地下茎で増える雑草は、地上部を刈っても地下の器官が残り、翌週・翌月に平然と戻ってきます。多年生雑草の中に「地下茎(ちかけい)が発達して繁殖する種類もある」という前提を押さえると、対策の方向性がブレにくくなります。地下茎型は「抜いたつもり」「刈ったつもり」で終わらず、地下部の再生力をどう落とすかが勝負になります。
代表例として現場で遭遇率が高いのは、スギナ、ドクダミ、ヤブカラシなどです。スギナは地下茎でも繁殖する多年草で、春にツクシ(胞子茎)と、その後に栄養茎としてのスギナが出る流れが特徴です。ドクダミは湿り気と半日陰を好み、地下茎を広げて増え、独特のにおいも識別の助けになります。ヤブカラシはつる性で、巻きひげで絡みつきながら広がり、地下茎も発達して除草しづらい部類です。これらは「見た目」だけでなく、「どこに多いか(湿地・畦畔・林縁)」「いつ強いか(春~秋の生育期)」まで含めて覚えると、次の一手が決めやすくなります。
(多年草・一年草の整理、スギナ・ドクダミ・ヤブカラシの特徴は、雑草の基礎知識と代表種の解説に沿っています)
※参考:多年草の地下茎繁殖、スギナの生活史、ドクダミの生育環境、ヤブカラシのつる性と地下茎の説明がまとまっています。
フマキラーの雑草図鑑(多年草・地下茎、代表雑草の見分け)
https://fumakilla.jp/foryourlife/491/
地下茎雑草が厄介なのは、地下部が「貯蔵庫」であり「増殖装置」でもある点です。地上部を刈ると一時的に見た目はきれいになりますが、地下茎が健在なら再生しますし、作業の仕方によっては増やしてしまう場面すらあります。
意外に見落とされがちなのが「分断(切れ端)」の問題です。たとえば耕作放棄地の事例では、セイタカアワダチソウやススキのように地下で広がる多年生雑草に対して、侵入初期なら地上部を刈って地下茎を除去する手段が有効とされています。一方で、セイタカアワダチソウは刈り取りで分断された断片からの再生が旺盛で、掘り返して回収する作業でも“回収し忘れた断片”があると、かえって増えることがある、と指摘されています。つまり「掘れば解決」ではなく、「掘るなら断片を残さない設計」にしないと逆効果になり得ます。
水田の多年生イネ科雑草でも、茎切片から再生する個体に対する除草剤の反応を検討しており、「切片から再生する」現象が現場の制御を難しくする要因になっていることが分かります。ここから言えるのは、地下茎型は“ちぎる”作業が常にリスクを伴うということです。草刈り・耕起・掘り取りのどれも、タイミングと回収の徹底が噛み合って初めて効果が出ます。
※参考:耕作放棄地の多年生雑草防除(断片再生の注意、グリホサート等の茎葉処理剤)、水田の茎切片再生雑草と薬剤反応(再生個体への処理の考え方)。
耕作放棄畑の多年生雑草と対策(断片再生の注意点)
https://yuime.jp/post/abandoned-cultivated-field-weed
農研機構:茎切片から再生する多年生イネ科雑草(再生個体への薬剤反応)
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/narc/2002/narc02-35.html
地下茎雑草の防除は、「見える草を減らす」より「地下茎の体力を削る」ことが主目的です。やり方は圃場条件(農耕地か非農耕地か、作物があるか)で変わりますが、考え方は共通しています。
現場で組みやすい基本の型は、次の3つです。
たとえば地下で広がる多年生雑草への対策として、初期は刈り取り+地下茎除去が有効、繁茂後はグリホサートなど移行性の高い茎葉処理剤を繰り返すのが有効、という整理がされています。地下茎の広がり次第では1回で根絶は難しいため、再生の様子を見ながら繰り返し散布する、という現実的な説明も重要です(「1回で終わらない」と最初に共有しておくと、現場の期待値が合います)。
また、雑草全体の基礎として、除草剤には「接触型」と「移行型」があり、根が残る多年草には根まで枯らす効果のある移行型が向く、という考え方が示されています。地下茎型はまさにこの“多年草側”なので、薬剤選定の軸が立てやすいでしょう。
※参考:多年生雑草の地下茎除去と茎葉処理剤の繰り返し、除草剤の接触型・移行型の分類。
https://yuime.jp/post/abandoned-cultivated-field-weed
https://fumakilla.jp/foryourlife/491/
ここは検索上位の“雑草図鑑”的な並べ方とは少し違う、現場管理の視点です。地下茎雑草は、種類の知識だけでなく「作業をいつ入れるか」で結果が大きく変わります。そこで、雑草名から入るのではなく、圃場の年間作業に“雑草対応の窓”を組み込む考え方を提案します。
ポイントは「再生させてから叩く」を意識的に作ることです。地下茎型は刈った直後は葉が少なく、茎葉処理剤が効きにくい(付着面がない)局面になりがちです。逆に、刈ってから再生して葉面積が戻ったタイミングは、薬剤が入りやすい窓になります。放棄地の多年生雑草対策でも、地下茎の広がり次第で1回では根絶が難しいため、再生の様子を見ながら繰り返し散布する、とされていますが、この“再生の様子を見る”を管理手順に落とし込むのが肝です。
実務に落とすなら、次のように「観察→作業」をセットにします(入れ子はしません)。
このやり方は、特定の雑草名を覚えきれない現場でも再現性が出やすいのが利点です。「地下茎 雑草 種類」を調べて終わりではなく、種類ごとの差を“いつ・何をするか”に翻訳して、圃場の標準作業として回すのが最終的に強い運用になります。なお、断片再生が旺盛な種がいる点、そして移行性茎葉処理剤の繰り返しが現実的である点は、放棄地の対策例が示しています。
※参考:多年生雑草は1回で根絶が難しく再生を見て繰り返す、断片再生の注意。
https://yuime.jp/post/abandoned-cultivated-field-weed
最後に、農業従事者が「次の一手」を誤りやすいポイントを、チェック表として置いておきます。地下茎雑草は“気合”より“抜け漏れ管理”で差が出ます。
🧾チェック項目(当てはまるほど地下茎型を疑う)
📌よくある失敗と回避策
このチェック表は、スギナ・ドクダミ・ヤブカラシのような代表種の特徴(地下茎で繁殖、環境嗜好、つる性)をヒントにしつつ、放棄地での多年生雑草対策の注意点(断片再生、茎葉処理剤の繰り返し)を“現場行動”に落とし込んだものです。図鑑で名前が確定できなくても、地下茎型の疑いが強いなら、最初から「地下茎を削る」設計に切り替えるだけで、戻り草のストレスが減ります。
※参考:多年草の地下茎繁殖、ドクダミの生育環境、ヤブカラシのつる性と地下茎、断片再生と繰り返し防除の考え方。
https://fumakilla.jp/foryourlife/491/
https://yuime.jp/post/abandoned-cultivated-field-weed