ハマスゲ(カヤツリグサ科)は、種子でも増えますが、現場で厄介なのは主に塊茎で繁殖する多年生雑草という点です。
春に気温が10~15℃程度になると塊茎から萌芽し、萌芽の適温は30~35℃とされ、高温・強光を好むC4植物として増えやすい性質があります。
塊茎は土中0~6cm層に多い一方で、地下30cmの深さからも萌芽できるため、「表土だけ片づけたのに復活する」状況が起きます。
さらにやっかいなのは“地下でつながる増殖”です。
参考)302 Found
親塊茎から葉が数枚出た後、親株から根茎が伸び、その先端が地上に出葉して子株になり、子株の基部が肥大して新塊茎を作りつつ、また根茎を伸ばして増殖を繰り返します。
実例として、塊茎1個の植え付けから数か月で新塊茎数が大幅に増え、最終的に2,746個に達したとする報告もあり、増殖力の桁が違います。
この生態を知ると、根絶のゴールは「芽を見つけたら抜く」ではなく、塊茎を新しく作らせない・塊茎の萌芽力を削る、の二本立てだと整理できます。
現場でありがちな失敗は、地上部だけを刈り続けて“勝った気になる”ことですが、ハマスゲは刈り取り耐性が強く、繰り返し切除しても再生する性質が示されています。
つまり、根絶を狙うなら「地上部の見た目」ではなく「地下の塊茎在庫」をどう減らすかが中心課題になります。
耕起は、やり方次第で味方にも敵にもなります。塊茎から萌芽した株は地下でつながっており、耕起などで切断されると萌芽が促進され、発生がより多くなるので注意が必要です。
「ロータリーで細かく砕いたのに、後から一面がハマスゲ」というパターンは、この“切断→萌芽促進”の罠にはまっている可能性があります。
一方で、耕起を“根絶方向”に寄せる考え方もあります。ハマスゲの塊茎は乾燥に弱く、-5℃以下の低温で死滅するとされ、冬期に耕起して塊茎を地表面にさらすことで死滅させられる可能性があります。
ここでのコツは、夏の生育盛期に闇雲に混ぜ込むのではなく、「低温・乾燥が効く時期に、塊茎を外気に当てる」方向に設計することです。
特に露地畑では、冬の土が乾きやすい・霜が入りやすい場所ほど、この理屈が成立しやすくなります。
実務的には、次の発想で耕起を組み立てると失敗が減ります。
・目的が「天地返しで埋める」だと、深部からでも萌芽できる性質に負けやすい。
・目的を「塊茎を乾かす/凍らす」に置くと、作業タイミングと作業後の管理(放置して乾かす等)が意味を持つ。
・耕起後すぐに湿らせる、土を戻して密閉する、は“乾燥に弱い”性質を活かしにくい。
なお、根絶を狙う圃場ほど「局所的に多発したパッチ」を潰す管理が重要です。地下でつながって拡大するため、パッチを放置すると周辺に根茎ネットワークが伸びやすくなります。
“全面一斉に同じ作業”より、“多発地点の優先順位を上げる”ほうが、翌年の労力が軽くなることが多いです。
意外に効くのが遮光です。ハマスゲは草丈が30cm前後で、遮光に弱い性質があり、地上部を密に被覆できる作物(例:ソバやダイズ)を作付すると発生量を減らすのに有効とされています(ただし根絶は難しい、という注意も同時に示されています)。
ここは農業従事者向けに言い換えると、「塊茎の貯蔵炭水化物を稼がせない=翌年の出芽波を小さくする」という“体力削り”の戦略です。
遮光を活かすときの現場ポイントは、発生ゼロをいきなり狙わず、再生の勢いを段階的に落とすことです。
例えば、作付体系の中で「初期生育が早く、畝間を早く閉じる」作物や栽培様式を選べると、ハマスゲに光が当たる時間が短くなります。
遮光は薬剤抵抗性の議論と独立に使えるので、薬剤に頼り切りたくない圃場、周辺が住宅地でドリフトに神経を使う圃場でも“現実的な手札”になります。
また、遮光は「刈り取り耐性が強い」性質を相殺する方向に働きます。
自然光下だと毎週の切除を繰り返しても再生しやすい一方、55%程度の遮光条件下では、毎週の切除を続けることで再生が止まり、萌芽力を失ったとされる報告があります。
この情報は、たとえば防草シート・マルチ・カバークロップなど、“光を減らす資材や作付”と“地上部の除去”を組み合わせる価値が高いことを示唆します。
遮光戦略での注意点もあります。遮光だけで塊茎がすべて消えるわけではないため、最初の年は「勢いが落ちた」程度で終わることが多いです。
しかし、塊茎を新しく作らせない期間を積み上げると、翌年の初動が明確に変わってきます。
根絶を“1シーズン勝負”にしない、というのが遮光の使いどころです。
除草剤の考え方は、「葉から入れて地下まで届かせる」発想が基本になります。ハマスゲは地下の塊茎で増える多年生雑草なので、地上部だけ枯れても地下が生きていれば再生し得ます。
そのため、現場では茎葉処理剤を核にしつつ、耕起や遮光と組み合わせて“地下の再生力”を削るのが合理的です。
ただし、除草剤の具体的な選定・希釈倍率・散布時期・適用作物は、登録内容(ラベル)に完全に従う必要があります。
参考)サツマイモの特殊害虫アリモドキゾウムシの根絶に関する最近の研…
家庭園芸レベルでも、散布場所別に剤型を分けて案内している例があり、粒剤/液剤などの選び方が変わることが示されています。
圃場ではなおさら、作物・圃場条件・周辺環境により適用が変わるので、「効く成分」より先に「その作物・その場で使える登録か」を確認するのが事故防止になります。
根絶を狙う場合、散布1回で終わらせようとしない設計が重要です。ハマスゲは塊茎からの萌芽が繰り返されやすく、地上部の再生力も高いので、“見えた芽をその都度ゼロにする”より、“塊茎の体力を落とす回数設計”のほうが結果が安定します。
また、耕起で切断して萌芽を促進してしまうリスクがあるため、薬剤を使うなら「耕起→増やす」順番にならないよう、圃場の作業順を見直す価値があります。
(参考リンク:ハマスゲの生態、増殖速度、遮光・低温・乾燥の弱点、耕起で切断すると萌芽促進する注意点がまとまっています)
https://boujo.net/handbook/newhandbook5/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B2.html
(参考リンク:除草剤使用時は説明を読み記載内容に従うべき、という基本注意を確認できます)
https://www.sc-engei.co.jp/weed/detail/1372/
検索上位が「効く方法」中心になりがちな一方で、現場の根絶を分けるのは“防除の記録の取り方”です。ハマスゲは塊茎ネットワークで増え、耕起で切断すると発生が増えるリスクもあるため、作業が「増殖の手助け」になっていないかを点検できる記録が武器になります。
ここでは、薬剤名などの細部より、再現性のある管理項目に絞ります。
おすすめは、圃場を「多発パッチ単位」で管理することです。ハマスゲは地下でつながりながら増殖し、短期間で新塊茎を増やす例も示されているため、パッチの拡大速度を把握するだけで、次の一手(遮光強化、冬期耕起、作付変更など)の優先順位が決まります。
記録項目は3つで十分です。
・発生位置(畝番号・端から何m、圃場図に丸)
・発生密度(目視で「少・中・多」でも可)
・その時期にやった作業(耕起・中耕・刈り・遮光資材・茎葉処理の有無)
この記録が効く理由は、ハマスゲの弱点が「遮光に弱い」「乾燥に弱い」「-5℃以下で死滅し得る」という“条件依存”だからです。
同じ除草をしても、日当たり、土の乾き、冬の冷え込み、耕起の深さと回数で結果が割れます。
だからこそ「来年も同じ圃場で同じ負け方をしない」ために、条件と作業をセットで残す価値があります。
最後に、根絶の現実ラインを言語化しておきます。資料上も、遮光作物の作付は発生量低下に有効だが根絶は難しい、とされています。
逆に言うと、根絶を目標に据えるなら、遮光・冬期の低温乾燥利用・耕起のやり方の是正・(必要なら)登録に沿った薬剤利用を、複数年で“同じ方向に積む”のが最短ルートです。
「今年ゼロ」ではなく「塊茎を新しく作らせない年を重ねる」—この発想に切り替えると、ハマスゲ対策の精度が一段上がります。
![]()
石原バイオ シバゲンDF 100g 芝生用除草剤 【芝生 芝 シバ 日本芝 西洋芝 バーミュダグラス 芝生用除草剤 除草 雑草 対策 イネ科 カヤツクリグサ 広葉 一年草 多年生雑草 樹木 庭 公園 緑地 駐車場 宅地 スズメのヒエ ハマスゲ ヒメクグ】【おしゃれ おすすめ】