クズを「根まで枯らす」目的なら、散布時期の考え方はシンプルで、養分転流期を外さないことが最優先です。鳥取県の資料では、クズ等の宿根草を根まで枯らすには養分転流期である9〜10月頃が効果的とされ、さらに高濃度少量散布(25倍液25L/10a)なら10月上旬が適すると整理されています。
ここが意外と落とし穴で、「暑い盛りに勢いがあるから今が効きそう」と感じても、葉が枯れて見た目が一時的に弱っただけで、地下部が生き残って翌年に再生しやすくなります。現場で“翌年また同じ場所に出る”のは、薬の種類以前に「転流の方向(根に戻る時期)を外した」ケースが多いです。
また、晩秋(10〜11月)の養分転流期散布がクズに効果的という記載もあり、「秋に当てる」こと自体が一貫して重要視されています。
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この時期は気温低下の影響も出るため、同じ秋でも“冷え込みすぎないタイミング”に寄せると吸収・移行が乗りやすい、という現場寄りの判断軸が持てます。
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参考:クズを根まで枯らす散布時期(9〜10月)と、高濃度少量散布(25倍液25L/10a)など体系処理の考え方
耕作放棄地に蔓延したクズの効率的な体系処理方法(鳥取県)
耕作放棄地などで面積があり、クズ以外の雑草残渣も厚い現場では、「機械処理+ラウンドアップ液剤」の体系が効率面で強いです。鳥取県の成果では、9月のフレールモア処理と10月のラウンドアップ液剤の高濃度散布を組み合わせることで、クズを概ね枯死させ、翌年の耕耘が可能になったとされています。
特に“翌年の耕耘が可能”という表現は重要で、単に枯れた/枯れないだけでなく、地下部やつるの巻き付きが減って作業性が上がる(=復元コストが下がる)という実利に直結します。
注意点として、同資料には「9月のフレールモア処理から約1ヶ月以内は、再生量が少なくラウンドアップの吸収量および効果が劣る可能性」が示されています。
つまり“刈った直後にすぐ撒く”が常に正解ではなく、葉面積(吸収面)が戻る時間と、転流期の重なりを作るのがコツです。ここは上司チェックでも突っ込まれやすいので、体系処理にするなら「刈り→再生→秋散布」の筋を説明できるようにしておくと安全です。
面で撒けない場所(周囲に残したい樹木・作物がある、飛散が怖い、法面で歩行が危険など)では、スポット処理の発想が効きます。資料には、林地のクズに対してトリクロピル(例:ザイトロンアミン液剤)を希釈倍率別に使う登録の考え方が示され、4〜10月は25倍で株径に応じた量、11〜5月は3倍で1ml/株などの整理がされています。
さらに、クズ防除の文脈で「生育初期(5〜6月)に原液を株へ」という記載もあり、面散布だけでなく“株を狙う”運用が前提に含まれます。
現場で効きがブレるポイントは、つるが絡み合って薬液が葉に均一に付かないことです。つる植物は「葉が重なる前に十分付ける」発想が重要になり、葉や茎から吸収されるタイプは“付着させる設計”が成否を分けます(噴霧器の霧の粗さ、歩くルート、風の読みなど)。クズは節々から根を下ろす性質があり、一度繁茂すると駆除が難しい、という生態そのものが散布ムラに弱い理由です。
「効かなかった」の原因を薬剤名で片付けると、同じ失敗を繰り返します。例えば、晩秋が効きやすい一方で、低温下では効果発現が遅れる可能性がある、散布後6時間以内の降雨は効果を減ずるため注意、という注意事項が示されています。
つまり秋散布でも、冷え込みが強い日や、雨が読めない日に当てると“効きの立ち上がりが遅い→途中で追加散布→無駄コスト”になりやすいです。
また、機械処理と組み合わせる場合は「刈ってから早すぎる散布は吸収量が落ちる可能性」があるため、作業計画でミスが起きがちです。
失敗パターンを現場用に箇条書きにすると、次のように整理できます。
検索上位では「どの除草剤が最強か」になりがちですが、現場の再発を減らす独自視点は“体系処理を記録して翌年に反映する”ことです。鳥取県の資料が示すように、フレールモア処理と秋の散布を組み合わせると翌年の再生が皆無だった区があった、翌年耕耘時に無処理区では巻き付きで困難だったが散布区では巻き付きが生じなかった、という「翌年の作業性」まで含めた評価がされています。
この発想を自分の圃場・管理地に落とすなら、薬量や倍率だけでなく、作業のログ(刈り日、散布日、気温感、降雨、再生の出方、翌年のつる量)を残し、翌年の“やる順番”を固定化するのが強いです。
意外と効く小技は、同じ秋でも「散布対象を全部に広げない」ことです。資料中にも取りこぼし株や新しく再生した株のみを対象に追加処理(スポット)した扱いが出ており、面で雑に追い散布するより、再生点を潰す方が合理的なことがあります。
最終的に狙うのは、クズを一発で消すことではなく、「再生の芽を年度内に減らし、翌年の作業コストを落として勝つ」設計です。