
| 水田の刈取後・ひこばえ対策 | グリホサート系またはグルホシネート系 | ラウンドアップマックスロード、ザクサ液剤 | 農耕地登録の有無を必ず確認する |
| 畦畔の省力管理(年1〜2回散布) | グリホサート系(春)+グルホシネート系(秋) | ラウンドアップ系(春)+バスタ・ザクサ系(秋) | 体系防除で管理回数を削減できる |
製品選びの際は、必ず①農耕地用の農薬登録があること、②使いたい作物・場所に適用があることを確認するのが基本です。農薬インデックス(農林水産省の農薬登録情報提供システム)で製品名を検索すると、最新の登録内容をリアルタイムで確認できます。使用前に一度確認する習慣を身につけることが、法的リスクと農業被害の両方を防ぐ最善の対策になります。